正典化
正典化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2010/08/18 11:29 UTC 版)
正典化(せいてんか)、とは、宗教的な文書が何らかの権威によって正典化されていくことを指す。宗教一般において多くは他宗教や同じ宗教内で異なる教義を奉じる派から、自派を差別化するために正典を定める動きが生じる。段階的にこの正典が定まっていく過程を正典化と呼ぶことがある。正典化に際して、最終的に正典に含まれないものとして排除された文書を外典(経外典)という。
- ^ ローマ・カトリック教会は旧約聖書の12巻を正典としているが、バチカン写本(AD350年)はマカバイ記1、2を含まず、エズラ記(ギリシア語)を含んでいる。シナイ写本(AD350年)はバルク書を含まず、マカバイ記4を含んでいる。アレクサンドリヤ写本(AD450年)はエズラ記とマカバイ4を含んでいる。尾山令仁『聖書の権威』羊群社
- ^ 秦剛平著 『乗っ取られた聖書』 京都大学学術出版会、2006年、ISBN 4-87698-820-X
- ^ 『新聖書辞典』p.722
- ^ R. D. Wilson, The Rule of Faith and Life, in The Princeton Theological Review
- ^ 『キリスト教神学入門』p.224
- ^ 『新聖書辞典』いのちのことば社
- ^ 尾山令仁 『聖書の権威』日本プロテスタント聖書信仰同盟
- ^ 内田和彦『神の言葉である聖書』近代文芸社
- ^ アリスター・マクグラス『キリスト教神学入門』p.224教文館
- ^ 尾山令仁『聖書の権威』羊群社
- 1 正典化とは
- 2 正典化の概要
正典化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/29 09:29 UTC 版)
牧会書簡への最古の言及とされることがあるのは、使徒教父文書に含まれる『クレメンスの第一の手紙』(ローマのクレメンス、96年頃)、『ポリュカルポスへの手紙』(アンティオキアのイグナティオス、2世紀初頭)、『ポリュカルポスの手紙』(ポリュカルポス、2世紀初頭)などである。たとえば、『ポリュカルポスの手紙』の「一切の悪しきことのはじまりは金銭欲なのです」(4章1節)は、第一テモテ書6章10節「金銭を愛することは、すべての悪の根である」と対応している。これを引用と見なす論者は、当然、牧会書簡をこれら使徒教父文書よりも前の成立と見ている。それに対し、これを引用ではなく牧会書簡の著者とポリュカルポスの思想的近さを示すに過ぎないとする見解もあるが、さすがにハンス・フォン・カンペンハウゼン(ドイツ語版)のようにポリュカルポス自身が牧会書簡の著者であるとする説は、広い支持を受けるには至っていない。また、第一テモテ書の6章10節の起源を当時の格言と見なす見解も複数見られ、フィロンも同様の格言を引用している。 前述のように、140年頃のマルキオン聖書や200年頃のチェスター・ビーティ・パピルスには収録されていないが、この事実をどう評価するかは論者によって様々である。2世紀末から3世紀初頭とされる『ムラトリ正典目録』では、正典に含められている。 直接的な引用で最古のものはエイレナイオスの『異端駁論』(180年頃)で、この冒頭に第一テモテ書1章4節からの引用が掲げられている。このエイレナイオスの影響もあって、3世紀になるとテルトゥリアヌスらにも引用されるようになった。それ以降、19世紀になって真正性に疑問が投げかけられるまで、特にその真正性が疑われることはなかった。
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