中世の修道士たちは寄生虫に苦しんでいた…有機野菜の罠か

イングランドはケンブリッジのオーガスティン会修道院で、かつてそこで活動していた修道士の墓が発見された。
この修道院は1280年代に設立され、以降、250年ほど活動していたらしい。が、その修道たちの遺体は、多くが寄生虫の死体つきだった。

手や体を洗う水があり、共同の便所もあり、他の貧しい農民家庭よりは衛生環境の良かったはずの修道士たちの寄生虫罹患率は、農村よりも高いほどだったという。何故なのか…という話である。

Why Were Medieval Monks So Susceptible to Intestinal Worms?
https://www.smithsonianmag.com/science-nature/why-were-medieval-monks-so-susceptible-to-intestinal-worms-180980608/

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この記事によると、おそらく修道院内で畑作するために人糞やブタの糞などの肥料をそのまま使っていたのが原因で、共同生活している人々の間に寄生虫が広がってしまったのだろう、という。

人糞などには寄生虫が含まれるため、いったん堆肥にして適切な管理をしないと衛生的にマズい。
たとえば、こんな記事がある。

https://www.foods-ch.com/anzen/1460613287278/?p=3
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人糞などを肥料に使うと土壌が汚染されやすい、という話だが、もちろん寄生虫の卵も混入する。
そうして、畑仕事中に卵が手につくなどして感染していったのだろう、という。ただし、同様の条件だと農村部でも罹患率は高そうなので、この研究単体だとあくまで「推定」の域だ。

そうかあ、堆肥の管理と畑の衛生か…。と、頭抱える内容である。
いやさ、中世ヨーロッパ風ファンタジーでスローライフ農業やってるやつとか、化学肥料ないから絶対あれ衛生やばいよな、って薄々思ってたんだ。しかも絵面が現代風にサラダとか並んでるやつ多いし。異世界の寄生虫って魔法の虫下しとかで何とかなるもんだろうか。


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なお、この研究には、ストーンヘンジを作った人たちの寄生虫罹患率について調べていた研究者も参加しているらしい。

うん○でわかる歴史がある。~ストーンヘンジビルダーたちの排泄物が語る歴史
https://55096962.seesaa.net/article/488420626.html

なんか最近やたら寄生虫調べてる研究出てんな…と思ってたけど、研究者被ってるんかよ!w ってなった。いや、まあ、そうね。こんなニッチな分野で研究者そんな大量にいるとも思えないしね…。

こうしてまた、人類の排泄物と寄生虫の関係についての理解は深まったのであった。
○んこの歴史が、また1ページ。