迷惑系ユーチューバーならぬ”元祖迷惑婆”「いじわるばあさん」はどのぐらい意地悪だったのか?
ここ数年ユーチューバーのジャンルも多様化してきていますね。VTuberが流行ったと思ったら今度は迷惑系YouTuberだとかさらには私人逮捕系YouTuberなんてものまで登場してきまして、過激化の一途を辿ってます。とくに迷惑系YouTuberなんてそもそもジャンルとして成立しないだろ、なにせ迷惑な存在でしかないんだから…と思っていたのに、いつのまにやらすっかり定着してしまった感があります。これが多様性か…まったく令和という時代は恐ろしいものです。
しかし昭和の時代にはそんな迷惑系YouTuberならぬ、とてつもなく迷惑な婆さんが主人公のマンガが存在していました。その名も「いじわるばあさん」という作品。動画もなければインターネットもない、承認欲求など全く得られない時代にひたすら人に意地悪をすることだけをライフワークとしていた老婆を描くマンガが存在した…まるで都市伝説のような話ですが、果たしてどのぐらい意地悪だったのか検証してみたいと思います。
「いじわるばあさん」の作者は長谷川町子先生、そう誰もが知る国民的アニメ「サザエさん」の原作者です。日本の平和な家族の象徴であるかのようなイメージを持つ「サザエさん」ですが、実は原作では随所に「毒」が盛り込まれているんですよね。その毒の部分を猛毒レベルまで煮詰めたのが「いじわるばあさん」といえるでしょう。はっきり言ってやってることは迷惑系YouTuberなんか生ぬるいレベル。全ての迷惑系はいじわるばあさんのフォロワーに過ぎないのです。
そのご迷惑っぷりをタイプ別にご紹介しましょう。
■バラエティ番組顔負け、強烈ドッキリ編
早速ですが、いじわるばあさん代表的な意地悪といえば今でいうドッキリです。しかもTV番組のように芸能人や芸人さんではなく、普通に知人友人、赤の他人に仕掛けてますからね、ガチさが違います。
まさに鬼の所業
火事になったビルから脱出して、一安心と思ったらそこに投げ込まれた剣山ですよ。まさに天国から地獄、鬼の所業です。
老人とは思えぬパワー
これはいかにもドッキリっぽい仕掛け。雨が来ることを予測し、バス停に並ぶ人たちに水がブッかかるように土管を並び替えるというものですが、その過程で老人とは思えない怪力っぷりを発揮してます。意地悪にかける執念がそうさせるのでしょう。
この人にお産やらせたらアカンやろ
人が浮かれているところや、安心したところでサっと足元を救うのもいじわるばあさんの得意とするスキルです。こんなヤバい婆さんにお産を頼むのがそもそもの間違いですね…。
■ムカつくヤツには徹底的に仕返し編
これもよくあるパターンですが、いじわるばあさんに対して敵対的な態度をとったり、無礼な態度を取って怒らせたらさあ大変、あらん限りの意地悪技術を駆使されての100倍返しが待っています。くわばらくわばら(死語)
昔からあった出前の嫌がらせ
嫌いな人の家にピザや寿司などの大量の出前を送りつけるっていう嫌がらせ、今でもよく聞きますよね。それ、いじわるばあさんが半世紀以上前にやってました。しかもこのケースでは鰻です。手間的にも金銭的にもしっかり大ダメージで、関わったすべての人が不幸になります。良い子は絶対やっちゃダメ!
