高額になりがちな弁護士費用への備えに
弁護士費用特約は必要か? 交通事故以外の日常生活のトラブルまでも適用? わかりやすく解説

2024.09.04
弁護士費用特約は必要か? 交通事故以外の日常生活のトラブルまでも適用? わかりやすく解説
クルマに乗るなら万が一の備えとして契約しておきたい自動車保険(任意保険)。しかし、保険に加入していても、事故に遭ってしまった際に事故の相手から補償が得られず、弁護士に交渉を依頼するという事態はあり得るのです。そこで、高額になりがちな弁護士費用をまかなうために「弁護士費用特約」が用意されているのですが、この特約、やはりオプションとして選ぶべきなのでしょうか? ここではその必要性について詳しく見ていきます。

執筆・編集:webCG 編集部
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1.弁護士費用特約はどんなとき役に立つ?

 

現実に、自動車保険の保険会社は、すべての事故の示談交渉を請け負ってくれるとは限りません。では、どんな場合に直接交渉を強いられ、弁護士の援助(=弁護士費用特約の利用)が必要になるのでしょうか。

1-1.加害者の過失割合が100%の事故

停車中に追突されたり、信号無視のクルマにぶつけられたりといった“もらい事故”。こうした加害者の過失が100%、つまり被害者から加害者への賠償が発生しない事故では被害者側の保険会社が示談交渉を代行できず、結果的に被害者側が不利益を被ることがあります。

【よくある質問】5-4.“もらい事故”とは? 起こった際の対処法は?

加害者側が10:0の過失割合を認めない、認めても被害者側が賠償額に納得できない場合、被害者に代わって弁護士が、適切な賠償額を受け取れるよう交渉する、という手段があります。こうしたシーンで、弁護士費用を負担してもらえる特約が役に立つのです。

1-2.任意保険に未加入の相手による事故

自動車保険の任意保険は、その名のとおり「任意で加入する保険」。クルマを所有していれば誰もが加入していると思われるかもしれませんが、現実には、普通乗用車での加入率は約8割といわれています。つまり、約2割、5台に1台のクルマは任意保険に加入していないのです。一方、すべての所有者が強制的に加入を義務づけられている自賠責保険では、対人事故しかカバーされません。

この“任意保険の未加入者”が事故の加害者となると、多くの場合、賠償への示談交渉は難航します。しかし、上記のようなもらい事故のケース(1-1.加害者の過失割合が100%の事故)と同様に、保険契約に弁護士費用特約を含めておけば、多額の弁護士費用を負担することなく弁護士に示談交渉や法的な対応を頼むことができます。

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2.弁護士費用特約は得なのか?

いざというときの助けになる弁護士費用特約ですが、その具体的なメリットは? より詳しく見ていきましょう。

2-1.あらゆる弁護士費用が対象になる

前述のとおり、この特約の一番のメリットは「事故発生時の示談交渉における弁護士費用を保険会社が補償してくれる」ということです。多くの保険会社では、この特約のための追加費用は2000円~3000円程度となっており、それだけのコストで着手金から示談費用、相談料、成功報酬金、高額になりがちな裁判費用など、さまざまな費用がまかなわれます。

保険金の種類 保険金の限度額
【弁護士費用等】
◯弁護士・司法書士報酬
◯訴訟費用、仲裁・和解・調停に要した費用
◯その他権利の保全、行使に必要な手続きをするために要した費用
1事故につき、被保険者1名あたり300万円限度
【法律相談・書類作成費用】※1
◯弁護士・司法書士への法律相談の費用
◯司法書士・行政書士への書類作成の費用
1事故につき、被保険者1名あたり10万円限度

※1 被保険者が被害者請求を行う場合などに、損害賠償額の支払いを請求するために要する司法書士、行政書士の書類作成費用は「法律相談・書類作成費用」よりお支払いします。1事故につき、被保険者1名あたり10万円限度

