「ダンプ・ザ・ヒール」極悪女王の漫画版!? ダンプ松本伝説

極悪女王の漫画版!? ダンプ松本伝説「ダンプ・ザ・ヒール」
 

ネットフリックスのドラマ「極悪女王」が話題になってますね。1980年代に女子プロレスで活躍した伝説の悪役レスラー、ダンプ松本の半生を、ゆりやんレトリィバァ主演で描いたドラマですが、J君のようにリアルタイムで当時の全日本女子プロレスを観ていた層だけでなく、女子プロレスに全く興味がない人達にも評判がいいみたいです。

当サイトとしては、そんな極悪女王人気に便乗したい、乗るしかないこのビッグウェーブにといった心境なのですが、まさにこのタイミングで紹介するのにピッタリのやつがありました!そう、ダンプ松本を主人公にした、まさにコミック版「極悪女王」とも呼べる作品、その名も「ダンプ・ザ・ヒール」です。

「ダンプ・ザ・ヒール」「ダンプ松本『ザ・ヒール』~極悪と呼ばれて~」を原作としたコミカライズ作品で、ダンプ松本の経験談を元に構成されているため、極悪女王ともストーリーの共通点が非常に多いです。作画は「冬物語」 「電車男」の原秀則先生です。「冬物語」みたいに鬱々とした冬の時代を描かせたら、原先生の右に出るものはいないということで、落ちこぼれ&下積み時代のダンプ松本を描くのにまさに適任といえましょう。

というわけで作品をご紹介していきましょう。

  

極悪度0%時代
  

ダンプ松本の本名は松本香。こんな感じのぽっちゃり系女子で、のちに極悪女王と呼ばれるヒールになるとはとても思えないような雰囲気。優しい性格やどんくささゆえか、若手時代は先輩レスラー達に壮絶な「かわいがり」を受けます。

  

浦島太郎は来ません
  

亀の甲羅を背負わされてケリを入れられたり食事をぶちまけられたりの嫌がらせ。ドジでノロマな亀というと、スチュワーデス物語を思い出しますが、どう考えてもそれより悲惨な状況です。

  

昔はこんなの普通でした
  

どうやら当時の女子プロレスの道場では激しいシゴキはもちろん、女同士のいがみ合いや若手へのいじめも日常茶飯事だったようです。後に、ライオネス飛鳥とクラッシュ・ギャルズを結成して大スターとなる、同期の長与千種も、当初は落ちこぼれで先輩からいじめを受けていたようです。

先輩からの過酷ないじめを受けたり、同期に比べても芽が出ず、なかなかデビューをさせてもらえない香ですが、それでもプロレスへの情熱が消えることはありません。そのモチベーションは…

  

父への憎悪がモチベーション
  

父親をブッ殺すためでした。まさかの理由でしたね。

  

絵に描いたようなクズ父親
  

香の父親は、内職や工場で家計を支える母親に金をタカり、子供たちの給食費にまで手を付けて、金ができたら他の女のところに消えていくというどうしようもないクズ男だったのです。そんな父親を追い出し、母と妹を助けたい、そのために女子プロレスでビッグになりたいという野望がありました。女子プロを簡単にあきらめられないのです。

  

クラッシュギャルズはアイドル的人気
  

クラッシュ・ギャルズをはじめとした同期がどんどん活躍していく中、一人出遅れていた香にもようやっとチャンスが巡ってきます。体格を活かしてまるでダンプカーのように突進して戦う姿をみてピンときた、全日本女子プロレスの会長が香にリングネームを授けます。

  

確かに強そうな名前だけども
  

「今日からお前は、ダンプ熊谷だ!」

ちょっ、ダンプ松本じゃないんかい。そう、香は埼玉県熊谷市出身のため、最初はダンプ熊谷というリングネームをつけられたのです。あまりに建設会社っぽすぎるということで、頼み込んでダンプ松本に変えてもらったわけですが、どっちにしても女子が「ダンプ」って名付けられてそれを受け入れざるを得ない状況って、かなり特殊ですよね。さすが昭和。

  

ついに極悪同盟が始動!
  

