広告費の概要

(1) 総広告費1.3%減、3年連続で減少

  1. 2010年(平成22年1-12月)の総広告費は5兆8,427億円、前年比98.7%、3年連続で減少した。
  2. 緩やかな景気の回復や企業業績の改善、バンクーバー冬季五輪、サッカーワールドカップ南アフリカ大会、上海万博等の国際的な大型イベントの開催や、エコカー補助金やエコポイントなどの景気刺激策のプラス要因があったものの本格的な回復には至らず、総広告費は前年実績を下回った。

(2) 媒体別広告費 ーマスコミ四媒体は1.9%減、衛星メディアが10.6%増、インターネットが9.6%増

  1. 新聞(前年比94.9%) マイナス幅は減少したものの、前年の衆議院選挙やエコカー減税などの景気刺激政策関連出稿の反動減などにより、前年に引き続きマイナスとなった。「化粧品・トイレタリー」「ファッション・アクセサリー」などが前年を上回ったが、「精密機器・事務用品」「自動車・関連品」「交通・レジャー」「官公庁・団体」などが大きく落ち込んだ。
  2. 雑誌(前年比90.1%) 「化粧品・トイレタリー」「趣味・スポーツ用品」など多業種が減少、「ファッション・アクセサリー」「家庭用品」「不動産・住宅設備」は前年を上回った。ジャンル別では「男性コミック誌」「ヤングアダルト男性誌」「育児誌」が前年を上回った。
  3. ラジオ(前年比94.8%) 「家電・AV機器」「外食・各種サービス」など伸長した業種もあったが、主要業種の「自動車・関連品」「交通・レジャー」が大きく落ち込んだ。
  4. テレビ(前年比101.1%) リーマン・ショックの影響もあり2009年に2ケタマイナスとなったが、2010年に入りスポット広告が徐々に活況を呈し始めた。番組広告は、スポットの好況を背景として、より安定的に優良枠を確保しようとする広告主が増加したことから10-12月ではほぼ前年並みまで回復した。「情報・通信」「化粧品・トイレタリー」など13業種で伸びた。
  5. 衛星メディア関連(前年比110.6%) BS放送がデジタルテレビの好調な出荷による視聴可能世帯の増加と、巨人戦ナイターなどの番組の増加や、地上波テレビと異なるM2・F2以上の視聴者向けの番組編成強化による視聴接触率の向上で、大手クライアント(消費財ハイエンド商品、耐久財、サービス)の新規出稿や出稿額の拡大を促進した。通販広告の出稿が引き続き好調に推移した。CS放送、CATVも伸長した。

日本の広告費(年別・媒体別前年比)

総広告費 媒体別前年比(%)
金額
(億円)
前年比
(%)
マスコミ
四媒体
  衛星メディア
関連
インターネット プロモーション
メディア
新聞 雑誌 ラジオ テレビ
メディア


2000年
(平成12年)
61,102 107.2 107.7 108.1 104.4 101.4 108.7 118.2 244.8 104.5
01年
(13年)
60,580 99.1 97.9 96.4 95.7 96.5 99.5 177.1 124.6 99.8
02年
(14年)
57,032 94.1 92.4 89.0 96.9 91.9 93.6 90.2 115.0 96.7
03年
(15年)
56,841 99.7 99.7 98.1 99.6 98.4 100.7 98.6 140.0 98.0
04年
(16年)
58,571 103.0 102.6 100.6 98.4 99.3 104.9 104.1 153.3 100.7
05年
(17年)
59,625 101.8 99.3 98.3 99.4 99.1 99.9 111.7 154.8 101.3
06年
(18年)
59,954 100.6 98.0 96.2 98.5 98.1 98.8 111.7 129.3 100.9

05年
(17年)
68,235 102.9 99.3 98.3 99.3 99.1 99.9 111.7 148.0 103.6
06年
(18年)
69,399 101.7 98.0 96.2 98.7 98.1 98.8 111.7 127.8 103.0
07年
(19年)
70,191 101.1 97.4 94.8 96.0 95.8 99.1 110.8 124.4 101.9
08年
(20年)
66,926 95.3 92.4 87.5 88.9 92.7 95.6 112.1 116.3 94.2
09年
(21年)
59,222 88.5 85.7 81.4 74.4 88.4 89.8 104.9 101.2 88.2
10年
(22年)
58,427 98.7 98.1
(27,749)
94.9
(6,396)
90.1
(2,733)
94.8
(1,299)
101.1
(17,321)
110.6
(784)
109.6
(7,747)
95.6
(22,147)

(注)2007年に「日本の広告費」の推定範囲を2005年に遡及して改定した。2010年の( )は広告費(億円)

  1. インターネット(前年比109.6%) 2009年に世界的な景気後退の影響を受けて成長が減速したものの、2010年には回復基調となり、媒体費は前年比111.5%と順調な拡大を遂げた。全般的な特徴として、ウェブ(PC)広告よりもモバイル広告の伸長率が高く、またバナーなどのディスプレイ広告に比べて検索連動広告の伸長率が高かった。広告制作費は、「携帯キャリア」「自動車」などのキャンペーンやエコ・CSRなどの制作は増加しているが、単価の低下傾向などで3.0%の伸びになった。
  2. プロモーションメディア(前年比95.6%) 減少幅は2009年(前年比88.2%)より改善したものの、3年続けて前年を下回った。前年を上回った「POP」を除く、「屋外広告」「交通広告」「DM」「フリーペーパー・フリーマガジン」「展示・映像ほか」がいずれも3年連続減となった。

(3) 業種別広告費(マスコミ四媒体) ―「情報・通信」「ファッション・アクセサリー」「化粧品・トイレタリー」「家庭用品」など8業種が増加

  1. 21業種中8業種の広告費が増加(前年は1業種のみ増加)。
  2. 増加業種は、「家庭用品」(前年比110.3%、家具、脱臭剤などの広告が増加)、「ファッション・アクセサリー」(同108.8%、婦人服、ジーンズ、紳士服などが増加)、「情報・通信」(同108.6%、インターネットサイト関連が大幅に増加)、「エネルギー・素材・機械」(同104.8%、電力、ガスなどが増加)、「化粧品・トイレタリー」(同104.4%、ヘアケア、メイクアップ化粧品などが増加)、「家電・AV機器」(同104.0%、テレビ、ブルーレイディスクレコーダーなどが増加)など8業種であった。
  3. 広告費が減った業種では、「官公庁・団体」(同85.6%、前年の衆院選関連出稿の反動)、「趣味・スポーツ用品」(同86.7%、ゲームソフト、パチンコ・パチスロ機などが減少)、「薬品・医療用品」(同89.4%、かぜ薬、胃腸薬などが減少)の3業種が2ケタの減少となった(前年は、14業種が2ケタの減少)ほか、あわせて13業種が減少となった。

2010年21業種のマスコミ四媒体広告費伸び率

2010年21業種のマスコミ四媒体広告費伸び率のイメージ