参照:弁護士費用特約|「おとなの自動車保険」

2-2.賠償金額の増加が見込める

事故によって発生した損害を賠償するのが自動車保険ですが、加害者側の保険会社によっては、被害者が納得する損害賠償額を提示するとは限りません。そこで弁護士の出番になるわけですが、示談交渉の結果、賠償額が増加する可能性は十分にあります。

2-3.一般的な自動車保険の弁護士費用特約は家族も利用可能

自動車保険の弁護士費用特約は、主たる被保険者だけでなく、契約中の自動車を家族(配偶者、同居の親族)が運転しているときに発生した事故についても適用されます。

また弁護士費用特約には年齢条件が設けられていません。若年のドライバーについてもしっかり補償を受けられるというのは、安心できるポイントといえるでしょう。

2-4.日常生活のトラブルまでカバーする特約もある

トラブルの示談交渉という点では、それを弁護士に依頼する場面は交通事故に限りません。実際、交通事故以外のシーン、すなわち日常生活上のトラブルについて弁護士費用を補償してほしいというニーズはあり、そうした特約を用意する保険会社も増えてきています。なかには、民事上の損害だけでなく、刑事事件の対象となるケースでの弁護士費用を補償する特約もあります。

もちろん、この“日常生活弁護士費用特約”での補償を得るためには、自動車保険の弁護士費用特約とは別に新たな契約が必要になります。また、自動車保険の場合と同様、補償されるのはあくまで弁護士費用であり、トラブルで発生した損害を補償するものではないという点は注意が必要です。

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3.弁護士費用特約の加入率は?

弁護士費用特約の加入率グラフ

参照:弁護士費用特約|「おとなの自動車保険」

現在、弁護士費用特約の加入率は、自動車保険(任意保険)契約者の約6割といわれています。実際に利用されるケースは極めて少ないものの、負担金の少なさと、いざというときのメリットの大きさで、多くの方に選ばれているようです。

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4.弁護士費用特約に関する注意点

年々加入者が増えている自動車保険の弁護士費用特約ですが、知っておくべき条件もあります。以下はその主たる注意点ですので、合わせてチェックしておきましょう。

4-1.特約でカバーされる弁護士費用には上限がある

ほとんどの保険会社では、弁護士費用特約の補償金額には「1人あたり300万円」という上限が設定されています。つまり、家族4人で交通事故にあった場合の補償費用は最高1200万円です。この上限額を超えた額については、加入者の自費負担となります。

4-2.特約のベースとなる保険契約が必要

弁護士費用特約はあくまで“保険に付帯する特約”であり、それだけが独立した保険商品として存在するわけではありません。単体での契約はできず、保険会社が扱う保険商品とのセット加入が前提となっています。

4-3.ほかの保険との重複契約に注意

弁護士費用特約は、自動車保険だけに用意されている特約ではありません。実は、火災保険や医療保険の特約として加入することも可能です。その場合、契約している複数の保険でこの特約を選んでも「補償される上限額」は変わらないため、重複契約とならないよう注意が必要です。

4-4.事後の契約では補償されない

自動車保険と同様に、そのオプションである弁護士費用特約は、交通事故が発生する以前に契約していなければ効力を持ちません。万が一の際、上記のような補償を希望するのであれば、忘れずに契約しておくことが重要です。

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5.弁護士費用特約のよくある質問

5-1.弁護士費用特約が適用されると翌年の保険料は上がる?

弁護士費用の補償そのものは、等級が下がる要因となる事故の補償ではありませんので、翌年契約する保険料が上がることはありません。

5-2.弁護士費用特約を適用する弁護士は保険会社が決める?

保険会社が紹介・推薦する弁護士を選ぶ必要はありません。弁護士は契約者自身で選択することができ、示談交渉等を依頼した費用が補償されることになります。

5-3.弁護士費用特約は、自身に過失があるケースでは使えない?

契約者側の過失割合がゼロでない交通事故に関しても、弁護士費用特約は使えます。ご安心ください。

5-4.“もらい事故”とは? 起こった際の対処法は?

