魚食べ、海洋環境考える夜の水族館 クロダイやカマス、東京の団体が開催

閉館後の新江ノ島水族館で開かれた「Bistroえのすい」。飼育員らも料理を運んだ=2024年11月17日、神奈川県藤沢市
閉館後の新江ノ島水族館で開かれた「Bistroえのすい」。飼育員らも料理を運んだ=2024年11月17日、神奈川県藤沢市
  • 閉館後の新江ノ島水族館で開かれた「Bistroえのすい」。飼育員らも料理を運んだ=2024年11月17日、神奈川県藤沢市
  • 閉館後の新江ノ島水族館で開かれた「Bistroえのすい」
  • 「Bistroえのすい」で振る舞われた、相模湾の魚を使ったコース料理
2024年12月22日 17時03分

 持続可能な水産資源の利用や豊かな食文化の継承を目指す一般社団法人「シェフス・フォー・ザ・ブルー」(東京都渋谷区)が、水族館で魚料理のディナーを楽しむイベントを開催し、注目を集めている。団体によると、近年の海洋環境が抱える問題を身近に感じてもらうのが目的。(共同通信=樋口誓一郎)

 団体は2024年11月17日夜、閉館後の新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)でイベント「Bistroえのすい」を開いた。大型水槽の前に座席が用意され、朝に相模湾で水揚げされたクロダイやカマスなどを使ったコース料理が振る舞われた。参加者約50人は、100種類、2万匹ほどの魚が泳ぐ姿を眺めながら食事を楽しんだ。

 「目の前の食卓と海が直接つながっていることを実感する上で、水族館ほど適した場所はありません」。団体の佐々木ひろこ代表理事(53)はあいさつで開催意義を語った。水族館の飼育員らも料理を運び、シェフたちとトークコーナーに登壇。担当している生き物の話で盛り上げた。

 一方で海洋環境の悪化など近年のシビアな状況も紹介。地球温暖化の影響か、日本沿岸で過去には水揚げのなかった魚種が多く見られるようになってきたことや、産卵の場所や稚魚のすみかになる藻場が激減していることなどの説明があった。

 参加費は入場料込みで9千円。東京都在住の会社役員入江堅治さん(51)は「来なければ気付けないことが多かった。こういうイベントがもっと増えてほしい」と話した。

 団体では、水族館ディナーの他にも、未利用・低利用の魚を活用した商品開発などを手がけている。

 佐々木さんは水族館を「地域の海について学べる場。食文化に触れることを目的とした『ガストロノミーツーリズム』の観光資源としても活用できる」とし、各地でのイベント開催を目指している。

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