『この装丁がすごい!』(以下『すごい!』)のおまけとして始まったこの企画も今回で3度目。ここ最近のマンガのデザイン、デザイナーさんの情報で整理しておきたいと思ったあれこれを、どうぞご覧ください。
★ 沢山紹介したデザイナー/デザイン事務所 『すごい!』2013で紹介した作品数は300+α。事務所、またはデザイナーさん毎に担当した作品数を集計して、
4作品紹介以上したところをリスト化すると、下記のような結果になりました。
【この装丁がすごい!2013年 デザイナー/デザイン事務所集計】 デザイナー/デザイン事務所 紹介数 (増減) デザイナー/デザイン事務所 紹介数 (増減) 名和田耕平デザイン事務所 35 (+9) crazy force 竹内亮輔 7 (+1) ベイブリッジスタジオ 32 (+8) 5GAS 7 (+1) 川谷デザイン 20 (+7) Pri Graphics 7 (+5) arcoinc 13 (+9) NARTI;S 5 (-12) hive 12 (+5) 里見英樹 5 (-3) VOLARE 11 (+1) 林健一 5 (+3) L.S.D. シマダヒデアキ 9 (+2) アルティザン 5 (±0) セキネシンイチ制作室 8 (-3) コメワークス 5 (±0) BALCOLONY. 8 (-1) 井上則人デザイン事務所 4 (±0) GENI A LOIDE 8 (+2) note 芥陽子 4 (±0) コードデザインスタジオ 8 (±0) ARTEN 4 (±0)
名和田耕平デザイン事務所、ベイブリッジ・スタジオ、川谷デザイン、arcoincの紹介数増加が目立ちますが、実は個人単位ではベイブリッジ・スタジオの黒木香さんが23作品(前年+13)と、一番多く紹介しています。
ベイブリッジスタジオは層が厚いデザイン事務所ですが、中でも黒木さん担当の作品を手にとってしまう率が個人的に非常に高いんですね。
『すごい!』では初見のインパクトを持つ第1巻や単巻作品を取り上げることが多くなりますが、黒木さんは通巻のデザインに飽きのこない変化をつけてくることが多いため、巻数を重ねた作品についても取り上げやすいため、その紹介量が多くなるという必然があります。
黒木さんのデザインの過程や、漫画家さん・デザイナーさん・編集さんの
単行本デザイン作業における分担がどのようになっているか、
その1例が、小学館のWEBサイト・
コミスン内『女子のてにをは』紹介記事の中で
わかりやすく解説されいたためリンクしておきます。
■ 女子のてにをは 1巻 / るなつー
出版:小学館
●30歳で絵を描き始めた大阪の主婦が41歳で人生初単行本を出すまでの作業工程(コミスン) ●独占公開!! 人気デザイン事務所の舞台裏全部見せます!!(コミスン) 以下、事務所・デザイナー単位で語りを補足します。
名和田耕平デザイン事務所 『すごい!』での紹介数は、33(2011年)⇒26(2012年)⇒35(2013年)。こちらのデザインは面白いですが、記事がこちら一色になるのは面白くない、しかし紹介したい作品はたくさんある、という考えで、いつも事前集計はせずに感覚で数を調節して記事に載せていますが、それでもこの数。背表紙レベルで目立っているのものも多く、毎年情報も自然と集まります。実際の仕事量は相当なものになっています。
マンガ以外のところでは、小説『魔女の家 エレンの日記』、『辺境の老騎士』1巻、出版は共にエンターブレイン。ビーム系では名和田さんを見かけないので珍しい組み合わせです。確実に名和田さんらしさを感じることができます。
ちなみに、『魔女の家』はネットで無料公開されているアドベンチャーゲームを作者自ら小説化したもの。右のタイトルはゲームのスタート画面で表示されます。小説版のロゴはゲームのロゴより少し縦に長く、縦方向のズレを大きくしていますが、文字の形はほぼ同じ。元のロゴをベースに形を調節し、さらに蔦の装飾やタイトルの英語表記、サブタイトルなどを加えて出来上がったロゴは、ゲームのイメージを引き継ぎつつ、美麗なイラストにマッチして、とても小説にふさわしく仕上がっています。
ついでにこちらの作品は小説としてもオススメできますが、もっと言うとゲームもおすすめ。こちらを先にやってほしいところでもあります。要は、どちらで先に重いパンチを受けた方がいいかという話で(『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』は小説と漫画、どちらを先に読むべきかという問題と一緒)、当然先に触れた媒体でのパンチが重くなるのですが、オススメはゲーム(2,3回クリア)⇒小説⇒ゲームの順番。こちらのゲームは少女を操り魔女の屋敷を脱出するアクション要素のある謎解きホラーアドベンチャーで、とにかくよく殺されるゲームです。探索の不安と恐怖、芸の細かいホラー演出、解く楽しさを味わえる絶妙な難易度の謎解きなど盛りだくさんですが、操作は動く・調べる・アイテムを使う程度でとてもシンプル。あの手この手の罠で命を落としながらも、クリアまでの時間は2~3時間と短め。プレイ動画などを見ず、自分で少女をゴールに導いた方が絶対楽しめます。そこで小説を読み、ゲームに戻ると込められていたメッセージが色々と分かって…と、いつの間にかゲームをオススメしていました(うっかり)。
▲小説と名和田さんにかこつけてやろうとしていた『魔女の家』レビュー記事用の画像
