寡夫とは何ぞや? 父子家庭への財政支援?
- 2017/10/28
- 18:12
寡夫(かふ)とは確定申告にでてくる用語です。寡婦(かふ)もあります。
国の所得税の控除項目の1つ。納税者自身が寡夫であるときは、一定の金額の所得控除(27万円)を受けることができます。これを寡夫控除といいます。
寡夫の一般的な意味は、大辞林 第三版の解説では「妻と死別または離婚して、再婚しないでいる男。男やもめ。やもめ。やもお。」なのですが、
税制上の寡夫とは(国税庁ホームページ)、納税者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で、次の三つの要件の全てに当てはまる人です。
(1) 合計所得金額が500万円以下であること。
(2) 妻(民法上の婚姻関係)と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていないこと又は妻の生死が明らかでない一定の人であること。
(3) 生計を一にする子がいること。(この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。)
つまり、妻を亡くし、所得が少なく、扶養する子がいる人は、所得控除(27万円)(地方税控除26万円)が受けられます。
女性の場合は条件がゆるやかで、夫を亡くし所得500万円以下の場合、子がいなくとも控除が受けられる。あるいは夫を亡くし、子あるいは扶養親族がいる場合は所得金額にかかわらず控除(27万円)が受けられる。
さらに、特定の寡婦(男性と同じ条件下で)は所得控除額(35万円)が受けられる。
まあ、これは男性中心の給与体系になっている日本の社会ならではの、女性の不利益を軽減する仕組みなのでしょうが。
一方、税金控除とは別に、子(18歳に達する日以後最初の3月31日までの児童)を持つ父子家庭の場合、手当の支給や医療費の軽減措置が受けられます。
・児童扶養手当
・医療福祉費支給制度(マル福)
ところが、これらも所得制限が課せられており、ある一定以上の所得があると支給や軽減措置はありません。
寡夫の社会的支援は、お金があると、何もないといって良いでしょう。
我が家は、妻が亡くなったときに子は高校2年生16歳でしたが、私の給与収入は非常に高かったので、寡夫に該当せず特に何の支援もありませんでした。
その後、H26年に私が60歳を迎え定年退職し、再雇用で働くようになったら、今度は再雇用の給与額が低くなったこと、また、我が子は大学に進学し相変わらず扶養家族でしたので、所得税法上の寡夫に該当することになりました。
ただし、私は、その当時は寡夫に該当したのに気付きませんでした。「合計所得金額が500万円以下」という要件は、正確にはわからないもんです。
私が退職した年の収入は500万円を超えており、てっきり適用外と思い込んでいました。
H26年度は、給与所得の他に、年金の一部受給が始まったため、確定申告したのですが、そのときいくばくかの税金を何とか納めないで済む方法を考え、
医療控除(10万円超分)と株式の配当金源泉徴収分(税率20%)を合わせて、無事マイナスの計算にたどり着き、3000円程度の還付を受けました。それで安心しきってしまったのが、いけなかったのです。
「収入」と「所得」が別物とわかったのは、H27年の確定申告のとき(H28年2月)でした。
所得税法上の所得は300万円台でしかなく、寡夫の条件「合計所得金額が500万円以下」を満たしていたのです。
そこで、H27年度の確定申告と同時に、H26年度分について修正申告し、ようやく「所得控除(27万円)(地方税控除26万円)」を追加することができました。
具体的には、「H26年度分の所得税及び復興特別所得税の更生の請求書」というものを提出しました。これによって、H26年度分の所得税については、4月に13784円が追加還付されました。
結果的に、男やもめが、子を扶養して受けた社会的な支援は、翌年H27年度の地方税の軽減が9月に26500円還付されたのと合わせて、40284円でした。
もちろん、還付はありがたいのですが、はっきりいって、父子家庭はこのような中途半端な金銭の援助は必要ありません。むしろ、ほしいのは、「手助け」です。
以前、
108. もし寡(やもめ)になったら? 離婚・配偶者と死別 脳卒中リスク26%高くなる (2017.8.24)
でも書きましたが、
子育てと家事一般を親父が一人でこなさねばならない、という現状を改善するための「手助け」、
「日常生活の炊事洗濯家事や子供の学校との送り迎えなどをするサービス」を無料あるいは低料金で提供する公的制度、ボランティア制度などを創設してほしいものだと思っています。
大金持ちなら、お手伝いさんを雇うこともできましょうが、普通の家庭では、無理ですし、核家族化してしまった現在は、孤立無援の父子家庭、一番ほしいのは「手助け」なのですから。
我が家は、もう大学生になってしまったので、手がかかりませんが、寡夫の定義にあてはまらない妻が入院した中学生末から高校卒業までが一番大変でした。
幼児や小学生のお子さんを持つ父子家庭だったら、それこそ大変、睡眠時間が十分とれないなか、仕事と子育ての両立に悩んでいるにちがいありません。
そしてもし、このような炊事洗濯家事のサービス、ボランティア制度があるなら、年間年間4,5万円の寡夫支援も「有効に」機能することでしょう。
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