甲類(こうるい)
式蒸留機で蒸留してつくられる高純度のアルコールを36度未満に水で割ったもの。ホワイトリカーともいわれる。明治末年に開発されたところから在来の焼酎(本格焼酎)に対し新式焼酎、酒精式焼酎と呼ばれていた。第二次大戦前までの原料には主として切干甘藷(きりぼしかんしょ)が使われていたが、戦後糖蜜(とうみつ)の使用制限が解除され、昭和三五年以凍糖化工程が不要の糖蜜系原料が主力を占め、工場廃水の規制が厳しくなった昭和四〇年代からは、糖蜜および糖水を原料としたクルード・ラムが使われている。『宝酒造三〇年の概要』によると、連続式蒸留機が明治二八年前後にわが国に輸入され、明治四四年、日本酒精(株)でこの蒸留機を用いた焼酎、すなわち現在の焼酎甲類の製造が始まったとされる。コメより廉価なカンシょを使って量産され、しかも清酒と異なり腐るおそれのない新しい焼酎の出現は大正初期に人々の注目を集めた。その後、連続式蒸留機も当初のイルゲス式からギョーム式、グリンマ式、アロスパス式からスーパー・アロスパス式へとつぎつぎに改良され、アルコール以外の異臭をまったく感じさせず、何ら処理を施すことなく焼酎甲類、合成清酒、清酒などの酒類製造に用いることができるアルコールが得られるようになった。昭和四〇年代半ばころから甲類の需要開発のため、ソフトではあるが風味に乏しいといわれる欠点を補うため、トウモロコシ、オオムギを原料の一部に使い、それら原料の風味を製品に生かすような連続式蒸留法が研究され、様々な特徴を持った製品が市販されるようになった。一方、本来のアルコールの純粋さを特徴とする製品はホーム・リカー、カクテルなどの基酒(べーす)に最適とされている。
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