賀抜允とは? わかりやすく解説

賀抜允

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/24 08:17 UTC 版)

賀抜 允(がばつ いん、487年 - 534年)は、中国北魏末の軍人。は阿鞠泥[1]本貫は神武郡尖山県[2][3][4](現在の山西省忻州市神池県)。

経歴

武川軍主の賀抜度抜の子として生まれた。正光5年(524年)、弟の賀抜岳らとともに衛可孤を殺害した後、広陽王元淵の下で積射将軍となり、滏口を守った。元淵の敗北後、爾朱栄に帰順した。建義元年(528年)、征東将軍・光禄大夫の位を受け、寿陽県侯に封じられた。永安年間、征北将軍・蔚州刺史となり、爵位を公に進めた。建明元年(530年)、長広王元曄が即位すると、賀抜允は燕郡公に改封され、侍中を兼ねた。普泰元年(531年)、柔然への使者に立った。晋陽に帰還すると、高歓が反爾朱氏の起兵を進めようとしていたので、賀抜允は高歓のために起兵の計画策定に参与した。中興元年(同年)、安定王元朗が即位すると、賀抜允は司徒に転じ、尚書令を領した[5][3][4]太昌元年(532年)9月、爵位を燕郡王に進めた[6][7]永熙2年(533年)7月、太尉に転じた[8][9]。侍中を加えられた[10][11][4]

永熙3年(534年)、北魏の孝武帝は高歓の専横を憎んで、賀抜允の弟の賀抜岳とひそかに結託した。賀抜岳の死後、孝武帝は賀抜允の別の弟の賀抜勝と通じた。このため賀抜允は乱を起こすのではないかと疑われたが、高歓は賀抜允との旧交を重んじて、賀抜允を擁護した。しかし、東魏が建てられて天平元年と改まると、賀抜允は高歓とともに猟に出て、高歓に弓を向けたと告発された[10][12][13]。12月丁卯[14][15]、死を賜った。定州刺史・都督五州諸軍事の位を追贈された[10][12][13]

子に賀抜世文・賀抜世楽・賀抜難陀の三子があった[10][12][13]

脚注

  1. ^ 『北斉書』および『北史』の賀抜允伝は字を可泥とし、『周書』賀抜勝伝は字を阿泥としている。『北斉書』神武紀上および『北史』斉紀上では高歓が賀抜允のことを阿鞠泥と呼んでおり、阿鞠泥が本名であると考えられている。姚薇元『北朝胡姓考(修訂本)』(中華書局、2007年)p.127による。
  2. ^ 氣賀澤 2021, p. 245.
  3. ^ a b 北斉書 1972, p. 245.
  4. ^ a b c 北史 1974, p. 1795.
  5. ^ 氣賀澤 2021, pp. 245–246.
  6. ^ 魏書 1974, p. 285.
  7. ^ 北史 1974, p. 171.
  8. ^ 魏書 1974, p. 288.
  9. ^ 北史 1974, p. 172.
  10. ^ a b c d 氣賀澤 2021, p. 246.
  11. ^ 北斉書 1972, pp. 245–246.
  12. ^ a b c 北斉書 1972, p. 246.
  13. ^ a b c 北史 1974, p. 1796.
  14. ^ 魏書 1974, p. 298.
  15. ^ 北史 1974, p. 184.

伝記資料

参考文献





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