防衛省馬毛島基地着工強行から1年。米軍訓練FCLP移転を名目に自衛隊の拠点化を図る。(13)
- 2025/01/13
- 10:16
Ryukyuheiwaより:
関連記事:防衛省馬毛島に米軍訓練FCLP移転を名目に自衛隊の拠点化を図る。(12)
http://ryukyuheiwa.blog.fc2.com/blog-entry-1208.html
関連記事:防衛省民意を無視し馬毛島、米軍訓練FCLP移転を名目に種子島と併せ自衛隊の拠点化を図る。(11)
http://ryukyuheiwa.blog.fc2.com/blog-entry-1188.html
馬毛島への米軍施設を許さない市民・団体連絡会 HP
http://www.mageshimabeigunshisetsuhantai.com/wp/
Okinawa Peace Talk
https://www.youtube.com/@OkinawaPeaceTalk
Wada Kaori on Tanegashima_Mageshima. Nov 30, 2023
2024年2月22日 種子島・馬毛島月例レポート
https://youtu.be/FC37EvjY5Ag?si=kKMSGFlaYDBg_kGP
1月13日の琉球新報紙面
1月13日の沖縄タイムス紙面
1月13日 南日本新聞
一つの島を自衛隊基地にする国家プロジェクト・馬毛島着工で変わった暮らしや産業
住民が肌で感じた2年の月日、古里にもたらされた功罪
鹿児島県西之表市馬毛島で、米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う自衛隊基地整備が始まって2年がたった。地元では賛否の論争から、古くから続く暮らしや産業をどう守るかに焦点が移りつつある。26日告示の市長選、市議選を前に、基地工事がもたらした功罪を追った。(連載・馬毛島の現在地 基地着工2年①から)
2025年を迎え、民間機から眼下に見る馬毛島はこの2年で一変した。大半を覆っていた緑の樹林帯は海岸沿いのごく一部に。仮設宿舎や燃料タンクといった構造物が1年前に比べて増え、網の目のように作業道路が広がっていた。
島全体がさながら「工業地帯」と化す一方、むき出しの茶色い土壌が広がったままだ。23年1月12日の着工に伴い公表された環境影響評価書(アセスメント)では、既に滑走路が完成しているはずだった。
一つの島を自衛隊基地にする国家プロジェクト。厳しい気象条件や人手不足、想定以上の粘土層を理由に、工事は現時点で3年延長の30年3月末までとされる。島から沖合に延びる仮設桟橋は、昨年12月上旬に最後の3本目が完成。これから内陸部での工事が加速する可能性がある。
防衛省などによると、年度内に予定された航空自衛隊馬毛島先遣隊(仮称)約90人の中種子町への配備も4月以降にずれ込む。
東に約10キロ離れた種子島では昨年、ある現象がたびたび目撃された。馬毛島を包み隠すほどの土煙。表土が強風にあおられたとみられる。「まるで竜巻。夏はすごかったど」。西之表市住吉に長く暮らす70代の漁師は初めて見る光景に驚いたという。
同時に不安も湧き起こった。巻き上がった土煙の下は、特産の貝トコブシ(ナガラメ)の漁場があるからだ。基地工事が始まる前には沿岸部に稚貝も放流されている。「工事が終わった後の海が怖い」と漏らす。
こうした懸念はトコブシ漁師を中心に出ている。種子島漁協の関係者によると、昨年11月には防衛省と合同で稚貝放流地点の潜水調査を実施した。ただ、結果は公表されていない。工事に伴い、島周辺は船の往来も制限され、文字通りベールに包まれたままだ。
南国の日差しに映えるマリンブルーの海-。そんな種子島の象徴にも“異変”が起きている。陸から見下ろす「透明度」は変わらないが、海中を水平方向に見る「透視度」はこの2年で下がったといわれる。海水温が落ち着き、例年ならば海中が澄むとされる10~11月も、白いほこりのような浮遊物が漂い続ける。
「実は馬毛島から種子島に流れる潮がある」と話すのは、工事関係者の送迎も担う60代の漁師。両島の間に広がる種子島海峡は黒潮の支流が入り乱れ、気象条件で潮流が変わる。大潮の干潮に向かう時間帯や、南西の風が吹き始める梅雨時期終盤は、特に馬毛島からの潮流が顕著だとされる。
基地工事との因果関係は証明されていないものの、とりわけ種子島東岸のある海域では海中の濁りが集中し、魚群探知機に反応するようになったという。「(工事の)影響は絶対あるよ。海はつながってるから」。古里の海を知り尽くす漁師の言葉は重い。
1月12日 南日本新聞
馬毛島事業費「精査に時間」 自衛隊基地整備は当初より3年遅れ
中谷防衛相「社会インフラが整わない離島の大規模工事」
中谷元・防衛相は10日の記者会見で、着工から2年を迎える鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地の総事業費について「社会インフラが整っていない離島での大規模工事で、所要額の精査に時間が必要。各年度の予算で経費の必要性を示し、適切な時期に説明する」と述べた。
中谷氏は馬毛島に基地を整備することで「南西地域の防衛体制が強化される」と強調。「早期に運用ができるよう、引き続き整備を進める」とした。
2019年に約160億円で一定の合意に達した土地買収額に関しては「さまざまな要素を総合的に勘案し、所有者との交渉を通じて決定した。適正と考えている」と言及。現在も取得の手続きが進んでおり、「売買額の根拠は適切な段階で説明したい」と語った。
防衛省は25年度予算案に馬毛島関連473億円を計上し、南日本新聞の集計で契約ベースの合計が1兆円を超えた。基地は23年1月12日着工、計画より3年遅れの30年3月完成見通し。総事業費は大きく膨らむ可能性がある。
1月11日 南日本新聞
空撮で見る激変の馬毛島…着工から2年。仮設道路に重機、住居らしき建物。契約額1兆円超の巨大事業が進む島
自衛隊基地の整備が進む馬毛島=10日、西之表市の馬毛島上空(本社チャーター機から)
青い海をそこだけ絵の具で着色したかのような茶色の大地が広がっていた。米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)の移転を伴う自衛隊基地整備の着工から12日で2年となる鹿児島県西之表市馬毛島。10日、チャーター機で上空から見た。国策による島の基地化は着々と進んでいた。
完成時期は当初から約3年延長され2030年3月となったが、この2年で島は激変した。島内に仮設道路が張り巡らされ、ダンプやクレーンの重機、住居とみられる建物も確認できた。今後5年間でさらに無機質な建物が立ち並び、変貌していくのだろう。
25年度にも始まる見込みだったFCLPは、28年以降になるとみられる。島中央に「く」の字のように整備される2本の滑走路は確認できなかった。
周囲16.5キロ。しばらく無人だった島には昨年10月時点で工事関係者2860人が住む。基地整備関連の契約額は、調査段階の12年度から25年度予算分までで1兆円を超えた。工期延長を含め、住民への説明もままならない中での巨大事業。眼下の光景は、後戻りはしないという国の姿勢を象徴しているようだった。
島周辺の上空からは開聞岳や佐多岬がはっきりと視界に入り、県本土は目と鼻の先の感覚だ。中国の海洋進出を背景に、国は南西諸島の防衛力強化を掲げる。人知れず進む孤島の変化に、鹿児島が沖縄とともに国防の最前線に位置付けられている現実を再認識させられた。
12月30日の南日本新聞紙面
12月28日 南日本新聞
契約額の累計1兆円超へ…防衛省、25年度馬毛島整備予算案に473億円
基地の完成時期は計画の3年遅れ、30年3月末
防衛省は27日閣議決定された2025年度予算案に、鹿児島県西之表市馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う自衛隊基地整備の関連費として、473億円(契約ベース)を計上した。南日本新聞の集計では、調査段階だった12年度からの契約額の合計が1兆円を超えた。
調査費を計上した12年度から、24年度当初までに積み上げた予算(契約ベース)は8821億円。防衛省は「各年度に支払われる歳出ベースが事業費を反映している」として、その後の累積額を明らかにしていないが、24年度補正に945億円を盛り込んでおり、今回の473億円を加えると、1兆239億円になる。
25年度予算案の契約ベースの473億円は、滑走路や航空保安施設、隊舎、格納庫、係留施設の整備が中心。種子島では、管理事務所や物流倉庫、ヘリポートなどの整備を進める。工期の延長に伴う追加的な経費も一部含まれている。
防衛省は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画で、総事業費を現時点で約9300億円と試算。馬毛島については、特殊な施工条件などを理由に見込み額を示していない。調査段階の15年度から23年度までの支出済み額は約3487億円。25年度予算では歳出ベースで531億円を積む。
馬毛島の自衛隊基地本体は23年1月に着工し、当初は4年程度の工期を見込んでいた。防衛省は24年9月、基地の完成時期が計画より3年遅れの30年3月末になると発表。滑走路の建設は27年に終了する見通しで、FCLPは28年1月以降に始まる可能性がある。
滑走路の点検などに当たる約90人規模の航空自衛隊馬毛島先遣隊(仮称)は24年度に春日基地(福岡市)に配置、25年度に一部の約60人が馬毛島で勤務を始める。
12月24日 南日本新聞
原告は声を上げる「故郷がなくなる。元の姿に戻して」…馬毛島自衛隊基地整備への住民訴訟、鹿児島地裁で第3回口頭弁論
西之表市馬毛島の自衛隊基地整備を巡り、防衛省への市有地売却は裁量権を逸脱しており違法で価格も不適正として、市民30人が八板俊輔市長と国に2億3430万円の損害賠償を請求するよう市に求める住民訴訟の第3回口頭弁論が24日、鹿児島地裁(窪田俊秀裁判長)であった。馬毛島で生まれ育った原告は「故郷がなくなってしまう。元の姿に戻して」と訴えた。
原告の女性は意見陳述で、「自然いっぱいで思い出もいっぱいな馬毛島が基地になることは絶対に許せない」と主張。防衛省に対しては「(開発による)悪影響もしっかり説明してほしい」と述べた。
同日、地元漁師が国に対し、同基地の工事差し止めを求める訴訟の口頭弁論もあった。原告の漁師浜田純男さん(69)の本人尋問があり、結審した。判決は来年3月11日に言い渡される。
12月14日 南日本新聞
基地完成は3年遅れ…重機転落死など事故相次ぐ馬毛島
国が安全管理体制を強化、事故詳細は明かさず
鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転を伴う自衛隊基地整備を巡り、防衛省は13日、県や種子島1市2町に4月以降、報告した発生事故の件数は約10件だと明らかにした。作業員による種子島内での交通事故なども含むとしたものの内容や詳細は示さなかった。
野党国会議員でつくる「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」が国会内で開いた関係省庁ヒアリングで、担当者が報告した。
馬毛島では10月、スリランカ国籍の男性が重機運転中に穴に転落し死亡する事故が発生。11月にも輸送船から船員男性が海に投げ出されけがをするなど事故が相次いでいる。国土交通省担当者は「安全管理に関する人員を死亡事故発生前の15人から27人体制に増員した」と説明した。
防衛省は9月、基地の完成時期が当初計画より約3年遅れの2030年3月末を見込むと発表した。立憲民主党の川内博史議員(衆院鹿児島1区)は当時の防衛相に工期延長の可能性が説明された時期を確認。担当者は「7月中旬、工事完了時期が29年度末になる可能性があるとの報告をした」と答えた。
11月30日の南日本新聞紙面
11月30日 南日本新聞
馬毛島自衛隊基地整備に1377億円 労務費や資機材高騰で当初見込み上回る 防衛省補正予算案
防衛省は29日、自衛隊の活動基盤や災害対処能力の強化に向け、2024年度補正予算案に総額8268億円を計上したと発表した。米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う西之表市馬毛島の自衛隊基地整備に歳出ベースで1377億円を充てる。
同省によると、馬毛島の自衛隊基地関係は、滑走路や隊舎、係留施設の整備で年度内に契約相手へ追加で支払う必要がある経費。労務費や資機材の高騰で、当初予算で見込んだ559億円を上回った。調査段階の15年度から23年度までに、事業費として約3487億円を支出している。
基地本体は23年1月着工。防衛省は今年9月、施設全体の完成時期が当初計画より約3年延びて30年3月末になると発表した。契約ベースでは24年度当初までに計8821億円を積み上げており、工期の延長でさらに膨らむ可能性がある。
11月16日 南日本新聞
大事な漁場は奪われた。もう昔の顔をしていない…馬毛島基地反対の弁護団らが初の視察上陸、
港から先は「私有地」理由に認められず。
上陸する弁護団ら=西之表市馬毛島、15日午後2時半ごろ
鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備に反対する住民訴訟の弁護団らは15日、米軍機訓練移転を伴う基地整備が進む馬毛島に初めて上陸した。西之表港から遊漁船で渡り、葉山港を視察した。
同日午後2時半ごろ、原告や弁護士ら6人が同港に上陸した。港から見える仮設桟橋や内陸の建設現場では関係車両が作業していた。弁護団は現地の工事関係者と交渉したが港から先は「私有地」として視察はできなかった。
原告で漁師の浜田純男さん(69)=同市=は工事が進む仮設桟橋を見ながら「これだけ大きなものを造られたら元には戻らない。祖父母が残した大事な漁場が奪われた。もう馬毛島の顔をしていない」と嘆いた。
弁護団の塚本和也事務局長によると、葉山港は同市が管理している。防衛省には上陸自粛を求められたが、許可が必要ないことを確認したという。「市民の目が届かないところで工事が進んでいるので視察が必要だ」と話した。
\弁護団は昨年12月、同省への市有地売却は違法として、八板俊輔市長と国に2億3430万円の損害賠償を請求するよう市に求める住民訴訟を鹿児島地裁に提訴。今年3月には国に対し馬毛島の港湾施設工事差し止めを求める訴訟も同地裁に起こしている。
11月15日 MBC南日本放送
馬毛島基地整備反対の住民・弁護団が島に上陸
馬毛島の自衛隊基地整備に反対する西之表市の住民らが、15日、工事の状況を視察するため漁船で島に渡りました。
馬毛島に向かったのは、基地工事の差し止めを求め、国を相手に訴訟を起こしている、西之表市の住民と弁護団あわせて6人です。
馬毛島ではアメリカ軍・空母艦載機の陸上離着陸訓練のための滑走路や、護衛艦が停泊する桟橋の整備などが去年1月から進められています。島に近づくと、仮設の宿舎や桟橋の建設が進んでいるのが分かります。
上陸できたのは、葉山港のうち市が所有するエリアで、その先は私有地や国有地となっていて、住民らは入ろうとしたものの…。
(記者)「弁護団と警備員が交渉しています」
交渉は続いたものの、それ以上立ち入ることはできませんでした。
