多くのビジネスパーソンが一度は真剣に考える「英語の勉強」。将来に向けての投資として、長年勉強している人も多いでしょう。しかし、いまだに英文に対する苦手意識を持っていて、英語のメールを見るたびにストレスを感じる人も多いのではないでしょうか? 今回は、そんな英文嫌いな人がスラスラ読めるようになるとっておきのコツをお伝えします。

実践で一番多く使うのは「リーディング」

まず、悲しい現実に向き合いましょう。語学学習における4つの技能である「リスニング」「スピーキング」「リーディング」「ライティング」のうち、学習法としてハードルが低いのは目の前にある英語を読んでいく「リーディング」です。

実践で使う技能も「リーディング」が一番多いことがTOEIC(R)テストを運営するEducational Testing Service(ETS)の調べて明らかになりました。普段英語を読む機会が多い人でも、「1つの1つの文章を読み返してしまう」「わからない単語が多すぎる」「気がついたら辞書を読んでいる」といった要因やクセを持っている人は、英文に対する苦手意識を持っている可能性が高いです。

141029english2-1.jpg※出典:TOEICテスト Worldwide Report 2013より抜粋

世界のTOEIC公開テストおよびIPテスト受験者を対象にバックグラウンドアンケートを実施。実施期間は2013年1月〜12月。

「The TOEIC Background Questionnaire」の対象者総合計5,280,037人のうち、最も重要視する能力に関する回答数4,282,290人、最も使用する能力に関する回答数は4,248,732人。

単語を調べる手間を大幅に省く「マウスオーバー辞書」

では、どうやったら苦手意識を克服して、ストレスなく英文を読み進めていけるのでしょう? 一番よく聞くのは「オンライン英和辞書」を使って、調べながら読んでいく方法です。ただ、ウェブサイトを行ったり来たりして調べる必要があってちょっと面倒と思う人も多いでしょう。

そんな手間さえ省いてしまうのが「iKnow! ポップアップ辞書」のようなマウスオーバー辞書です。一番のメリットは、オンライン辞書を使う際のコピペの手間が一切省けることです。閲覧中のサイトから辞書サイトへ移動する必要がなく、瞬時に単語の意味が分わかるので英文を読むことだけに集中できます。

この辞書には日常会話の95%をカバーする基本単語4,000語をはじめ、ニュース英語、ビジネス英語などカテゴリーごとに監修された「iKnow!」英語学習コンテンツ1万8,000語を含む使用頻度の高い語彙ばかりが収録されています。また、iKnow!ポップアップ辞書は他の辞書と違い、めったに使われない定義が省かれてるところもポイントです。マウスオーバーした時に一度にたくさんの意味が表示されないので、混乱しないでスムーズに読み進めることができます。頻出の意味だけを効率よく知ることができるので、ボキャブラリーを増やしたい人にとっても好都合です。

発音が気になる人は音声を聞くこともできます。Chrome拡張機能をこちらからダウンロードしたら、アドレスバーのとなりのフクロウアイコンをクリックして、オン・オフが切り替えられるのも便利。

また、英語学習サービス「iKnow!」をすでに使っている人なら、サービスの連携もできるようになります。オンラインで英文を読んでいて「これは覚えておきたい」という単語に出会った時、後で「iKnow!」で学習できるように登録できたら便利ですよね。この機能、2014年の年末には実装される予定なので、気になる方はチェックしてみてください。

単語の意味がわかれば、リーディングの苦手意識は大幅に減る

とにかく構文のことは考えずに左から右へ目を動かし、わからない単語は即座にマウスオーバーして意味を調べて読み進めると、文脈に関連したボキャブラリーに慣れてきます。実際のところ、意味がわかるだけで苦手意識はかなり克服できます。英語のニュースやストーリーを数多く読んでみましょう。

インターネット上には英語のウェブサイトがたくさんあるので、好きなテーマの記事も簡単に見つかります。そのテーマに絞るのもよし、「Voice of America Learning English」のように非ネイティブ向けに基本的な単語だけを使い、わかりやすい平易な表現で書かれた海外ニュースサイトで多読を実践するのもよいでしょう。

