最適近似
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 01:23 UTC 版)
ヒルベルト空間 H の空でない閉凸部分集合を C とし、H の点 x をとると、x との距離を最小化する C の元 y がただ一つ存在する。 ∃ ! y ∈ C , ‖ x − y ‖ = d i s t ( x , C ) = min { ‖ x − z ‖ : z ∈ C } . {\displaystyle {}^{\exists !}y\in C,\quad \|x-y\|=\mathrm {dist} (x,C)=\min\{\|x-z\|:z\in C\}.} これは、C を平行移動した凸集合 D := C − x にノルムが最小となる点が存在するとも言い換えられる。このことは、任意の最小化列 (dn) ⊂ D が(中線定理により)コーシー列となること、従って(完備性により)D 内の点に収束するが、それがノルム最小であることを示すことで証明できる。もっと一般に、一様凸バナッハ空間でこのことは成り立つ。 この結果を H の閉部分空間 F に適用するとき、y ∈ F が x に最近接することは y ∈ F , x − y ⊥ F {\displaystyle y\in F,\quad x-y\perp F} によって特徴付けることができる。この点 y というのは x の F の上への直交射影に他ならない。このとき、写像 PF: x ↦ y は線型である(後述)。この結果は、最小自乗法の基礎を成すもので、応用数学、特に数値解析において有意である。 特に F が全体空間 H 自身とは一致しないとき、F に直交する非零ベクトル v が取れる(F に属さない x をとって、v := x − y と置けばよい)。これを応用して、閉部分集合 F が H の部分集合 S によって生成されるかを見るのに有効な判定法が得られる。即ち、 H の部分集合 S が生成する部分空間が H で稠密となるのは、S に直交するベクトル v ∈ H が零ベクトル 0 のみであるとき(かつそのときに限る)である。
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