仁賀克雄とは? わかりやすく解説

仁賀克雄(じんが・かつお)


仁賀克雄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/01 02:48 UTC 版)

仁賀 克雄(じんか かつお、1936年12月23日 - 2017年12月22日[1])は、日本の作家評論家英米文学翻訳家アンソロジスト。本名、大塚勘治ペンネームの由来は本名を逆読みしたもの。

経歴

神奈川県横浜市生まれ。神奈川県立横須賀高等学校早稲田大学第一商学部卒業。早稲田大学在学中の1957年江戸川乱歩を顧問に迎えて、ワセダミステリクラブを創設し、幹事長となる[2]

卒業後は北スマトラ海洋石油資源開発(のちに現在の国際石油開発帝石に合併され消滅)、アラビア石油に勤務する傍ら、創作活動や海外ミステリ/ホラー/SFの研究・翻訳・アンソロジー編集などを行った。1962年、『ヒッチコック・マガジン』に、レイ・ブラッドベリ「みずうみ」を翻訳・掲載して翻訳者でデビューする(矢代邦彦名義)[3]。書籍の翻訳は、山下武に示唆されて、創土社から刊行されたラブクラフト『暗黒の秘儀』(創土社)[4]

また、特に切り裂きジャック関連の研究に関しては有名で、日本で唯一のリッパロロジスト(切り裂きジャック研究家)とされる場合がある。1982年3月、小説「スフィンクス作戦」で徳間文庫発刊記念総額二〇〇〇万円懸賞小説佳作受賞[5]時事通信社書評委員の経験もある。

翻訳の下訳者出身の弟子に柿沼瑛子。翻訳学校での弟子に横山啓明、駒月雅子、白須清美、武藤崇恵らがいる。翻訳学校での弟子たちはベルファイア・クラブという名前であつまりをもっている[6]

2017年12月22日、肝臓癌のため死去[1]。80歳没。

小説作品

  • 『放課後の殺人者』(朝日ソノラマソノラマ文庫) 1976.11
  • 『「地獄の火」殺人事件』(講談社) 1995.4
  • 『「ドラキュラ」殺人事件』(講談社ノベルス) 1997.8
  • 「スペース・レインジャー」シリーズ
    • 『白い女神の復讐』(朝日ソノラマ、ソノラマ文庫) 1980
    • 『黒の三角宙域』(朝日ソノラマ、ソノラマ文庫) 1981
    • 『赤い炎の暗殺者』(朝日ソノラマ、ソノラマ文庫) 1983

主な研究書・ノンフィクション

  • 『世界史の謎』(大陸書房) 1971
  • 『大推理 古代史のなぞ』(学習研究社ユアコースシリーズ) 1976
  • 『海外ミステリ入門 : あなたに教える殺人の方法』(朝日ソノラマ、Key books) 1976
  • 『名探偵30人の挑戦 : センスをみがく推理パズル』(永岡書店) 1984
  • 『ロンドンの恐怖 : 切り裂きジャックとその時代』(早川書房) 1985、ハヤカワ文庫 1988
  • 『海外ミステリ・ガイド』(朝日ソノラマ、ソノラマ文庫海外シリーズ 別巻) 1987
  • 『現代海外ミステリ・ベスト100』(社会思想社、現代教養文庫1400) 1991
  • 『海外ミステリ・ジャンルベスト100』(社会思想社、現代教養文庫1493) 1993
  • 『海外ミステリ探偵ベスト100』(社会思想社、現代教養文庫1553) 1994
  • 『海外ミステリ・ゼミナール : 読書案内決定版』(朝日ソノラマ) 1994
  • ドラキュラ誕生』(講談社、講談社現代新書) 1995
  • 『新・ロンドンの恐怖 : 切り裂きジャックの犯行と新事実』(原書房) 1997
    • 改題『切り裂きジャック : 闇に消えた殺人鬼の新事実』講談社文庫 2004
  • 『図説 切り裂きジャック』(河出書房新社、ふくろうの本) 2001
  • 『ロンドンの怪奇伝説』(メディアファクトリーダ・ヴィンチ編集部) 2002
  • リジー・ボーデン事件の真相 : アメリカ犯罪史上空前の連続殺人』(河出書房新社) 2004
  • 『新海外ミステリ・ガイド』(論創社) 2008