(馬毛島を漁場とする漁師 濱田純男さん・69)「漁民が利用しやすいようにつくっていた港を破壊している」
防衛省は、馬毛島基地の完成時期を2030年3月末としていて、工事関係者はピーク時で最大6000人まで増える見込みです。
11月14日 南日本新聞
馬毛島の自衛隊基地整備に「住民の安心安全の確保」「環境保全措置の徹底」など8項目を要望 防衛省に西之表市長
鹿児島県西之表市の八板俊輔市長は13日、東京・市ケ谷の防衛省を訪れ、同市馬毛島の自衛隊基地整備に関して8項目を要望した。工期の延長に伴って市民生活への影響が長期化するとして、住民の安心安全の確保や環境保全措置の徹底など実効性ある対応を改めて求めた。
要望は非公開。9月に防衛省から工期を2030年まで約3年延長すると説明があり、市は各種団体などに聞き取りをした。要望書には、丁寧な情報提供や周辺海域への土砂流出対策、馬毛島における夜間の救急搬送体制整備、観光振興への協力などを盛り込んだ。
地方協力局長への要望後、八板氏は「作業中の死亡事故や工事関係者のトラブルもあり、市民の不安が広がる可能性がある。しっかり対応してもらいたい」と話した。整備の賛否に関しては「しかるべき時に考えは示す」と述べるにとどめた。
10月28日の南日本新聞紙面
10月15日 南日本新聞
馬毛島基地整備、さつま町弾薬庫計画…軍備強化に反対、250人が訴え 鹿児島市
西之表市馬毛島の自衛隊基地建設など、県内で進む軍備強化に反対する「戦争しない 10.13かごしま大集会」が13日、鹿児島市のJR鹿児島中央駅前であった。県内外から250人が参加し、横断幕やプラカードを掲げて「戦争反対」を訴えた。
「若者を戦場に送るな」「憲法改悪阻止」などのメッセージを手にした参加者を前に、種子島や弾薬庫の整備計画があるさつま町などの団体が現状を報告し、「鹿児島を戦場にするな」などとシュプレヒコールを上げた。
南種子町上中から参加した熊毛ブロック護憲平和フォーラムの大石正博代表(67)は「地元では点にしかならない活動が線でつながった。実態を話すことで県民の理解を深めたい」と話した。
10月14日 南日本新聞
最多7人の争いか 西之表市長選は来年2月2日投開票、市議選と同日 市選管
鹿児島県西之表市選挙管理委員会(西門謙二委員長)は14日、任期満了に伴う市長選と市議選の日程を、いずれも来年1月26日告示、2月2日投開票と決めた。市長選は、再選挙となった2017年の6人を超え、最多の7人で争う可能性が高まっている。
市長の任期は来年3月18日まで。これまでに現職と新人5人の計6人が立候補する意向を表明した。ほかに新人1人が10月中に表明する準備を進めている。
2月18日が任期の市議は定数14。現職1人が勇退する考えを示した一方、元職や複数の新人が立候補の構えを見せている。
両選挙とも、立候補予定者説明会は12月中旬以降に開く見込み。10月14日現在の選挙人名簿登録者数は1万2118人(男5835人、女6283人)。
10月11日の南日本新聞紙面
9月28日の南日本新聞紙面
9月23日 南日本新聞
米軍再編交付金で民意はねじ曲げられた…元岩国市長「基地完成すれば後戻りできない」
整備進む馬毛島の機能強化に警鐘鳴らす 西之表で講演
講演する元岩国市長の井原勝介さん=22日、西之表市
米軍岩国基地がある山口県の岩国市長を2008年まで務めた井原勝介さん(74)が22日、鹿児島県西之表市で講演した。米軍機訓練移転を伴う自衛隊基地整備が進む同市馬毛島について「完成すると後戻りできず、基地機能の強化が加速する」と警鐘を鳴らした。
井原さんは市長時代、岩国への米空母艦載機移駐案の賛否を住民投票で問い、87%が反対した。しかし、米軍再編交付金を示す一方で補助金をカットする国の「アメとムチ」によって「住民の不安が増し、民意がねじ曲げられた。移駐反対を訴えた4回目の選挙で敗れた」と振り返った。
岩国基地は海兵隊だけでなく、海軍や空軍など軍の種別を超えた統合的な拠点になりつつあるという。「8000億円以上をつぎ込む馬毛島も約束通りには運用されない。基地問題を市長や議会任せにせず住民自身が考えて」と呼びかけた。
講演は「馬毛島基地反対裁判を支援する会」が主催した「地方自治から馬毛島基地問題を考える種子島集会」であった。
9月21日 南日本新聞
整備遅れる馬毛島自衛隊基地、25年4月に作業員ピーク6000人
人手不足響き予定から1年遅れ、防衛省が見通し示す
米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備で、防衛省は20日、2025年4月に工事関係者数がピークの6000人規模に達する見通しを示した。内訳は馬毛島約4000人、種子島約2000人となる見込み。
24年9月6日時点の工事関係者は馬毛島の仮設宿舎2290人、種子島の宿泊施設や仮設宿舎など計1910人となっている。仮設宿舎は25年3月末までに約4200室(24年9月比1910室増)を完成させる見込み。
工事は23年1月に本格着工した。最大6000人規模とする工事関係者のピークは当初、24年2月と見込まれていた。防衛省は9月、施設全体の完成時期を当初計画より約3年延期し、30年3月末になると発表。想定より波が高くて資材搬入が進まなかったことや能登半島地震の影響による人手と資機材不足などを理由に挙げた。
防衛省によると、FCLPの運用開始に最低限必要となる施設は、飛行場施設と航空保安施設、管制塔や通信局舎などの飛行場支援施設。工事工程などから逆算すると訓練は28年1月以降になるとみられる。
9月11日の南日本新聞紙面
9月11日 南日本新聞
馬毛島自衛隊基地 整備遅れ工期3年延長 工事阻む波や風、資機材足りず宿舎建設も遅延
西之表市長も影響の長期化危ぐ
米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備で、防衛省は10日、施設全体の完成時期を当初計画より約3年延期し2030年3月末になると発表した。波の高さや能登半島地震の影響による人手と資機材不足などが理由。FCLPは28年1月以降になる見込み。
防衛省は10日午前、種子島の1市2町と鹿児島県庁を訪れ工期延長を伝えた。八板俊輔市長は「市民生活への影響が長引くことが危惧される。不安の声に耳を傾けたい」。塩田康一知事は「十分かつ丁寧な情報提供を国に求めた」とコメントした。
基地本体は23年1月に着工、4年程度で完成する計画だった。同省は現場の状況を精査し、滑走路など飛行場施設の工程を約3年延長。飛行場関連施設や港湾施設も2〜4年遅れる。
FCLPに必要な滑走路の建設は27年に終了する見通し。関係者によると、米側が工事を急ぐよう求める状況ではないという。
同省によると、波や風で重機などを運ぶ船が出せない日が多く、1カ月当たりの輸送は予定の3分の1程度だった。能登半島地震の被災地に人員や資機材が送られたことも影響し、馬毛島の仮設宿舎建設が遅延。24年2月時点で島内の工事関係者は4000人と見通していたが、8月末になっても仮設宿舎は2290室にとどまる。
人手が不足する一方、島内は土地を平らにするための盛り土に使えない粘土質の土が想定より多く作業量が増えた。
基地整備に伴い、種子島では家賃高騰や地場産業の人手不足といった住民生活への影響が出ている。同省整備計画局は「地元への影響が最小限になるように自治体と連携して対応する」としている。
9月11日 南日本新聞
馬毛島基地建設が島にもたらした「恩恵」と「弊害」…「3年延長は重い」
不安募る観光、漁業 地場産業間の格差はさらに広がる
「3年延長は重い」-。工事の遅れがたびたび指摘された馬毛島(鹿児島県西之表市)の自衛隊基地整備。防衛省が10日公表した新たな工事工程はそれを認める形で、地元に波紋を広げた。着工から1年8カ月がたち、基地工事による“恩恵”が顕在化。市民は格差拡大や生活への影響を懸念し、すんなり受け入れられない現状がある。
市街地のある飲食店は、工事関係者で新型コロナウイルス前を超えるにぎわいを見せているという。近くの宿泊施設は、工事に関連する業者が年単位で部屋を押さえ、ほぼ満室が続く。
あおりを受けているのが観光業だ。市内でダイビングショップを営む林哲郎さん(77)は「泊まる場所がないから種子島に行けないという声は多い。国は工事だけを考えるのではなく、産業支援にも本腰を入れないと、もろ手を挙げて歓迎とはいかない」と話す。
市商工会役員の1人も、基地整備への理解を広める鍵として「格差解消」を挙げる。「休日の作業員をどう生かし、地元に利益を生み出すか。基地完成後の観光振興にもつながる仕組みを考えなければ」
馬毛島東海域は漁業制限区域が広がる。工事の長期化に伴い、期間延長が予想される。島周辺を漁場としていた同市住吉の浜上三郎さん(71)は「海の濁りが指摘されており、長期の工事が終わった後にどうなるのか。漁業の将来が見えない」と不安を口にした。
当初4年程度とされた基地整備は7年に延び、子育て世代にも影を落とす。「工事関係者が急増し、知らない顔が増えた。子どもたちだけで習い事に行かせたり、遊ばせたりできなくなったという声をよく聞く」と、市内の小学校でPTA役員を務める40代女性。「とにかく早く工事が終わってほしい。それだけです」
8月18日の南日本新聞紙面
7月18日 MBC南日本放送
防衛大臣が馬毛島・奄美駐屯地を視察 馬毛島は着工降で初めて
木原稔防衛大臣が18日、西之表市・馬毛島と奄美大島の自衛隊駐屯地を視察しました。防衛大臣が馬毛島を訪れるのは、去年1月に着工して以降、初めてです。
木原大臣は18日午前、奄美市の陸上自衛隊奄美駐屯地を訪れました。
奄美駐屯地は、瀬戸内分屯地とともに2019年に開設され、地対艦誘導ミサイル部隊、電子戦部隊などで構成され、あわせて400人が所属しています。中国を念頭にした南西諸島防衛の重要な拠点の1つです。
木原大臣は、おととし4月から運用が始まった射撃訓練場を視察し、以前は九州本土でしかできなかった訓練が奄美大島でも行えるようになったことで、隊員の移動コストが削減されたことなどの説明を受けたあと、隊員300人を前に訓示しました。
(木原稔防衛大臣)「わが国の防衛体制を目に見えるかたちで示し、力による一方的な現状変更を許容しないとのゆるぎない意志を示すことが重要」
そして18日午後、木原大臣は西之表市・馬毛島に上陸しました。防衛大臣が馬毛島を訪れるのは、去年1月に着工して以降、初めてです。
馬毛島で行われている自衛隊基地の整備の工期は、去年1月からおおむね4年の見込みで、工事の作業員は、先月28日現在で3680人ですが、ピーク時には6000人に上る見込みです。
上陸を前に開かれた会見で、木原大臣は、馬毛島視察の目的について。
(木原稔防衛大臣)「社会インフラが全く整っていない離島での大規模な工事、特殊な条件にありながら多くの関係者が懸命に作業に従事し、施設整備が進められている様子を自らの目で確認したい」
馬毛島では早ければ来年度にもアメリカ軍の空母艦載機の陸上離着陸訓練=FCLPが始まるとされていますが、木原大臣は具体的な運用する時期について明言しませんでした。
木原大臣は、工事の進ちょくなどについて説明を受けたとみられ、午後3時ごろ、自衛隊機に乗り込み、馬毛島を後にしました。
一方、塩田知事は18日、防衛省を訪れ、馬毛島での基地整備について、地元住民の安心・安全の確保などを改めて要望しました。
7月18日 MBC南日本放送
工事着工から1年半経過 上空から見た馬毛島基地は今
馬毛島では去年1月の着工以降、アメリカ軍の訓練移転と自衛隊基地の整備に向けた工事が進んでいます。1年半以上が経過し、島はどう変化したのか。JNNのヘリコプターで18日の様子を上空から撮影しました。
(記者)「木原防衛大臣の姿が見えました。着工以来初めて防衛大臣が訪問し工事の進捗状況など確認したものとみられます」
馬毛島ではアメリカ軍・空母艦載機の陸上離着陸訓練などに使う2本の滑走路や、護衛艦が停泊する桟橋などの整備が計画されています。島では現在、滑走路の造成や管制塔など、施設の整備が進められている様子が確認できました。
港の近くには工事関係者が滞在する仮設宿舎=プレハブの建設が進められ、先月までに1840室整備されました。これまでに馬毛島と種子島であわせて3680室が設置されましたが、国はピーク時にあわせて6000人の工事関係者が作業すると見込んでいます。
また、島の沿岸では資材などを搬入するための仮設桟橋や係留施設の整備が進められており、多くの作業船がみられました。
島の大部分で工事が進む一方で、数少なくなった緑にカメラを向けると、去年ヘリで撮影した際は確認できなかった島の固有種・マゲシカの姿が見られました。
馬毛島の基地工事の工期はおおむね4年ですが、滑走路は先行して整備され、早ければ来年度にアメリカ軍の空母艦載機の訓練が始まるともいわれています。
7月1日 南日本新聞
「馬毛島基地容認の立場で、市民に説明もない」
八板市長の前回選挙支援団体が抗議文 次期選挙は対立候補と政策協定
鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備の中止を訴える「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」の総会が30日、西之表市民会館であった。次期市長選に立候補する意向を表明している八板俊輔市長に対し、「前回選挙で基地反対を掲げたが、行動が基地容認の立場で、市民に明確な説明もない」などとする抗議文を送ることを確認した。前回選挙では支援した。
このほか、基地工事で市民生活に影響が出ているとし、国に暮らしの立て直しと工事中止を求めるよう市議会の次期定例会に請願を提出する。2025年3月の任期満了に伴う市長選では、基地反対を掲げて立候補の準備を進める医師三宅公人氏と政策協定を結び、支援するといった役員会方針が報告された。
山内光典会長はあいさつで「地元の生活や歴史を無視して工事を進めていることに怒りを感じる。国の言いなりにならないよう、諦めず声を上げ続けることが大事だ」と述べた。
6月27日、衆議院第1議員会館で、島々から呼びかける、
全国を戦場にさせない!東京行動
馬毛島基地反対住民訴訟原告団和田香穂里団長ダイジェスト映像です。
詳報は:琉球弧の島々を前線拠点化を図る、米国の「戦争」の尖兵自衛隊。宮古・八重山をその最前線に⑭
http://ryukyuheiwa.blog.fc2.com/blog-entry-1308.html
6月28日 南日本新聞
1400人に対し1700室超設置…馬毛島基地工事向けコンテナ宿舎過剰供給、
終了後の撤去に懸念も 西之表市
西之表市馬毛島の自衛隊基地整備に絡み、工事関係者の簡易宿舎として市内各地に設置されたコンテナが現時点で過剰供給に陥っていることが27日、分かった。市議会一般質問で、市はこれまでに1700室超を確認したと説明。市内に滞在する工事関係者は4月24日時点で約1400人とした。種子島全体では約1800人。
市が把握している部屋数は、建築申請が必要な都市計画区域内に約1300室、区域外に約400室。実際は中種子町にも建てられており、既存の住家が借り上げられたケースもある。
