ニコラス・ケイジ主演のセルフコメディ「マッシブ・タレント」(2022年)をご紹介します。
かつての大スター、今は落ち目俳優のニック・ケイジ(ニコラス・ケイジ)は悩んでいた。
映画のオファーは来ない、離婚した妻オリヴィアと娘のアディには愛想尽かされている。
さらには浪費癖が祟って借金まるけ。
エージェントがニックに「富豪の誕生パーティーに参加するだけで100万ドルの報酬ゲット」というオファーを持ってくる。
背に腹はかえられないニックは、プライドを捨ててこのオファーを承諾、いざマヨルカ島へ。
依頼主はオリーブ農園経営で財を築いたハビ(ペドロ・パスカル)。
ハビは大のニック・ケイジファンで、「ニックに演じて欲しい」と脚本まで書いたという。
コアな映画の趣味まで同じ2人は意気投合、友情を育む。
しかし、CIAエージェントがニックに接近。
ハビの裏の顔はマフィアのボスで、カタルーニャ州知事選挙の立候補者の娘を誘拐監禁しているという。
CIAエージェントはニックに協力を要請。
親しくなったハビに引け目を感じながらも、仕方なくニックは危険な即席スパイ業を引き受けるが…というお話。
ニコラス・ケイジがほぼ本人役で主演、自虐ネタを熱演してます。
「コン・エアー」や「フェイス/オフ」等ニコラス・ケイジの主演作の映像も使われてます。
思春期の娘とうまくいかないニック。
「とにかく娘のためにまともな父親になって」とオリヴィアにはハッパをかけられます。
ニックの分身ニッキー(ニコラス・ケイジ/二役)は若き日のニッキーの幻影。
ニッキーはちょっと「ワイルド・アット・ハート」のニコラス・ケイジっぽい。
このイケイケな妄想の分身と「役者として人生復活」を議論するニックは、かなり追い込まれた中年男です。
ハビはニック狂ですがイイ奴に見えます。
しかしニッキーがCIAに接触した後はハビが悪い奴にも見えてくるのは、演じるペドロ・パスカルが巧いから。
特に前半は今までに無い切り口でおもしろかったですね。
後半、謎が明らかになってからはややトーンダウンかな?
それでもよかったと思います。
男の友情がね、良いね。
2人がこれから決闘か、という哀しく緊迫した場面で、互いの靴を交換して褒め合うなんて「思春期か!」と大笑い。
人生の再生とは家族関係の修復だった、という筋書きもよいですね。