【参考:魔女の家ver1.07 公式サイト】 hive ここぞという作品に現れてジャケ買いの衝動を駆り立ててくるデザイン事務所、hive。代表の久持正士さんは『アイデア』のインタビューで「あまり自分の個性を出さない」とも語っており、個人的にクレジットを確認するまでこちらのデザインであることがわからないことが多いのですが、最近発売された『セキセイインコ』1巻は事前に予想することができて、何となくその個性(の一端)が見えてきました。
『惡の華』や『暗殺教室』など、少年漫画のデザインでもその存在感を発揮しています。こちらの担当作品は、最初に言及したベイブリッジ・スタジオの黒木さんと並んで通巻としてのデザインも楽しみにしており、上記二作品がそのいい例となっています。また、『絶望先生』に続いて『せっかち伯爵と時間どろぼう』もこちらでデザインされていることが判明して、楽しみが一つ増えました。
アニメ化も決まった『七つの大罪』。この作品では、普通の装丁に加えて
英語版のロゴもデザインされていました。
参考:
hive『七つの大罪』海外版ロゴ hiveデザインの作品で現在、内容・装丁と共に注目しているのが、松浦だるま『累(かさね)』。イブニングの公式サイトでは、その1巻のデザイン候補が掲載されています。
⇒【10.23発売・松浦だるま『累 —かさね—』①巻】 カバーデザイン決定前のデザイン候補を公開!【あと2日!】 まず人物が上半身まで描かれたイラストがあって、そのイラストの使用領域を調節した複数の候補が提案されいたようです。最終的には、大胆なトリミングで口づけがクローズアップされたデザインが採用されました。そして、その流れを汲むように、表情を印象的に魅せるデザインが2巻、3巻へと引き継がれています。1巻で別の候補が採用されていたら、続く2巻、3巻の仕上がりも現在のものとは違っていたと容易に予想できます。当たり前ですが、1巻におけるデザインの決定は後のデザインに影響を与えるわけですね。
ちなみに2巻のデザイン前の全体絵も公表されていました。 VOLARE twitterをやっているデザイナーさんは多く、VOLAREの関さんもその中の一人でありますが、関さんは4800を超えるフォロワーを抱えており、凄腕デザイナーであると同時にタイムラインにいると安心する人気ツイッタラ-的な側面も持っています。そんな関さんですが、タイムラインを眺めているとたまたまなのか、飲み屋へのワープをよく目撃している気がします。飲み歩き、上手そうなツマミ画像で飯テロを起こし、ハイクオリティなデザインをコンスタントに生み出し、デザイン誌のインタビューにも登場する。一体どこにそんな時間が。関さんは48人くらいいるのかもしれません。
そんな関さん2013年のデザインでお気に入りなのが『重版出来』、そして『PiNKS』。MdN2014年4月号では、『重版出来』のロゴデザインについて、『出版業界ではとてもめでたい「重版出来(じゅうはんしゅったい)」という言葉の喜びが伝わるよう、バンッ!とハンコを押したような力強いロゴを目指しました。』と語られております。また、『PiNKS』については『すごい!』で紹介したときに、「イラストエリアを縦長に見せてインパクトを加えた」という旨のコメントを頂きました。イラストエリアを縦長にすると目立つ、言われてみるとたしかにそうなんですが、それが自然に行われていて違和感を感じさせないため、意外と知らないと気づきません。変わったアイディアや元ネタを咀嚼して、良い効果だけをデザインに盛り込む自然さ、これが関さんの強みの一つなのではないかと最近思っています。
arcoinc 一昨年は名和田耕平デザイン事務所のメンバーとして、昨年は「注目のデザイナー/デザイン事務所」として紹介している事務所、arcoinc。独立とほぼ同時期からの担当『空想郵便局』(一迅社)はもちろんのこと、『新装版 真・女神転生 デビルチルドレン』(ボンボンKCの新装版/講談社)『月曜日は2限から』(ゲッサン/小学館)など、大小の出版社、多数のレーベルに顔を出しています。2012年6月の独立開業から2年足らずですが、見ればarcoincさんと分かる名和田さんと違った個性を発揮していて目立ち、当ブログでの紹介数も一気に増えました。まさに「強くてニュー事務所」状態です。
新書館『ひらり、コミックス』は(ほぼ?)arcoincの独壇場。その幅広いデザインの見本市状態になっています。
arcoincさんは、現在デザイナーを募集しているのでお知らせしておきます。
⇒arcoincグラフィックデザイナー・アシスタントデザイナー募集 ※2014年5月12日(月)0時〆切 5gas 宮村和生 クレジットに付いたガスマスクの攻撃的なアイコンとは裏腹に、実に堅実で誠実なデザインをされていると最近思う、『LO』のデザインでお馴染みの5gas・宮村和生さん。作品本位の姿勢とバランス感覚が個性として担当作品に強く出ていて、クレジットを確認する前にこ宮村さんのデザインと思ったときの正解率は、かなり高いです。
宮村さんの最近のお仕事で気になっているのが少年チャンピオン系。『木曜日のフルット』のお仕事を確認してから、少年チャンピオンコミックスの中で宮村さんデザインの作品がよく目に付いて、チャンピオンコミックスもオシャレになったと感じさせます。
L.S.D. シマダヒデアキ 奇抜なデザインで作品の魅力を引き出すデザイナー、L.S.D. シマダヒデアキさん。2013年に紹介した作品を同じ方のデザインということがわかりやすいように並べてみました。
『妹のジンテーゼ』(2012/6/19~)は3巻で完結して、こんな感じになりました。
シマダヒデアキさん直近のお仕事、『もぐささん』1巻。
あら、直球!
