令和5年後期「社会的養護」の考察です。(問題
問題構成はこのようになっており、右の数字は資料等をもとに調べた答えです。

1

法律

「児童福祉法」

4

問2

指針

「里親及びファミリーホーム養育指針」

4

3


社会的養護に関わる専門職

3

4


社会的養護の地域支援

2

5


「社会的養育の推進に向けて」

4

6

指針

「児童養護施設運営指針」

4

問7

指針

「児童養護施設運営指針」

3

問8

小規模住居型児童養育事業

4

問9

法律

3

10

事例

4


(感想)
「児童養護施設運営指針」(問6、問7)、「里親及びファミリーホーム養育指針」(問2)、「児童福祉法」第1条~第3条(問1)、里親支援専門相談員の配置(問3)、ファミリーホーム(問8)と定番の出題も多かったですね。
細かいところでは、里親支援専門相談員と家庭支援専門相談員の違い(問5)や、里親養育包括支援業務(フォスタリング)にファミリーホームが含まれること(問8)、母子生活支援施設は措置ではなく申し込みによる入所であること(問9)の知識が求められました。


問1  「児童福祉法」

児童福祉法
1× 児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負うのは「国及び地方公共団体」ではなく「児童の保護者」です。(第2条第2項)
2× 正しくは、「国及び地方公共団体は、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援しなければならない。ただし、児童及びその保護者の心身の状況、これらの者の置かれている環境その他の状況を勘案し、児童を家庭において養育することが困難であり又は適当でない場合にあつては児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう、児童を家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合にあつては児童ができる限り良好な家庭的環境において養育されるよう、必要な措置を講じなければならない。」ですね。(第3条の2)
3×正しくは、「全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。」ですね。(第1条)
4〇(第2条第1項)
5× 「都道府県」ではなく「市町村」です。(第3条の3第1項)

問2 里親及びファミリーホーム養育指針

里親及びファミリーホーム養育指針
「里親及びファミリーホーム養育指針」は令和3年後期、令和4年前期、令和4年後期と続けて出題されています。
今回は5ページの「里親・ファミリーホームの理念」からの出題でした。

A × 家庭的養護ではなく「家庭養護」です。 
B × 社会的な責任に基づいて提供される養育の場です。
C〇
D〇


問3 社会的養護に関わる専門職

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準
家庭支援専門相談員、里親支援専門相談員、心理療法担当職員、個別対応職員、職業指導員及び医療的ケアを担当する職員の配置について

A 〇
B × 里親支援専門相談員を配置する施設は、里親支援を行う児童養護施設及び乳児院です。
C 〇
D × 被虐待経験の有無に関わらず個別対応職員の配置は義務です。

問4  社会的養護の地域支援

A 〇
B × このような規定はありません。
C × このような規定はありません。 
D 〇 「児童福祉法」第48条の2の規定です。
「乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、児童心理治療施設及び児童自立支援施設の長は、その行う児童の保護に支障がない限りにおいて、当該施設の所在する地域の住民につき、児童の養育に関する相談に応じ、及び助言を行うよう努めなければならない。」


問5 社会的養育の推進に向けて

社会的養育の推進に向けて(令和4年3月)すべて197ページの記述です。
A ×「施設長及び里親等は、入所・委託児童やその保護者に対し、関係機関と連携しつつ、親子の再統合等のための支援を行わなければならない。」
B ×「親子関係の再構築等の家庭環境の調整は、措置の決定・解除を行う児童相談所の役割である」
C 〇
D × 「里親支援専門相談員」ではなく「家庭支援専門相談員」です。
E 〇

問6 児童養護施設運営指針

「児童養護施設運営指針」すべて退所に関する記述で、15~16ページからの出題です。
A × ケース会議を開催し、子ども本人や保護者の意向を踏まえて、児童相談所や関係機関等と協議の上、適切な対処時期や退所後の生活を検討します。
B 〇
C 〇
D 〇

問7  児童養護施設運営指針

「児童養護施設運営指針」10~13ページからの出題です。
A  〇
B × 「性をタブー視せず、子どもの疑問や不安に答える。」
C 〇
D × 「行事などの企画・運営に子どもが主体的にかかわり、子どもの意見を反映させる。」

問8 小規模住居型児童養育事業
小規模住居型児童養育事業(ファリーホーム)実施要綱
里親養育包括支援(フォスタリング)事業実施要綱
からの出題です。

A × このような規定はありません。
B 〇「本事業の支援対象は、里親等及び委託児童等とし、委託解除後の自立支援も含む。」としています。「里親等」とは里親とファミリーホームを指します。
C 〇「2人の養育者及び1人以上の補助者を置かなければならない。」としています。

 
問9 入所・委託措置

「児童福祉法」第27条第1項第三号に、都道府県の措置として「児童を小規模住居型児童養育事業を行う者若しくは里親に委託し、又は乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設若しくは児童自立支援施設に入所させること。」と規定しています。

また、資料社会的養護の仕組みの特徴の1~2ページ目がわかりやすいです。
母子生活支援施設は、利用者の判断が可能なため措置制度ではありませんが、支援等の観点から行政への申し込み決定の仕組みをとっています。

問10 事例

Z君は関係がありませんので、1と2は誤りとわかりますね。
また3と5も不適切な対応といえます。
4のライフストーリーワークとは、子どもが自分の生い立ちを理解するための支援であり、これまで関わってきた人や物などを写真や絵、文章でまとめるものです。
それによって、子ども自身が自分の人生を肯定的に受け止められるようにすることを目的としています。
児童福祉施設や児童相談所の職員、里親が行います。

以上、令和5年後期「社会的養護」の考察でした。