監修

  • 江戸川乱歩99の謎 : 生誕百年・探偵小説の大御所』(二見書房・二見wai wai文庫) 1994
  • 『海外ミステリ全カタログ〈'95-97年版〉』(日本テレビ放送網) 1994-96

翻訳

  • 『秘密兵器事件:ナポレオン・ソロ』(ジョン・T・フィリフェント、久保書店QTブックス) 1968
  • 『ミステリー短編傑作集 第2集』(エラリィ・クィーン選、洋販出版、洋販ライブラリィー) 1968
  • 『異次元への冒険』(ジェリイ・ソール、早川書房、ハヤカワSF文庫) 1970
  • 『世界の謎』(ドワイト・ミラー、大陸書房) 1970
  • 『大統領候補暗殺:スーパースペード#1』(B・B・ジョンソン、早川書房、世界ミステリシリーズ) 1971
  • 『なぞの幽霊屋敷』(S・ジャクソン原作、生頼範義絵、朝日ソノラマ、少年少女世界恐怖小説7) 1972
  • 『異次元の新世界』(ジェリー・ソール原作、朝日ソノラマ、少年少女世界冒険小説6) 1973
  • 『吸血鬼』(リチャード・マシスン他原作、朝日ソノラマ少年少女怪奇の世界1) 1974
  • 『海底の剣』(ダンカン・カイル、早川書房、ハヤカワ文庫NV) 1976
  • プレーグ・コートの殺人』(カーター・ディクスン、早川書房、ハヤカワ・ミステリ文庫) 1977
  • 『消された時間』(ビル・S・バリンジャー、早川書房、ハヤカワ・ミステリ文庫) 1978
  • 『密輸鉱山』(ハモンド・イネス、早川書房、ハヤカワ文庫 NV) 1979
  • アメリカン・ゴシック英語版』(ロバート・ブロック、早川書房、Hayakawa novels) 1979
  • 『氷島基地脱出!』(コリン・フォーブス、早川書房、ハヤカワ・ノヴェルズ) 1980
  • 『フランケンシュタインのライヴァルたち』(マイケル・パリー編、早川書房、ハヤカワ文庫NV) 1981
  • 『怒りの神』(フィリップ・K・ディック & ロジャー・ゼラズニイサンリオサンリオSF文庫) 1982
  • 『宇宙の操り人形:P.K.ディック初期の長編SF』(フィリップ・K・ディック、朝日ソノラマ、ソノラマ文庫海外シリーズ4) 1984
  • 『恐怖のハロウィーン』(アイザック・アシモフ編、徳間書店徳間文庫) 1986
  • 『アンダーウッドの怪』(デイヴィッド・H・ケラー国書刊行会アーカム・ハウス叢書) 1986
  • 『戦慄のハロウィーン』(アラン・ライアン編、徳間書店、徳間文庫) 1987
  • 『殺しのグルメ』(ロバート・ブロック、徳間書店、徳間文庫) 1989
  • 『切り裂きジャック : 世紀末ロンドンの殺人鬼は誰だったのか?』(コリン・ウィルソン,ロビン・オーデル、徳間書店) 1990、のち文庫
  • 『宇宙の操り人形』(フィリップ・K・ディック、筑摩書房ちくま文庫) 1992
  • 『シャーロキアン殺人事件』(アントニー・バウチャー社会思想社現代教養文庫3045) 1995
  • 『死が二人をわかつまで』(ジョン・ディクスン・カー、国書刊行会、世界探偵小説全集11) 1996、のちハヤカワ・ミステリ文庫
  • 『ハリウッド・ゴシック:ドラキュラの世紀』(デイヴィッド・J・スカル、国書刊行会) 1997
  • 『19世紀絵入り新聞が伝えるヴィクトリア朝珍事件簿:猟奇事件から幽霊譚まで』(レナード・ダヴリース編、原書房) 1998
  • 『乱歩の選んだベスト・ホラー』(森英俊,野村宏平編、共訳、筑摩書房、ちくま文庫) 2000
  • 『ポオ収集家』(ロバート・ブロック、新樹社) 2000
  • 『煙の中の肖像』(ビル・S・バリンジャー、小学館、Shogakukan mystery、クラシック・クライム・コレクション) 2002
  • リジー・ボーデン事件』(ベロック・ローンズ、早川書房、ハヤカワ・ミステリ) 2004
  • 『有栖川有栖の鉄道ミステリ・ライブラリー』(有栖川有栖編、共訳、角川書店角川文庫) 2004
  • 『最後の一壜 : スタンリイ・エリン短篇集』(スタンリイ・エリン、共訳、早川書房、ハヤカワ・ミステリ) 2005
  • 『フランス鍵の秘密』(フランク・グルーバー、早川書房、ハヤカワ・ミステリ) 2005
  • 『不思議の森のアリス』(リチャード・マシスン論創社、ダーク・ファンタジー・コレクション = Dark fantasy collection 2) 2006
  • 『愛する者に死を』(リチャード・ニーリイ、早川書房、ハヤカワ・ミステリ) 2007
  • 『亡き妻へのレクイエム』(リチャード・ニーリイ、早川書房、ハヤカワ・ミステリ) 2008
  • 『謎の物語』(紀田順一郎編、共訳、筑摩書房、ちくま文庫) 2012
  • 『リッジウェイ家の女』(リチャード・ニーリィ、扶桑社ミステリー文庫) 2014
  • 『噂のレコード原盤の秘密』(フランク・グルーバー、論創社、論創海外ミステリ) 2016