(に見えますが色々凝ってます)
川谷デザイン 少女漫画のデザインも、それ以外のデザインも好調な川谷デザイン。2013年は、ようやくこちらの特集記事をアップすることができました。
⇒【装丁】川谷デザイン(2013年07月21日更新) 『MdN』2014年 03月号では、「少女漫画のデザインに革命が起きていた。」というセンセーショナルな見出しと共に、川谷デザインが特集されていました。カバーデザインができる過程、カバーデザインの複数案、コラージュ、フォントの加工パターン、マーガレットのロゴの変遷、インタビュー記事など30ページに渡り、川谷デザインのアプローチが盛りだくさん。少なくとも、
idea2011年09月号 の特集「漫画・アニメ・ライトノベルのデザイン EXTRA」で特集されると思っていたら当てが外れて、そこから約2年。待ちに待っていた特集です。
『MdN』2013年10月号にも川谷さんのインタビューが掲載されており、こちらはWEBサイトにも読むことができます。
⇒アートディレクターの川谷康久に聞く マンガのタイトルデザインの考え方 ▲MdN2014年 03月号 川谷デザイン特集ページ
小説の装丁もいい感じです。
★ 事務所クレジットが賑やかになってきた 2013年は、単行本のデザインを確認したときに、お馴染みの事務所と共によく新しい名前を発見する年でもありました。この個性の増加が可視化されていく感じ、非常にわくわくします。そして情報量が増えて混乱します。以下、頭を整理するために新しく覚えた方、よく見かけて覚えてきた方などを紹介していきます。
BALCOLONY. 『ハレハレハレルヤ!』野条友史さん、『モザイクロール』1巻・大石恵美さん、『巴マミの平凡な日常』1巻・竹内はるかさん。
コメワークス 『青春しょんぼりクラブ』7巻・苅籠由佳さん、『ギリギリアウト』1巻・高橋忠彦さん、『NEW GAME!』加賀谷遥さん。
アルティザン 『アホガール』1巻、『深海魚のアンコさん』2巻、『ブレイクブレイド』12巻、共に倉地悠介さん。
★ 注目のデザイナー/デザイン事務所Maniackers Design 佐藤正幸 「様々なメディアで幅広いデザイン活動をしているフリーランスのグラフィックデザイン、アートディレクションを行うデザインスタジオ」(サイトのABOUTより抜粋)のデザイナーさんで、様々な媒体でご活躍されていています。なので装丁を担当しているマンガの数自体は多くありませんが、2013年紹介した中では幕間のページに細かいデザインが行き届いた『カタミグッズ』、その前の年に紹介した中では、「おはなつやつや」仕様のカバーが可愛い『いとしのムーコ』など、その1冊1冊が丁寧に作られていて印象が強い、頼もしいデザイナーさんです。
teracco 『その男、甘党につき』でしっかり名前を覚えたteraccoと書いて「てらこ」さん(てらっこさんではなかった)。今後エデンコミックスで名前をお見かけしそうです。
uni-co 杉本智行 ナルティスで『ゾンビッチはビッチに含まれますか?』(ガンガンコミックスJOKER)や『のんのんびより』(コミックアライブ)など、主に可愛い系の作品を担当されていた杉本智行さんが2013年7月31日に独立し、立ち上げた事務所uni-co。ナルティス時代の多くの作品を屋号を変えて引き続き担当しつつ、新事務発の作品もちらほら出てきました。これからのご活躍に期待です。
caro design 橋本清香 そして、ナルティスから橋本清香さんも独立。こちらは2014年2月末とごく最近。アニメ『一週間フレンズ。』エンディングのロゴデザインクレジットで、橋本さんの所属が『caro design(カーロデザイン)』となっていたため驚き、そこから遅れてナルティスのブログで報告がありました。
参考:☆祝☆橋本独立☆(NARTI;S blog) 独立おめでとうございます。
里見英樹 最近以前より里見さんのデザインであることがすぐわからなくなったというか、デザインの傾向が少しづつ変化しているが気がします。そしてまとめてみると、やはり里見さん。
草野剛デザイン事務所 デザイン誌で特集される場合は主にアニメ関係のお仕事が手厚く紹介されているイメージがありますが、マンガ装丁のお仕事も多く、特に最近お見かけする機会が多くなりました。
草野剛デザイン事務所さんのデザインで最近インパクトがあったのが、奥浩哉先生と大暮維人先生のイラストがタバコの箱のようなデザインで飾られた『シガレットアンソロジー』2冊。平台で存在感を放っていました。
★ 2013年MVP Pri Graphics 川名潤プリ♪グラ♪ プリ♪グラ♪
と、まあ、これを言ってみたかっただけなんですが、最近うっかりtwitterでフォローしていただいたためちょっとやりづらいと思いつつ、ご本人に読まれる確率を5%ぐらいと見積もって前々から決めていた文頭をそのままにしておきます。それはそれ・これはこれとして、2013年、漫画装丁のお仕事をしたデザイナーさんでMVPをあげたいのが、Pri Graphics 川名潤さんです。
