毎日の暮らしに癒やしをくれるペットたち。生きがいや張り合い、責任、連帯感とさまざまな感情をくれる存在でもあります。

家族の一員として大切にするなかで、オーナーのペットの健康に対する意識は高まるばかり。一方で、ペット業界やペットを取り巻く環境には課題も山積しています。

そんななか、2024年11月24日(日)に日本最大級のキャットショー「Japan Cat Show 2024」が開催。キャットショーと聞くと、美しさを競う猫たちの祭典というイメージが湧きますが、実はさらに深い目的や意義があるのです。

ロイヤルカナンがキャットショーを開催する理由

2019年に第一回を開催し、コロナによる開催自粛の期間を経て、今回で4回目の開催となった「Japan Cat Show 2024」。出陳頭数(出場する猫の数)は国内最大規模で、日本各地より純血種のショーキャットたちが集合します。

「Japan Cat Show 2024」のオープニングセレモニーで挨拶をするロイヤルカナン ジャポン合同会社社長・日下部真一さん
「Japan Cat Show 2024」のオープニングセレモニーで挨拶をするロイヤルカナン ジャポン合同会社社長・日下部真一さん

主催するのは、栄養学に基づいて犬と猫の健康を実現する企業としてプレミアムペットフードおよび食事療法食を展開する「ROYAL CANIN(ロイヤルカナン)」。

フードの開発・提供はもちろん、獣医師や愛玩動物看護師、ブリーダー、ペット専門店といった犬と猫の専門家との連携を通じ、「ペットのためのより良い世界」の実現を目指しています。

オープニングセレモニー直後から、広い会場のなかでひときわ賑わっていたのは、ロイヤルカナンのブース。

「まもる」をテーマに、ライフステージによって変わる愛猫の健康維持のコツや、地震や自然災害から猫を守る防災対策を紹介したほか、専門家にフードのことを相談できるコーナーまでが用意されていました。

来場者が投票するフォトコンテストや、メインステージでは専門家によるセミナーも開催。

愛くるしいショーキャットの写真を自分のスマホに収めたり、講師の話に真剣に耳を傾けたりする来場者の様子に、猫への関心の高さと愛情の深さがうかがえました。

そして、このイベントの見どころは何といってもキャットショー。世界的に由緒ある血統書登録団体「CFA(シーエフエー)」と「TICA(ティカ)」によるものです。

血統書とは、血統登録された同一猫種(犬種)の父母から生まれた子猫(子犬)に与えられるもので、純血であることを証明するものです。「CFA」と「TICA」は、世界でもっとも信頼できる2大団体として知られ、健康な純血種の猫が持つ美しさを広めるためにキャットショーや純血種の保全、勉強会などの活動を行なっています。

この日は会場にトップクラスのショーキャット232頭が集結し、その魅力を競いました。

ジャッジと呼ばれる審査員が、一頭一頭を慣れた手つきで観察。種類によって異なる猫の特徴や審査ポイントを説明しながら進めていくので、猫を飼っていない人や初めてキャットショーを訪れた人でも十分に楽しむことができます。

大勢の人を前に、堂々としているショーキャット。人前で緊張や興奮をしないように練習をしてショーに臨む猫もいるそうです。

ペットの「真の健康」を実現したい

それにしても、なぜプレミアムペットフードメーカーであるロイヤルカナンが、このような大きなキャットショーを開催するのでしょうか。その目的とは? ロイヤルカナンの日下部社長にお話を聞きました。

日下部(くさかべ)真一さん<br>ロイヤルカナン ジャポン合同会社社長。NEC、ニュージーランド航空、メットライフ生命などの多岐にわたる業界でマーケティング、デジタル、事業開発などに携わり、2019年にロイヤルカナン ジャポンに入社。デジタルとブランディングのマーケティングを統括する責任者として事業の成長に貢献。2024年8月より現職。
日下部(くさかべ)真一さん
ロイヤルカナン ジャポン合同会社社長。NEC、ニュージーランド航空、メットライフ生命などの多岐にわたる業界でマーケティング、デジタル、事業開発などに携わり、2019年にロイヤルカナン ジャポンに入社。デジタルとブランディングのマーケティングを統括する責任者として事業の成長に貢献。2024年8月より現職。

