擬平衡仮定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/01 08:35 UTC 版)
擬平衡は古典的な化学平衡とは異なるが、類似した熱力学的取扱いを使って記述することができる 。以下の反応について考える。 A + B ↽ − − ⇀ [ AB ] ‡ ⟶ P {\displaystyle {\ce {{A}+{B}<=>{[AB]^{\ddagger }}->{P}}}} ここでは、活性複合体 [AB]‡ を含む系中の全ての化学種間で完全な平衡が達成される。統計力学を使って、[AB]‡ の濃度はAとBの濃度の観点から計算することができる。 TSTは、反応物と生成物が互いに平衡状態にない時でさえも、活性複合体が反応物と擬平衡状態にあると仮定する。図2で示されているように、いかなる瞬間においても、少数の活性複合体が存在し、一部は直近の過去には反応物であり、これは [ABl]‡と呼ばれる(左から右へ移動するため)。残りは直近の過去には生成物分子であった([ABr]‡)。 TSTでは、活性複合体2方向の流れは互い独立していると仮定される。すなわち、全ての生成物分子が反応系から突然取り除かれたとすると、[ABr]‡の流れは止まるが、左から右への流れはまだ存在する。したがって、技術的に正しく言えば、反応物は [ABl]‡(直近の過去に反応物だった活性複合体)のみと平衡状態にある。
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