2009年発売の『終わりと始まりのマイルス』を初めに、川名さんのデザインは早くから紹介して名前を覚えておりましたが、書籍全般のデザインに携わっている方なので、その漫画作品のデザインに遭遇する回数はそれほど多くなかったように記憶しています。2012年の『すごい!』で紹介したのは2作品だったんですが、2013年は、これが7作品と一気に増えました。2年連続で紹介している『秋津』1巻(新カバー/旧カバー)はもちろんのこと、文芸作品のような佇まいの今日マチ子『アノネ、』から、レジに持って行きづらい系のtugeneko『すくみズ!』まで、触れ幅の広いデザインで各種のレーベルに現れましたが、どれもこれもデザインの寄与率が高く、引き出された魅力によって手に取らされたと思えるものばかりでした(雑誌コラムの打ち合わせでは、編集さんが「カバーが目に付いた」と鈴木小波『ホクサイと飯』を持ってきてくれたこともありました)。
また、2013年の話ではありませんが、小説では最近の北野勇作作品の装丁も手がけられているということを知り、勝手に好感度が上がっております。
そんな川名さんですが、近日発売される少年チャンピオン系の新レーベル「少年チャンピオンコミックス・エクストラ もっと!」にて、「レーベルのロゴを初めてつくりました」とのこと。『花のズボラ飯』に続き、そのデザインを担当する謎の漫画家水沢悦子先生の新作『ヤコとポコ』で、その新レーベルのコミックデザインがお目見えになります。
漫画のお仕事が増えたのか、こちらのアンテナ範囲が変わったのかわかりませんが、2014年もそのデザインにお世話になりそうな予感がしております。
★ 1人の漫画家×沢山のデザイナー吉川景都 『子どもと十字架 天正遣欧少年使節』上巻・コードデザインスタジオ、『葬式探偵モズ』1巻・名和田耕平デザイン事務所、『葉桜中学アニマル部』1巻・川谷デザイン。
金田一蓮十郎 『ライアー×ライアー』4巻・名和田耕平デザイン事務所、『ラララ』1巻・arcoinc楠目智宏、『あるみちゃんの学習帳』1巻・BALCOLONY.。
月子 『彼女とカメラと彼女の季節』3巻・NARTI;S 新上ヒロシ、『つるつるとザラザラの間』1巻・ARTEN石川照美、『トンネル抜けたら三宅坂』1巻・井上則人事務所・村松のぞみ。
九井諒子 九井諒子先生の刊行スピードは1年1冊ということでこちらは3年間のまとめとなりますが、『竜の学校は山の上』NARTI;S⇒『竜のかわいい七つの子』コードデザインスタジオ⇒『ひきだしにテラリウム』名和田耕平デザイン事務所。こうやって一度並べてみたかったのでした。初の長編作品『ダンジョン飯』はどちらのデザインになるのでしょうか。
★ 自分で装丁する漫画家 今更このブログに来られる方々に言うべきことでもありませんが、ほとんどのコミックの装丁は、漫画家さんではなくデザイナーさんが行っています。そして、毎年紹介する約300作品の中には漫画家さんご自身がデザインも行っている作品が数冊入ります。今年の漫画家さん御本人によるデザイン枠には、『宝石の国』と『足摺り水族館』の2作品が該当しました。
市川春子『宝石の国』1巻。市川先生は『虫と歌』『25時のバカンス』の装丁も自分で行っていて、無色の模様の仕込まれた凝ったデザインが印象的だったこともあり、多くの方が『宝石の国』の単行本を市川先生がどうデザインするか期待して、キラキラと輝いたそれを手にとって納得されたかと思います。
一方で、作品の装丁周りの感想をリサーチした時に、市川先生がデザインも行っていることを今回初めて知った方の存在も少なからず確認しました。コミックの装丁が気になり、誰がデザインしているか興味を持つタイミングは本当に人それぞれで、そのきっかけを作る強さが市川先生の作品にあると『25時のバカンス』あたりから密かに思っています。
panpanya『足摺り水族館』。ボール紙のような色ムラのある表紙、透明なビニールカバー、わら半紙のような紙が使用された本編、荒いカラー写真の載った一昔前の広報誌のようなコラムページ、ぼんやりとした水族館の写真など、本全体が奇妙なコンセプトでまとめられている作品です。装丁そのものが作品と強く結びついているこちらの1冊ですが、「このマンガがすごい!」WEBに掲載されたpanpanya先生のインタビュー記事にて、装丁へのこだわりが語られていました。
⇒『足摺り水族館』panpanya Special Interview 【前編】 ⇒『足摺り水族館』panpanya Special Interview 【後編】 「1月と7月」という書店さんとの直取引で本を卸す一風変わった出版社さんの個性とpanpanya先生の個性とで生まれた装丁も中身も他にない作品でしたが、逆にブログでこの作品を紹介した時には普通に書店で並んでいたのが意外で、「このマンガがすごい!」で投票した方は本当にGJです。
★ 雑誌デザインあれこれ 2013年、特に印象的だった雑誌の表紙が、ビッグガンガンVol.05。ハイスコアガールとCAPCOMのコラボ企画で、ドット絵のキャラクター達が表紙を飾っていました。収録内容を紹介する各種の文字もドット仕様で、レトロなゲームの雰囲気が出ています。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。―妄言録(モノローグ)―』が表紙を飾る4号と比較すると、その違いは一目瞭然。無地の背景の色や文字を表紙を飾る作品のデザインにあわせて、各号を特徴付けていることがわかります。デザインは草野剛デザイン事務所が担当しています。
Vol.08からは、ビッグガンガンのデザインがリニューアルされました。枠と背面のシンプルな2色構成で、やはり作品のイメージに合ったカラーがその都度チョイスされています。
