下品で、汚らしい、ブスだ。
突然、ブスの肩に、男が手を回した。
ホストだろう。スカウトとホストは見分けが付きにくいが、ブスに声をかけるのはホストだけだ。
ホストは馴れ馴れしく肩に手を回し、ブスの顔に、自分の、そこそこに整った顔を近づけて笑いかけた。
「君たち可愛いね」
ブスは困惑して、でも、照れたように、嬉しそうに、少し笑った。
ホストの営業。
会話の内容自体は聞いていなかったけれど、まあ、そうだろう。
ホストは会話の中で、ブスの頭を叩いたり、乱暴に抱き寄せたりしている。
ブスは、困惑したように、恥ずかしそうに、でも嬉しそうに笑っている。
もっと、自分が美人だと思っていて、自信のある相手であれば、もっと下手に出て話すはずだ。
相手がブスだから、こうして、いきなり性的にもみえる接触をする。
相手はブスだから、こうして、いきなり抱き寄せられて、嬉しげに恥じらう。
煙草を吸い終えたので、そこを離れた。
ただ、ひどくイヤなものを見たと思った。
イヤなものを見た、と、そう思う自分が卑しく思えた。
ホストだって、相手がもっと美人であれば、 もっと、自分が美人だと思っていて、自信のある相手であれば、もっと下手に出て話すはずだ。 相手がブスだから、こうして、いきな...