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ヨミコミ!

漫画のレビューしてます。青年漫画、BLが中心。成年漫画やアニメ感想なども。

【読書】 粘膜人間 飴村行 レビュー



「弟を殺そう」―身長195㎝。体重105㎏という異形な巨体を持つ小学生の雷太。その暴力に脅える長兄の利一と次兄の祐二は、弟の殺害を計画した。だが圧倒的な体力差に為すすべもない二人は、父親までも蹂躙されるにいたり、村のはずれに棲むある男たちに依頼することにした。グロテスクな容貌を持つ彼らは何者なのか? そして待ち受ける凄絶な運命とは……。

グロテスク、エロ、ホラー、ファンタジックを詰め込みまくって溶かして固めたエログロエンタメ小説。

盛り込まれるモチーフ、ギミックはグロテスクですが、文章は意外とあっさりしていて読みやすい。ですが、平易な文章でサラサラと読まされていると、とんでもない展開が待ち受けているので用心すべし。

前提として、エログロが苦手な方はオススメしません。映像じゃないから大丈夫だろ~って思ってても耐性がないとキツイです。

特に色んなレビューや、作者へのインタビューで言及されている『髑髏』の描写ですが、これも確かにキツイ。っつーか蕎麦のシーン悪趣味すぎだろ!(笑)
それよりも『豚嫁折檻』。ぶたよめせっかんですよ。読んで字の如く、なんだけど、これがマジで悪趣味。そもそも、物語の進行には何ら差し障りがないシーンだけに、エグかったです。

でもね、ただエグイだけじゃないんです。キャラクター小説としてもかなり良くできている。雷太はもちろん、溝口兄弟に始まり、ベカやん、拷問官コンビ、清美……。そして何と言ってもモモ太でしょう。
モモ太、めちゃ可愛いです。作中最強の萌えキャラ。人間の言葉を話すけれども価値観はもちろん人間とはズレている。嘘をつくのが壊滅的にヘタ。利己主義だけど友人を大事にし、だけどアッサリ見捨てもする。時折強い。

清美を見て、そんなに気のないフリをしながらギンギンにしてる場面とか、拷問を受けた後に「いい思い出」と言う場面とか……。モモ太が出て来るシーンはどれもイイです。清美が絡むとしょーもなくなるのとか、最高。

基本的に救いがない話ですが、モモ太が一服の清涼剤になっています。

「グッチャネって何だ?」
「女の股ぐら泉に男のマラボウを入れてソクソクすることだっ」

このやり取り、最高。語呂が良すぎて覚えちゃうよ。


エログロどんと来い! な方にはオススメ。
これは粘膜シリーズとしても刊行されているようなので、他の作品も読んでみたいと思います。


では。


【映画】我は神なり レビュー



公式サイト


いや~……救いがない!

あらすじなんかは公式サイトを見ていただくとして、とりあえず、これは鑑賞注意です。
気持ちが落ち着いている時に観てください(笑)。
暗い中にも一筋の希望が…とかそういうお話じゃなくて、ただただもどかしくて救いがない展開が続きます。

なんてったって、事実上の主人公であるミンチョルが、感情移入うんぬんが全くできないキャラクター。冒頭から、娘が頑張って貯めた金を遣いこんでますからね。しかもまったく悪びれていないどころか、泣いている娘に暴力を振るう始末。開始早々、主人公に殺意が沸きました。

物語の大きな筋としては、村の住人たちが信仰している宗教が詐欺だと言う事に気が付き、何とかして住人たち&妻子の目を覚まさせようとするミンチョルの孤軍奮闘っぷりを描いているのですが、なんせミンチョルは村の鼻つまみ者。誰も耳を傾けてくれないどころか、ミンチョルの方が悪い(悪魔に憑かれている、頭がおかしい等と言われる)と言われ、弟分も離れていき……。

誰も聞いてくれないなら、と暴走していくミンチョルと並行して描かれるのが、宗教の指導者として詐欺師に招かれた牧師ソン。
始めこそ、カリスマ性があり崇高な意思を持っているキャラクターとして描かれるのですが、中盤、人には言えない生臭い過去を持っている事が明らかになります。彼も詐欺師の口車に乗って、「ちょっとおかしいな~」と疑念を持ちながらも指導者として振る舞っていたのですが、詐欺師の思惑を知った時から、静かに狂気を孕ませていきます。
人を救えなかった、人を救いたい…と言う思いは確かにあった筈ですが、その気持ちの度合いが常軌を逸していき……。

ミンチョルの娘を救うための暴走と、牧師ソンの純粋な狂気がぶつかり合う終盤のシーンは見ごたえアリ。
うお~…と思いつつも、かなりテンション上がりました。

この物語に出てくるキャラクターは誰も彼も、自分の信じたいものしか信じないんですね。
村の住人は当然として、ミンチョルの娘然り、牧師ソン然り。
その中で唯一、真実と対峙しようとしたのが主人公のミンチョルなわけです。
ただ、クライマックスのとある展開で、ミンチョルが「俺は正しい事を言っていたのに」と咆哮します。正しい事を行っていた筈なのに、現実はあまりにも残酷で、払った犠牲の大きさは図り知れません。

信じたいものだけ信じ、見たいものだけ見ている人生の方が幸せなのか…
正しい事だけが本当に「良い事」なのか?