港区女子よりも危険な女
いじわるばあさんの嫌味に辟易した寿司屋の大将が、大量のワサビを仕込むという禁断の嫌がらせで対抗。しかし、それをものともせずその上を行く嫌味を繰り出すいじわるばあさん。これぞまさにへらず口、やはりいじわるばあさんに対抗できる人類は存在しないのかもしれません。
相手が悪すぎた
いじわるばあさんに無礼を働いたら、謝るまで離れてくれないという執念深さ。やはりこの婆は絶対に敵に回してはいけない。「負けない方法は勝つまで諦めないことだ」をまさに実践しています。
■浮かれてるやつに冷水を浴びせる意地悪編
ラブラブカップルなどの浮かれている奴らを見かけると、目の敵にしがちなのもいじわるばあさんの特徴です。まあちょっとこれだけはいいぞもっとやれって気持ちになりますが、それにしてもこの嫌がらせに徹するモチベーションはどこから来ているのか。大いなる謎です。
見せもんじゃねーぞ
このように、抱き合うカップルを見かけると、ほぼ反射的にデマを撒き散らして、大量のギャラリーを派遣しています。いじわるばあさんの前にラブラブ無しとはよく言ったもんだ。(言ってない)
新婚だろうが容赦なし
これも同じようなパターンですが、実に手が込んでますよね。普通こんな嫌がらせ思いつきません。このおばあさん、もしかしたらIQはとんでもなく高いのかもしれません。ただ…その使い方が残念なだけで。
どんな姉妹だよ
なんと、いじわるばあさんの妹なる人物も登場。姉に負けず劣らずの意地悪っぷりを発揮。意地悪のDNA恐るべし…!
■メンタルにダメージを与えるちっさい意地悪編
ここまで一歩間違うと警察沙汰になるようなド派手ないたずらや意地悪を紹介してきましたが、実は、うわ、ちっさ!そんな細かい嫌がらせまでするのかよ!というスケールの小さい意地悪も実に多彩です。こういうやつの積み重ねが結構メンタルに来るんですよね。
飼い犬を使った完全犯罪
一枚だけ無いトランプ、百人一首、将棋のコマなど…こういうのありますよね。たった一枚無いだけで使い物にならなくなってしまう類のやつ。皆さんも経験があるのではないかと思いますが、きっとそれは貴方の近くにいるいじわるばあさんの仕業かもしれません。
ちゃんと人が嫌がるツボを突いてくる
親切に拾ってくれたかと思いきや、公衆の面前で恥をかかせるタイプの嫌がらせです。これもなかなか狙ってできるものではないハイレベルないたずらです。いじわるばあさんの目の前でちょうどエッチなページのある本を落とすなんて、運が悪すぎるとしか言いようがありません。
同族嫌悪か?
1つもいいやつがない
老人に対して遠回しに死を予感させようとする嫌がらせも、いじわるばあさんの大好物なやつです。
こういうことしてくる老人は逆に長生きしそうなので困ったもんです。
■金にもうるさいドケチ編
さて、最後に紹介するのは、いじわるな性格の人は金に対しても当然ガメツイというエピソードです。
これで金を払わなくてすむのか?
わかりますか?この高度な駆け引き。カネを払わないために、自分の前にレシートが置かれそうなタイミングであえてテーブルに水をこぼしています。しかもわざとというより本能的な動きですね。もはや天性のドケチといえるでしょう。
アベンジャーズかよ
普段は絶対しないような親切行為も、実はカネが絡んでいたというオチです。いや、ハリウッド映画みたいなめちゃくちゃデカいトラックを止めてるよこれ、老人なのにカネが絡むととんでもないパワーとスピードが出せるんだな…
というわけで、元祖迷惑系マンガ「いじわるばあさん」をご紹介してみましたがいかがだったでしょうか?これが昭和40年代の作品なんです。少なくとも皆さんの想像の10倍は意地悪だったんじゃないでしょうか。でも、作品自体が醸し出すほのぼの感やいじわるばあさんのどことなく憎めないキャラでクスっと笑っちゃうんですよね。
とにかく単行本にして6巻分に、森羅万象この世で思いつくありとあらゆる意地悪が集約されているので、今どきの自称・迷惑系ユーチューバーは「いじわるばあさん」を教科書にして真の迷惑とは何かをイチから勉強すべきだと思いますね!(そしてリアルで迷惑行為をすることの虚しさに気づいてほしい)
ドラマ版「いじわるばあさん」の主題歌もめっちゃインパクトありました。
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出典・引用)
「いじわるばあさん」 長谷川町子/朝日新聞出版