「博士と彼女のセオリー」(2014年)は、理論物理学者スティーヴン・ホーキング博士と元妻ジェーンの25年間を描きます。
1963年、ケンブリッジ大学院。
スティーヴン・ホーキング(エディ・レッドメイン)とジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)は出会ってすぐに恋に落ちます。
しかし、スティーヴンの身体に病の兆候が始まっていました。
医師からALS と診断され、余命2年と宣告されて絶望するスティーヴン。
ジェーンは彼を支えることを決意、2人は結婚します。
が、介護と子育てを1人でこなすことは想像を絶する負担です。
ジェーンの気持ちも想像に難くないですね。
スティーヴンが男女関係に疎いことが2人の関係をより複雑にしてしまったように思いました。
原題の「The Theory of Everything」は、「全てを説明(あるいは理解)するための理論」という意味です。
原題はホーキング博士の宇宙と時の謎を説明する理論にかけていますが、もう一つの意味は「愛を理解するための理論」ですね。
ジェーンが「いつも眼鏡が汚れているのね」とスティーヴンの眼鏡を拭いてあげるシーン何度かあります。
このシーンは終盤にもあるんですが、「宇宙と時の謎を解いたのに、貴方には目の前の大切なセオリーが分かってないのね」というジェーンのメッセージに思えました。
愛を理解するためのセオリーは複雑で、そしてシンプルなんでしょう。
それに、時の謎を解いたとしても、出会った頃に時計を戻すことは出来ない…。
伝記映画、特に存命中(映画製作当時)の人物の話を映画化するのは難しいはず。
そして実在の夫婦ものは、きれいなストーリーに美化されて描かれるものです。
特に本作は映像が美しいですから余計に。
ホーキング博士の私生活の複雑さについては、観る前から多少知識があったので、ちょっと映画に没入するのが難しかったかな…。
なので、ここは評価が分かれるかもしれませんね。
伝記映画は、史実にフィクションとファンタジーを付け加えたり、ドラマティックになるよう時系列を変えるもの。
ですから、「based on 史実」くらいに捉えて観るのが良いのでしょうね。
ドキュメンタリーじゃありませんから。
しかし、エディ・レッドメインの熱演に異議はなし。
ジェーンを演じたフェリシティ・ジョーンズは「ローグワン」のヒロインを演じた方ですよね。
どうりで。彼女も良かったですね。