「花嫁の父」(1950年)は、愛娘の結婚をめぐる父親の悲哀をコミカルに描きます。
(※今回はネタバレです。ご了承ください)
主人公は弁護士のスタンリー(スペンサー・トレイシー) 。
娘が婚約者を連れて来てから結婚式までの嵐の3ヶ月を描きます。
スタンリーには息子が2人います。
長男には車を貸してやりゃ良いし、次男は腹いっぱい食わせりゃ問題ナシ。
でも愛娘のケイ(エリザベス・テイラー)のこととなるとワケが違います。
幼い娘にとって父親は英雄。
でも愛娘が成長して彼氏を連れて来た日には父親はパニックだし、娘に恋話が無いなら無いで心配になる。
つまり父親にとって娘とはあまりに特別な存在。
スタンリーは慣例通り結婚披露パーティーを自宅で開くため準備を始めます。
費用はすべて新婦の父親もち。
アメリカの風習なんですね。でもお金、たいへんだ。
「ケイの相手はどんな男か?」とスタンリーは心配になります。
幸い娘の婚約者バックリーは申し分ない好青年。
妻のエリー(ジョーン・ベネット)はすぐにバックリーを気に入ります。
でもスタンリーはモヤモヤ。
色々あり、式が近づくにつれてスタンリーは「父親は役目を終えた」と現実を受け入れてゆく。
「娘が家を出たらお別れだ」なんて悲観しながら。
結婚式とパーティーが終わって娘はその足で新婚旅行へ。
グチャグチャの家の中、娘が居なくなった喪失感がドッとスタンリーに押し寄せる。
男親の寂しさは洋の東西を問わないんですね。