小林恭子の英国メディア・ウオッチ ukmedia.exblog.jp

英国や欧州のメディア事情、政治・経済・社会の記事を書いています。新刊「なぜBBCだけが伝えられるのか」(光文社新書)、既刊「英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱」(中公新書ラクレ)など。


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ロンドンの暴動のこれまで

 ロンドン北部トッテナムで発生した暴動事件のこれまでをBBCが振り返る。

 現場の様子のビデオ:http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-london-14438109

 (状況は刻々と変わっているので、あくまでも概要を掴む意味で見てください。)

8月4日:午後6時15分。マーク・ダッガン(29歳)がトッテナムのフェリー・レーンで警察に射殺される。射殺は、警察の拳銃に関わる特別チームと「トライデント作戦」(アフリカ系及びカリブ海系コミュニティーでの銃による犯罪を処理することが目的)担当警官が、逮捕を実行しようとした中で、発生。

 ダッガンは、白タクの乗客で、弾に当たったものと見られている。警官が持っていた無線機が後で現場で見つかったが、これには銃弾がはまっていたという。

 警察苦情処理独立委員会(IPCC)が事件の捜査に乗り出すと発表。警察官が発射したのは2発であると述べる。

8月6日:日中、遺族がダッガンの遺体確認。

午後5時、トッテナム警察署の外に、抗議者約200-300人が集まる。「ダッガンと遺族のために『正義がなされるべき』」と要求する。警察は道路の一部を閉鎖。抗議デモは平和的に始まったという。

午後8時20分:警察署近くのパトカーなどに、デモ参加者が瓶などを投げつける。2台のパトカーのうちの1台が放火される。もう一台は道の中央に押し出され、これにも火がつけられた。デモ参加者と警察官らが衝突する。暴動を鎮圧するための機動隊や騎乗警官らが衝突を沈めようとするが、瓶、発火体、石などを投げつけられる。

 午後8時45分:ロンドン消防隊が連絡を受け、翌日(7日)午前4時半までにトッテナム地域の49の火災の処理に当たり、250の緊急コールを受ける。

 6日の午後10時45分:バスに火がつけられ、火炎瓶などが警察や関連の建物に投げつけられる。近辺の店舗も放火の被害を受ける。一部の店舗から窃盗行為も起きた模様。

 8月7日昼:消防隊がほとんどすべての火災を消す。警察に拠れば、暴動で傷を負った警官は26人。警官3人は病院で手当を受けている。これまで55人が逮捕された。

 BBCの取材に対し、下院議員のデービッド・ラミーは、トッテナムの外から「問題を起こすために」やってきた「心のない人々」が地域に損害を与えた、と述べている。

*** 読売記事

黒人射殺で暴徒化、警官26人負傷…ロンドン

【ロンドン=大内佐紀】英ロンドン北部の、低所得者層が多く住むトッテナム地区で、6日夜から7日未明にかけ、警官による黒人男性射殺に抗議していた群衆の一部が暴徒化し、商店や銀行を略奪したり、警察車両やバスに放火したりする騒ぎとなった。

 警官26人が負傷した。

 ロイター通信によると、群衆約200人が警察署前に集まり、4日に起きた射殺事件についての説明などを求めていたが、そのうち一部が火炎瓶を投げ始めて暴動になった。(2011年8月7日19時37分 読売新聞)
by polimediauk | 2011-08-08 06:15 | 英国事情