溶媒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/29 22:48 UTC 版)
精製
大部分の抽出や化学反応で使われる一般的な溶媒の等級は「試薬等級」であり、純度は97-99%で、わずかな水分や揮発性の不純物を含む[2]。一部の場合には、さらに高純度の溶媒を必要とし、そのために高純度な溶媒を買ったり、あるいは溶媒を精製することになる[2]。
溶媒には化学的安定性を維持するために安定剤が添加されている場合がある。また、水分やその他の不純物が混入している場合もある。
溶媒の精製とは、一般的に、乾燥と蒸留のことである[5]。モレキュラーシーブなどの乾燥剤による乾燥や、蒸留操作により精製が行われる場合が多い。
代表的な溶媒の物性
溶媒は、無極性溶媒、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒に分類した。極性は誘電率で表し、誘電率の順に並べた。無極性溶媒で水より密度の大きいものは太文字で示した。
溶媒 | 示性式 | 沸点 (℃) | 誘電率 | 密度 (g/mL) | 分類 |
---|---|---|---|---|---|
ヘキサン (hexane) |
69 | 2.0 | 0.655 | 無極性 | |
ベンゼン (benzene) |
80 | 2.3 | 0.879 | 無極性 | |
トルエン (toluene) |
111 | 2.4 | 0.867 | 無極性 | |
ジエチルエーテル (diethyl ether) |
35 | 4.3 | 0.713 | 無極性 | |
クロロホルム (chloroform) |
61 | 4.8 | 1.498 | 無極性 | |
酢酸エチル (ethyl acetate) |
77 | 6.0 | 0.894 | 無極性 | |
塩化メチレン (methylene chloride) |
40 | 9.1 | 1.326 | 極性非プロトン性 | |
テトラヒドロフラン (tetrahydrofuran, THF) |
66 | 7.5 | 0.886 | 極性非プロトン性 | |
アセトン (acetone) |
56 | 21 | 0.786 | 極性非プロトン性 | |
アセトニトリル (acetonitrile) |
82 | 37 | 0.786 | 極性非プロトン性 | |
N,N-ジメチルホルムアミド (N,N-dimethylformamide, DMF) |
153 | 38 | 0.944 | 極性非プロトン性 | |
ジメチルスルホキシド (dimethyl sulfoxide, DMSO) |
189 | 47 | 1.092 | 極性非プロトン性 | |
酢酸 (acetic acid) |
118 | 6.2 | 1.049 | 極性プロトン性 | |
1-ブタノール (1-butanol, n-butanol) |
118 | 18 | 0.810 | 極性プロトン性 | |
2-プロパノール (2-propanol, isopropyl alcohol) |
82 | 18 | 0.785 | 極性プロトン性 | |
1-プロパノール (1-propanol, n-propanol) |
97 | 20 | 0.803 | 極性プロトン性 | |
エタノール (ethanol) |
79 | 24 | 0.789 | 極性プロトン性 | |
メタノール (methanol) |
65 | 33 | 0.791 | 極性プロトン性 | |
ギ酸 (formic acid) |
100 | 58 | 1.21 | 極性プロトン性 | |
水 (water) |
100 | 80 | 0.998 | 極性プロトン性 |
- ^ L.F.フィーザー、K.L.ウィリアムソン 2000, p. 35.
- ^ a b c J.Leonard、G.Procter、B.Lygo 2012, p. 51.
- ^ L.F.フィーザー、K.L.ウィリアムソン 2000, p. 7.
- ^ a b L.F.フィーザー、K.L.ウィリアムソン 2000, p. 32.
- ^ J.Leonard、G.Procter、B.Lygo 2012, p. 52.
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