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    【創の考え事】只具合が悪いだけ

    2023/ 01/ 19
                     
     ロシンの心配は当たる、具合を悪くする事を彼女は知っててああ言ったのだろう。分かったんだろうな、上手だ。息をしても苦しい、熱っぽい、寒気がする。ずっと治り切らない此の器はとても使い物にならないけれど生きてるだけ良いのかな、きっと。頭が痛い。充分だ、多分動かせる。僕と彼は違う、夜だと余り眠くならない。多分大丈夫だけど…、頭が痛い。


     でも、彼が眠って器に合わせるのも大事なのだろうな、僕には其れが出来兼ねるからこうして悪くなる。もう体力の底が見えてるのかもしれない、以前より遥かに集中力が落ちた、継続すると吐き気が出てしまう。頭が痛い。其れは違うけれど、体力の底なんて何年も前から見え始めてた、今回の病で削れた分じゃない。

     未だ、作業が残ってるんだ。具合が悪いけど、一寸描かないといけない。そして計画の管理をしないといけない、そして最後に…何だっけ。思い出せない。頭が痛い。ああ出来るならば新しいメモの寄せ集めを作りたい、情報を閲覧するのに散らばってると不便で進みやしないんだ、だから出来るならばメモの寄せ集めを作りたい、でも今は無理だし予定に無い。何だったかな…。後はそうだ、ずっと見えない場所で鳥が鳴いてたんだ。

     さっき鳥が鳴いてたんだ、現実で聞こえてる音じゃなく何処か別の場所から。鳥。鳥が鳴くなんて僕には昼間か早朝の印象しかないもので、今夜なのにまるで昼に居る様だった、有り得ないけれど。鳥が鳴くから、鳴いてた。だけど、其の内聞こえなくなって其の姿だけ見えた。

     面白いね、鳥が鳴いてても姿は決して見えない、鳴くのを止めたら僕に其の姿を見せた。現実で聞こえて無いのに僕は夜の感覚を失って平穏な昼の感覚を得る、あの鳥は何だろう。平穏な昼間なんてない。全てから逃げなきゃいけないから僕は昼間少しでも起きるので精いっぱいだ、もう失った。追われる生活が終わって、人らしい感覚も平穏の清流も、何もかも終わって、だから昼間の感覚を僕が持つのは、不思議だ。もう殺されない様にね、ニンゲンは殺しに来る野蛮な生物だ。悍ましいんだ。まあ、どうでも良い。どうせ消える、僕等は。ニンゲンの前から全て消える、だからどうでも良い。


     何の作業だっけ。思い出した。頭が痛い。無理しないでって彼女が言うけれど、無理しない動き方が未だに分からない、少しは知りたい物だけれどなあ、長丁場じゃないか…そうじゃないか。無理をしないなら、僕は抑々表に来ない、此の器はニンゲンらしい生活を続けるだけ、何の価値も無い。ああ、少し偏ってるかい、そうだろうね。僕の判断基準はどんな他人とも合う機会が殆ど無かった。

     器が、創作の役に立たないならば今直ぐ殺す価値が生まれるだけだ。自殺しなければならない、そうしないと親に殺される。どっちが良いかなんか知らないけれど無駄に生きるなら死ななければならない、だから彼に無理をさせてでも未だ自殺する日を延ばしてる。

     そうでなければならない。
     僕はそうでなければならない。

     殺さんばかりに迫られた日が赦す日は無い、僕は役に立たない、自分の役にすら立てないのなら死ななければ。殺さないといけない。そうじゃないとまた酷い目に遭う。また怒られる、また真っ赤になって殺しに来る。殺される。だから死なないと行けない、其れを防ぐのが創作と家族。

     僕は彼等の見えない環を保持する者だ、役目も有るし作業も途轍もない量が圧し掛かってる。そして記憶を持つ必要が有る。そして隠れて、僕の嫌われて来たニンゲンと合わない感性は見えなくなった。ニンゲンは大喜び、調子の良く見えるアタ君の愛想の良い態度が大好き、どんな時も嘘を吐ける彼は確りしてる。僕よりニンゲンに役に立つ。十何年と気が付かなかった僕も愚かだったけれど、僕が居ない方が何だって恙ない無情な世界が此の世だ。受け容れて貰う努力をしなかった?


     煩いな、努力をして愛を得たお前に何が分かる?馬鹿なニンゲン。抑々得た確証すら無いくせに。…過去、「褒められる努力をしろ」と言われて、いっつも煩いから忘れてるのに邪魔だ、考え事には危険が伴う。そんなモノも考えてる最中は出て来てしまうから。でも考え事は趣味なんだ、好きで堪らない、此の世界なら僕は否定されても言い返せる。

     何も言わないのが悪いって言われても、言う価値も言える程育てられて無かった事も、抑怒りの度合いが僕だと弱くて言うに至れないのも全部、此の世界なら真実になれる。現実で叶わなかった事をボロボロに出来る。考え事の世界は本当に広くて際限が無い、自由で、好きに出来る。


     でももう新たな怨みは無い、ニンゲンに相対しなくても彼が苦しみ乍ら対応する様になったから。関わらなければ良いと気付くのにずっと遅れてしまった、けれど、此れが倖せな形だった。僕が居るから、ニンゲンに言うと面倒な事も言ってしまう。否定もしてしまう、正直な感想を言ってしまう。彼はそんな事をしない賢い子だ。僕は其れをしてしまうし、其れをする際に相手の心なんか頭の中には無い。理解出来ない怒りに揉まれる事がアタ君にも有る様だけれど、僕にはもう無い。

     無駄な事をしてくるニンゲンに愛想良く接する価値は無いよ、そんな必要は無い。結局変われない。変わらない。絶対に変わらない。平穏は存在しない、ニンゲンの心にそんな物は無い。そうじゃなきゃあんなに理不尽な日々も、理解の無い日々も、否定ばかりの日々も説明出来ない、平穏が存在しないからああなった。

     アタ君が取捨選択をする様になるかどうかは知れないがね。君は、深い理解をして居る、単純な遣り取りで物事の判断を下さないだろう、だからこそ何とも言えない。君もまた賢いんだ、僕の想像や想定が追い付かない程。



     君は、楽しくない日も受け容れる様に判断して居た。どう言う思考の流れか少し分からない。
    早く使える様になると良いね、其れとも今迄の寝不足を器が補って居るのかい、3時間しか眠らないで微熱を出した日も有ったじゃないか。もう考え事を終えてしまうのはつまらないけれどまた苦しい、胸が痛い頭が痛い息苦しい、作業が残ってる。

     君たちに倖運を、興味深い仲間をもう獲得してるよね。早く情報が欲しいや。
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