インターネットを英語学習に活用するメリットは、教科書や問題集などのように、決められた学習メニューに縛られる必要がないところにあります。問題集を解くことはできても、実際に世の中で使われる生の英語と隔離していては元も子もありません。好きなトピックに絞って英語のサイトにアクセスすれば関連する表現なども自然に吸収できるし、あきてしまうこともなくなるでしょう。

読む時はその場でわからない単語を覚えようとはせず、読むことに集中することが気軽に多読を楽しむポイントです。どうしても覚えたい単語だけ学習するくらいの軽い気持ちで、まずは読み始めてください。

英単語は文脈で覚えたほうが記憶に残る

また、多読のよさについては、「英語を読むことがボキャブラリー習得につながり、より長期的に覚えることができる」という仮説に対して、さまざまな調査および実験が行われ、立証されてきました。インド国立工科大学(National Institute of Technology)で行われた調査では、単語そのものをひたすら学習するよりも文脈から単語を覚えた方が、実践で使える語彙力が身につくことが実証されています。

この調査は、文脈から語彙を学ぶことを意識しながら英文の短編を読む生徒26人(実験グループ)と、短編に含まれる単語を辞書どおりの意味で覚える23人(比較グループ)の生徒に分けて、どちらの方法がより効率良く語彙習得ができるかを調べたものです。作業の前後で、単語の意味を書くテストと文章の中で特定の単語を使えるか、という2つのテストを行った結果に基づいています。

この調査はインド国立工科大学の1年生の中で英語力がほぼ同じレベルの49人を対象に実施されました。この生徒たちと同等の英語力と想定される別の生徒7人に、実験で使う「The Chinese Statue (Archer, 1998)」という英語の短編を読んでもらい、テストに使う特定の単語を選びました。馴染みのない単語が51個、中でもとりわけ難しい単語16個が選定されました。学習効果の比較をするため、それぞれの難しい単語が少なくとも2回以上出てくるよう短編を編集しました。

事前テストでは、51の単語のうちテスト用に選んだ20の単語の意味を書けるか、それらの単語を文章の中で使えるかという2つのテストを実施。その後に、実験グループは編集された短編を読み、比較グループは51の馴染みのない単語の意味を覚える作業を60分間行いました。事前テストと同じテストを事後でも行った結果、単語の意味を書くテストでは実験グループは5.92ポイント、比較グループは3.52ポイント、平均値がアップしました。そして、学習した単語を文章の中で使うテストでは、実験グループは6.73ポイント、比較グループは0.57ポイント、 アップしました。この結果で、英単語は文脈で覚えたほうが記憶に残ることが実証されたというわけです。

141107reserch.jpg(Wikipedia「標準偏差

(※1)R. Joseph Ponniah 2011. Incidental Acquisition of Vocabulary by Reading, The Reading Matrix, Volume 11, Number 2, April 2011 (pp.135-138), http://www.readingmatrix.com/articles/april_2011/ponniah.pdf

文脈と言葉の意味を意識しながら英語の短編を読んだ実験グループが、習得した単語を文章で使うことが出来たのは、単語だけではなく文法も文脈から吸収していたからです。

英文を読むことは、単語そのものの意味だけではなく、文法も文脈から吸収する助けになります。単語を理解して長く記憶に留めておくには、さまざまな文脈でその単語に触れることが必要であり、語彙力強化には効果的なのです。

英文が読めることも立派な英語スキル

一般的に英語学習というと、英会話能力のことを指していることが多いです。ただ、実際の仕事で必要とされる能力は意外にも「リーディング」なのです。まずは、「iKnow! ポップアップ辞書」を使って英文をたくさん読んでみてください。自分が興味のある文章なら、どんどん読みたくなっているのに気づくでしょう。リーディングの楽しさを知れば、英語力はグングン上がっていくはずですよ。

iKnow! ポップアップ辞書|Chrome ウェブストア

(大嶋拓人)