諜報『公安調査庁 情報コミュニティーの新たな地殻変動』
公安調査庁の存在意義と力学関係、近年にあった特筆すべき折り目などについて語り合う。
手嶋龍一”日本のインテリジェンス・コミュニティーは、内閣情報調査室、公安調査庁、外務省の国際情報統括官組織、警察の警備・公安部門そして防衛省の情報部門を中核として構成されています。”
佐藤優”日本では、公安調査庁だけが唯一、細菌・ウイルス戦の分野で情報を蓄積してきたのです。オウム真理教が引き起こした松本サリン事件と地下鉄サリン事件に取り組んできたからです。”
佐藤優”公安調査庁の調査官には司法警察官のように強制捜査権、逮捕権が与えられていません。逮捕権がある人たちを「特別司法警察職員」と言います。公安調査庁もそれに含まれて良さそうなものですが、現実には逮捕権を付与されていないのです。”
佐藤優”警察官の他にも、自分の職務として、犯人を逮捕することができる権限を持っている人たちがいます。たとえば、自衛隊の警務官、海上保安官、厚労省の麻薬取締官、そういわゆるマトリです。さらには密漁を取り締まる水産庁の漁業監督官、意外なところでは林野庁の森林官にも逮捕権があるんですよ。”
手嶋龍一”公安調査庁は組織立った広報活動を行ってきませんでした。黒衣に徹する奥ゆかしさや情報収集に支障をきたしかねないという理由は分かります。しかしながら、存在意義が国民に伝わらないかぎり、公安調査庁への理解と支持を得るのは難しいと感じます。”
手嶋龍一”MI-5(保安局)は英国内にスパイやテロリストが浸透してくるのを防ぐカウンター・インテリジェンス機関、これに対して、MI-6(秘密情報部)は、海外に情報要員を配して諜報活動を担うインテリジェンス組織です。”
手嶋龍一”『MI-5英国機密諜報部』は、1シーズン完結型の連続ドラマで、公共放送BBCの制作です。実際にあった事件を下敷きにして相当にリアルです。『スプークス MI-5』は映画になって人気を博しました。”
佐藤優”情報機関というのは、仕事がうまくいっている時は、外側からは全容が見えにくいものなのです。何も仕事をしていない時も同様に見えない(笑)。その姿が露見するのは、たいてい失敗した時です。”
手嶋龍一・佐藤優著
— ペルハン (@perhan_le_gitan) 2021年2月20日
「公安調査庁 情報コミュニティーの新たな地殻変動」
(中公新書ラクレ)
読了。
公安調査庁のことを、いまだに日本共産党を監視している間抜けな役所だと思っていたのだが、思っていたほど間抜けではないようだ。
なお、緒方重威の一件については全く触れられていない。
この本が凄い。こんなに時間を忘れて読んだ本は恐らくここ数年ない。
— VoyageurEtranger (@EtrangerVoyager) 2020年12月7日
金正男、武漢ウイルス等々の例を挙げ、日本のインテリジェンス(工作)や政治外交の現状と問題点を鋭くえぐる本。
公安調査庁 情報コミュニティーの新たな地殻変動
手嶋龍一/佐藤優 著https://t.co/E21dQwIH9r
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『公安調査庁 情報コミュニティーの新たな地殻変動』
手嶋龍一&佐藤優
中央公論新社
金正男暗殺
外交の現場の問題(田中真紀子事件)
手札の切り方
諜報術の作法
サリン事件と諜報活動の下りで、アンソニー・トゥー名誉教授( 『毒』、 『サリン事件死刑囚 中川智正との対話』 )についても言及あり。
公安調査庁のような情報・諜報機関の存在意義を臣民に植え付ける上で、BBC制作の『MI-5英国機密諜報部』の機能っぷりクオリティがスゴい。
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『公安調査庁-情報コミュニティーの新たな地殻変動』
— 月吠え4号 (@tukihoe4) 2020年7月18日
著 手嶋 龍一, 佐藤 優(中公新書ラクレ)
読了。
面白い。期待通りの内容。
ルカレ、モサド、MI6、スプークス、SVR、陸軍中野学校などのキーワードが好きな人は充分楽しめると思う。
対談形式で書かれていて読みやすいし、論点も明確で良い。
電子書籍も便利。Kobo版↓
『ミニ特集:日本の2010年代、政治観を語る本その5』
『ミニ特集:日本の2010年代、政治観を語る本その4』
『ミニ特集:日本の2010年代、政治観を語る本その3』
『ミニ特集:日本の2010年代、政治観を語る本その2』
『ミニ特集:日本の2010年代、政治観を語る本その1』