一方のガンガンJOKERは、川谷デザインさんが2013年05月号~07月号限定のお手伝いをしていました。
川谷デザインさんと言えば、別冊マーガレット。 爽子(君に届け)が来ても猛男(俺物語!!)が来ても、その表紙は等しくオシャレです。
『アオハライド』、『オオカミ少女と黒王子』のTVアニメ化の際には、その告知的な情報すらもデザインに組み込んで表紙を面白く見せています。
コミック百合姫は、『ハナヤマタ』のアニメ化が決定している浜弓場双先生のカバーストーリーが完結を向かえ…
現在は『かんなぎ』武梨えり先生のカバーストーリーが展開しています。
カバーストーリーと言えば、『なもり百合姫表紙画集 truth』が発売されていました。デザインは、balcolony.の浅見啓介さん。
左が画集で右が雑誌です。画集にはクリアカバーがかかっていて、穴の開いた窓と、窓から見えるイラストの仕掛けも再現されています。
表紙イラストの前にはロゴや煽りの印刷されたトレーシングペーパーが挟まれ、雑誌版の表紙が再現されています。
そしてイラスト単体。
折り返しの仕掛けやホログラム加工など表紙の仕掛けはほぼ再現され、最終話の漫画ももちろん収録されています。
★ 注目のレーベル あした恋する女の子のための新WEBコミック「COMICポラリス」。2013年10月15日より、単行本「ポラリスCOMICS」が順次発売されています。キャッチコピーやサイトのピンクを基調としたデザインでターゲットが女の子であることは明白ですが、少女に傾きすぎない、男性の漫画好きでも読みやすい、門口の広い作品が揃っています。それは可愛いさとスタイリッシュさを揃えた単行本デザインの傾向からも伺えます。
レーベルのロゴや、基本のフォーマットははBALCOLONY.のデザイン。最近、新規レーベルのロゴデザインの良さとレーベルから生まれる装丁の良い作品の割合には深い関係がある気がしていますが、そういう意味でこちらのロゴは、一目でわかる個性があり、かつシンプルで主張しすぎず作品の色に合わせやすいデザインになっていて、良い装丁の作品が数多く出てくる未来を予感させます(単なる後出しジャンケンですが)。
こちらのレーベルで確認しているデザイン事務所は、BALCOLONY.、ベイブリッジ・スタジオ、アルティザン、aroinc、川谷デザイン等など。今後も大きく期待できそうです。
「COMICポラリス」といえば、その姉妹サイト「COMICメテオ」、こちらの「メテオCOMICS」も外せません。「ポラリスCOMICS」の装丁が良い、その前にはまず「フレックスコミックス」の作品が「メテオCOMICS」に移って、そのデザインが見違えたという事実がまず存在します。
『放課後のトラットリア』1巻は、永らく続きが更新されていなかったため、2巻をあきらめつつ『すごい!』で大きく取り上げることに若干の後ろめたさを感じていましたが、なんと2014年4月2日に更新が再開。デザインも物語も好きだったため、これで堂々とオススメできます。
★ 気になったジャンル4コママンガ 割合としては多くないものの、数えてみるとそこそこの数を紹介していることに気づくのが4コマ作品。内訳も、芳文社や竹書房の4コマ専門誌掲載作品ばかりでなく、色々な出版社のものをチョイスしていたことにも後から気づきます。非4コマ専門誌に掲載されている場合でも、単行本化されると4コマ作品であるが故の雰囲気がカバーに現れるのか、4コマ系の文化に寄せられるのか、気合いの入った面白いデザインのものが結構現れるので注目したいジャンルです。
★ この装丁が...┌(┌^o^)┐スゴイ...┌(┌^o^)┐スゴイ...┌(┌^o^)┐スゴイ...┌( 恐ろしいほどにデザインに対して拘りを感じられるジャンル、BL。守備範囲の外にありながら、その美しい装丁に惹かれる、遠くて近い存在です。
いいなと思ったものをさらっと選んでみましたが、好みで男性同士があまり絡んでいないものに偏ってしましました。それでも、選んだ作品にはBLがBLであるが故の美しさがあやふやながら感じられます。そのあやふやな部分を上手く言語化できると視野が広がりそうです。
そんなわけでBLは紹介していませんが、百合はバンバン紹介しているわけで、「この装丁がキマシタワー」とかだったらすぐにでもできそうです。
例えば、百合作品の表紙で単純に人物を男だけにしても、表紙の雰囲気は単純にBLらしくならなそうですよね。そのうち愛好者向けでなく、BLデザインの美しさのエッセンスだけ抽出したデザインの作品が出てきそうな気がしますが、そもそもそうすると確実に愛好者向けらしくなってしまうものなのか、気になります。
★ 気になった自費出版作品 『アリスの家』三条友美。
「なめくじ長屋奇考録」 の劇画狼さんが、敬愛する漫画家さんの単行本化されない作品を集めて本にして売ってしまおうと立ち上げた自費出版レーベル「おおかみ書房」の作品第2弾ということで、その書影を一目見たときにこれは紹介せねばと思っていました。
【参考:おおかみ書房.com】 作品の内容はホラーなので、取れた自分の首を手で持っている女性という、表紙も見たまんまホラーです。衝撃を受けたのはCG使いで、普通、漫画の表紙に使ったら違和感が出そうなバリバリCGのイラスト、白色背景、そして黒●事っぽいロゴ、この3要素が合わさって、見事に禍々しいホラー漫画の表紙でしかないものに仕上がっています。怖いCGイラストと白背景、この組み合わせも全然無難ではないのに絶妙にマッチしていのもすごいところです。