C・L・ムーア

  • 『大宇宙の魔女 ノースウェスト・スミス』(C・L・ムーア、早川書房、ハヤカワSF文庫) 1971 - シャンブロウ
  • 『異次元の女王 ノースウェスト・スミス』(C・L・ムーア、 早川書房、ハヤカワSF文庫) 1972
  • 『暗黒界の妖精 ノースウェスト・スミス』(C・L・ムーア、早川書房、ハヤカワSF文庫) 1973
  • 『暗黒神のくちづけ - 処女戦士ジレル』(C・L・ムーア、早川書房、ハヤカワ文庫) 1974
  • 『新世界の黎明』(C・L・ムーア、早川書房、ハヤカワ文庫) 1975
  • 『たそがれの地球の砦』(C・L・ムーア & ヘンリイ・カットナー、早川書房、ハヤカワ文庫) 1976
  • 『銀河の女戦士:唯一の長編スペース・ファンタジー』(C・L・ムーア、朝日ソノラマ、ソノラマ文庫海外シリーズ11) 1985

編訳

  • 『暗黒の秘儀:ラブクラフト傑作集』[7]ハワード・フィリップス・ラヴクラフト創土社) 1972、のちソノラマ文庫海外シリーズ
  • 『切り裂きジャックはあなたの友:ロバート・ブロック短篇集』(ロバート・ブロック、早川書房、ハヤカワ文庫 NV) 1979
  • 『火星の笛吹き』(レイ・ブラッドベリ、徳間書店) 1979、のち徳間文庫、のちちくま文庫
  • 『猫に関する恐怖小説』(フレドリック・ブラウン他、徳間書店) 1980、のち徳間文庫
  • 『モンスター伝説:世界的怪物の新アンソロジー』(ロバート・ブロックほか、朝日ソノラマ、ソノラマ文庫海外シリーズ1) 1984
  • 『機械仕掛けの神:黄金の50年代SF傑作選』(リチャード・マシスン他、朝日ソノラマ、ソノラマ文庫海外シリーズ3) 1984
  • 『アメリカ鉄仮面:仮面の正体を探るSFサスペンス』(アルジス・バドリス、朝日ソノラマ、ソノラマ文庫. 海外シリーズ8) 1984
  • 『暗黒の秘儀:コズミック・ホラーの全貌』(ハワード・フィリップス・ラヴクラフト、朝日ソノラマ、ソノラマ文庫. 海外シリーズ21) 1985
  • 『悪夢のカーニバル』(レイ・ブラッドベリ、徳間書店、徳間文庫) 1985
  • 『ミステリの美学』(ハワード・ヘイクラフト編、成甲書房) 2003
  • 『残酷な童話』(チャールズ・ボウモント、論創社、ダーク・ファンタジー・コレクション = Dark fantasy collection7) 2007
  • シャンブロウ』(C・L・ムーア、論創社、ダーク・ファンタジー・コレクション = Dark fantasy collection9) 2008
  • 『新・幻想と怪奇』(ローズマリー・ティンパリー他、早川書房 2009 (Hayakawa pocket mystery books ; no.1824)
  • 『お菓子の髑髏:ブラッドベリ初期ミステリ短篇集』(レイ・ブラッドベリ、筑摩書房、ちくま文庫) 2012