このイベントを通じて、まずお伝えしたいのは正しい情報です。世の中にはさまざまな情報があふれていますが、少なからず誤った情報や偏った見解もあります。我々は栄養に対する知識や知見を、ペットオーナーの皆さんにどう届けていくかを1つの課題とし、取り組みを行なっています。その1つがこのキャットショーです(日下部さん)

CFAやTICAと協働するのはキャットショー実施のためだけではありません。歴史あるこの2大血統書登録団体は、猫のプロ中のプロ。それぞれの猫種に最適な飼育やフードなどに対する幅広い知見を持っています。

ロイヤルカナンがこれらの団体やブリーダー、獣医療業界、ペット関連企業などのパートナーと協力しながら目指すのは、猫や犬の「真の健康」の実現

猫や犬の「真の健康」とは、「病気ではない」ということではないのです。病気ではないからといって真に健康であるとは言えません。キャットショーを通じてお伝えしたいのは、品種本来の美しさや目の輝き、毛艶や毛並みの良さ、身のこなしの美しさ。そのような生き生きとした猫の姿です(日下部さん)

また、そのような真の健康を体現する猫を紹介する場を広げることで、「猫に真摯に向き合いながら活動を続ける優良なブリーダーの支援になる」と日下部さんは話します。

ロイヤルカナンをもっと知る

すべてが猫のウェルビーイングにつながる

田崎尚枝さん<br>TICA アジアイーストリジョンディレクター。アメリカン・ショートヘア、デボン・レックス、ノルウェージャンのブリーディングを経て、キャットショーでのジャッジとなり、海外のショーからも招待を受ける。2023年より現職、2024年にTICA Judge of the yearを受賞。
田崎尚枝さん
TICA アジアイーストリジョンディレクター。アメリカン・ショートヘア、デボン・レックス、ノルウェージャンのブリーディングを経て、キャットショーでのジャッジとなり、海外のショーからも招待を受ける。2023年より現職、2024年にTICA Judge of the yearを受賞。

「その猫が持つ本来の美しさはもちろん、ブリーダーの腕の見せ所であるグルーミング(シャンプーなどの手入れ)にも注目してほしいですね。日本のグルーミング技術は世界的にも優れているんですよ」と語るのは、ブリーダーやジャッジとして豊富な経験を持つTICAアジアイーストリジョンディレクター・田崎尚枝さんです。

10年ほど前にも同じ役職を経験した田崎さんが、ここ数年で感じているのはペットを取り巻く環境の変化

ペットを飼う方が増えることは、ブリーダーとしてとてもうれしいことなのですが、正しい知識を持たないペットオーナーさんが少なくないというのは感じています。

それはブリーダーも同じで、新しいブリーダーへの教育が追いついていないのも課題です。以前は新しいブリーダーには先輩ブリーダーが手取り足取り教える、そんな受け皿があったものです(田崎さん)

正しいブリーディングの知識を持たずに交配させた結果、尻尾が棒のように硬くなってしまったり関節に問題が生じて歩行が困難になってしまったりして、生まれてきた猫がつらい思いをすることになる、と田崎さん。血統の保全には、猫のウェルビーイングを実現するといった意義もあるのです。

猫は種類によって体質も違えば快適と感じる環境も違います。摂るべき栄養も異なります。そこで新しいブリーダーの学びの機会として、ロイヤルカナンの勉強会や栄養セミナーをすすめることもあるそうです。