防衛省は当初、種子島に滞在する工事関係者は最大2000人の見込みと公表していた。しかし、「建設業界の人手不足やインフラ未整備の離島という特殊な施工条件」から、今年2月とされたピークはずれ込み、人数も流動的となっている。
コンテナ設置を巡り、杉為昭議員は「工事終了後に撤去されるかどうかについても懸念がある」と指摘。市は「一般住宅と同じで撤去が義務付けられてはいないが、使用済みの建物は建築主や地主が主体となって責任を有するという情報を伝える」と答弁した。
市はほかに、基地整備の着工前後で税収が増えたことを明らかにした。市内に事業所を置く場合に支払う法人市民税は2022年度が7265万円で、23年度は3億958万円。個人住民税の営業所得は、22年の9億5483万円から23年に15億5999万円になった。市は「工事に起因する雇用や需要があり、一定の経済効果が生まれている」と説明した。
6月15日の南日本新聞紙面
6月3日 南日本新聞
自衛隊基地整備でマゲシカに迫る危機とは 樹木伐採で生息域縮減
「奈良公園並みの密度に」 餌足りず冬場に大量死の恐れ、専門家が指摘
鹿児島県西之表市・馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う自衛隊基地整備を巡り、北海道大の立澤史郎特任助教(保全生態学)が2日、島固有のニホンジカ亜種マゲシカについて鹿児島市で講演した。着工後も推定個体数は減っていないとする防衛省の調査について、奈良公園並みに生息密度が高くなる可能性があるとして「多くのシカが冬を越えられないかもしれない」と話した。
防衛省は昨年4~12月に目視とセンサーカメラで調査し、マゲシカの生息数を千~1200頭程度とする推定結果を公表した。昨年1月に公告した環境影響評価書では、同じ手法で700~千頭と推定していた。
マゲシカを30年以上研究する立澤助教は「推定が正しければ大幅に繁殖している可能性がある。伐採した木々が栄養源になったとしか考えられない」と指摘。着工後1年半で工事区域の大部分は伐採されていることから、「新たな餌が供給されないと冬場に大量死してしまう」と懸念した。
防衛省の調査によると、馬毛島には1平方キロメートル当たり約150頭が生息する計算になる。講演後の取材に「工事が進み生息域が狭まるとシカが至る所にいる奈良公園のようになり、持続可能な生息環境ではない」として、調査手法や結果の詳細を明らかにし、専門家による現地調査を認めるよう訴えた。
同日、鹿児島市で「馬毛島基地反対裁判を支援する会」の設立総会があり、立澤助教はリモートで講演した。
6月3日の和田香穂里さんFB投稿より:
馬毛島基地反対裁判を支援する会 設立総会&講演会 報告
6月2日、上記集会が開かれました。少々長くなりますがご報告いたします。
共同呼びかけ人であり、支援する会の共同代表を快く引き受けて下さった松下賢治さんの挨拶に始まって、弁護団の塚本和也弁護士から裁判の概要と支援の要請、原告団長和田香穂里から、地元の状況と支援の要請を行いました。
そして、馬毛島基地反対を訴えて次期西之表市長選への立候補を表明した三宅きみとさん(オンライン)、基地や原発に反対を訴えて県知事選出馬を表明した、てのくち里花さん、川内博史衆議院議員、野党共闘の予定候補者松崎真琴さん(代読)からそれぞれメッセージをいただきました。
鹿児島県護憲平和フォーラム事務長の磨島昭広さんの「岸田政権の『戦争する国』づくりと馬毛島基地建設の現状」と題した講演も、鹿研究の第一人者立澤史郎北海道大特任助教のマゲシカについての講演も、非常にわかりやすく、参加者の方々は熱心に聞き入っていました。
埼玉から島じまスタンディンググループのフジコさん、大阪から南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会の堀さんも駆けつけてくださって、メッセージをいただきました。
裁判はまだまだこれからです。参加してくださった皆様の熱意に励まされ、しっかり闘っていきます。さらなるご支援をよろしくお願いいたします。
5月15日の南日本新聞紙面
4月29日 南日本新聞
次期衆院選鹿児島4区 社民鹿児島県連合、山内光典氏の擁立発表
社民党鹿児島県連合は28日、次期衆院選鹿児島4区の党公認候補として新人で西之表市の市民団体「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」会長の山内光典氏(73)=同市=を擁立すると発表した。近く開かれる党本部の常任幹事会で正式に決まる。
同日鹿児島市で会見した山内氏は馬毛島で進む自衛隊基地建設に触れ、「家賃高騰や交通量の増加など住民の日常が壊されている。市の問題を国は注視するべきだ」と述べた。生活に苦しむ国民の税金が軍事費に使われていると批判し「暮らしを大切にする政治を行いたい」と主張した。
社民県連合は他の選挙区への擁立予定はない。川路孝代表は「政権交代のためには野党共闘しかない」と強調した。
山内氏は西之表市古田出身。種子島高校卒業後、市役所に約40年勤めた。2022年に馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会の会長に選ばれた。23年県議選で無所属から立候補し、落選した。
鹿児島4区は現職で自民党総務会長の森山裕氏(79)の立候補が見込まれるほか、参政党の横井さくら氏(57)が立候補を表明している。
4月27日の南日本新聞紙面
4月2日の南日本新聞紙面
3月27日 MBC NEWS
西之表市長選挙に新たに名乗り 医師・三宅氏が出馬会見
来年3月の任期満了に伴う種子島・西之表市長選挙に、医師の三宅公人さんが無所属で出馬することを表明しました。馬毛島への基地整備の中止を訴えるとしています。
来年3月に任期満了を迎える西之表市長選挙への出馬を表明したのは、市内の医師・三宅公人さん(71)です。
三宅さんは山形大学を卒業、山形県内の病院で外科医として勤務したあとUターンし、現在、島内の医療機関に勤めています。
市長選では、馬毛島への自衛隊基地建設の中止を求め、アメリカ軍の訓練移転にも反対することなどを公約に掲げるとしています。
西之表市長選への出馬表明は3期目を目指す現職の八板俊輔さん(70)と、西之表市議の杉為昭さん(57)に続き、3人目です。
3月12日 南日本新聞
馬毛島自衛隊基地整備 工事差し止め求め提訴
地元漁師、漁業権放棄「納得できない」 鹿児島地裁
鹿児島地裁に向かう原告ら=12日、鹿児島市の鹿児島地裁
鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地建設を巡り、馬毛島周辺で漁を営む権利が侵害されたとして、同市の漁師浜田純男さん(68)が12日、国に対し馬毛島の港湾施設工事差し止めを求める訴訟を鹿児島地裁に起こした。
訴状によると、種子島漁協組合員の浜田さんは25歳から漁業を始め、馬毛島東岸でトコブシ漁やアサヒガニ漁を営んできた。「工事で馬毛島周辺の漁場が不可逆的に破壊される。漁業制限で主要な漁場で長期間操業できない」と工事の差し止めを求めた。
種子島漁協が漁業権の一部放棄と22億円の漁業補償に同意した点は「漁協の放棄決議は水産業協同組合法の目的の『水産業の生産力の増進』に逆行し無効」などと主張している。
浜田さんは会見で「漁協が多数決で漁業権を放棄できるのだろうか。納得がいかず補償金は受け取れない。宝の島を後世に残したい」と訴えた。弁護団の菅野庄一弁護士は「漁業権を放棄させる国の手法は沖縄県の辺野古埋め立てや長崎県の諫早湾干拓と同じ構造だ。過ちが繰り返されている」と指摘した。
馬毛島の基地整備では同日、防衛省への市有地売却などを巡る住民訴訟の第1回口頭弁論が鹿児島地裁であった。裁量権を逸脱し違法で価格も不適正として、西之表市民30人が市に対し、八板俊輔市長と国に2億3430万円の損害賠償を請求するよう主張。市側は請求棄却などを求めた。
訴状などによると、八板市長は2022年8月の住民説明会で「(市有地を)売るということは考えていない」と明言したが、11月に国と売買契約を締結するなどした。
3月6日 南日本新聞
西之表市長選に市議の杉氏が立候補表明 馬毛島自衛隊基地賛成団体の事務局長
鹿児島県西之表市議会議員の杉為昭氏(57)は5日、来年3月の任期満了に伴う同市長選に立候補する意向を明らかにした。市議会一般質問で「市民から市政運営の不満、市長の政治姿勢に対する不信感、市の将来への不安の声が聞かれる。新しい西之表市の道を切り開くため、次期市長選に挑戦する」と述べた。
杉氏は馬毛島の自衛隊基地整備に賛成する政治団体の事務局長を務めている。
市長選への立候補表明は、3期目を目指す八板俊輔市長(70)に続いて2人目。
種子島空港、ジェット機就航へ滑走路延伸へ、一方空港バスは廃止。
3月4日 南日本新聞
首都圏と屋久島がジェット機でつながる…滑走路延伸計画、24年度事業化へ大詰め 観光、物流活性化へ地元期待高まる
滑走路延伸が計画されている屋久島空港。現在はプロペラ機のみ就航する=2月28日、屋久島町小瀬田
ジェット機就航を目的にした鹿児島県・屋久島空港の滑走路延伸計画で、空港管理者の県が進める環境影響評価(アセスメント)手続きが大詰めを迎えている。2023年11月にアセスの最終まとめとなる評価書を国に提出。現在、評価書に対する国の意見を基に補正評価書を作成中だ。年度内を目指す補正評価書の公告・縦覧で全てのアセス手続きは終わり、県は政府の24年度予算で事業化が決まれば、用地取得と測量に乗り出す。
国土交通省は滑走路延伸に向けた調査費を計上したとみられ、予算成立後の年度末前後に発表する見通し。県も24年度予算案に各離島の空港整備費12億1800万円を充当した。前年度より36%増えており、延伸化を念頭に増額した。
県が20年度に策定した基本計画では、滑走路1500メートルを2000メートルに延ばす。併せて旅客ターミナルや駐機場を増設する。
ジェット機就航で関東方面からの観光客などを呼び込もうと、屋久島町とともに早期事業化へ国に要望を重ねてきた。現在、鹿児島、福岡、伊丹の3空港間をプロペラ機が1日14便就航。22年度利用者は過去最多の18万7000人に上った。町政策推進課の三角謙二課長は「プロペラ機より多くの生鮮品を即日首都圏の消費地に運べるようになり、物流の利点もある。住民の合意はできており、国の予算化を待っている状態」と期待する。
工期は8年程度を見込む。基本計画策定時の概算事業費は約150億円だが、建設資材や人件費の高騰で膨らむ見通し。多くは国の補助で整備する。約9割の地権者から同意を得ているという。
アセス評価書では大気環境や騒音、動植物など20項目について、現地調査に基づいた予測や評価をまとめた。天然記念物など保護上重要と位置付けられた動植物123種を確認。このうち複数種で生育環境への影響があると予測したが、「環境保全措置を実施することで影響は回避、低減される」とし「環境保全への配慮は適正」と結論付けた。
評価書に対し国交相は、空港利用者の増加による環境への影響を減らす対策が必要と指摘。現地でハヤブサなど鳥類の繁殖が確認された場合、繁殖期を避けた工期を設けるよう求めた。
環境アセス手続きは調査手法などを記した20年の方法書が始まり。住民の意見を踏まえ、段階的に準備書、評価書をまとめた。県港湾空港課は「海を埋め立てない計画を立て、自然への配慮を大前提にしてきた」と強調する。
3月2日 南日本新聞
運転手不足の波は離島にも…種子島空港バスが今月末で廃止 コロナ以降は赤字続き
種子島空港と島内1市2町を結ぶ2台の空港バス=中種子町の同空港
種子島空港(鹿児島県中種子町)と島内1市2町を結ぶ空港バスが30日で廃止されることが1日までに分かった。運行する和人グループ(南種子町)によると、運転手の不足や高齢化、採算割れなどが理由。同社が2町から委託されたスクールバスや地域コミュニティーバスの運行は継続する。
空港バスは現在の種子島空港が開港した2006年に運行を開始。西之表市街地に向かう西之表線と、中種子、南種子両町を通る南種子線の2路線をそれぞれ4往復している。
行政や運送事業者、住民代表者らでつくる種子島地域公共交通活性化協議会が2月27日、廃止を了承した。代替交通手段として、予約制乗り合いタクシーの導入を検討していく。
協議会事務局によると、19年度まで2路線合計の利用者数は4000~5000人超で推移。新型コロナウイルスの影響で20、21年度は2000人を割り、22年度は3122人だった。1市2町が1000万円を上限に赤字補填(ほてん)しているが、それを上回る赤字が続いていた。
県内では近年、運転手不足などによるバス路線の廃止や減便が相次ぐ。特に車社会の離島では新型コロナの影響で入り込み客が激減したこともあり、路線バス事業の継続が難しくなっている。
和人グループは「空港線廃止で他路線の乗務員の休日をいくらか確保できる。種子島の公共交通機関としての使命を果たすべく努力していく」とコメントした。
2月28日の南日本新聞紙面
2月28日 南日本新聞
工事関係者の輸送、作業船の監視 西之表の漁船の3割は馬毛島自衛隊基地整備と関わり
出漁機会が減少?水揚げ量3割減る
漁船で馬毛島に向かう工事関係者=西之表市の西之表港
鹿児島県は27日の県議会代表質問で、種子島漁協西之表地区の漁業者の約3割(漁船218隻のうち66隻)が西之表市馬毛島に渡る交通船など自衛隊基地整備に関わる船舶業務を担っていると説明した。
昨年12月22日時点で馬毛島の基地整備には2800人が従事。うち1800人は種子島1市2町の仮設宿舎や宿泊施設で暮らし、交通船で行き来している。県水産振興課によると、漁業者は工事作業船などの監視にも携わっている。
昨年4月から1月までの水揚げ量は前年同期比で約3割減り、トビウオやトコブシ、キビナゴは約7割減った。平林孝之商工労働水産部長は要因について、海洋環境などの変化や燃油高騰、交通船業務などの従事に伴う出漁機会の減少、馬毛島周辺海域の漁業制限などを挙げた。
2月21日の南日本新聞紙面
2月20日 MBC NEWS
「馬毛島対応 最善の道を」西之表市・八板市長が3選目指し来年市長選に出馬へ
賛否表明は「状況整っていない」
鹿児島県西之表市の八板俊輔市長は20日、来年3月の任期満了に伴う市長選に、3期目を目指して出馬する考えを表明しました。一方で、馬毛島での自衛隊基地整備への賛否は明言しませんでした。
(八板市長 出馬表明)「馬毛島での現実の国の動きに対応しながら、最善の道を歩まねばならない。郷土の課題解決に向けて、引き続き市政3期目を担当すべく、来年早々に見込まれる市長選挙で、市民の信任を得たい」
八板市長は20日の市議会開会本会議の施政方針で、来年3月の任期満了に伴う市長選に、3期目を目指して出馬する考えを表明しました。来年の市長選への出馬を正式に表明したのは、八板市長が初めてです。
八板市長は2021年の市長選で、馬毛島での自衛隊基地とアメリカ軍の訓練移転への「計画反対」を訴えて再選しました。しかし、その後は「判断材料がそろっていない」ことなどを理由に、賛否を明言しておらず、20日の議会でも賛否については触れませんでした。
議会後の取材で、その理由を問われた市長は。
(八板俊輔市長)「判断材料の状況と基地の整備の進展の動き両方見ながら判断しなくてはいけない。状況が整っていない。
Q.賛否を示さないまま選挙を戦う可能性も?
