「外事警察 その男に騙されるな」(2012年)。映画版でもダークヒーローを演じる渡部篤郎の存在感が炸裂しています。
ドラマ版のラスト、住本健司(渡部篤郎)が姿を消して2年後。
朝鮮半島の38度線付近でウランがテロリストの手に渡る。
同じ頃、震災後の混乱に紛れて何者かに核兵器の点火装置に転用可能な技術のデータが盗まれていたことも発覚。
突如単身ソウルに現れた内閣情報調査室の住本は、尾行を鮮やかに巻いて裏通りへ。
住本は事件の鍵となる1人の人物を探していた…。
スパイ天国と揶揄される日本の水際で国益を守るために暗躍する公安部外事課。
中でも決して表に出ない「ウラ」と呼ばれる外事四課を率いていた住本は、同僚・警察を含めて誰も信用していません。
身内から今も「公安の魔物」と呼ばれ、疎まれ怖れられている男です。
非情な住本は目的のためにどんな手も使い、騙すことも平然にやってのけます。
ターゲットを徹底的に調べ上げ、弱みを把握して接近、揺さぶりをかけて追い込む。
そして言葉巧みに落とし、協力者(素人スパイ)という危険な役割に引き込む。
一方、住谷は誰にも真の自分を言えないというヒリヒリするほどの孤独を生きている。
うーむ、ハードボイルドです。
渡部篤郎のボソボソっとした聴き取りづらい声がよい。
だまし騙され、裏切り裏切られの世界。
正義か悪なんて、結局どちらから光を当てて観るかの違いだけなのかも知れない。
あるいは実は善悪等ハナから無いのかも。
表の人達は奇麗事を言えばよいけれど(余貴美子演ずる官房長官のスピーチ)、裏で暗躍する住本には奇麗事など全く意味もない。
しかし、辞職までして単身海を渡ったり、謎の男に信じることの大切さを熱く語る住本が本当の姿でしょうか?
それでも結局、この男に騙されました。