龍虎山
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龍虎山 | |
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龍虎山 | |
最高地点 | |
標高 | 247.4 m (812 ft) |
座標 | 北緯28度6分49秒 東経116度57分30秒 / 北緯28.11361度 東経116.95833度 |
地形 | |
所在地 | 中国江西省 |
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龍虎山(りゅうこざん、中国語: 龙虎山/龍虎山、拼音: Lónghŭ Shān)は、中華人民共和国江西省鷹潭市貴渓市にある山。最高峰は 247.4 m である。
2001年には中国国家地質公園に認定され、2008年に世界ジオパーク[1]、2010年には貴州省の赤水、福建省の泰寧、湖南省の崀山、広東省の丹霞山、浙江省の江郎山とともにユネスコの世界自然遺産「中国丹霞」に登録された。1988年に中華人民共和国国家重点風景名勝区に[2]、2012年に中国の5A級観光地に認定された[3]。
概要
龍虎山には多くの文化遺産が存在し、二千年前に古越族によって山に作られた吊るされた棺の仙水岩崖墓群は全国重点文物保護単位に認定された。もとの名は雲錦山であったが伝説によると後漢半ば頃に五斗米道(後の正一教)を創始した張道陵がこの地で九天神丹を造った際に龍と虎が現れたことに因み山名が龍虎山とされた[4]。
張道陵の曾孫で第四代天師の張盛が三国時代または西晋の時期に移住し子孫が代々住み続けたことでこの山の名は知られるようになる[5]。
龍虎山と道教
正一教(天師道)の本拠地。道教における吉祥地である洞天福地の七十二福地の一つで第32・龍虎山・信州貴渓県・仙人の張巨君として名が挙げられている[5]。
張道陵の直系の子孫の住むところを天師府といい神をまつる場所を上清宮という。これらは近くを流れる瀘渓河上流に唐宋の頃より建築が重ねられた[5]。
上清宮は第四代天師の張盛が建てた伝籙壇を唐の会昌元年(841年)に名を真仙観と改めたものと伝えられる[5]。
更に北宋の大中祥符8年(1015年)第24代天師の張正随の時王欽若の奏により授籙院を建立しそれと同時に真仙観を上清観と改名[5]。
北宋の崇寧4年(1105年)に現在の場所に移築され、政和3年(1113年)に上清正一宮、元の大徳8年(1304年)には大上清正一万寿観と改めそして清の康熙26年(1687年)になって現在の名前となった。主要な宮観建造物は他に天師府正一観など49を数え、各宮観は各々広大な荘園を有して龍虎山の経済的基盤を成していた。清代では東西36の道院に紫微・霊陽・虚靖三派の道士が分かれて所属していた[5]。
第38代天師の張与材はこの山で「三山符籙」(上清籙・霊宝籙・正一籙)の発行を司り道士の任命や符を発行することを掌握する権限をもった[5]。
籙を受けた道士は儀礼を主宰する資格があると認められたことになる。籙には授与の年月日、受籙者の住所、受籙した宮観名、神々への誓詞、神々と官吏の名前、符図や神仙の図像などが書かれる[5]。
このようにして龍虎山は道教信仰の一大中心地となり民国38年(1949年)に第63代天師の張恩溥が台湾へ亡命するまでは聖地として絶対的な権威を有していた [5]。
脚注
- ^ “LONGHUSHAN UNESCO GLOBAL GEOPARK (China)” (英語). UNESCO (2021年7月26日). 2022年10月20日閲覧。
- ^ “中华人民共和国国务院公报 1988年第17号(总号:570)” (中国語). 中華人民共和国国務院. pp. 567-568 (1988年8月25日). 2023年2月5日閲覧。
- ^ “江西省鹰潭市龙虎山旅游景区”. www.mct.gov.cn. 中華人民共和国文化観光部 (2021年7月22日). 2023年2月2日閲覧。
- ^ 田中文雄『シリーズ道教の世界1 仙境往来 神界と聖地』(初版)春秋社、2012年12月、63頁。ISBN 4393312716。
- ^ a b c d e f g h i 田中文雄『シリーズ道教の世界1 仙境往来 神界と聖地』(初版)春秋社、2012年12月、64-65頁。ISBN 4393312716。
参考文献
関連項目
竜虎山
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/09 16:17 UTC 版)
竜虎山は江西省貴渓市にある山で、世界遺産登録地域は面積16950 haの竜虎山地区 (Longhushan : Longhushan Section, 1335-007) と面積2740 haの亀峰地区 (Longhushan : Guifeng Section, 1335-008) に分かれる。これらは貴渓市の竜虎山風景名勝区と弋陽県の亀峰風景名勝区に含まれている。最高峰は 401.1 m である。2008年には竜虎山世界地質公園として、世界ジオパークに認定された。 ジュラ紀後期の信江断裂陥落盆地の形成の頃から礫岩の堆積が始まり、白亜紀後期の湿潤な気候がもたらした雨季によって、当時湖だった場所にはさらに砂礫が堆積していった。こうして堆積した礫岩の膨大な層が竜虎山丹霞の基盤となっており、その後の時代の浸食作用や風化作用の影響で、多彩な丹霞地形を生み出した。断崖、石林、洞穴など26種に分類される丹霞地形のうち、竜虎山では23種類を見ることが出来る。世界遺産推薦書では、丹霞地形の全ての基本形を備えていると紹介されていた。 この地には維管束植物1626種が生育し、うち5種がIUCNレッドリストに掲載されている。動物相については、陸棲・水棲あわせて367種の羊膜類が生息しており、うち16種がIUCNレッドリストに掲載されている。 古くから山水画や漢詩の題材となってきた景勝地であり、道教が生まれた場所とされるなど、文化的な影響も大きい。竜虎山という名前自体が道教の伝説と関わりがあり、五斗米道を開いた張陵が仙丹を作り上げた時に竜と虎が現れたことから、この名前がついたのだという。 また、春秋戦国時代に絶壁を刳り貫いて作り上げられた懸墓遺跡群は、考古学的な価値もある。ここで発見された遺物によって、中国における織機や染色された織物の歴史が数百年単位で遡ることになった。
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