この表紙は、個人出版の作品でありながらしっかりカバーとして本体にかけられています。デザインは、元青林堂「ガロ」副編集長・白取千夏雄さん。下記のページに作品とデザインのお話がちょこっと載っています。
⇒おおかみ書房「アリスの家」(白取特急検車場【闘病バージョン】) ★ 気になった表紙あれこれくまもん 何とでもコラボする尻軽イメージのキティちゃんに対し、
普通にどこにでも出てきて侵略者な何かを感じさせるくまもんさん。
コミックの表紙も征服されました。
性とデザイン 下着をずらしたり、ほぼ全裸にしたり、巻数表記に胸を被せたり。「性とデザイン」と言ってみたらこのような正統に「エッチな感じ」の表紙を思い浮かべると思いますが、2013年は少し変わった性のデザインが気になりました。
『匿名の彼女たち』1巻-着替えシーン、『ラララ』1巻-全裸、『mon*mon』-もんもんとするアラサー女子、と性のニュアンスを含むものをオシャレにデザインしていやらしさを感じさせないオシャレエロス系。
『アバンギャルド夢子』新装版-男性器、『クルミくん NO FUTURE』-射精、『みんな! エスパーだよ!』3巻-TENGA。オシャレ変態系。『みんな! エスパーだよ!』3巻のカバー袖には、デザイナーさんのクレジットのと一緒にSpecial ThanksとしてTENGAのクレジットが入っています。
白 2012年の「あれこれ」で『おやすみプンプン』単行本カラーは最後に白か黒で終わると予想していましたが、正解は最終巻の前が黒で最終巻が白でした。極端な白色やいきなりの白色への変化は最終巻や特殊な雰囲気を形成する作品で使われることが多いんですが、『暗殺教室』は面白いところで白を消費してきましたね。
★ 2013年三大装丁ニュース【第3位】講談社コミックスのフィルムパック本格運用開始 2013年11月から、講談社がコミックスのシュリンク出荷を実施しました。「KCコミックス」(マガジンKCなどの少年コミック)から順次導入し、2~3年後に全シリーズに拡大するとのこと。これは書店にビニールパックされた状態でコミックが届くということで、バーコードはシールになってビニールに貼られます。つまり、コミック本体からバーコードが無くなります。
【参考:講談社コミックスのフィルムパック本格運用開始に対する反応(togetter)】 2013年12月9日に発売された『ふらいんぐウィッチ』はこの通り。
裏表紙からバーコードやそれに付随する情報が消えています。
ISBNが残っていますが、妙にさっぱりした印象を受けました。
『悪の華』も10巻からバーコードが消えました。
デザインの観点からは邪魔扱いされている印象のあるバーコードですが、個人的にはバーコードがあることでコミックの商品らしさ形成されると思っており、作品によってはバーコードをデザインに違和感なく組み込むアイディアを見られることもあって、バーコードが嫌いではありません。むしろ当然あったものが無くなってさみしくなった気がします。もっとも、以前からフィルム梱包されている限定版コミックにはバーコードがないものがありましたし、バーコードが無い時代に戻ったとも言える訳で、違和感はすぐに無くなっていくかもしれません。
【第2位】花とゆめコミックスがニューデザインに 2013年6月より、新デザインの花とゆめコミックスが登場しました。主な変更点は、上部のトリコロールラインが右に寄せられたことと、タイトル周りの固定デザインやイラスト部分の枠が無くなって、デザインの自由度が高くなったことです。
天乃忍『ラストゲーム』。途中から新デザインに移行した作品もあります。
『夏目友人帳』など、旧デザインを継続している作品もあります。このニュースはブログでも取り上げました。
【参考:花とゆめコミックスがニューデザインに - 周回遅れ漫画ニュース】 椿いづみ『俺様ティーチャー』。作者ブログには、新デザインに関する試行錯誤の様子が綴られていました。帯の部分に文字が掛かってはいけないという制約が存在するようです。
【参考:あさって発売の俺様ティーチャー17巻についてです。(椿いづみBLOG)】 リニューアルしてからそろそろ1年になりますが、今でも最近リニューアルに気づいた方にブログの記事が言及されることもあり、まだ移行期と言っていいのかもれしれません。
【第1位】あの作品の装丁担当が変更になる 入江亜季『乱と灰色の世界』 コードデザインスタジオ⇒井上則人デザイン事務所・村松のぞみ
長崎ライチ『ふうらい姉妹』 コードデザインスタジオ⇒山下さとし
このように、2013年9月14日に発売されたフェローズのコードデザインスタジオ担当2作品が別のデザイナーさんのデザインに変わりました。
記事の構成上、初めてここで名前を出しましたが、『同人王』『あまゆる。』『ストラヴァガンツァ-異彩の姫』などの装丁を手がける山下さとしさんも、注目のデザイナーの一人です。2作品とも大胆にデザインが変わっていて、デザイナーさんが変わるとデザインがどう変わるのかを楽しめる、興味深い事例になっています。
と、模範的なコメントをしつつも、いきなりデザイナーさんが変わってしまったこの件はとても気になるところです。コードデザインスタジオさんに、一体何が起こったのでしょうか!?
