構造特性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/05 14:38 UTC 版)
均等に鉛直荷重のかかる梁の変形。点線が中立軸である。 梁に荷重がかかると、内部には、圧縮・引張・曲げ・剪断応力がはたらく。鉛直荷重がはたらいた場合、たいてい梁は下に凸となるような形にたわみを生じ、上部はわずかに縮み、逆に下部は伸びるように変形する。また、断面のおよそ上下半分近辺には伸びも縮みもせず、圧縮応力も引張応力も生じない面があり、そこは「中立軸」と定義される。 コンクリートは圧縮に強い一方、引張に弱いという欠点がある。このため鉄筋コンクリート構造では引張側(通常は下側、片持ち梁は上側)に鉄筋を入れることで補強している。(現実には、地震などを考慮し、上下両側に鉄筋を入れることがほとんど。)さらに、引張によるひび割れを防ぐため、予め圧縮力のかかったプレストレスト・コンクリート(PC)梁が造られている。これは高強度鋼の線で圧縮力をかけながら型枠内で硬化させて製造する。PC梁は主に高速道路の橋などの大規模構造物に用いられる。 梁の構造解析に使われるモデルとして、曲げを受けた断面内での剪断変形が生じないと仮定したオイラー・ベルヌーイ梁が用いられる。また、梁の変形の数学的な解法として「仮想仕事法」および「たわみ角法」がある。梁の変形の計算が綿密に行われるのは、梁自体の破壊が問題というよりもむしろ、変形に追随しきれないガラスなどの破壊を避けるためである。意匠的な観点からも、梁のたわみはなるべく生じないように設計することが望まれる。たとえ構造的に安全ではあっても、見た目にわかるようなたわみがあれば、美観を損なったり心理的な不安を生じたりするからである。 強い梁 (弾性係数が高く、断面二次モーメントの大きいもの)ほど、たわみを生じにくい。梁の内部応力を数学的に求める方法は、モーメント分配法および弾性マトリックス法がある。
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