これはもうハリウッドも顔負けの究極ミッションですね!
現在、ハッブル宇宙望遠鏡の最後の補修ミッションへと挑んでいる、スペースシャトルの「アトランティス」ですけど、もし機体に万が一の損傷などが発見され、修復不能の状態であることが判明した時は、かつてなく危機的な緊急事態に見舞われちゃうのって、ご存じでしたか?
まぁ、宇宙計画に危険は付き物なんでしょうけど、これまでの大抵のケースでは、たとえスペースシャトルに何かが生じたとしても、取りあえずは国際宇宙ステーション(ISS)へと退避して、いろいろ必要物資の補給なんかも受けながら、なんとか帰還策なんぞを考えればよかったのですが、今回のミッションだけは、機内から、同じく地球を周回する国際宇宙ステーションを目にすることはできるものの、残念ながら、どうがんばったとしても、たどり着くことはできないんだそうです。
そこで、すでに緊急事態に備え、準備万端の別のスペースシャトル「エンデバー」が、前代未聞の救助ミッションへと向かうことになっております。ただし、この救助内容が、手に汗握る興奮を誘う、脅威の難易度のミッションなんですよね。ではでは、続きにて、もしかすると数日以内に現実のものとなるかもしれない、驚愕のアトランティス救出劇の全貌をご覧ください。
順調にミッション遂行を続けるアトランティスを、こんなふうにケネディー宇宙センターで仲良く発射台に並び、地上から見送ったエンデバーが、緊急命令で直ちに打ち上げられることだってあるかもしれません。すでに打ち上げ時に、外部燃料タンクの断熱材が一部ですが剥がれ落ちてしまい、若干の損傷が確認されてしまったアトランティスですけど、取りあえず、現状のままであれば問題はないとの判断のようです。でも、もしも耐熱システムなどに深刻な損傷が生じて、地球へ帰還不能な状態にまで陥ったなら、最初で最後となる、まさかのエンデバーによる救出ミッションがスタートしますよ。
いざ、超スピーディーに発射準備を整え、地上から打ち上げられたエンデバーは、宇宙空間でアトランティスに対して、上図のような背中合わせのスタイルで、わずか75フィート(約23メートル)の距離まで接近します。ちなみに、NASAは、これまで40年以上もの間、ここまで至近距離に2機の宇宙船を近づけるミッションを遂行したことはないんだとか。
無事に接近姿勢で静止したなら、そのままエンデバーからは、ロボットアームが伸びていき、アトランティスをキャッチ! アトランティスの7名の乗組員は、このロボットアームが、最後の命綱になるということですね。
なんといっても、アトランティスには、7名全員が宇宙遊泳を行い、エンデバーへと一斉退避してくるための宇宙服も必要機材も不足しています。そこで、まずはロボットアームでのドッキング後、すぐさまエンデバーから、ロボットアームをつたって、アトランティスへと必要な救援物資一式のお届けに向かいます。続いて、限られた時間しかありませんから、次々とエンデバーへと、またもやロボットアームづだいに船外活動で脱出! わずか数十メートルの距離を移動して逃げ延びるだけなのに、7人が皆で脱出を完了するため、どんなに早くとも丸2日はかかっちゃうんだそうですよ。
最後は、アトランティスを、オート操縦モードで太平洋上に落下するようにセットして見送ることになるようです。きっと7人のうち、アトランティスのスコット・アルトマン船長が、限りなく難易度の高い最後尾の脱出を引き受けるんでしょうね。
なんとか無事に全員が渡り終えて、エンデバーで地球に帰還する時に、ようやく全世界が大注目する救出ミッションのフィナーレを迎えることになります。もちろんこういう緊急事態にならないことがベストなんでしょうけど…。
やっぱり最後まで何が起きるかわかんないのが宇宙ミッションですから、ちょっとここ数日間は、アトランティスの動向から目が離せないって感じですよね。こちらのNASAの公式ページとかがお勧めでしょうか。
[MSNBC]
Jack Loftus(原文/湯木進悟)
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