(八板俊輔市長)「今から協議の場などで国と話をしながら努力しないといけない。その点は状況次第」
「状況が整っていない」とし、来年の市長選までに賛否を示すかどうかについても明らかにしませんでした。
なお、20日の開会本会議では、総額が143億5300万円で過去最大規模の新年度当初予算案も提案されました。国から支給される米軍再編交付金19億9000万円を盛り込み、市街地での戦闘機による騒音の測定装置の購入など42の事業が計画されています。
2月15日 南日本新聞
馬毛島基地問題で賛否真っ二つの西之表市議会 採決に加われない議長が再び辞職願提出へ
「慣例の2年超えた」 前回は否決
鹿児島県西之表市議会の川村孝則議長(64)=7期目=は14日の議会運営委員会で、20日に開会する3月定例会で議長辞職願を提出する考えを明らかにした。長野広美副議長(67)=6期目=も「議長を支えたいという考えだったが、辞職の意向に伴い自分も退く」と述べ、副議長の辞職願を出す。
2人が辞職願を提出するのは、2023年の3月定例会以来2度目。前回は同市馬毛島の自衛隊基地整備に対する考え方で採決が分かれ、いずれも1票差で否決された。今回の辞職願提出について、川村議長は取材に「慣例(2年)を超えて3年間務めている。新年度当初予算の審議を前に出したかった」と答えた。
川村議長、長野副議長ともに21年2月、改選後の臨時会で選出された。同市議会(14人)は基地整備の賛否が7人ずつで伯仲しており、議案採決に加われない議長職を両派が押しつけ合う形になっている。
賛成派議員の一部は「今回も粛々と否決する」としており、現時点で正副議長の辞職が認められる可能性は低い
1月28日の南日本新聞紙面
1月27日の南日本新聞紙面
1月26日の南日本新聞紙面
1月25日の南日本新聞紙面
1月24日の南日本新聞紙面
1月15日 南日本新聞
離島の離島・馬毛島基地着工1年 国家プロジェクト、対岸の種子島の風景も激変 工事関係者向けプレハブの「仮設団地」、交通渋滞、道路沿いの資材置き場…島民ら困惑
鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地建設は本体工事が始まって12日で1年がたった。インフラが未整備で、本土から直接渡ることが困難な「離島の離島」で進む国家プロジェクト。工事関係者や資材の拠点となった種子島にも大きな変化をもたらしている。
「仮設団地」と化した地域がある。西之表市街地からやや離れた種子島合同庁舎周辺の下西校区。工事関係者向けにプレハブ仕様の宿舎がいくつも建てられ、小さな空き地には縦5~6メートル、横2メートルほどのコンテナハウスが所狭しと並ぶ。
中種子町に向かう国道58号の沿線は、港湾施設整備に使うとみられるコンクリートブロックが整然と積み上げられ、重機やコンテナが目立つ。夕日が映える「サンセットロード」は、今や基地整備の面影を抜きにして語れない。
「まるで被災地。景観が変わり、西海岸に行く気が薄れたといった声も聞く」。市南東部に住む男性(54)は漏らす。毎日車で子どもを市街地まで送迎しているが、大型車両とすれ違うのが怖いという。「道幅確保のために道路脇の草木を伐採するなど、業者には着工前にそういう点にも気を配ってもらいたかった」
種子島に滞在する工事関係者は昨年12月22日時点で約1800人。交通量の増加は明らかだ。複数のドラッグストアがあり、もともと車の往来が多い下西校区では渋滞も発生する。別の校区では、学校近くの住宅街で馬毛島への通信ケーブルの埋設工事が進む。
中高生を育てる同市西之表の女性(46)は「通学路に交通誘導員が配置されたのはありがたいが、登下校の心配が増えたのは確かだ」と話す。
種子島の海の玄関口、西之表港の混雑ぶりは市議会でも取り上げられた。昨年は新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行されたこともあり、年末は850台収容の駐車場がほぼ満杯に。空きを探して場内をさまよったり、停車場所や路肩に縦列駐車する車両が相次いだ。
県熊毛支庁によると、昨年5月の大型連休ごろからレンタカーの利用が増えている。ある男性(69)は「港の利用客が困るようになった。工事関係者は別の場所に駐車させるような工夫が必要ではないか」と指摘した。
1月14日の琉球新報紙面
1月13日の琉球新報紙面
1月13日 南日本新聞
「1兆円超えは確実」の声も…馬毛島自衛隊基地着工から1年経っても見えない総事業費
西之表市馬毛島の自衛隊基地整備は12日、基地本体の着工から1年がたった。真っさらな島を丸ごと買収し基地化する異例の巨大事業は、残り3年程度という工期を区切りながら、買収額や総工費などはまだ示していない。不透明さを積み残したまま、前例のないスピードで進んでいる。
防衛省は2023年1月、環境影響評価(アセスメント)の最終まとめとなる「評価書」を公告し、基地本体に即日着工した。評価書によると、着工2年目(24年)は工事資材搬入の「ゲート」となる仮設桟橋が3月ごろ、2本の滑走路は9月ごろにも工事完了の工程を示している。
基地完成後は、米軍が求める空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の恒常的な訓練地となるほか、陸海空の自衛隊部隊も頻繁に活動する。中国軍が進出を強める地域でプレゼンス(存在感)を高める狙いもあり、政府が「かつてない防衛力強化」にかじを切る中で、機能強化を懸念する声は根強い。
西之表市馬毛島の基地にかかる総工費について、防衛省は「離島という極めて特殊な条件の大規模工事。現時点で答えるのは困難」とする。これまで積み上げた予算(契約ベース)は調査段階だった2012年度から24年度当初まで計8821億円に達する。
沖縄の米軍普天間飛行場の辺野古移設計画で見込む総工費約9300億円に既に迫っている。人手不足や物価高が進む中、工事関係者には「馬毛島も1兆超えは確実」との見方が強い。
予算の不透明さもたびたび取り沙汰されてきた。防衛省は19年11月、島の大半を持つ地権者と売買に合意。買収額は160億円とされるが、国は「適切な時期に説明する」として発表していない。そもそも買収額は当初予算に計上せず、辺野古移設の工事費から流用。基地の設計費なども地元に説明しないまま、同様に流用の形を取っていた。
本体工事でも入札を経ず大幅に増額する契約変更が相次ぐ。22年度に随意契約した港湾や滑走路、仮設桟橋の工事では当初の計1680億円から3500億円以上に倍増した。防衛省は「予算の範囲内」とするが、「増額があまりに巨額。透明性に欠ける」「不正の温床になりかねない」との指摘も出ている。
人口急増
工事関係者は種子島2000人、馬毛島4000人の最大6000人規模とされ、最新の昨年12月22日時点では約2800人。5月に防衛省が示した「推移の見通し」と比較すると6割強にとどまり、2月とみていたピークはずれ込む可能性がある。
馬毛島に滞在する関係者は、見通しの4割の約千人。「離島の離島」だけに海況が大きく影響している状況がうかがえる。「種子島の負担軽減」を目的とした3000室超の馬毛島の仮設宿舎整備も、約千室と3分の1しか進んでいない。
工事関係者の大量流入に伴う生活ごみの急増も懸念されている。西之表市、中種子町のごみ処理を担う種子島清掃センター(同市)で処分できる可燃ごみは1日22トン。種子島地区広域事務組合によると、現状の処理量は着工前後でほぼ変わらず、約95%で推移する。
人口の自然減に加え、同省が馬毛島に焼却炉を設置するなどして、影響が最小限にとどまった格好だ。ただ馬毛島で発生した焼却灰をどこで処理するかなど、検討課題は残されている。
重い環境負担
馬毛島周辺は種子島特産の貝「トコブシ(ナガラメ)」の主要漁場。現時点で、27年11月末まで東側の海域約1100ヘクタールには漁業制限がかかり、うち約100ヘクタールは港湾施設周辺で漁業権は消滅する。アセスでは桟橋や港湾工事周辺で水の濁りが発生すると予測。今月8日に上空から海面を見ると、基礎石(捨て石)などを投入する大型船が並び、白い帯のような濁りが確認できた。
防衛省は藻場やサンゴが一部消失するとみているが、濁りは「局地的で一時的な影響」とする。だが、漁業者や観光業者からは周辺への影響を懸念する声が根強い。環境省レッドリストで絶滅の恐れがあると分類されたマゲシカ、天然記念物のオカヤドカリ、ウミガメなどの生息域も劇的に狭まり、環境への負担は重い。
馬毛島基地(仮称)
「く」の字型の2本の滑走路(主滑走路2450メートル、横風用1830メートル)や管制塔、隊舎のほか、事実上「空母化」する自衛隊最大の護衛艦が入港可能な港湾施設を造る。米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の恒常的な訓練地となり、陸海空の自衛隊部隊も連続離着陸や機動展開など各種訓練を行う。空自が管理する。現計画では米軍のFCLPは年1、2回。1回あたり10日程度(準備を含め約1カ月)としている。4~6機の計約60機が入れ替わりながら、着陸と離陸を繰り返す「タッチ・アンド・ゴー」を行う。
1月12日 南日本新聞
無人島から国防の要塞へ…自衛隊基地着工から1年、馬毛島には「街」が現れた
米軍機訓練移転を伴う鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備は12日、基地本体の着工から1年となった。上空で8日に見た島の風景は工事前から一変していた。木々の伐採や造成が進み、作業用とみられる未舗装道が全域に張り巡らされ、至る所で重機が稼働。海沿いは大型船が着岸する仮設桟橋が岸壁から沖へ延び、内陸部にまで建物が立ち並んでいた。国策に翻弄(ほんろう)され続けてきた無人島は要塞(ようさい)へと変貌しつつあるようだ。
上空から見た馬毛島は伐採や造成で緑が減り、むき出しとなった黄土色の大地が広がっていた。自衛隊基地本体の着工から12日で1年。荒野の中に建物や燃料施設も増え、基地のための「街」が出現したように見える。
小型機で南大隅町に差し掛かると、南に島影が現れた。10分足らずで上空へ。黄や赤、緑の重機やトラックが土煙を上げていた。周囲16.5キロの無人島。半年前、伐採で虎刈りのようだった樹林帯は丸裸に。戦時中に使われたとされるトーチカ(防御陣地)があった岳之腰(標高71メートル)周辺の緑も消えていた。
島中央部は10棟以上が密集し、宿舎の発電機や重機に使う燃料のタンク、コンクリートプラントも見えた。東西南北を貫いていた十字の「滑走路」は周囲の開発に埋もれた。島の大半を所有した会社が造成した痕跡はなくなりつつある。
防衛省の計画では北北西-南南東の主滑走路(2450メートル)と横風用滑走路(1830メートル)が「く」の字に交わる。滑走路地区の工事は9月にも完了する見込みというが、上空からその姿はまだ確認できなかった。
玄関口の葉山港がある島東部の沖合では数隻の大型船が作業していた。空母級が停泊できる係留施設の予定地付近で、甲板に積んだ石を次々と海中に投入。青い海面が白く濁り帯のように広がった。
近くには建設中の仮設桟橋が延びている。大型船で島外から多くの作業員、水、燃料、資材を輸送するための施設だ。島には稼働していない重機も多い。燃料や資材の供給体制が整えば、工事が加速することは容易に想像できる。
帰り際、木々に囲まれた旧馬毛島小中学校が目に入った。1980年に休校し、島は無人となった。歴史や文化を伝える数少ない「生き証人」に見えるこの敷地も2022年11月、西之表市が防衛省に売却。緑に囲まれていた一帯にも工事用の施設が立ち並んでいた。
12月30日の南日本新聞紙面
12月21日 MBC NEWS
「日常が壊れていく…」馬毛島基地建設の中止を知事に要請 オスプレイ墜落で危機感
馬毛島基地整備に反対する市民グループなどは21日、塩田知事に基地整備中止を国に求めるよう要請しました。
塩田知事あてに要請書を提出したのは、馬毛島基地整備に反対する市民グループや県議ら9人です。
国は、西之表市馬毛島に自衛隊基地の整備と、アメリカ軍の空母艦載機の陸上離着陸訓練=FCLPの移転を計画しています。
要請書では、屋久島でのオスプレイ墜落事故にふれ、「米軍の事件事故に対する安全は担保されていない」として、塩田知事に「日米地位協定が見直されるまでは、基地整備を中止するよう国に要望すること」を求めています。
(馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会 山内光典会長)「馬毛島の基地建設の問題について現状を理解して深めてもらう。日常生活が壊れていっていることが一番心配」
12月19日 MBC NEWS
馬毛島基地整備、防衛省への市有地売却・市道廃止は「違法」
反対派市民が提訴
国が整備を進める西之表市・馬毛島基地をめぐる問題です。計画に反対する市民は19日、「市が島の市有地を国に売ったことは違法」などとして、市に対し、八板市長と国に損害賠償を請求するよう求める訴えを起こしました。
鹿児島地方裁判所に訴えを起こしたのは、馬毛島基地計画に反対する西之表市民29人です。
国は、馬毛島に自衛隊基地を整備し、アメリカ軍の訓練を移転させる方針で、八板市長は去年、島の小中学校跡地などを国に売却し、残っていた市道を廃止しました。
これを受け、市民グループは「市有地の売却は不当」などとして、市に対し住民監査請求をし、先月、棄却されていました。
今回訴えを起こしたのは、この市民グループの一部で、「売却に至るまでの市長の説明や議論は足りず、裁量権を逸脱している」などとして、西之表市に対し、八板市長と国にあわせておよそ2億3400万円の損害賠償を請求することなどを求める訴えを起こしました。