フィリップ・K・ディック

  • 『地図にない町』(フィリップ・K・ディック、早川書房、ハヤカワ文庫) 1976
  • 『人間狩り』(フィリップ・K・ディック、集英社、World. SF) 1982
  • 『顔のない博物館』(フィリップ・K・ディック、北宋社) 1983
  • 『ウォー・ゲーム : ファンタジー&SF短編集』(フィリップ・K・ディック、朝日ソノラマ、ソノラマ文庫海外シリーズ12) 1985
  • 『人間狩り:フィリップ・K・ディック短篇集』(フィリップ・K・ディック、筑摩書房、ちくま文庫) 1991
  • 『ウォー・ヴェテラン:ディック中短篇集』(フィリップ・K・ディック、社会思想社、現代教養文庫1450) 1992
  • 『ウォー・ゲーム:フィリップ・K・ディック短篇集2』(フィリップ・K・ディック、筑摩書房、ちくま文庫) 1992
  • 『人間狩り』(フィリップ・K・ディック、論創社、ダーク・ファンタジー・コレクション = Dark fantasy collection) 2006
  • 『髑髏』(フィリップ・K・ディック、論創社、ダーク・ファンタジー・コレクション10) 2009

編纂

  • 『幻想と怪奇 1』(レイ・ブラッドベリ等、編、早川書房、ハヤカワ文庫) 1975、のち『幻想と怪奇:ポオ蒐集家』として再刊
  • 『楽しい悪夢:ロバート・ブロック短篇集』(ロバート・ブロック、編、早川書房、ハヤカワ文庫) 1975
  • 『幻想と怪奇2』(ロバート・ブロック等、編、早川書房、ハヤカワ文庫) 1976、のち『幻想と怪奇:宇宙怪獣現わる』として再刊
  • 『幻想と怪奇3』(フレドリック・ブラウンほか、編、早川書房) 1978、のち『幻想と怪奇:おれの夢の女』として再刊
  • 『吸血鬼伝説:ドラキュラの末裔たち』(編、原書房) 1997

シリーズ監修

  • 朝日ソノラマ ソノラマ文庫海外シリーズ[8]
  • 論創社 ダーク・ファンタジー・コレクション = Dark fantasy collection

脚注

  1. ^ a b 評論・翻訳家の仁賀克雄さん死去 80歳”. 朝日新聞 (2017年12月27日). 2017年12月27日閲覧。
  2. ^ 「仁賀克雄ができるまで(第2回) 乱歩訪問と会の発足」『ハヤカワミステリマガジン』2009年6月号
  3. ^ 『ナイトランド・クォータリー Vol.10』(アトリエサード)P.10
  4. ^ 『ナイトランド・クォータリー Vol.10』(アトリエサード)P.10
  5. ^ 『問題小説』1982年4月号。
  6. ^ 『ナイトランド・クォータリー Vol.10』(アトリエサード)P.11
  7. ^ 編訳であることについては「ナイトランド・クォータり―」Vol.10収録のインタビュー(P.10)より
  8. ^ 宇宙船』初代編集長の村山実からの依頼で開始された。出典は『ナイトランド・クォータリー Vol.10』(アトリエサード)P.11

参考文献





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