被災重なり遠のく帰郷 能登・珠洲の避難住民
2024年12月30日 00時00分
元日の能登半島地震で大きく崩れた山肌は、9月の豪雨でさらに広がっていた。「もうここに住むな。そう言われたみたいや」。11月初旬、石川県珠洲市仁江(にえ)町地区の左官業谷内謙一(やち・けんいち)さん(69)は、変わり果てた生家で嘆いた。硬い土が家屋を囲む。大量の泥水は豪雨から1カ月たっても、玄関前にたまっていた。
(共同=泊宗之)
*写真・記事の内容は、2024年11月までの取材を基にしています。
家に入ると、異臭が鼻を突いた。畳、ふすま、廊下…。部屋中に泥は染み込み家具が散乱する。地震での倒壊を免れ、修繕して住もうと考えていたが絶望的だった。裏口の窓からは基礎だけを残して倒れた墓石が見える。「地震よりひどい。ご先祖さまに申し訳ない」。谷内さんは頭を抱えた。
地区では地震による山崩れで9人が犠牲になった。県は崩落の危険が及ぶ20世帯を「長期避難世帯」に指定。対策工事が終わるまで居住を禁じ、9割が市外へ離散する。
谷内さんも発災後、県内外に避難したが、地元で仕事がしたいと3月に市内へ戻った。知人宅を借り、再び地区に帰れる日を夢見ていたところ、今度は雨が襲った。半数近くの家屋が流され、集落は壊滅の危機にある。
「土砂崩れが怖い」「もう戻れない」。区長の中谷久雄(なかや・ひさお)さん(69)の元に住民から不安の声が届く。地区内に建設予定の災害公営住宅には、8月時点で17世帯が入居の意向を示していた。しかし豪雨後は、安全面への不安などを理由に帰郷を諦める人が増えたという。
夕暮れ時、地震で隆起した海岸線の向こうに太陽が沈む。かつて住民が続々と集まり笑い合った場所は今、厚い土に覆われている。「少しずつでいい。一人でも戻る人が増えてくれれば」。谷内さんは遠くを見つめた。
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