ミニ特集:日本の2010年代、政治観を語る本 その2
『平成デモクラシー史』
『「強すぎる自民党」の病理』
『自民党 「一強」の実像』
『日本の統治構造 官僚内閣制から議院内閣制へ』
『独裁者のためのハンドブック』
『平成デモクラシー史』
清水真人 ちくま新書 筑摩書房
「平成デモクラシー」を形作ってきたのは、政治改革が先陣を切り、2000年代初頭にかけて連動して進められた統治構造の諸改革だ。
首相官邸の権能を強化し、中央省庁再編に取り組んだ橋本行革が政治改革に続く。さらに国と地方の関係を対等に組み直そうとした地方分権改革や、裁判員裁判などで国民的基盤を広げることを目指した司法制度改革にも弾みがついた。
諸改革は統治権力を巡るゲームのルールをがらりと変えた。
小選挙区制は各選挙区で一人しか当選できず、死票が多い。半面、民意を集約して多数派を創出しやすい。政権交代の可能性という緊張感をもたらす大変革だった。
これで自民党政治の主役だった派閥が急速に衰え始める。定数一なので、党内同士打ちはもうありえない。候補者にとり、派閥の支援より政党の公認が死活問題となる。
与野党の権力を巡る競争から、有権者の選択を経て、選ばれた首相に一定期間、権力を集中させる。政権選択と首相主導の組み合わせ。これが「平成デモクラシー」のガバナンスの両輪だ。
電子書籍もあります Kobo版↓
『「強すぎる自民党」の病理 老人支配と日本型ポピュリズム』
池田信夫 PHP新書 PHP研究所
●取り巻き利権(ロビー活動含)優先で長期計画を踏まえない自己保身政策と、目先のエサに釣られて投票してしまう有権者の行動が、この日本を形作りました。
こちらで紹介
『「強すぎる自民党」の病理』
『自民党 「一強」の実像』
中北浩爾 中公新書 中央公論新社
●変遷、動向、そして今の自民党の特徴とは。
自民党なる集団が、どのように発祥してどう融通無碍に今の状態に至っているのか、押さえておくべき要点を教えてもらえる新書。
こちらで紹介
『自民党 「一強」の実像』
『日本の統治構造 官僚内閣制から議院内閣制へ』
飯尾潤 中公新書 中央公論新社
●日本の統治構造は異国とどう違うのか。
日本で用いられる用語の指すものの違いが政治体制の理解上どんなややこしさを生み出しているのか。
与党一強の世界で何が動いているのか。
こちらで紹介
『日本の統治構造 官僚内閣制から議院内閣制へ』
『独裁者のためのハンドブック』
メスキータ/アラスター・スミス 亜紀書房
●軽そうな表題とは裏腹に、ガチで古今の政治構造について考察する硬派な一冊。
書名から受ける印象とは相反して、手軽なハンドブックどころかけっこうなページ数で分厚い上、理論的な事例分析が続くのだ。
日本語版出版に合わせて、日本の読者に向けた著者からのメッセージも収載。
指導者が何に自分の生き残りを賭けているのかを考えなければならない。そうすることで、私たちは日本の政治、ビジネスそして将来の展望をより良く理解することができる。
日本の三大自動車メーカーでは平均して取締役の67%を社内出身者が占め、アメリカの三大自動車メーカーでは取締役に占める社内出身者の割合がたったの18%ということである。
私たちは、政治家は際限なく自分たちの利益を見つける策を編み出すということも理解しておかなければならない。
「独裁者のためのハンドブック」という本、中身はたぶんほとんどの人が想像とは違って「政治を支配する法則」についての内容でめちゃくちゃおもしろい。
— ことね (@kotone_nyt) 2018年3月23日
ブルース・ブエノ・デ・メスキータ 、アラスター・スミス『独裁者のためのハンドブック』
— Ka-Ka (@ka_ka_xyz) 2018年9月2日
国家であれ企業であれ、独裁的な権力を維持するためには少数かつ内輪の「盟友集団」の利益を最大化する必要があり、一般市民の福利厚生に金をかけても権力は維持できないと。
独裁者のためのハンドブック、あと少しで読み終わりますが、これ面白いです。しかも読みやすいから350ページあってもあっという間に読める。
— トネ (@ulysses131) 2018年4月16日
『ミニ特集:日本の2010年代、政治観を語る本その1』
『ミニ特集:日本の2010年代、政治観を語る本その3』
『ミニ特集:2010年代、日本の格差と経済を見る本 その1』
『ミニ特集:2010年代、日本の格差と経済を見る本 その2』
『ミニ特集:日本の社会変化を語る本 その4』
『ミニ特集:日本の社会変化を語る本 その5』