ゾンビ映画「デッド・ドント・ダイ」(2019年)。ジム・ジャームッシュ監督作品の常連俳優勢揃いです。
アメリカの田舎町センターヴィルを舞台に、3人の警察官とゾンビ達の闘いを描きます。
ゾンビ映画だけどコメディなんですね。
怖くはなかったです。
ジム・ジャームッシュらしいユルさです。
署長のクリフ(ビル・マーレイ)はじめ、ズレた人達によるオフビートの笑いが心地良い。
アダム・ドライバー演じる警官ロニーがやたら「まずい結末になる」と口癖のように言うのがハマりました。
なぜロニーはゾンビの仕業といち早くきづいたのか?なぜやたらゾンビに詳しい?
後に明らかとなるその理由が衝撃、いや笑撃。
ゾンビが消費社会で思考を停止させて、生きていた時の習慣を繰り返す。
生前の物欲まみれのまんま、ふらふらしている様を現代人に当てはめています。
ジム・ジャームッシュはロメロのゾンビをしっかり踏襲しているんです。
70年代にロメロが風刺した消費社会の問題は、21世紀に入ってさらに悪化。
このゾンビ化から逃れられるのは、世捨て人か、宇宙人しかいない、ということかな。
スマホポチポチッと要らぬショッピングしまくっているうちに物欲というゾンビウィルスにやられちゃったらもうヤバいよ、ヤバいよ状態。
個人的にはジム・ジャームッシュの作品への期待はちょっと裏切られた気がしたかな。
ゾンビが消費社会の亡者、という解説を思いっきりしているのはジム・ジャームッシュらしからぬところです。
ジム・ジャームッシュ監督は前作「パターソン」(2016年)で、物質主義と距離を置いて素朴に生きるバス運転手を描きました。
「デッド・ドント・ダイ」が合わなかった方には「パターソン」をお勧めします。