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    【創の悩み】家族を傷付けないで、辛くなるのは君

    2023/ 03/ 31
                     
     アタ君…ねえ、僕を傷付けるのは良いんだ、僕は痛みに慣れてるからね。でもね…さっき言えなかったけれど、どうか君を愛して好いて慕い続けてくれる子をね、拒絶するのだけは止めた方が良いと思うんだ。僕は、否定と取られる虞を拭えず言えなかった。だけどね君を愛してくれてる子が、一緒に居てくれる時に優しい心を持って無いわけがないんだよ。

     嘗ての様に君の好きな相手を傷付けるべきでないよ。僕を傷付けた時、僕に自殺を迫った時は初めて誰かを赦す方法を知ったから良い経験だったけれど…でも、優しい君が最後に痛みを感じるだろう。同じ様に。だからね、駄目だよ。

     君を愛するキリハさんを拒んではならないよ、一人になりたくても、多少其の時の気分に合わなくてもキリハさんだけは、余りにも君に傷付けられてはならない方だ。ロシンに頼めるから最悪な事は避けられる気もするけれど、でも駄目だよ。僕と同じ様に誰かを傷付けたら、最も痛みを感じるのはアタ君自身なんだよ…。


     キリハさん、泣いてたよ。君を見て居られない程辛いんだと思う、ボロボロ過ぎて治る気配が今は無いから辛いのは君もだろうけれど。でも、泣かせたら悲しいよ。僕がロシンを泣かせるような事だ、余りそうしたくはない。アタ君は器を切れないから自分を切ってしまうのかな、ずっと我慢してるものね、
    「傷を見て悲しむ奴が居なきゃ切ってる」
    って。ずっと、切りたい位生活が辛いけれど切り傷なんかに驚く人間を大切にして、君は切らない。違うのかな、如何したら君が分かる?以前はそうだが今は違う可能性だって有る。



     君はずっと傷付けてるんだ、そうだ。ずっと我慢して実際に切るのを停めてるだけでアタ君はずっと自分を傷付けてるかもしれない。見えないから傷付いて無いと思っては判断が抜かってる、見えない様にして居る事こそが本人を苦しめる、其れが絶対に周りには伝わらないからあの子が苦しいのかもしれない。僕は君と一緒に居る、理解者になり易い立場だ。

     …さっき言ってたね、
    「明日良ければ笛を吹いてよ」
    って。君は、僕が偶に練習してる篠笛の音が聞きたいんだね。ねえ、其れが君の心に癒しをもたらせるのならもっと練習を増やす、綺麗で心を癒してくれるような音色にするよ、どうかもう君は我慢しなくて良い様な、誰にも切っ先を向けてしまう事の無い様な考え方を模索して…くれなくて良いけれど、キリハさんを泣かせないで。彼女と視線が合った、彼女の感情が流れ込んで来るように伝わって其れは凄く悲しそうだったんだ、『もう助けて!』と言わんばかりの希う表情で。そんな彼女を見たのは初めてだ。


     出来るだけ僕が助ける、僕等が自傷行為を何だとも思わないから分からないかもしれないけれど、子供の頃に誰かの自傷行為を興味を持って見ないのなんて当たり前だ、切り終わる迄見届ける事なんて多くは無い経験なんだろう。此のお蔭で僕等は自傷行為に何も思わないし、当たり前の行為だと思ってる、でも、君を受け容れられない未知たるヒトが居るね。
    それらは君を救えない。

     だから僕が少しでも助けるよ、アタ君。切っても僕は君の事を否定しないし、切った後も切らなかった時も静かに居るよ。さっき言ってたものね「お前はどっちかって言うと静かな奴だ」って、だから静かにしてるよ、だから、君を助けるよ。僕が味方だよ、篠笛だって頑張って吹くよ、甲音が苦手なんだけど頑張るよ、こきりこ好きだよね。…。どうか、もうキリハさんを否定しないで、拒絶しないであげて。彼女の泣き顔を見たら僕は有り得ない程悲しくなった、家族が家族に傷付けられる事は余りあって欲しくない。


     家族を傷付けないで、君が一番つらいんだよ。泣いた彼女を君は認識してなかったの。僕が先に分かったの。
    そんな事嫌だよアタ君、君が傷付けてる事は分かった。其れ以上は君が必要なんだ。
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