(和田香穂里・原告団長)「国がやることだから反対しても無駄だよねと、あきらめの声も聞こえてくる。そうではないことを種子島の人々に見せていきたい」
西之表市、八板市長ともに「訴状が届いていないのでコメントできない」としています。
12月18日 南日本新聞
馬毛島基地整備「市の手続きは違法」 西之表の反対市民、19日に損賠提訴
市有地の売却額「低い」と疑問視
住民訴訟を起こす方針を確認する基地反対派の市民=17日、西之表市民会館
鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備を巡り、防衛省への市有地売却や島内3市道を廃止した市の手続きは違法、不当として、基地に反対する市民は19日、鹿児島地裁に提訴する。17日、原告団の結成総会が同市民会館であり、委任状を含め、少なくとも29人が訴訟に参加する意向があることを確認した。
原告は10月2日付で市有地売却などの手続きについて住民監査請求し、11月24日付で棄却された。これを不服として、住民訴訟に踏み切った。
訴状案では、旧馬毛島小中学校跡地(8853平方メートル)3370万円、下西校区の自衛隊員宿舎用地(7029平方メートル)2530万円とした市有地の売却価格を疑問視。「国が開発業者から馬毛島の土地を買い上げた金額に比べて低い」などと指摘し、八板俊輔市長と国に対して市に損害賠償として1億円の支払いを求める。併せて市道の廃止を取り消すよう主張する。
原告団団長で前市議の和田香穂里さん(59)は「戦争につながる基地は駄目というのが共通の思いだ。平和な未来をつくるために今できることをやる。今後、支援者も広く募っていきたい」と話した。
12月5日の東京新聞紙面
12月4日の琉球新報紙面
11月22日の琉球新報紙面
11月14日 南日本新聞
自衛隊基地整備進む馬毛島 「戦争の島にするな」全国の平和団体が初の交流会
工事中止実現へ連携確認 種子島
各都道府県からの参加者から連帯の旗を受け取る「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」の山内光典会長(右)=13日、西之表市
全国の平和団体などが13日、鹿児島県西之表市のホテルで、同市馬毛島の自衛隊基地整備に反対する「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」と初の交流集会を開いた。馬毛島基地について「軍事力の拡大につながる」とし、工事中止の実現に向けて連絡会と連携することで一致した。
25都道府県から約140人、連絡会メンバー約40人が参加した。連絡会の渡辺道大事務局長(42)が基地整備までの経緯や着工後に浮き彫りになった住民への影響を説明。米軍や自衛隊の基地による騒音問題を抱える沖縄県や山口県岩国市、東京都の代表者はそれぞれの取り組みを紹介した。
集会後は馬毛島基地整備の中止を訴え、市街地をデモ行進。連絡会の山内光典会長(72)は「種子島の生の声を聞いてもらい、ありがたかった。全国的な問題と捉えてもらえれば」と話した。
11月11日 南日本新聞
馬毛島自衛隊基地整備がますます加速
防衛省、補正予算に2684億円計上 総額もうすぐ1兆円に
自衛隊基地建設が始まった馬毛島。画面奥は種子島本島=西之表市の馬毛島(本社チャーター機から撮影)
防衛省は10日、2023年度補正予算案に防衛力や災害対処能力の強化に向け総額8130億円を計上したと発表した。鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転を伴う自衛隊基地整備には歳出ベースで2684億円を充て、係留施設や滑走路などの整備を加速させる。
馬毛島整備は米軍再編関連(3169億円)の大半を占めた。契約ベースでは839億円で、環境調査や詳細検討なども含む12年度からの予算を積み上げると計8519億円に達した。24年度予算では一層の上積みも予想され、1兆円が間近に迫っている。
同省によると、工事の進ちょくに応じ年度内の支出分が増えたほか、人件費や資材単価の高騰で当初予算の見込みより上振れた。基地の早期整備に向け、資機材の輸送力を強化するため船を追加投入する経費にも充てる。
防衛省が8月に発表した24年度予算概算要求では、馬毛島内で最新鋭ステルス戦闘機F35Bの訓練施設整備を進めるため約64億円を計上した。
11月10日 MBC NEWS
馬毛島基地工事 種子島にコンテナ宿舎500棟新設へ…宿舎の中は?コンテナ再利用の背景は
自衛隊基地整備とアメリカ軍の訓練移転に向け、工事が進む西之表市・馬毛島。隣の種子島を含めた工事関係者は来年は6000人に上る見込みの中、課題となっているのが宿舎の確保です。
工事関係者の”宿舎事情”を取材すると、基地工事の現状も見えてきました。
基地工事が進む馬毛島。工期は今年1月からおおむね4年間ですが、防衛省は滑走路を先行して整備し、早ければ2025年度にアメリカ軍の空母艦載機の訓練が始まるともいわれています。
馬毛島では来年2月のピーク時に4000人、となりの種子島に2000人の、あわせて6000人の工事関係者が滞在する見込みで、宿舎の整備が急ピッチで進んでいます。
種子島でよく見かけるようになったコンテナの宿舎。なぜ増えているのでしょうか?
大崎町に、コンテナの宿舎を作っている工場があります。
高さ3メートル、横2.5メートル、奥行き6メートルほどの鋼鉄製の箱。この会社では、近くの志布志港などから中国製のコンテナを仕入れ、種子島におよそ130棟を設置しました。
来秋にかけてさらに500棟を作ることにしています。
8畳ほどの限られたスペースに、生活に必要な機能を備えながらも…。
(記者)「大人1人が横になっても十分な広さがあります。天井も高いので、コンテナとは思えない空間となっています」
こうした機能性、快適性のほかに、コンテナは鋼鉄製のため、プレハブなどに比べて台風などの自然災害に強く、防音にも優れているといいます。
また、外観はほぼそのままに、ドアや窓の部分をくりぬくなどのシンプルな工事のため、1棟あたりのコストは350万円ほど。中古のコンテナをリサイクルすればさらに費用を抑えられます。
(ジャカコン西日本・前田英一営業所長)
「時間がないので速く作ってほしいというのが、客(基地工事業者)の要望」
「いくつ作っても足りない」
種子島に増えつつあるコンテナ宿舎。実際に生活する工事作業員に、匿名を条件に話を聞くことができました。
(40代工事作業員)「広くていいなと思った。この生活スタイルでずっといきたいと思う」
宿舎が不足する一方で、以前は多かった共同生活は好まれなくなり、コンテナ宿舎のようなプライベートを重視した個室のニーズが高まっているといいます。
(40代工事作業員)「最初のうちは狭い4人1部屋と聞いていたが、コンテナハウスのようなプライベートの確保(が大事)。疲れた体をいやすのに24時間、同じ顔を見るのは、というのもある」
一方で労働環境は、海がしける冬場にかけて次第に厳しくなるとみています。
(40代工事作業員)
「離島の離島なので、渡るのも大変」
「工事はそれなりに進んでいると思うが、(着工後)冬をまだ経験していない。半月くらい島に渡れない時期もあると聞いているので、工事は少しずつ遅れるだろう」
鹿児島でかつてない規模の基地工事。今後、6000人ともいわれる工事関係者の住まいは?労働環境は?
様々な課題をはらみながら、基地工事は続いています。
11月8日 MBC NEWS
馬毛島 自衛隊基地整備・米軍訓練移転へ工事進む 空から見てみると
鹿児島県西之表市の馬毛島では、アメリカ軍の訓練移転と自衛隊基地の整備に向けた工事が進んでいます。
工事が始まって10か月。基地整備はどのくらい進み、島の自然やシンボルはどうなったのか?8日、JNNのヘリコプターで上空から撮影しました。
(記者)「馬毛島の上空に来ました。基地工事が始まって10か月。緑が広がっていた島は、いたるところで土がむき出しになり、姿を変えつつあります」
今年1月に工事が始まった時と比べると、造成工事が進み、重機が通るための道が作られていることが分かります。
馬毛島では、アメリカ軍・空母艦載機の陸上離着陸訓練などに使う2本の滑走路や、護衛艦が停泊する桟橋などの整備が計画されています。工期は概ね4年間で、今はまだ基地の姿は見えませんが、大きく変わったところもありました。
(記者)「馬毛島の東側の港、葉山港に来ました。桟橋の工事が進んでいる様子が分かります。作業員が工事を進めている様子も見られます」
整備が進む一方で、失われていくものもあります。島のほぼ中央に位置する山、岳之腰です。頂上には旧日本軍の陣地、トーチカがありました。残してほしいという声がありましたが、滑走路の予定地にあり、崩して造成されます。
(記者)「起伏の少ない島のシンボルになっている標高およそ70メートルの岳之腰です。重機で少しずつ整地が進んでいる様子が分かります。岳之腰の上には、旧日本軍の陣地・トーチカがありましたが、姿を消しています」
最盛期の1960年ごろには500人以上が暮らしていた馬毛島。かつての面影を感じさせる建物がわずかに残っていました。
(記者)「島の小中学校の跡です。校舎や校庭が今も残っています。小中学校跡は今のところ、工事のエリアにかかっていませんが、周りには、土がむき出しになった基地工事の現場が広がっています」
馬毛島の広範囲で造成が進む中、島の固有種・マゲシカを探してみましたが…。
(記者)「あ、違いますね」「木々が残っている部分を見ていますが、姿は見られません。以前は木のかげから出てくることもありましたが、その姿を見ることはできません」
防衛省は滑走路などを先行して整備する方針で、早ければ2025年度にもアメリカ軍空母艦載機の訓練が始まる可能性があります。
基地整備が進む馬毛島。かつての人の営みと自然は、刻々と姿を変えています。
10月13日の南日本新聞紙面
10月4日 南日本新聞
馬毛島基地整備に「賛意」 中種子町が自衛隊対策室を新設 関連施設の誘致など取り組む
鹿児島県中種子町は自衛隊対策室を新設し、10月から始動させた。課長級、係長級の2人態勢。西之表市馬毛島で自衛隊基地整備が進む中、各課にわたる課題や米軍再編交付金事業の計画を取りまとめ、防衛省との協議で主体的な役割を担う。
町と町議会は災害対応や隊員居住による地域活性化を期待し、基地整備に賛意を示している。町は馬毛島とは別に自衛隊関連施設の誘致を掲げており、同室が中心となって推進活動に取り組む。遠藤淳一郎室長は「住民生活に影響がないよう、防衛省に地元説明などを求めていく」と話した。
9月27日の南日本新聞紙面
9月18日 南日本新聞
馬毛島・自衛隊基地整備 反対派有志が3度目の監査請求へ
市有地売却「市長の裁量権逸脱」
鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備に反対する市民の有志は16日、市が馬毛島小中学校跡地と隊員宿舎用地の防衛省への売却、島内3市道を廃止したことに対し、3度目の住民監査請求をする方針を決めた。昨年11月までに延べ約470件分を提出したが、いずれも却下されていた。
違法性や不当性が疑われる点として(1)市民代表である市長は裁量権を逸脱し、市民が納得していない中で契約締結した(2)市有地の売却価格が周辺の土地取引に比べて低い(3)随意契約による売却先決定は地方自治法に反する-ことを挙げた。
有志約20人は16日、監査請求への参加を呼びかける市民の会を設立した。19日から市監査委員事務局に随時請求する。元教員で会長の目迫ヱミ子さん(85)は「われわれが何を言っても工事が進んでしまっているが、黙っているわけにはいかない」と話した。
9月8日の南日本新聞紙面
9月7日 南日本新聞
馬毛島基地整備 西之表市長が防衛省にくぎ「市民生活への影響著しい」
工事中断要請の可能性示唆「軽減策は万全でない」
鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備を巡り、八板俊輔市長は6日の市議会一般質問で「人流や物流の急激な増加に伴う市民生活への影響が著しく、改善が図られないのであれば(基地工事の)中断を求める考えも否定できない」と述べた。
作業員数が来年2月にも最大6000人に上るとの見通しを示している防衛省に対し、工事の進捗(しんちょく)状況だけでなく、受け入れる地元の不安解消にも気を配るようくぎを刺した格好だ。八板市長が「中断要請」の可能性に踏み込んだのは初めて。
同省がこれまでに示した市民生活への影響を軽減する対策について、八板市長は「スピード感、具現性は万全でないと捉えており、迅速かつ有効な対応を求めている」と述べた。市民の不安解消などを目的に始まった市と同省の協議は5月12日以降、開かれていない。
9月1日の南日本新聞紙面
8月31日 MBC NEWS
馬毛島 来年後半にも航空自衛隊先遣隊派遣へ
八板市長「地元の理解が重要」
アメリカ軍の訓練移転と自衛隊基地の整備が計画される鹿児島県西之表市・馬毛島に、来年後半にも航空自衛隊の先遣隊が入る予定です。
八板市長は「地元の理解が重要であることに変わりはない」とコメントを発表しました。
馬毛島では自衛隊基地の整備と、アメリカ軍空母艦載機の陸上離着陸訓練=FCLPの移転が計画されています。工事は概ね4年の計画ですが、防衛省は先行して2年後には滑走路を完成させ、アメリカ軍のFCLPを始める方針です。
防衛省は31日、来年度予算の概算要求で過去最大の7兆7385億円を計上すると発表しました。
防衛省の資料には馬毛島における施設整備に関する要求も記載されていますが、関係者によりますと、防衛省は建設が計画通り進んでいるか確認するため、来年後半にも航空自衛隊の90人規模の先遣隊を馬毛島に入れる方向で調整しているということです。
国の方針を受けて、種子島の住民は?