何だかなあ…とガックリうなだれましたよ。

そもそも、妻子が宗教に入ってしまったのも、ミンチョルの行いが原因ですからね。いくら正しい事をしようとしても、最初のボタンからして掛け違えているわけですから、どう転んでもハッピーな展開にはならないんですが…

クズ主人公ミンチョルが、娘に憎まれているのは知っている、と言う一連のシーンは切なすぎますが、お前知ってるならもっと娘に優しくしろよ! とドツキたくなりましたね。

ちょっと笑える要素もアリ(踊るシーンとか、乳首シーンとか…)、アクションもアリ、と言う飽きさせない構成も素晴らしい。テーマだけ見ると地味かな? と思いますが、終盤につれてかなり前のめりになって観てました。

オススメ!

それにしても、ヤン・イクチュンは才能の塊だな…。



同じヨン・サンホ監督の『新感染 ファイナル・エクスプレス』も良かったです。こっちは絶望の中にも一筋の光が…と言う話なので気楽に観れるかと。


では。


映像研には手を出すな! 1~2巻 大童澄瞳 レビュー





浅草みどりはアニメ制作がやりたいが、一人では一歩が踏み出せない。そんな折、同級生のカリスマ読モ、水崎ツバメと出会い、実は水崎もアニメーター志望なことが判明し…!?
金儲け大好きな美脚の金森さやかも加わって、「最強の世界」を実現すべく電撃3人娘の快進撃が始まる!!!


稀有な読書体験。
お話はアニメ制作に猪突猛進な同好会、というものだけれど、アプローチ次第でこうも風変わりな話になるんですね。

作者のフェチ全開なメカ、風景描写などなどが目白押し、白眉はやはり毎話挿入される詳細な設定の見開きでしょう。

シームレスに妄想と現実を行ったり来たりする展開の中、話の流れもなんのそのと言う感じで見開きドーン。最初は驚きつつ読んでいたんですが、そのうちにこの見開きが楽しみになってきます。

1ページの情報量が多いせいか、かなり…読みにくいです。…少なくとも、私は読みづらいなーと思いました。
台詞回しや演出など、かなりアクが強い部類の作品なのは間違いないです。

ですが、フェティシズムが滴り落ちんばかりの画面は眺めているだけでも楽しい。

個人的には金森のヴィジュアルが最高に好き! です。大きくて目つきが悪い女の子は良いですね。

脳に負荷がかかる漫画を読みたい方に、オススメ!


では。



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完全版 サイコ工場Α線 谷口トモオ レビュー



レッツ ポジティブ シンキング!

前回に引き続き『サイコ工場』のレビューです。本当はこっちを先に読んだ方がいいのかな?
谷口トモオの全仕事を網羅した年表や、劇画狼によるコラムも収録されています。

こちらの作品集も、人がばんばか死に、ページに溢れんばかりの血、臓物、脳味噌…ですが、一部の作品は少しテイストが違っていたり(作者曰く「ヌルい」)と、バラエティ豊か。

個人的にお気に入りは『リサイクル』。
「このキャラクターを出す必然性は…」「構成とオチが…」云々の理屈を考えて漫画を読んでいるアナタ(私のこと)。
この漫画を読んで唖然とするが良い!
ガスマスクなどのアイコン、道中の荒廃した描写もろもろが文字通り「解体」され、ラストの1ページですよ。この入りからこのオチは誰も予想しないでしょう。

『Taxi』も爆笑しながら読みました。見開きひどすぎ!

ぜひ続刊も刊行していただきたいです。デビュー作も読んでみたいな…。

オススメ!


では。

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完全版 サイコ工場Ω線 谷口トモオ レビュー



一粒300リットル(血が)。

『魔術師A』に引き続き、劇画狼のエクストリームマンガ学園をキッカケに購入しました。

この単行本が発売された経緯についてはHPを見ていただく事として割愛しますが…
本当に面白すぎる!! ので、ぜひ谷口トモオにはまた漫画を描いてもらいたいです。
HP掲載の漫画を読んで、琴線に触れたならば間違いなく楽しめます。

どの短編も人がモリモリ死に、臓器や脳味噌がバンバン溢れ、ラストの一コマまで何が起こるか予測不能。
漫画(作品)を読む楽しみに溢れています。

ダウナーな雰囲気ではなく、むしろ爽快と感じるほどに清々しく人が死ぬので、読了後は何だかデトックス気分。
仕事に疲れた時、人生うまくいかないなと落ち込んでいる時、恋人に振られた時などに読むとハッピーになれる…かも。

個人的にお気に入りは『FEVER』。怒涛の展開に爆笑。勢いとオチのキレが最高です。


では。



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