つづく ★ 最近のコードデザインスタジオ 一体何が起こったのか、それは知る由もありませんが、9月14日の後、『ノーブルチルドレンの残酷』(アスキー・メディアワークス)2巻の装丁が1巻と同様コードデザインスタジオさんで安心したことは覚えています。講談社や集英社など大手出版社のレーベルで見かける回数も、心なしか増えた気がします。
マッグガーデンも出現率高し。双葉社、幻冬舎に出てきてもやはり目立ちます。
『リトルウィッチアカデミア』こちらは映像作品のパッケージのお仕事。
★ アニメ関係デザインあれこれ 最近、漫画がアニメ化するにあたっても重要だと思う漫画のロゴデザインや装丁。雑誌で掲載されていたものが1冊の単行本として独立したとき、その本のデザインは、手に取る読者の作品への第一印象を決定して、下手すると世界観への認識にも影響を及ぼします。アニメ化される場合もその本が参照されるわけですから、ロゴだけでなく本の雰囲気も、パッケージに、または思わぬところに反映されることもあるので、作品の装丁が良いに越したことはありません。
『進撃の巨人』。作品の装丁を担当しているRedRoosterさんがアニメのロゴも手がけています。『MdN』2014年4月号では、「attack of titan」という英字のサブタイトルがRedRooster下山隆さんの提案で付けられたということが語られています。日本語の脇に赤い効果と白抜きの文字で英字が添えられるというのは作者名のところにも適用されていますが、このデザインはアニメのオープニングでクレジットをかっこよく見せる演出にも使われています。
『鬼灯の冷徹』単行本装丁、アニメのロゴデザイン共に井上則人デザイン事務所さん。単行本のロゴデザインのベースや飾り枠を使ったデザインがパッケージに引き継がれています。さらに飾り枠のデザインは各話のタイトルシーンや次回予告でも使われています。
完全に一致。
単行本デザイン、アニメのタイトルロゴデザイン、共にhiveさん。
オープニングでは、アニメーションで1文字1文字が動いて、
おなじみのタイトルロゴの形に収まります。
単行本デザイン、アニメのタイトルロゴデザイン、共に元ナルティス、現uni-coの杉本智行さん。
アニメではロゴがカラフルになりました。
単行本1巻では、幕間のページでタイトルが振り子になった遊びが入っていますが…
これがアニメでは振り子やカラカラと音をたてる木風鈴に拡張されて、エピソードを区切る
アニメーションとして大活用されています。単行本の遊びが思わぬところで生かされている
というお話でした。
★ まどマギこちらは当然アニメが先ですが、展開する諸所のアイテムにデザインが行き届いているということを感じているのでまとめてみました。
まどか☆マギカといえばBALCOLONY.、ということで、本編のコミカライズ系はBALCOLONY.さんが担当。
スピンオフのギャグ系/ほんわか系作品では、BALCOLONY.さんの他に、『カフェ☆グリーフシードへようこそ! 』川谷デザインさん、『まどか☆えんがわ』arcoincさん、等など別の持ち味を持ったデザイン事務所を起用し、雰囲気の幅を広げています。
海外版。
『PRODUCTION NOTE 新装版』、こちらはミルキィ・イソベさん。
意外な方を起用しています。
2013年のまどマギデザインで外せないのが、
『[新編] 叛逆の物語』のパンフレットの初回版です。
犬カレー空間がパンフレットを包み込み…
犬カレー空間を左右に広げると…
本体が出現します。
このような構造です。
捨てるのはもったいない、パンフレットを封印していたネタバレ注意のシール。
カバーの時計盤の裏に貼り付けた人が、自分以外に5人くらいはいるはず。
デザインはBALCOLONY.さん、そしてcarmineさんという方がクレジットされていました。
carmineさん、マンガの装丁にも進出してきそうな予感がします(伏線)。
こちらは2013年から、というか2013年度からもはみ出ますが、きりのいいところまで紹介してしまえということで、叛逆の物語(限定版)のBDパッケージも素晴らしく仕上がっていました。
プロダクトのアートディレクション&デザイン:BALCOLONY.