(西之表市 配達業・20代)「あまり実感がわかないが、そうなのかという感じ。争いごとがこの辺にも来ると怖い。前々から基地ができるとは言っていたので仕方ない」
(西之表市 パート・70代)「生活の乱れが一番心配。孫もいるので、今から大きくなって問題が起きたら大変。(八板市長は)この際はっきりと(賛否を)言ってもらったほうが良い」
(中種子町 農業・70代)「やっていることだから仕方がない。防衛省の考えだからなんともいえない」
西之表市の八板俊輔市長は、防衛省から先遣隊の派遣について連絡を受けたとして、「国に、住民の不安や懸念をひとつずつ丁寧に解決していくことを強く望み、市としても適切な対応に努める」とコメントしています。
8月30日 MBC NEWS
馬毛島に航空自衛隊先遣隊を派遣へ 来年後半にも
アメリカ軍の訓練移転と自衛隊基地の整備が計画される鹿児島県西之表市・馬毛島に、来年後半にも航空自衛隊の先遣隊が入ることが分かりました。
馬毛島では自衛隊基地の整備と、アメリカ軍の空母艦載機の陸上離着陸訓練=FCLPの移転が計画されています。
基地工事は概ね4年の計画ですが、防衛省は、滑走路については先行して2年後には完成させ、アメリカ軍のFCLPを前倒しで始めたいとしています。
複数の関係者によりますと、馬毛島で滑走路や管制塔の建設が計画通り進んでいるか確認するため、防衛省が来年後半にも航空自衛隊の先遣隊を馬毛島に入れる方針で調整していることが分かりました。
先遣隊は90人規模とみられ、馬毛島島内に隊員が滞在できる宿舎がないため、中種子町に作られる宿舎から馬毛島へ通うとみられています。
防衛省は、来年度の概算要求で先遣隊にかかる費用を盛り込む方向で調整しています。
8月28日 南日本新聞
「馬毛島を米軍基地にしないで」 市民団体、街頭で反対訴え
学校跡地の売却差し止め再請求も準備
集会後、街頭で基地反対のプラカードを掲げる参加者=27日、西之表市東町
鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備に反対する市民団体「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」は27日、市内で集会を開き、月2回の街頭活動や新しいポスター作成など今後の活動方針を確認した。集会後、市民約30人がプラカードを掲げ、基地反対を訴えた。
同会は8月22日、馬毛島を漁船から視察した。山内光典会長(72)は「マゲシカを一頭も見つけられなかった」とし、基地本体工事で生息環境が変化することが不安だと訴えた。
馬毛島小中学校跡地の売却差し止めなどを市に求めた住民監査請求が7月に市監査委員事務局に却下されたことを受け、再請求に向け実行委員会を設置することが報告された。
参加者からは、建設中止を防衛省に求める署名活動の実施や、市に対し現状確認を求める意見があり、8月末の役員会で取り扱いを検討する。
8月25日 MBC NEWS
「作業船の数に驚いた」西之表市・八板市長が基地工事着工後初めて馬毛島を現地視察
鹿児島県西之表市の八板俊輔市長は25日、自衛隊基地整備とアメリカ軍の訓練移転に向けた工事が着工してから初めて馬毛島に上陸し、工事の進捗状況などを視察しました。
25日は、八板市長と副市長、市の職員ら合わせて8人が馬毛島の視察に向かいました。
市によりますと、島では市が管理する葉山港で、岸壁が崩れている場所の補修状況を確認したほか、島の周囲を船で回り港湾施設などの工事の進捗状況を視察したということです。
八板市長が馬毛島に上陸したのは、2020年に市が開いた子どもたちの体験活動以来で、着工後は初めてです。
一方で、八板市長は滑走路などの工事現場の視察を求めていましたが防衛省は「安全が確保できない」として、葉山港以外での視察はできなかったということです。
(西之表市 八板俊輔市長)「相当数の作業船があったので、作業の状況を目の当たりにして驚いた。(馬毛島を)どう使えばいいかという理想は変わっていないので、後戻りできるのであればそうありたいという気持ちは持っている」
八板市長は、今後も港以外の工事の進捗状況を定期的に確認できるよう、国に求めていく考えを示しました。
7月22日の南日本新聞紙面
7月21日の南日本新聞紙面
7月20日 MBC NEWS
基地着工から半年 「あの頃は天国だった」漁師(85)が語るかつての馬毛島
自衛隊基地整備の着工から半年が経過した鹿児島県西之表市・馬毛島。かつては種子島側の人にとっても暮らしに根ざした身近な島でした。
長年、島で漁をしてきた男性を通して、かつての島の様子を振り返ります。
馬毛島基地の着工から半年。種子島の西之表港からは、建設作業員を乗せた海上タクシーが続々と出航します。
向かう先は馬毛島の玄関口、葉山港。去年、防衛省がボーリング調査や港湾の水深を深くする工事を行い、資材などを搬入する港になりました。
葉山港を拠点に漁をしてきた集落があります。西之表市塰泊(あまどまり)地区、人口およそ500人の漁村です。
浦頭長五郎さん、85歳。中学校を卒業してすぐ漁師になりました。
(浦頭さん)「ここら辺りにはナガラメがたくさんいた。道を挟んでトビウオ小屋があった。毎年5月になるとトビウオ漁で馬毛島に渡った」
浦頭さんたちは、トビウオ漁の時期になると馬毛島に季節移住しました。当時の船では日帰りができず、移住小屋を築いて寝泊りしながらの漁でした。海岸で獲れるアワビの仲間ナガラメも貴重な収入源でした。
(浦頭さん)「海と馬毛島を行き来して漁をした」
種子島の漁師にとって馬毛島はどんな存在なのか。島の歴史や文化を伝える「鉄砲館」に入ると、一際目を引くジオラマが展示されています。
(種子島開発総合センター鉄砲館 鮫島斉さん)「馬毛島でのトビウオ漁を再現したもの。馬毛島にトビウオ小屋を建てて季節移住をして漁をする。代表的な種子島の漁」
トビウオの産卵地でもある馬毛島は、昔から一級の漁場でした。漁区の既得権を記した石碑が今も葉山港にあります。
(鮫島さん)「こういった歴史があって、ここで漁をしてきたということを後世に伝えるために書き記した。主に池田、洲之崎、塰泊の人々が馬毛島で漁をしていて、後に住吉の浦人も入ったと記されている」
漁村ごとに行われた季節移住は昭和40年代前半まで続きましたが、漁船のスピード化に伴い徐々になくなりました。仲間と団結してトビウオ漁を行った頃を浦頭さんは、鮮明に覚えています。
(浦頭さん)「組合の中にベンザジという(集落の漁民を代表する)役がいて、その人が夜中1時に『起きれ!』と叫んで回った。行くぞと言うと皆船に乗り込む。早いもの勝ちだから。いかにして魚が住んでるところを見つけるか」
馬毛島の最高地、岳之腰の頂上に旧日本軍のトーチカがあります。そこからトビウオが獲れている位置を把握し仲間に伝達していました。
(浦頭さん)「電球の灯りで合図していた。喧嘩ばかりだった」「道の上に倉庫があった。その倉庫でトビウオをタルに漬け込んで、翌日洗って干した。大口の業者が2万匹買っていった」
港にある漁具倉庫で、井戸端会議をするのが浦頭さんの日課です。漁師仲間の一人、寺田末雄さん(80)。30年以上前に8ミリビデオで撮影した映像を見せてくれました。
(寺田さん)「まだ馬毛島の出入りが自由なとき」
馬毛島の開発がはじまる前、家族や友人と潮干狩りに行った記録でした。
(寺田さん)「天国やった、この時は。馬毛島は…」
(浦頭さん)「残念でたまらん。かつてのように自由に馬毛島に渡って、(孫たちと)シカを見たり泳いだり、ナガラメを獲ったりさせてあげたかったなと。それが今も抜けない」
塩田鹿児島県知事お得意ののパーフォーマンス!
7月19日 MBC NEWS
馬毛島工事めぐり 塩田知事が浜田防衛相に要望
鹿児島県西之表市の馬毛島で自衛隊基地の大規模な工事が進む中、塩田知事が19日、防衛省を訪れ、地元住民の不安への対策を要望しました。
塩田知事は県議会の松里保廣議長とともに防衛省を訪れ、浜田防衛大臣に要望書を手渡しました。
要望書では、馬毛島の基地建設工事によって住民生活や観光への影響が懸念される中、種子島や馬毛島に滞在する工事関係者は今後、ピーク時にはおよそ6000人に達する見通しになっているとして、7つの項目を挙げて対策を求めています。
具体的には、工事関係者の宿泊先確保の見通しを速やかに示すことや、ごみ処理施設を早急に設置すること、工事関係者の法令遵守、交通誘導員の配置、救急・医療態勢の確立などを挙げています。
防衛省の井上主勇大臣官房審議官は、仮設宿舎や工事関係者の見通しについて地元に情報を提供していく考えや、馬毛島に生ごみ処理施設をできる限り早く設置する方針であること、交通誘導員を2学期が始まる時期までに配置できるようにする考えなどを伝えました。
(浜田靖一防衛相)「我々にとっても大変重要なプロジェクトでありますし、そしてまた、そのことによって住民の皆さん方にマイナス面があってはならないと強く感じておりますので」
浜田大臣は、住民に不安を与えないように努力していくと答えました。
7月18日の沖縄タイムス紙面
7月14日の南日本新聞紙面
7月12日 MBC NEWS
馬毛島基地着工から半年“工事作業員6000人”に不安の声も 元島民「なるようにしか…」
鹿児島県西之表市の馬毛島で、自衛隊基地整備とアメリカ軍の訓練移転に向けた工事が始まってきょう12日で半年です。基地工事で変わっていく地元の姿を、種子島の住民や馬毛島の元島民はどう受け止めているのか?取材しました。
種子島から見た、12日の馬毛島です。関係者によりますと、島では今、仮設桟橋や作業員宿舎の整備などが進められていて、ところどころ、土がむき出しになった場所も見られます。
馬毛島では、自衛隊基地の整備と、アメリカ軍空母艦載機の陸上離着陸訓練の移転に向けて、今年1月から概ね4年の計画で工事が始まりました。
Q.滑走路をいつまでに完成させ、いつから米軍訓練(FCLP)を開始するのか?
