走光性 例

走光性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/14 02:20 UTC 版)

走光性を持つ生物として、甲虫カメムシキリギリスウスバカゲロウクサカゲロウ[1]ハエなどが挙げられる(「飛んで火に入る夏の虫」に表れる虫の動きは正の走光性による)。昆虫は紫外線により反応するため、紫外線が少ないLED照明より蛍光灯水銀灯に集まる傾向がある[1]。また、微生物テトラヒメナやユーグレナ(ミドリムシ)なども正の走光性を持つ。反対にミミズゴキブリなどは負の走光性を持つ。

ドイツ連邦共和国政府は、昆虫の種類・数が減少しているという調査結果を受けて、人工的な光による夜行性昆虫の被害を抑制する政策を打ち出している[2]

理由

生物は、それぞれの生息環境に適応した正負の走光性を獲得する事によって生存確率を高めている。ユーグレナは光合成を効率よく行なう為に正の走光性を持っている。またミミズの場合、生存に適さない地表を避ける為に負の走光性を持っていると考えられている。

一方、夜行性の虫は正の走光性を持っており、その理由については以下の三つの説がある。

コンパス説

昆虫が長距離を移動する時に方向を把握するためコンパス代わりに利用する太陽と誤認しているという説[1]。月は地球からの距離が約38万キロメートルと遠いため月明りはほぼ真上からの平行光となり、それを昆虫は水平に飛行する際の指標として利用している[1]。火災や人工光などによる照明は点光源のため、平行光に対する時と同様に光源方向に背(身体上面)を向けて飛行すると、本来の垂直方向への上昇力が光源に向けられるため、螺旋状に飛行して光源に衝突してしまう。

オープンスペース説

昆虫が開けた空間(オープンスペース)に向けて飛ぼうとして、人工光を空の明るさと誤認するという説[1]

錯視説

昆虫が、明るい光源の周囲を実際より暗いと誤認するマッハバンドシュブルール錯視を起こし、むしろ暗いところへ逃げ込もうとして光に向かってしまうという説[1]

人間

ヒト暗闇を怖れるため「人間は正の走光性を持っている」ともいわれる。


  1. ^ a b c d e f g h i 【親子スクール理科学】なぜ虫は夜、光に集まるの?空間・月などと「勘違い」しているようだよ日本経済新聞』夕刊20227月9日5面(2022年7月16日閲覧)。弘中満太郎石川県立大学准教授への取材に基づく記事。
  2. ^ 香坂玲(名古屋大学大学院教授)「ドイツ 自然保護改正案を採択/昆虫と共存の農業へ」『日本農業新聞』2021年8月2日14面


「走光性」の続きの解説一覧




走光性と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', '', ''];function getDictCodeItems(index) {return dictCodeList[index];}

すべての辞書の索引

「走光性」の関連用語

1
光走性 デジタル大辞泉
100% |||||



4
走性 デジタル大辞泉
56% |||||






10
32% |||||

走光性のお隣キーワード
検索ランキング
';function getSideRankTable() {return sideRankTable;}

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



走光性のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの走光性 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS