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たった90日で実家が崩壊した件(14)

2月1日(火)


午後、兄から父が入院した連絡を受けました。

MRIの結果、脳の血管が詰まりいくつかの機能が働いていない事で生じる
「脳血管性認知症」と診断されました。

原因として食生活の乱れにより水分をあまり摂取しない生活が続いた事で慢性の便秘となり
結果、血液の循環が悪くなり脳血栓を引き起こしていると。

検査の後、再び診察室へ戻った途端「ではこのまま入院という事で」と伝えられた父。
兄から聞いた限りでは、酷く動揺し「一度家に… $#&!%&!!!」と言葉にならない言葉を発し
席を立ち帰ろうとしましたが、両腕を看護師に抱えられ病室へ連れていかれたそうです。

この頃、東京都八王子市にある精神科病院の「滝山病院」で起きた
患者虐待のニュースが連日報道されていたので、
父が精神科の病院へ入院することになって焦りと不安を感じました。



私に連絡してきた兄は

<この選択で本当に正しかったのだろうか>

と自問自答を繰り返し、置いてきた自分を責めていました。


私もまた、こんな事になる前に引き取ってあげれば良かったのではないだろうかと思い始めましたが、
現実として同居すれば家族は必ず崩壊する。

どうすることも出来ず後悔と懺悔をくり返す私たち兄妹にケアマネージャーが
「親を思う気持ちも大切ですが、それよりも自分の家族を大切にすることが大事ですよ」
と慰めてくれました。

母の入院準備が大変だったことを思い出し、私は兄に何か準備するものはあるか聞きました。

兄曰く、精神病院の入院は私物の持ち込みが禁止だそうです。
理由として精神に病を抱えている患者たちは私物と他人物の区別が出来ず、
人の物を勝手に使ったり、持って行ったりとトラブルになってしまうからだそうです。

そんな状況の病室に入れられている父をとても可哀想に思いましたが、
その父が人の物を勝手に持っていく可能性も十分ありうると考えると胸が痛みました。


2月2日(水)


今日は公立推薦入試合格発表の日。

娘はさほど緊張した様子は見られませんでしたが、
私はこれまでの学校生活を振り返り、
娘が初めて自分から行きたいと思った学校なので
受かっていて欲しい気持ちでいっぱいでした。

発表は8時30分。

3年前に同じ入試サイトから私立中学の合格発表を確認し、
大喜びで抱き合った記憶がまだ鮮明に残っています。
あの時再びこのサイトを開けることになるとは思ってもみませんでした。

8時29分。

ドキドキしながらマウスをクリックしました。

●●高等学校 ●●科 合格おめでとうございます>

受かった!

3年経った娘は少し大人になっていて抱き合うことはなかったけれど、
一緒にハイタッチをして喜びました。

入学手続き書類を受け取ってから中学校へ報告に行く事にし、私と娘は高校に向かいました。

学校の正門まで行くと、合格者が張り出されているボードが見えました。
改めて自分の受験番号を確認し、2人で喜び記念撮影をしました。

3週間前まではその場で実家へ電話して父と母にこの喜びを伝えるつもりだったのに…
こんな幸せな日なのに電話をしても誰も出なくなった実家を思い浮かべながら
入学手続きの日と父の見舞いと母の四十九日の日取りを考えている自分がやるせなくなりました。


この日から私は隔月で新幹線に乗り、父の見舞いに行く生活が始まりました。
そしてもう誰も住むことのなくなった実家を片付け始めました。


たった90日で実家が崩壊した件(15)につづく


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by drunkcat0220 | 2024-09-09 12:37 | たった90日で実家が崩壊した件 | Comments(0)