(浜田防衛大臣)「(FCLPに)最低限必要な施設は先行して完成させる考え。確定的なお答えができる段階にはないことをご理解いただければ」
着工から半年、種子島では今…。
(記者)「午前7時の西之表港です。続々と漁船が集まり、けさも工事作業員を乗せた船が馬毛島に向かう様子が見られます」
漁船が続々と港を出ていく風景は、今や日常となっています。
人口およそ2万7000人の種子島。種子島には1000人、馬毛島に200人の工事作業員が滞在し、ピークの来年2月には、種子島では2000人、馬毛島では4000人のあわせて6000人に増える見込みです。
作業員の急増に伴って種子島のホテルやレンタカーはひっ迫し、賃貸住宅の家賃も上昇。さらに、暮らしへの影響も懸念されています。
西之表市の中心部近くの下西地区。朝のごみ回収を取材すると…。
(ごみ回収作業員)
「全体的にごみの量が増えた」
「ちょっと想像つかない。何千人と作業員が増えたらどうなるか」
生活ごみが増加する背景にあるのが、下西地区で進む工事作業員用の宿舎の建設です。
種子島清掃センターでは、ごみの焼却施設の稼働率は常に95%前後となっていて、「さらにごみが増えれば処理が追いつかなくなるおそれがある」といいます。
下西地区の校区長・西村俊夫さん。ごみの増加とともに懸念しているのが、作業員らの車の増加です。地域の幹線道路は朝と夕方を中心に混雑が目立つようになり、事故のリスクを心配しています。
(下西地区・校区長 西村俊夫さん)「児童クラブの生徒が、公民館へここを渡って行く。横断歩道をつけてほしいと言っている」「(解決は)難しい、現状の道路状況だと」
下西地区には今後、防衛省が買い取った市の土地に、自衛隊員の宿舎が整備されることになっています。西村さんは、人口増加や街の活性化に期待を寄せる一方で、地域の不安や懸念への対応が課題だと話します。
(下西地区・校区長 西村俊夫さん)「人が増えればいろんなトラブルも増える。そこで住民、行政と一緒になり問題点を解決する、そういう気持ちで受け入れる環境づくりが大事」
基地計画が進む中、西之表市は、基地を受け入れるかわりに国から支給される再編交付金の活用を進めています。今年度、西之表市には20億7200万円が交付され、社会基盤の整備や農林水産業などで47の事業を計画。小中学校ではすでに4月から学校給食の完全無償化が始まり、今後は老朽化した公園の改修や、バス・タクシーなど公共交通の無償化などを計画しています。
(西之表市民)
「(Q.給食費無償化をどう思う?)いいと思う。助かります」
「子育てにお金を出してくれてありがたい」
一方で、八板市長が「判断材料が揃っていない」などとして、基地計画への賛否を示していないことについては…。
(西之表市民)
「(賛否を)言うと大変なところもあるんだろう」
「はっきりしてほしい。反対の人もいるので、声を聞いてほしい」
かつて馬毛島で暮らしていた人は、この半年をどう捉えているのでしょうか?
西之表市でたばこ店を営む池浪美代さん(82)です。1970年代まで15年間、馬毛島でもたばこ店を経営し、漁師の夫とともに3人の子どもを育てました。
(池浪美代さん)「運動会の時は親も一緒に島民みんなで出て、弁当作って」
変わっていく馬毛島の姿に池浪さんは…。
(池浪美代さん)「自分たちが住んでいた島が変わっていくのは…もうなるようにしかならない」
着工から半年。住民は複雑な思いを抱えながら、基地へと変わるふるさとの姿を見つめています。
7月13日の南日本新聞紙面
7月12日 南日本新聞
馬毛島自衛隊基地着工から半年 緑少なく、海には濁り…姿変える島をドローンで撮影
7月12日の南日本新聞紙面
7月6日 南日本新聞
馬毛島自衛隊基地工事で作業員が増えたからか…種子島でコロナ、インフルが流行
医療資源乏しく不安高まる
鹿児島県の種子島で6月以降、新型コロナウイルスとインフルエンザが流行している。病院は発熱を訴える外来患者で混雑、学級閉鎖も発生した。西之表市馬毛島では、自衛隊基地整備が進み工事関係者の流入が続く。離島の医療資源は乏しいだけに、さらなる感染拡大への不安が高まる。医療関係者は「手洗いや会食は少人数にするなど、感染防止対策を改めて徹底してほしい」と呼びかけている。
南種子町の公立種子島病院には連日、ドライブスルー式の検査に訪れる車が相次いでいる。特に土日は多く、看護師が休日出勤することも。6月26日からの1週間にコロナ陽性者81人を確認。40、50代が多いという。
県が6月30日に発表した感染症情報(19~25日分)によると、県内の1定点医療機関当たりの平均がコロナ11.71人、インフル18.09人のところ、西之表保健所管内はコロナ61.0人、インフル40.0人。同保健所は26日、インフルの流行発生警報を発令した。
学級閉鎖は西之表市の小中学校で累計4クラス。市や南種子町は防災無線で感染症予防を呼びかけた。
島内の医療機関の関係者は「最近は島民以外の工事関係者の受診が目立っている」と指摘。一方、以前の流行期に比べ高齢者の受診が少ないという。「人が増えても島の医療態勢は、ほぼ変わらない。島民に医療が届きにくくなるのではないか」と心配する。
同市の種子島医療センターは5月以降、一日の外来患者が50~100人ほど増え、診察の待ち時間は長くなっている。高尾尊身院長(74)は「現時点で病床の逼迫(ひっぱく)はないが、これが続くと今後影響が出る恐れがある」と混雑緩和への対策を検討中だ。
島内1市2町の人口は約2万7000人。市によると、種子島に来島する工事関係者は2月以降増え続け、6月5日時点で1050人。秋にかけて急増し、ピークの24年2月は種子島に約2000人、馬毛島に約4000人が見込まれている。
市内の40代パート従業員女性は「作業員の増加が感染拡大時と重なったら、離島の医療態勢で受け入れきれるのか」と不安を口にする。
島内のある特別養護老人ホームでは職員が定期的に抗原検査をし、家族が感染したら出勤停止にするなど策を講じる。職員は「基礎疾患がある高齢者は感染が命に関わる。行政が強く緊急性を発信してくれれば、住民も配慮してくれるはず」と求めた。
6月23日の南日本新聞紙面
財源の乏しい市町村は、再編交付金や防衛省補助金に頼らざるを得ないのか?
6月19日の南日本新聞紙面
6月17日の南日本新聞紙面
6月14日の南日本新聞紙面
6月1日 南日本新聞
「賛否超えて理解深まる」…自衛隊基地建設が進む馬毛島
市議会特別委が現地視察と説明を防衛省に要望
鹿児島県西之表市馬毛島で進む自衛隊基地整備を巡り、市議会馬毛島対策特別委員会は31日、同島の視察と、工事に関する説明を求める要望書を九州防衛局種子島連絡所に提出した。進捗(しんちょく)状況を直接確認することで、基地整備の賛否を超えて理解が深まるなどとしている。
特別委は議長を除く13人で構成している。杉為昭委員長は「要望書は委員の総意だ」と説明。関兼文所長は「地域との調和を図るべく汗をかいていきたい。関係部署と相談して対応する」と話した。
5月29日の南日本新聞紙面
5月25日 南日本新聞
膨らむ防衛費 欲しがる過疎自治体「施設誘致は活性化の追い風になる」
元海自司令官は言った。「血税を無駄にすれば自衛隊の信頼が崩れる」
130棟-。鹿児島県の奄美大島在住の40代建設業男性は数字を見て驚いた。政府が今後10年で整備を見込む自衛隊弾薬庫の棟数だ。うち70棟は4年ほどで造るとしている。
男性は陸上自衛隊瀬戸内分屯地(瀬戸内町)の大型弾薬庫の工事に携わった。引火や外部攻撃も想定し、使うコンクリートは「扱ったことのないぶ厚さ」。丘のように土で覆ったり、地中に造ったりする。3年前に着手した計画5棟の工事は今も続く。「1棟でも巨額を使う特殊な施設。どこにそんなに造るのか」
大手ゼネコン関係者も首をかしげる。「保安距離が必要で、場所選びは簡単でない。あちこちの離島や山に造っていかないと達成できない」。政府は港湾や空港などの大幅強化も目指す上、西之表市馬毛島の基地工事で6000人もの作業員を要しており、「中国の人手でも借りないと回らない」と苦笑する。
防衛省によると、2022年度に施設の誘致で来省した全国の自治体や議会は18。うち県内はさつま町と南種子町だった。過去5年間、両町や中種子町、徳之島3町、十島村はほぼ毎年陳情している。
「官民一体で誘致したい」。さつま町の上野俊市町長は2月末の施政方針でも明言した。最大の理由は過疎だ。人口は10年間で約5000人減り、1万9000人を割り込んだ。
同町では5年前、商工会を中心に誘致団体が発足。具体的な場所や施設は限定せず、陳情や駐屯地視察を続けている。幹事長の山崎隆さん(55)は「防衛力強化は追い風になり得る。何とか地域活性化につなげたい」と話す。
十島村も「インフラ整備のためなら、ぜひとも」と熱望する。村の23年度当初予算約47億円のうち、村管理の港の改修などが10億7500万円を占める。例年8億円前後かかり、国の補助が8割あるとはいえ村の財源を苦しめる。担当者は「港は生活基盤そのもので、防災上も不可欠。予算が付くなら非常に助かる」
防衛費は今後5年間で従来の1.5倍超の43兆円に膨らむ。財源は増税だ。元海上自衛隊自衛艦隊司令官の香田洋二氏(73)は防衛力強化の必要性を認めた上で、「計画ははやりの言葉を並べただけ。血の通わない作文だ」と指摘する。
現役時代、予算には厳しく「根拠」を問われ、数年かけて計画を練った。今は現場からの緻密な積み上げも、政治家の覚悟も見えないという。「ごまかしたまま進めても、結局困るのは現場。誠実な説明が圧倒的に足りない。血税を無駄にしていけば、これまで自衛隊が積み上げた信頼が崩れる」と警鐘を鳴らす。
県内で誘致意向を示す首長の一人はこぼす。「地方最大の課題は少子高齢化。本来はその解決が先だ。ただ、切実だからこそ防衛でも協力する」
(連載「転換期の空気 安保激変@かごしま6回目より」)
5月23日 南日本新聞
馬毛島自衛隊基地計画は「終わった問題」
地元との協議、防衛省ペースで着々進む
鹿児島県西之表市馬毛島の米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う自衛隊基地整備は着工から4カ月がたち、工事の規模が浮かび上がってきた。12日にあった市と防衛省との4カ月ぶりの協議で、工事関係者が来年2月、最大6000人に上ることが判明。対応を本格化させたい地元に対し、国は腰の重さが透け、温度差を感じさせている。
両者の協議は市民の安心安全確保を主な目的に、市の求めに防衛省が応じる形で昨年2月末に始まった。これまでも、航空機騒音など生活に関わる情報が一定程度明らかになった。
計12回を数える協議の開催時期と内容には偏りが見られる。開催は、基地運用による影響などを予測した環境影響評価(アセスメント)の公表前が中心。協議では防衛省がアセスの概要を事前に知らせるケースが目立った。
市が強く懸念する種子島上空の飛行回避については、2度の協議で議題に上がったものの、ルートの順守と米軍への申し入れにとどまったままだ。市側は「引き続き協議する」としたが、進展はない。むしろ市が馬毛島の学校跡地売却や市道の廃止を求められて応じるなど、協議は防衛省ペースで進む。
着工以降、市には工事に関する市民からの問い合わせが増えているという。不安の高まりと受け取れる。一方、今月12日の協議は着工後初めてで、前回からの間隔は4カ月とこれまでで最も開いた。地元では基地整備に伴う米軍再編交付金の活用が始まり、漁協から漁業補償の同意を得た防衛省内では、「終わった問題」との雰囲気が漂っているという指摘もある。
協議後の会見で、同省参事官は事前に生活への影響を予測したかを問われ、「われわれの工事だけによって起きているかというと、受注者との話で確証は得られていない」とした。同省の関心は、いかに滑走路を早く整備し、米軍に示したスケジュール通りにFCLPを始められるかに移っているように見える。
同日の協議では、工事関係者の最大数に至るまでの推移予測も示された。工事による住民生活への影響をいかに抑えるかを検討する基礎材料になるため、市が再三求めていた。市役所内では「ようやく出たか」といった声も聞かれた。
同省の見通しでは、種子島に滞在する工事関係者が4月の約810人から、年内に2.5倍の約2000人に増える。市郊外に暮らす40代の自営業女性は「基地ができるなら仕方ない」との立場。とはいえ「衝撃の数字。果たして受け入れきれるのか」と吐露する。
スーパーでは、作業服の男性たちがカップ麺や酒などを箱買いする姿をよく見かけるという。「しけでたびたびフェリーが運休する。台風シーズンには食料があるのか。一人暮らしだから治安も心配だ」
賛否超え対応求める声
物流は、ごみ処理は-。防衛省が示した工事関係者数の見通しを巡り、西之表市議会からも基地整備に対する賛否を超え、市民生活の影響を最小限にとどめるよう、市や国に早急な対応を求める声が上がる。
19日の馬毛島対策特別委員会で、市は防衛省との協議内容を報告。委員から「当初より2000人増えるとなれば、またいろいろな問題が出てくる」「市議会の意見が(防衛省との)協議に反映される仕組みになっていない」といった指摘が出た。
前回協議から4カ月開いたことに、市は「事務レベルで何度も協議していた。途中経過を出したかったが、相手方もいて出せなかった」と釈明した。
12日の協議後、同省の参事官は市議会への説明について「正式に文書が届いたら検討する」とした。特別委は、直接説明や工事の進捗(しんちょく)状況を視察する機会を求め、近く同省に要望書を提出する。
反対運動の連携は当然だが、西之表市と沖縄県の連係とは?
