屍鬼　第21話「第腐汰悼と悲屠話」

屍鬼

12 /24 2010

自分で自分を殺そうとしたのは、世界に絶望したから。

屍鬼狩りはますます凄惨なことになって、目を覆いたくなる惨状ですね｡ﾟ(｡ﾉω＼｡)ﾟ｡
死体の山を前に、笑いながら食事できるほどに麻痺してしまった村人。
その異常な光景は、とても不気味です。

追い詰められ、狩られる側になった沙子は、今はただ怯えてすがるだけ。
沙子はホントにただの子供で、どれだけ長く生きても、もう人じゃないから成長できない。
その不完全さが、滅びに抵抗してもがく姿が、美しい。

静信はなぜ屍鬼に惹かれたのか、何にそんなに絶望したのか。
静信の口から語られる理由は、ちょっと不可解だったかもしれないｗ

人間の残酷さや生きることの理不尽さへの絶望なのかと思っていたけど、自分の生きる道が生まれたときから決まっていたことだったんですね？
だからホントは村が嫌いだったの・・・？

静信も沙子と同じように、生まれたくてこの村に生まれたわけじゃないって思ってて、それで自分と同じ孤独を抱えてると感じた沙子に惹かれたのかな？
小説のカインみたいに自分で自分を殺すこともできなかった静信は、誰かが救ってくれるのを心の底で望んでた。
村から出ようと思えば出られたはずなのに、村を捨てる勇気はなかったのかな・・・
静信は屍鬼の境遇に同情したんじゃなくて、ただ沙子に恋してしまっただけなんでしょうか。

「ボクにとって沙子はね、滅びの象徴なんです
いずれ滅びるんです
全てものは消えていく、だけど沙子はそれに抵抗してあがく、その姿が惹き付けるんです。
ボクは綺麗だと思う」

「それだけ…？
それだけで、じゅうぶんなんだね」

静信と同じように、辰巳も沙子を崇拝している。
その理屈だと、今まさに生きるために屍鬼を狩っている人間たちも美しいってことになるのかな。

辰巳のその気持ちも理解しがたいけど、でも人を好きになるっていうのは、そういう不可解なものなのかもしれないですね。
このシーンの辰巳は初めて本心を見せて、なんかカッコよかったかもｗ
でも最初からこの結末を分かっていて、それでも沙子を止めなかったのは、沙子が苦しむ姿を１番近くで見ていたかったからで、生き物はみんなエゴの塊。
自分を縛り付けた村に復讐したいと心のどこかで望んでいた静信も、同じ人間もかまわず排除する村人も、みんな自分のために行動してるのは同じなんでしょうか。
誰もが不幸になってしまった救いのないこの物語が、どんな結末を迎えるのか気になります。