“もらい事故”という言葉を耳にしたことはありますか? 自分にはまったく落ち度がないのに、他者の過失により被害を被ってしまう事故のことです。具体的には、停車していた際に他車両からぶつけられる、といったケースがもらい事故にあたります。

もらい事故に遭ってしまったら……?

もらい事故とはいうものの、事故は事故。何もしないというわけにはいきません。いざ遭ってしまったときには、下記のような行動をとる必要性が出てきます。

1. 当事者の安全を確保し被害の拡大を防ぐ
事故時の現場対応は、もらい事故でも変わりません。事故の続発、二次被害を防ぐためにも、まずは車両と乗員の身柄を安全な場所へと移動させることが重要です。車両の移動が困難な場合は、車載の三角表示板や発煙筒、ハザードランプなどでで周囲に注意を喚起します。

2. 乗員の安否確認と救護対応
事故に遭ってしまった場合、負傷者の救護対応はドライバーの義務となっています。早急に乗員の安否を確認し、必要に応じて救急車を手配しましょう。状況により、止血や人工呼吸、心臓マッサージといった応急処置も求められます。

3. 警察への届け出
現場での救護対応に続いて必要になるのが、警察への届け出です。どのようにして事故が起こってしまったのか、場所や日時、事故発生のプロセス、発生後の現場対応など、わかる限りの事実を警察に報告します。

4. 事故の相手・加害者の身元確認
保険の手続きを含む先々の事故処理のため、あわてず冷静に事故の相手の身元確認を行いましょう。具体的には、運転免許証や車検証などで氏名や連絡先を正確に把握するほか、保険の加入状況についても話を聞くことが大切です。これらの情報に加え、事故を起こした車両のナンバーは、忘れずに記録しておきましょう。警察立ち合い時も含め、スマートフォンのボイスレコーダー機能などで音声を記録しておくと、後々の助けになります。

5. 契約している保険会社への連絡
双方の事故当時者は、契約している保険会社(保険代理店)に状況を報告します。事故発生直後は、100%確実に“もらい事故”といえるのかどうか、まだ確実に判断できかねる状況のはず。その前提で、まずは状況報告だけを行います。今回のテーマである弁護士費用特約を含め、双方が契約している自動車保険でどのような対応・補償がなされるのかは、後日通知されることになります。

6. 身体へのダメージの確認
事故時は、大きなダメージがなくとも病院での状況確認をおすすめします。たとえ一見無傷でも翌日以降に体に異変・痛みが生じるケースも少なくはありません。後遺症をともなう可能性もあり、早期の受診が望ましいといえます。

7. 加害者との示談交渉
事故の内容がいわゆる“もらい事故”=過失割合は相手が100%となった場合、被害者は保険会社に示談交渉を依頼することができず、自ら、または代理の弁護士が交渉することになります(その際、自動車保険の弁護士費用特約に加入している場合は、弁護士費用の負担について補償が受けられます)。いずれにせよ、過失と賠償についての合意を目指して示談を行い、話がまとまれば賠償金が支払われることになります。

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6.まとめ

  • 自動車保険の弁護士費用特約とは、交通事故に関して発生する弁護士費用(相談料・示談費用・成功報酬・裁判費用など)を補償する特約です。
  • 数千円程度の特約追加費用で、さまざまな弁護士費用がまかなわれる点がメリットとされています。
  • 弁護士費用特約は、若年ドライバーを含む契約者の家族が運転しているときに発生した事故についても適用されます。

以上、弁護士費用特約についての理解が深まったら、「評判のいい保険会社・保険サービス」をチェックし、自分に最適な自動車保険を選びましょう。その際は、3983人の本音が聞ける「自動車保険 満足度ランキング」の記事が役立つに違いありません。

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1962年創刊の自動車専門誌『CAR GRAPHIC』のインターネットサイトとして、1998年6月にオープンした『webCG』。ニューモデル情報はもちろん、プロフェッショナルによる試乗記やクルマにまつわる読み物など、クルマ好きに向けて日々情報を発信中です。

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