萌えアニメ、コナン、べるぜバブ…スタジオイースター社員3人が“アニメ村”ルールを告発 時給250円、サビ残徹夜、退職強要…
左から原告の猪鹿倉(いがくら)智幸氏(実名、30代前半)と陳盈如(えいじょ)氏(実名、20代前半) |
- Digest
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- 「サインしないと休めません」
- 「時給250円」研修時→「月15万円」研修後
- 1人部署に飛ばされ、業務指導書連発、懲戒処分で解雇寸前
- 3200万円強の賠償求め提訴
- アニメ業界のなかではいい方
「サインしないと休めません」
スタジオ・イースターは1985年に設立。本社は東京都杉並区内で、韓国支店と合わせ、計約95人の社員がいる。原告によると社長の東潤一氏は、アニメの背景の絵描きとしては大御所で、「社長を親方とした徒弟制のような会社」という。
アニメの背景を手掛ける会社としては、日本で制作するアニメの約1割のシェアを占める。例えば最近の作品では、『えびてん』『名探偵コナン』『PSYCHO-PASS』『好きっていいなよ。』『トータル・イクリプス』『べるぜバブ』といったテレビアニメを手掛けている。
同社のアニメ部門は、「背景」「仕上げ」「撮影」の3つある。
「背景」とは、アニメの背景の制作。美術監督の指揮の下、約40人の背景スタッフがいる。
「仕上げ」とは、アニメのキャラクターなどに色を塗ること。同社では約10人が従事している。
「撮影」とは、背景、仕上げを終えたデータを合成、加工する部署。スタッフは約7人。
ほかに、マネジメント部門やシステム部門などがある。
原告の猪鹿倉(いがくら)智幸氏(実名、30代前半)は、もともとコンピュータグラフィックスのキャリアを積んできた人物で、アニメの会社に入るのは、スタジオ・イースターで2社目だった。アニメ業界に入った理由を、こう語る。
「ちょうど時期的に、CGをアニメでもどんどん使い始めていたので、アニメ会社に一回入って勉強してみようかな、という思いで、前の会社に入りました。でも、経営が難しくなる中で、偶然、スタジオ・イースターのチーフに声を掛けられ、手伝ってほしい、ということで、入社しました」
こうして09年12月14日、入社した。部署は撮影部だった。しかし、入ってみると、「前のアニメ会社と比べても、労働条件がメチャクチャでした」という。
スタジオ・イースター本社(同社HPより)、東京都杉並区本天沼にある |
入社前の説明では、勤務は朝10時から始まり、夜7時に帰社、と聞いていたが、実際は、朝9時過ぎから夜9~10時まで作業することが多かった。徹夜の日もあったという。
猪鹿倉氏は、前の会社では月収23~25万円程度だった。スタジオ・イースタでは、28万円になった。しかし、前の会社は隔週で週休2日の週があったが、ここでは週休1日。サービス残業も多く、多少給料が上がっても割に合わなかった。
しかも、入社当初から、原画やレイアウト用紙を「スキャナーで大量にスキャンする業務」を長時間させられた。これは専門のグラフィックスの作業とはかけ離れた、過酷な肉体労働だった。
そのスキャナーはA3もとれる業務用のスキャナーで、2~3kgもあるフタを、ひっきりなしに上げ下げして開閉しなければならなかった。
「アニメーションのスキャンの素材は、カット単位といって、カット毎に束になっています。それを開けて、1枚1枚スキャンしなければならない。自動スキャンはできません。大きさがA3、A4などバラバラでテープでつないである素材も多いので、自動だと紙詰まりになってしまう」(猪鹿倉氏)
納期にも追われた。
「とにかく、急がないと終わらないんです。そもそも前の会社は、せいぜい10~20カットでしたが、ここでは、数百カット。仕事量が10倍以上になりました。それに、前の会社では、長時間になる場合は、ローテーションをしていましたが、そうした配慮もありませんでした」(猪鹿倉氏)
こうして入社から3か月後、身体に異変が起きた。スキャナーのフタを持っていた左腕と左肩、そして首がしびれるようになり、徐々に悪化して、歩くのさえ困難になってしまったのだ。起き上がれなくなり、ほとんど寝たきりの状態となったため、病院に行くと、「頚椎症」と診断された。やむを得ず、上司にこう申し出た。
「2週間、会社を休みます」
すると、上司はこう言ったという。
「『2週間で会社に復帰できないようであれば、退職します』という紙にサインをしないと休めません
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原告の山田徹氏(実名、40代後半)
立て続けに発した業務指導書3枚と懲戒処分書
会社に対する要望書とビラ
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スタジオ・イースター関連の記事はブクマしてなかったか/当時でまとまってる記事はどのへんだろうな。
アニメ業界はこういうのを業界全体でなんとかして改善しないといかんと思うのだが、外側から見ている限りは不可能にしか思えないのがなんとも…。
クールジャパンのクールって「冷酷」か。こういうことをやればやるほど経営者が損をする仕組みって作れないのかね。
おわー
アニメの現場はどこも一緒だよな…本来、こういった文化は国から援助が出ないとおかしいと思う。
ほほう
背景やら仕上げやらか…
「アニメーションのスキャンの素材は、カット単位といって、カット毎に束になっています。それを開けて、1枚1枚スキャンしなければならない。自動スキャンはできません。自動だと紙詰まりになってしまう」
『PSYCHO-PASS』妙に納得してしまった訳ですがw
先日のサイコパス全部作り直すって言っちゃってたけど、末端で働くアニメーターの苦しみとか考えずに上が決めた事なのかな…
悲しい気持ちになる。
へー、えびてんはこうして作られてたんだ。非会員部分しか読んでないけど
ゴーストスイーパーかよ(´・ω・`)
叩かれてる弱いもの(会社)がさらに弱いもの(アニメーター)を叩く末期的構図。クールジャパン促進とか言ってるけど、こういう末端をどうにかしないと、上部が吸い取って終わるだけだろうな。
アニメ村過酷労働は改善されてほしいね。
萌えアニメ とは
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読者コメント
過重な業務の疲弊度は外から見えません。VDT作業に関するガイドラインというのがありますが、強制力や罰則が無いという現状が多くの悲劇の元凶ではないかと思います。頚椎症という診断だそうですが、頭痛、めまい、自律神経失調症が起こる頚性神経筋症候群という疾患もあります。 原告の方が元気になることを願っています。
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