モルガン・スタンレー、ソロモンなどでリスク・マネージャーを勤めて来た著者が市場リスクについて書いているのですが、金融業界のいろいろなタイミングでどの会社がどんな戦略を取ったのかをかなり具体的に記載してあり、外から見ているとよく分からない各金融機関がどんな特徴を持って具体的に何をしているのか、なぜあの会社は破綻したり買われたりしたのかが分かる貴重な本になっています。
リスク・マネージャーとは、その金融機関の各部署がどんなポジションを持っているかを把握し、リスク分析を行った上でトップレベルの意思決定機関(取締役会など)へ進言をすることを仕事としているため、あらゆる情報を得ることができる立場のようです。
ソロモンの債券にしても、LTCMにしても裁定余地がある間は非常に儲かりますが、徐々に競合が生まれてそのうまみは薄れていき、最後に誰も予想もつかなかった現象が起こり破綻するというパターンを繰り返して来たのが金融業界なのだということがよく分かります。まさにチキンゲーム。
本書を読んでいると、サブプライム問題なども、過去にも何度も起こって来た金融危機と呼ばれていたことと何ら変わらず、金融分野では一定の確率で起こることなんだなぁと思います。
P.S.「ダークナイト」がそろそろ上映期間が終わりそうなので再度観てきました。改めて観るとジョーカーの訳の分からなかった語りにも意味があることが分かって、正義があるから悪が存在するという矛盾の奥深さに震撼する次第です。ほんと傑作なので、ぜひご覧ください。主要人物については予習していくといいと思います。