験を担ぐ
(縁起担ぎ から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/24 06:36 UTC 版)
原語表記 | 験を担ぐ ![]() |
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名前の由来 | 縁起 ![]() |
験を担ぐ(げんをかつぐ)は、ある物事に対して、以前に良い結果が出た行為を繰り返し行うことで吉兆を推し量ること。また、良い前兆であるとか悪い前兆であるとかを気にする、すなわち、縁起を気にすることや、縁起を気にして物事の成功を願った行動を行うこと。験担ぎ(げんかつぎ)、ゲン担ぎとも言う。これが過度になり、生活に支障が出るほどになると強迫性障害となる場合もある。[1][2]。
語源・由来
本来は「縁起を担ぐ」であったが、江戸時代に流行った逆さ言葉で縁起を「ぎえん」と言うようになり、それが徐々に「げん」に変化したとする説が一般的である。
「験」には「仏教の修行を積んだ効果」や「効き目」などの意味がある。
験担ぎの内容
験担ぎに何をするかは人それぞれであるから、実に多種多様である。他人から見れば何の効果もなさそうに思える行為でも、当人が「これは験担ぎだ」と思って行っている行為ならば、それは験担ぎであると言える。
言霊との関連
日本では「言霊」といって、声に出した言葉には霊的な力が宿ると信じられ、良い言葉を口にすれば良い事が、悪い言葉を口にすれば悪い事が起こるとされた。験担ぎが多く行われるのは大学や高校などの入学試験受験である。受験生に「すべる」や「落ちる」などの、受験に失敗することを連想させる言葉を言う、もしくは受験生の周辺で口にすることは「縁起が悪い」とされる。さらには受験生の不安を煽ったり、気力を削いだりしてしまう恐れもあるので注意が必要である。
受験合格など成功・勝利を祈る験担ぎでよくあるのは、食材などとの語呂合わせである。ステーキとカツ丼(テキ+カツ=敵に勝つ)や鯛(めで「たい」)、昆布(よろ「こぶ」。結納の品の一つ。全部の品が語呂合わせ)、タコ(オクト「パス」)形に切ったウィンナー(ウィナー=勝利者)を食べる[3]、五角形(五角≒合格)の鉛筆を使うなどである。語呂合わせ以外でも「なんでも右足から」(靴を履く時や建物に入る時など)で験を担ぐ人もおり、昔から様々ある。
語呂合わせで験担ぎ商品を売り出す企業もある。キットカット伊予柑風味(「きっと勝つ」「いい予感」)、ばかうけ(受かる)、青森県五所川原市にある立佞武多の館内展望ラウンジの揚げた鯛焼き入り蕎麦(合格させて「あげたい」)などである[3]。
縁起が良さそうな地名や鉄道駅名が験担ぎの対象になることもある。北海道の愛国駅と幸福駅は廃駅であるが、記念品や土産物として人気があった愛国駅→幸福駅の切符は「愛の国から幸せになる」を連想させるため、駅としての廃止後も販売されている[4]。
日本における験担ぎの例
- 試験前に爪を切らない
- 朝起きたらすぐに張り差しをする
- 塩を盛る
- お茶を飲まない
- 試合で勝ち続けている間はユニフォームを洗わない(高校野球・夏の甲子園)
脚注・出典
- ^ 強迫性障がいについてフィールファインクリニック
- ^ クリーニングの“タグ”が捨てられません “不合理なマイルール”NHK「サイカル ―科学と文化のいまがわかる―」
- ^ a b 【くらし物語】受験前 鯛やカツ丼などでゲン担ぎ*不安解消に 食べて自分に活『日本経済新聞』朝刊2019年2月2日・日経+1(別刷り11面)。
- ^ 北海道帯広市 幸福駅公式ホームページ(2019年4月15日閲覧)。
参考記事
関連項目
縁起担ぎ
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ある言葉について、その音と同一、または類似する別の語の意味をそこから聞き取り、それにこだわること。駄洒落の一種ではあるが、言葉の音そのものに意味があるとする言霊(ことだま)の思想が伺える。場合によっては、そこで聞き取られる音の縁起の悪さを避けるため事物に別の名を与える例もあるが、これは忌み言葉という。例えばナシ(梨)を「有りの実」(無し→有り)に変える、スルメを(バクチで)擦るに語呂があうのであえてアタリメ(当たり眼)と呼ぶ、または亀有のように地名を変えるなどである。以下、縁起担ぎの語呂合わせの例を掲げる。 勝男武士 鰹節。織田信長の戦勝祈願の語呂合わせに使った。 カツ(豚カツなど) 「勝つ」に通じることから勝負事の前に縁起担ぎで食べることがある。ステーキ(ビフテキなど)と合わせて「テキにカツ」(敵に勝つ)とする語呂合わせも見られるが、1食の分量が多くなるため一般的ではない。スポーツ医学の観点からは、競技の前には炭水化物を取るのが適切である。 五円 お守り「ご縁」があるとして5円玉を持ち歩く人もいる。縁談の纏まる神社のお守りの中身にもなっていることがある(この五円玉は当然儀式により清められた物)。 神社の賽銭では5千円札は千回のご縁が有るという意味。500円玉は百回のご縁。何れも商売の取引先(ご縁)が増える様にという縁起担ぎ。45円は「始終ご縁がありますように」、15円で「十分ご縁がありますように」という意味。 89式5.56mm小銃のセレクターレバー 89式小銃の発射モードを切り替える際、ア(安全装置)→レ(連射)→3(3点射)→タ(単射)と切り替わるのだが、縁起担ぎに「アタレ(当たれ)3」と呼ばれる。またそのことから、89式小銃は「アタレ鉄砲」の異名を持つ。ちなみに、先代にあたる64式7.62mm小銃でもこの表記は採用されており、順番はア→タ→レであった。 御節料理 黒豆(まめに暮らす)、昆布(よろこぶ)、鯛(めでたい)など、語呂合わせで縁起を担ぐ料理を含む。 結納の品 結納を参照。 二升五合(にしょうごんごう) 一升が一升(ます)、それに五合が半升(はんじょう)、あわせて「ますますはんじょう 升升半升→益々繁盛)、商売繁盛を祈願。頭に「春夏冬」と付けて「あきない(秋ない)」と読ませたり、「一斗」で「ごしょうばい(五升の倍)」とするなどのバリエーションもある。 いすゞ・810 「発展」の語呂合わせ。 いすゞ・フォワード 3代目モデルの愛称が開発コード名から「840」であるが、これは先述の810に合わせて「走れ」の語呂合わせでもある。
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