味の素グループでは、原料として使用する野菜等の安全性確保のため、残留農薬の確認とともに農薬管理を含めた農場全体の管理を徹底するように要請しています。
たとえば、味の素グループの中国の自社管理農場では、農薬の保管は「農薬庫」で厳重に管理されています。「農薬庫」の鍵は現地の農業指導者である「植保員」が管理し、また散布する適正量や散布する時期は、「植保員」の指導のもと、植物から農薬が自然に代謝されて基準値以下となる日数を換算し、安全を見極めたうえで実施しています。
収穫した野菜の残留農薬検査は、自社の厳しい基準と分析体制のもと、加工工場への納入時と包装後に行っています。さらに輸出前に中国政府の検疫機関による検査を受けています。
中国福建省アモイ市の自社管理農場
左:土壌の分析をしている様子 / 右:土壌サンプル
「味の素(株)食品研究所」「味の素冷凍食品(株)品質管理部」「アモイ味の素ライフ如意食品社」「連雲港味の素如意食品社」で、独自の自主的な分析体制を整え、管理の強化に取り組んでいます。
残留農薬の分析をしている様子
残留農薬とは、野菜などの食物に残存している農薬を指します。
ADI(一日摂取許容量)をふまえ、各食物ごとに残留基準が定められています。
野菜の栽培で利用される農薬は、害虫や雑草などの駆除、作物の成長の制御などを目的として散布されます。本来、散布された農薬は役割を果たした後、自然に分解されていくものです。
しかし、使い方によっては、まれに収穫された農作物に農薬が残ることがあります。
日本では2006年5月28日以前は、残留基準が定められた農薬のみを管理し、残留基準が定められていない農薬は規制の対象外とする「ネガティブリスト制度」を取っていました。
しかし、中国産ほうれん草をはじめ輸入野菜から基準を超える農薬が検出される事件が相次ぎ、残留農薬による健康被害に対する消費者の不安が高まり、規制強化が求められるようになりました。これを受け、2006年5月29日に、残留基準が設定されていない農薬が一定量(0.01ppm)を超えて含まれている場合、原則その流通を禁止する「ポジティブリスト制度」が施行され、より一層の安全性が確保されています。