▲ ディスクの入ったケースは、窓の開いた豪華な箱に収まっていますが、箱の裏側にも綺麗な模様が印刷されていて、ケースを取り出したとき窓から見えるようになっています。
▲ パッケージの中は、犬カレー劇場全開。ディスクを取り出したときにわかる
見所が仕込まれています。
「お菓子の魔女」が載った小さな紙が入っていましたが、裏にはディスクの取り出し方が印刷されていました。本来無味乾燥な説明の用紙まで作品に組み込まれています。最近の映像ソフトのパッケージは、ここまでエンターテイメントしているのかと驚きました。『魔法少女まどか☆マギカ』、恐るべし。
★ デザイン本 最近購入したマンガ関係のデザイン本は、デザイン情報誌『月刊MdN』。川谷デザインの項でも紹介しているこちらの雑誌では、大きくリニューアルした2013年8月号以降、マンガのデザインが度々大きく特集され、その存在を知ることとなりました。
川谷デザインの記事が載った2014年03月号の他、2013年9月号、2013年10月号、2014年4月号ではマンガのデザインについて解説された特集記事が載っており、例えば2014年4月号では「漫画のタイトルデザイン」という別冊が付属して、『進撃の巨人』、『さよなら絶望先生』、『宝石の国』など人気作や注目作について、大きな書影と共に、タイトルの使用フォントやデザインの要点、デザイナーによる装丁のコンセプトやアイデイアの裏話など、1作品につき見開き2ページで丁寧な解説が載っていました。「そのデザインのどこに自分が惹かれたか」、それを考えることはできますが、「どのようにデザインされたか」、それはとても貴重で興味深い情報です。
⇒33のエピソードあり!MdN4月号付録「漫画のタイトルデザイン」が熱い 「いま面白いデザイン、現代的なデザインとは何か。それはいろいろな考え方があると思いますが、その問いの答えを追い求めるようにMdNの特集を毎号組んでいると自分なりに見えてくる物がありました。」 という言葉から始まる、今のMdNに関する編集長のコメントのまとめを読んで、今、マンガのデザインが熱い事を再確認しました。『月刊MdN』、要チェックです。
【参考:月刊MdNはアニメ雑誌になったのか?に対する編集長のツイートまとめ】 ★ 良いコミック出張 2013年、WEB以外での活動は『まんがくらぶ2014年01月号』、『このマンガがすごい! 2014』、そして『ウルトラジャンプ』。まんがくらぶさんの年末企画で装丁を語る変化球記事を寄稿してまさかの第2回ができると思っていませんでしたが、何気に2ページも使って見開きで4コママンガの装丁を語らせていただけました。ウルトラジャンプのコラムはもう少しで4年目に突入します。
【ウルトラジャンプ 今月のジャケ買い紹介作品】 いつ終わっても円満終了と言えるぐらい続きました。出版社図鑑を埋めるというというやりこみをもくろむ感じで大分色々な出版社の作品を紹介できましたが、意外と紹介できていないところもまだまだ残っています。直近で何を紹介したタイプや紹介のしやすさなど色々あって、第22回で『ひきだしにテラリウム』のイーストプレス(レア度が高い)を見送ったのはちょっともったいなかったかな…とかどうでいいことを振り返りながら、連載はまだ続いております。むしろ集英社作品を選んでも面白くない的なガチ感でやらせてもらっているので、ブログ共々よろしくお願い致します。ではでは。
【おまけ】
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【ぼくらはみんな河合賞】 ボウソウガールズテキモウソウ レンアイテキステキプロジェクト / 河合朗
『ボウソウガールズテキモウソウレンアイテキステキプロジェクト(B・G・M・R・S・P)』。この長いタイトルの百合作品が、『僕らはみんな河合荘』と一体どんな関係が?と思われるでしょう。ヒント、と言うか答えは作者名にあります。
河合朗、河合荘。 別に駄洒落が言いたいわけではなくて、
デザインが駄洒落を言っているのです。
『僕らはみんな河合荘』のロゴに使われているフォント『バースデイ19』を使って、似ている作者名をそれっぽく見せています。タイトルロゴに使われているフォントも、同じく『バースデイ19』。作者名を河合荘に被せるというアイディアが先に存在して、そこからタイトルのフォントも決まったという流れが想像できます。つくづく地味で謎リスペクトです。見つけてしまったからには紹介するしかありません。
出版:一迅社
装丁:carmine □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【思っていたよりもかなりの表紙詐欺だった賞】 ブスだけどマカロン作るよ / カレー沢薫
ネットで書影を確認してこれは表紙詐欺だな~とやんわり思っていましたが、最近手に取ったときに、裏が若干透ける薄いカバーに印刷されたイラストの柔らかなパステルの色合いが綺麗で、金色のタイトルと合わさってとても可愛く、品がよく仕上がっていて、これは相当の表紙詐欺や!と認識を改めました。
こちらの作品のタイトルはTwitterの公募で決まったらしく、惜しくも選出を逃した8つのタイトルが仮の表紙デザインと共にカバー下のオマケとして収録されていましたが、
ブスだけどマカロン作るよこの言葉の響きの良さ、圧倒的すぎます。
出版:芳文社
装丁:Dubble Trigger 田中秀幸 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
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2014年04月29日 |
この装丁がすごい!
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