そして、クラッシュ・ギャルズに対抗する悪役ということで、ダンプ松本とクレーン・ユウのコンビ「極悪同盟」が結成されたのです。ダンプにクレーン、やはり建設業つながりなのか・・・。

  

凶器といえばパイプ椅子
  

長い間くすぶっていた松本香あらためダンプ松本にとって、悪役(ヒール)は天職だったのか、水を得た魚のように才能が開花。チェーンに竹刀、フォーク、パイプ椅子、一斗缶などありとあらゆる凶器を使って暴虐の限りを尽くします。さすが父親を殺そうと思ってプロレスを始めただけのことはありますね。

  

嫌われすぎ
  

その残虐っぷりに、クラッシュ・ギャルズのファンを中心として大ブーイング、最終的には「日本で一番殺したい人間」と呼ばれるほど、悪役の頂点にまで上りつめます。

  

新車が即キズモノに
  

あまりに嫌われすぎて、買ったばかりのスポーツカーをアンチに傷だらけにされたり、タクシーに乗車拒否されたり、ダンプの実家までクレームの嵐で窓ガラスを割られるなど、まるで刃牙の家状態だったようです。あくまで仕事で悪役に徹しているだけなのですが、当時はガチの悪人だと思われていたようです。なにしろ女優でも演技で悪女役をやると本当に性格が悪いと思われて、好感度が急降下していた時代ですから。これも昭和あるあるですね…。

  

悪役としてのプロ意識が凄い
  

もちろん、悪役現象をヒートアップさせた要因としては、ダンプ松本の悪役に対するストイックさもありました。ファンの子供達にサインをねだられても「近寄るんじゃねえクソガキ!」と一蹴。悪役に徹するためサインには一切応じませんでした。そのあたりの考え方の相違が原因で極悪同盟の相方のクレーン・ユウとはコンビ解消をするまでに発展します。

  

最後の晩餐状態
  

同期で仲良しの長与千種に対しても、今後はクラッシュ・ギャルズと極悪同盟として敵同士になるため、お互いに一切、近づかないようにすることを誓います、最後に一緒に御飯を食べるシーンは泣けるシーンです。

  

焚き付けまくり
  

運営会社の全女の方もなかなかのワルっぷりで、クラッシュ・ギャルズと極悪同盟が険悪になればなるほど試合が盛り上がるということで、身に覚えのない互いの悪口を捏造して吹聴します。これにより一時期は本当に憎み合っていたとか…会社も金のために随分酷いことしますよね。

  

伝説の敗者髪切りデスマッチ
  

あまりにショッキングでテレビ放送が打ち切りになるほどの伝説となった大阪城ホールでの、ダンプVS長与の髪切りデスマッチや後に女帝と呼ばれるダンプ松本の後継者、ブル中野の誕生のシーンまでしっかり描かれており、見どころが十分の漫画となっています。特にブル中野の活躍シーンは「極悪女王」ではあまり触れられていないので、本作品独自の見どころといってもいいかもしれません。

  

ブル中野の登場も多め
  

というわけで、ネトフリで観る「極悪女王」もいいですが、漫画でしか得られない栄養もあるということで「ダンプ・ザ・ヒール」をご紹介してみましたがいかがだったでしょうか?「極悪女王」の替わりに読むもよし、「極悪女王」と比較して読むもよし、女子プロレスの知られざる魅力がきっと分かる作品ですよ。

それでは、ダンプ松本がイメージガールをつとめた「タコヤキラーメン」のCMをみながらお別れしましょう。マジだぜ!!

  
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出典・引用)
「ダンプ・ザ・ヒール」 原秀則/小学館/ 平塚雅人/ダンプ松本

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