そしてもう1つ、課題と感じているのが「ブリーダーが正しく評価され、適正にビジネスが行なえる環境づくり」

そういった点からしても、このJapan Cat Showは、猫に関わるあらゆる人たちがつながり、知識と経験を共有し合い、新たなリレーションを構築できる場。ブリーダーへの正しい評価を後押しするものと期待しています(田崎さん)

ペットやペットオーナーも含めた「業界全体」で

田村朱紀さん<br>CFA ジャパンリジョナルディレクター、CFA オールブリードジャッジ。10歳のときに猫を迎え、母親と訪れたキャットショーで見たジャッジに憧れ、1998年に日本最年少でCFAジャッジとなる。2024年6月にCFA ジャパンリジョナルディレクターに就任。
田村朱紀さん
CFA ジャパンリジョナルディレクター、CFA オールブリードジャッジ。10歳のときに猫を迎え、母親と訪れたキャットショーで見たジャッジに憧れ、1998年に日本最年少でCFAジャッジとなる。2024年6月にCFA ジャパンリジョナルディレクターに就任。

「ショーキャットも公園でひなたぼっこをしている猫も、みんなかわいい」と話しながら目を細めるのは、CFA ジャパンリジョナルディレクター・田村朱紀さん。10歳のときにキャットショーのジャッジになると決め、英語の勉強をしてアメリカへ渡り、ジャッジを学んだという経歴の持ち主です。

この「Japan Cat Show 2024」で、CFAとTICAが一緒にイベントを盛り上げるということに大きな意義があると話す田村さん。この2大団体が手を取り合ってショーを開催することは世界的にも稀なのだそうです。

このことからも、ペットの真の健康のためには境界線を引かずに業界全体で協力して取り組んでいこうというロイヤルカナンさんの熱い思いを感じます。

このような場の提供や栄養の知見の共有をしてくださることはもちろんですが、私どもブリーダーから学びを得たいという謙虚な姿勢もお持ちです(田村さん)

来場者の皆さんに、キャットショーのどこを見てほしいと思うかをたずねると、「こんなにかわいい猫がたくさんいるということを知ってほしい。その背景には、愛情をもって丁寧に育てているブリーダーという存在があるということまで感じていただけたらうれしい」と田村さん。

血統書登録団体であるCFAとしては、スタンダードといわれる基準を維持することに重きを置いていますが、一般の来場者様は「こんなにかわいい猫がいるんだ、身のこなしがきれいだな」とお気に入りの子を見つけてファンになっていただけたらうれしいです。

先ほどからお話ししている「業界全体」とはペットオーナーさんやこれからオーナーになる方も含めると思っていますので(田村さん)

ペットを取り巻く健全なエコシステムの構築を

Image: ロイヤルカナン
Image: ロイヤルカナン

最後に、日下部社長に今後の展開について聞きました。ロイヤルカナンが掲げるパーパス(存在意義)とは?

栄養学に基づいて、犬と猫の真の健康を実現することにより、「ペットのためのより良い世界」をつくることが我々のパーパスです。フードを提供しているだけではペットの「真の健康」を実現することはできません。

そこで力を入れたいのが、ペットを取り巻く健全なエコシステムの構築です。自社だけが成長するのではなく、企業や団体を含め、ペットを取り巻くすべての人々が手を取り合って成長し、ペットやペットオーナーの幸せをつくる。その結果、企業の発展にもつながるというビジネスモデルです。みんながともに成長、発展していく──そんなペット業界をみんなでつくりたい。この思いは絶やさず、働きかけつづけたいですね(日下部さん)

同じゴールを見据えてペットやペットオーナーの幸せのために手を取り、ペットの「真の健康」を目指す。そうすることでペットを取り巻くすべての人々が発展し、みんなが幸せになる。そんな理想に近づく手段の1つとなるのが「Japan Cat Show」。

来場者もロイヤルカナンが目指す健全なエコシステム構築の一端を担うことができるこのイベントに、次回はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

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Source: ロイヤルカナンCFATICA/Photo: 鈴木真弓