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 2月19日、渋谷勤労福祉会館で「国賠ネットワーク 第22回交流集会 ━布川事件の冤罪再審から学ぶもの━」が行われ、65人が参加した。

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 ネットは、1989年に創設され、冤罪事件、警察による不当逮捕・勾留・捜索、医療過誤、戦後補償、「在日」や外国人差別の被害者が国家賠償法第一条「国又は公共団体の公権力の行使にあたる公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる」に基づいて責任を追及する個人、グループなどによって支援・交流を行ってきた。

 集会は、事務局の土屋翼さんからネットの「一年の報告」で始まった。「司法の状況、刑事裁判の状況は、裁判員制度により、公判前整理手続きをするようになって、従来よりは証拠の開示が進んだ。政権交代も影響しているのか?次々に明らかになる冤罪に社会的な関心がたまっていることはたしかでしょう。狭山事件、名張ぶどう酒事件、袴田事件、富山事件など、証拠開示の勧告がだされ、証拠開示が進んでいる。『不見当』などと検察は抗弁し、証拠開示勧告を愚弄しているが、流れとしては証拠開示がすすみ、足利事件、布川事件などにつづき、今後も再審がつづくと思われる。情報発信を強化し、『勝訴の共有化』を実現していこう」と発言した。

布川事件・元被告桜井さん「無罪判決をかちとるぞ」

 集会講演は、布川事件の再審裁判を闘っている元被告・桜井昌司さん。

 布川事件は、次のような経過をたどった。1968年8月30日、茨城県北相馬郡利根町布川で男性が自宅で殺害され、警察は2人組みの男性という推定のもとに強盗殺人事件として捜査を開始したが、10月に別件で桜井昌司さんと杉山卓男さんを逮捕。2人は、過酷な取調べとデッチ上げの強要によって殺害と現金強奪を「自白」。2人は裁判で無罪を主張したが、最高裁で無期懲役が確定(1978年)。

 しかし、2人は獄中から再審請求し続けた。仮釈放(96年11月)後も再審請求していく。水戸地裁土浦支部は05年9月21日に再審を決定した。検察は、東京高裁に即時抗告するが、08年7月14日、棄却して再審開始決定を支持。最高裁判所は、09年12月15日、検察側の特別抗告を棄却し再審開始が確定。水戸地裁浦和支部で10年7月9日に再審第一回公判が開かれ、3月16日に再審判決公判で無罪が出される予定だ。

 桜井さんは、冤罪・布川事件の争点について「確定審が二人を有罪とした根拠は、自白と目撃証言の供述証拠だけだ。自白に任意性・信用性が認められるか、目撃証言が信用できるかだった」と提示し、「再審の審理を通じて自白は任意性に欠けること、全面的に信用できないこと、目撃証言も信用できないことが明らかになった。すべての有罪の証拠が崩れ去った。3月16日に無罪判決をかちとる」と力強く決意を語った。

 冤罪・布川事件を生み出したものは一体何かという問いかけに、「別件逮捕の後、二人を犯行に結びつける確たる証拠は何もなく、無罪方向の証拠(指紋・毛髪なし)があるのに、これを無視して違法な取調べで供述証拠を作り出していった。具体的には、二人には代用監獄で偽計や脅迫を重ねて自白を強要した。強力な誘導で目撃証人を作り出し、アリバイを否定する供述を強要した。供述調書・捜査報告書の改ざん・捏造、録音テープの編集まで行った」と警察・検察の違法行為に対して厳しく批判した。

 さらに「いったん起訴した以上は、公判維持のために無実の証拠はひた隠しにし、証拠開示の要求に検察官が虚偽の答弁をした。取調官も偽証も行った。しかし、二人と弁護団は、こんな茶番を次々と打ち破り、検察に無批判な確定審の裁判所から、誤った判決を奪い取ったということができる」と結論づけ、再度「三月十六日は絶対に勝つ」と表明した(3月16日(水)布川事件再審公判・判決/午後1時30分・水戸地裁土浦支部) 。

国賠ネット最悪賞は千葉景子元法務大臣に決定

 次に国賠を取り組んでいる仲間たちから次々と発言が行われた。

 海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」内のいじめで息子が自殺に追い込まれた遺族が組む「たちかぜ国賠」から横浜地裁の不当判決(11年1月26日)を批判した。

 富山(永見)冤罪国賠を支える会から経過報告。被害者の柳原浩さんから決意表明が行われた。

 富山(永見)冤罪とは、柳原さんが02年に富山県永見市で起きた強かん事件と強かん未遂事件で不当逮捕、起訴され富山地裁で懲役三年の有罪判決をうけ服役に追い込まれた。ところが別の容疑で鳥取県警に逮捕された男性がこの事件の真犯人だったことが判明。富山地検・弁護側双方が無罪判決を求める再審裁判が開始され、富山地裁高岡支部は、07年10月に無罪判決を出した。柳原さんは、09年5月14日、被告国・県・個人(起訴検察官、取調官)を相手に一億円の賠償請求の国賠を提訴した。支える会は、「被告側は、原告の証拠開示の求めに対して、捜査記録などを出してきたが黒塗りのマスキングで隠れたものだったり不誠実な対応が続いている」と批判した。

 さらに麻生邸リアリティーツアー事件国家賠償請求訴訟団、築地署公妨国賠、大河原国賠などから裁判の取組み状況について報告された。

 最後に国賠ネットワーク大賞が朝日新聞記者・板橋洋佳さん(知的障害者の自白誘導、冤罪の監視・追及報道)、最悪賞が千葉景子元法務大臣、最悪特別功労賞に大阪特捜部の前田元検事に決定した。

(Y)

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