5月18日の琉球新報紙面
5月13日の南日本新聞紙面
5月12日 MBC NEWS
馬毛島作業員は最大6000人に3000室超の仮設宿舎 防衛省が説明
鹿児島県西之表市の馬毛島基地整備について防衛省は12日、西之表市や県と協議しました。作業員の数が最大で6000人となる見通しを示し、馬毛島に3000室を超える仮設宿舎を建設する計画など、地元への影響に対する対策を説明しました。
西之表市と防衛省は12日、非公開でおよそ1時間協議しました。今年1月に馬毛島基地の着工後、初めてです。
八板市長は防衛大臣あてに今年2月、工事関係者の急増に伴う種子島での宿泊施設不足や治安悪化、生活ごみの増加など14項目についての対策を求める要請書を出していました。
12日の協議では、その回答として馬毛島に生ごみの処理機を設置するほか、工事車両が通るルートでは登下校時間に交通誘導員を配置するなどの対策が示されました。来月からは飛行場の滑走路の工事が始まるということです。
また、先月時点で種子島に滞在している作業員はおよそ810人ですが、来年2月のピーク時には、馬毛島に4000人、種子島に2000人となる見通しを示しました。馬毛島に3000室を超える仮設の宿舎を建設する計画です。
(防衛省地方協力局 原田道明参事官)「(作業員の増加に)懸念の声が出ているのは事実なので、できるだけ影響及ぼさないよう対策を講じていかなければならない」
八板市長は「具体的な数字が出てイメージしやすくなった」と評価した一方、今後、防衛省に金銭的な補償を含めて対策を求めると話しました。
(西之表市 八板俊輔市長)「(作業員は)倍以上になるわけで、今後新たに問題はいろいろ起きると思う。これで終わりではなく今後もしっかり、問題が生じたら対応できるようにしたい」
一方、県も同様の要請書を防衛省に送っていましたが、防衛省は先ほど県の幹部に西之表市に示した対応について説明しました。
5月11日 南日本新聞
自衛隊基地建設中の馬毛島で遺跡調査始まる
旧石器時代の遺物確認や地形測量 鹿児島県教委
鹿児島県教育委員会は10日、米軍機訓練移転を伴う自衛隊基地整備工事が進む西之表市馬毛島で、旧石器時代の「八重石(やえいし)遺跡」の記録保存に向けた発掘調査を始めた。初日は、専門職員2人と民間の作業員15人が島に入り、道具の運搬や現地確認を行った。
調査は防衛省の依頼を受けた県教委が実施。範囲は遺跡一帯の「周知の埋蔵文化財包蔵地」約1万3000平方メートルのうち、工事の影響が及ぶ約8700平方メートル。悪天候で延期していた雑木の伐採なども並行しながら、埋もれた遺物や遺構の確認、地形測量をする。島内に仮設宿舎を確保できたため、作業員らは島に滞在しながら調査する。今後、50人程度をめどに増員する見通し。
価値が高い遺構が見つかった場合は別途、保存方法を防衛省と協議する。7月1日までの予定だが、天候不良などで延長する可能性もある。
5月9日 MBC NEWS
馬毛島基地整備 種子島など結ぶ海底通信ケーブル設置 今年夏ごろにも着手意向
アメリカ軍の訓練移転に向けて自衛隊基地の整備が進む鹿児島県西之表市・馬毛島周辺で、海底通信ケーブルが設置される計画で、防衛省などは9日、地元漁協に対し、今年の夏ごろに着手したい意向を伝えました。
馬毛島と種子島・西之表市の間のおよそ12キロと、馬毛島と指宿市の間では、海底通信ケーブルの設置が計画されています。
設置工事には地元漁協の同意が必要なことから、9日は防衛省の職員や設置事業者が種子島漁協を訪れ、漁協の理事らに設置工事について説明しました。
漁協などによりますと、工事は半年程度の予定で、漁協の同意が得られれば、早ければ夏ごろにも工事に着手したい意向が示されたということです。
設置工事に伴って今後、新たな漁業補償などが示される見込みで、漁協は、組合員の意見を集約するなどして、同意するかどうか判断する方針です。
4月27日 南日本新聞
馬毛島・自衛隊基地整備 工事契約額が予算超過 防衛省、不足分を在日米軍駐留関連費で支出
「やり方が不透明、国会軽視」衆院委で指摘
鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転を伴う自衛隊基地整備で防衛省は26日、2022年10月の係留施設と仮設桟橋の工事契約額(1240億円)が、22年度当初予算(契約ベース1129億円)を上回っているとの指摘を受け、超過分を在日米軍等駐留関連諸費で支出したと説明した。同省は「施設整備を着実に進めるため状況に最も適した形で執行した」とした。
衆院財務金融委員会で田村貴昭議員(共産・比例九州)の質問に答えた。国土交通省の資料によると契約は22年10月で、仮設桟橋3カ所と係留施設整備の契約額が当初予算額を超えた。
防衛省担当者は、国会の議決を経た22年度の在日米軍等駐留関連諸費(提供施設移設整備費)の範囲内だと強調。田村氏の「やり方が不透明で国会軽視ではないか」との懸念に木村次郎政務官は「恒久的なFCLP(米軍空母艦載機陸上離着陸訓練)施設の確保は安全保障上の重要課題。米軍再編関係経費から措置することは適切だ」とした。
環境調査や詳細検討なども含む12~23年度の馬毛島基地整備の予算額は計7680億円に上る。基地の総経費を問われた木村政務官は「離島という極めて特殊な条件での大規模な工事。現時点で答えるのは困難」とした。
4月26日の南日本新聞紙面
4月22日の南日本新聞紙面
4月16日の南日本新聞紙面
4月11日の南日本新聞紙面
4月7日 MBC NEWS
西之表市で7日から学校給食費無償化 馬毛島計画の交付金を活用
鹿児島県西之表市では7日から、小・中学校では給食費が完全無償化されました。
馬毛島への自衛隊基地整備とアメリカ軍の訓練移転に伴って国から交付される米軍再編交付金を活用したもので、無償化の対象は昨年度は2人目以降の子どものみでしたが、今年度からは全ての子どもになります。
今年度は市内11の小中学校に1099人が通っていて、給食費や給食センターの運営費などでおよそ1億4000万円が活用されます。
市には今年度、20億7200万円が交付され、バス・タクシーなど公共交通の無償化なども計画されています。
4月4日 南日本新聞
賛意明言していないけど…馬毛島基地整備で西之表市へ20億円
23年度・米軍再編交付金 昨年度の7億円からほぼ3倍増
防衛省は3日、鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備に伴い、種子島1市2町に通知した2023年度分の米軍再編交付金が計28億3200万円になると発表した。馬毛島では1月以降、滑走路や港湾施設など本格的な整備が始まっており、昨年度分の計10億6200万円を大きく上回った。
内訳は西之表市に20億7200万円、中種子町5億1800万円、南種子町2億4200万円。西之表の八板俊輔市長は計画への賛意を明言していない。ただ市は既に23年度当初予算で、交付金を見込んだ市営グラウンド整備など45事業を盛り込んでいる。同市は昨年度7億7700万円交付された。
再編交付金は防衛施設の面積や整備状況などに基づき算定する。自治体側は幅広い事業に充てられる半面、首長の反対などで受け入れが進まなければ国の判断で減額・停止できる。
23年度は沖縄県名護市など全国12市町村8施設に計54億9400万円の交付を見込む。海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿屋飛行場)で米軍KC130空中給油機訓練を受け入れる鹿屋市は2億2800万円となった。
このほか再編関連訓練移転等交付金として、昨年11月の日米共同統合演習「キーン・ソード」で米軍輸送機オスプレイが訓練した奄美市と伊仙町に、それぞれ2400万円を通知した。鹿屋市で昨年11月に始まった米軍無人機MQ9の一時展開では、同市への特定防衛施設周辺整備調整交付金が増額されるとみられる。
4月3日 MBC NEWS
馬毛島再編交付金 鹿児島・西之表市に20億7200万円支給へ
防衛省は3日、アメリカ軍基地などがある自治体への再編交付金の今年度の支給額を公表しました。
自衛隊基地整備が進み、アメリカ軍の訓練移転が計画されている馬毛島がある鹿児島県の西之表市への支給額は20億7200万円で、昨年度を13億円近く上回りました。市は今後、バス・タクシーなど公共交通の無償化や、農道の整備などに活用したいとしています。
このほか馬毛島関連の支給額は、中種子町に5億1800万円、南種子町に2億4200万円となっています。
3月30日 MBC NEWS
馬毛島基地「遺跡の発掘調査が必要」防衛省に勧告 鹿児島県教委
自衛隊の基地工事が始まっている馬毛島で見つかった旧石器時代の遺跡について、鹿児島県教育委員会は30日、発掘調査を行うよう防衛省に勧告しました。
西之表市の馬毛島では去年10月、滑走路や駐機場の整備が予定されている島の中央部で、3万年以上前のものとみられる石器などが見つかっています。
現地を調査した県教委は、遺跡を記録として保存するため発掘調査を行うよう、30日付けで防衛省に勧告しました。範囲は6500平方メートルで、発掘調査が行われている間は工事が中断する見込みです。
調査の期間は今後、県教委と防衛省が協議します。
3月28日 MBC NEWS
馬毛島巡る西之表市長の辞職勧告決議が否決 反対派議長は辞職できず
自衛隊基地の整備が進む馬毛島を巡る動きです。西之表市議会で28日、計画反対派が八板俊輔市長に辞職勧告決議案を提案しましたが、反対多数で否決されました。
28日に開かれた3月議会の最終本会議では、馬毛島への基地計画に反対する市議が、計画の賛否を示さない八板市長に対し、「行政運営能力が欠如している」などとして、辞職勧告決議案を提案しました。
八板市長に辞職勧告決議案が出されたのは初めてで、採決の結果、賛成6人・反対7人で反対多数となり、決議案は否決されました。
(八板市長)「大変重く受け止めている。議会のみなさんの真摯な意見をしっかり受け止め、市長としての職責を全うするよう努力する」
馬毛島を巡る混乱と対立はこれ以外にも…。
市議会の議員構成は、基地計画の賛成・反対派が同数できっ抗し、採決に加わることができない議長を出したほうが少数派になることから、次の議長の選出を巡り対立が続いていました。
慣例で2年としていた任期が経ったことから、川村孝則議長は28日、辞職願を提出しましたが、賛成5人、反対7人で否決され、続投となりました。
(川村孝則議長)「きわめて遺憾だなと。全国的にも県内でもあまり見たことない。それが今の西之表市の現状」
馬毛島基地計画と議長の続投に、賛成・反対派の市議は…。
(賛成派/杉為昭市議)「譲歩しながら市民の安心安全のために議員も一生懸命頑張らなければならない」
(反対派/長野広美市議)「誠に残念。議会運営に支障をきたす禍根を残す大変大きな問題」
混乱と対立が続いた一方、28日の議会では、国からの再編交付金17億1500万円を盛り込んだ新年度の当初予算案が賛成多数で可決されました。
3月25日 南日本新聞
馬毛島基地反対の議員団、最終本会議で八板市長の辞職勧告提案へ
議長の辞職願提出も確認 西之表市議会
鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転を伴う自衛隊基地整備に反対する市議会議員団は24日、八板俊輔市長に対する辞職勧告決議案を28日の定例会最終本会議で提出する考えを明らかにした。「基地工事で市民生活への影響が懸念される中、市の対応は遅れている」と指摘し、行政運営能力の欠如などを理由に挙げた。
24日の議会運営委員会で報告された。全14議員は基地整備への賛否が7人ずつに割れ、議決権のない議長に反対派の川村孝則議員(63)が就いている。決議案は過半数の賛成で可決され、賛成派から1人以上の賛同を得る必要がある。可決しても法的拘束力はない。
反対派議員は昨年9月と12月の定例会で市長の問責決議案を提出し、いずれも1票差で否決された。
議運委では任期2年の慣例にのっとり、川村議員が議長辞職願を最終本会議で提出することも確認した。非公開の全員協議会で基地整備に反対する鮫島市憲議員(73)が後任に立候補した。鮫島議員は取材に「(立候補は)議会運営の円滑化のためだ」と答えた。
川村議員は2月の臨時会で議長辞職の意向を表明。賛成、反対両派とも自派から議長を出せば本会議採決で劣勢になるため、基地整備を巡る主導争いから議長職を押しつけ合う形になっていた。
馬毛島対策特別委員会もあり、浜島明人議員(51)が「一身上の都合」を理由に委員長辞任を申し出たため、杉為昭議員(56)を委員長に選んだ。
3月24日 MBC NEWS
馬毛島基地整備へ港湾工事はじまる 漁は5年間制限
鹿児島県西之表市・馬毛島への自衛隊基地の整備に向けて、防衛省は24日から、島の係留施設などの港湾工事を始めました。
(記者)「時刻は午前6時すぎ、港湾工事のための作業船が馬毛島へ向け出港します」
防衛省は、自衛隊基地の整備が進められている馬毛島の東側で、自衛隊の艦艇が停泊するための係留施設などの工事を計画しています。
西之表港では24日朝、クレーンを載せた作業船が馬毛島へ向かい、工事を行う国交省によりますと、24日は、作業船が波で動かないよう固定するため、コンクリートブロックを海中に設置するということです。
工事に伴い、防衛省は島の東側での漁をおよそ5年間、制限することにしていて、地元の種子島漁協は、国からの漁業補償金22億円の受け入れを決めています。
琉球新報に掲載された南日本新聞記事、
3月25日の琉球新報紙面
3月22日の琉球新報紙面
3月21日の琉球新報紙面
3月20日の琉球新報紙面
3月19日の琉球新報紙面
3月17日の琉球新報紙面
3月16日の琉球新報紙面
3月15日の琉球新報紙面
3月14日 南日本新聞
馬毛島基地着工2カ月 「市長の立場もはっきりしない、勝手に進めるな」反対する市民団体訴え
「基地建設反対」を訴え、集会に参加する市民ら=西之表市
鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備に反対する市民団体「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」は12日、市内で緊急集会を開いた。島内で進む基地本体工事の中止を求め、市民ら約80人が「平穏な生活を守ろう」と声を上げた。
工事関係者の急増で、生活への影響が懸念されている。改めて国に抗議姿勢を示そうと、着工から2カ月の節目で開いた。山内光典会長は「市長の立場もはっきりせず、市民が不安に思う中で防衛省は勝手に進めてはいけない」と訴えた。
4月の県議選を見据え、「基地反対」で一致する社民や共産の県組織幹部も駆けつけた。集会後に市街地でデモ行進もあり、参加した市内の60代主婦は「種子島の基地化につながる不安がある。馬毛島への基地整備には絶対反対だ」と話した。
2月27日の琉球新報紙面
2月25日の南日本新聞紙面
2月24日 MBC NEWS
西之表市議会 再編交付金17億余り盛り込む予算案提案 新議長決まらず
西之表市議会が24日開会し、馬毛島への基地整備に伴う米軍再編交付金17億1500万円を盛り込んだ当初予算案が提案されました。一方で、基地賛成派と反対派の新議長をめぐる協議は平行線で、今後の議会運営への影響が懸念されます。
(西之表市 八板俊輔市長)「基地整備への動きを慎重に見定めながら市民の皆様と市政発展への道を前進する決意」
西之表市の新年度一般会計当初予算案の総額は126億6600万円で、過去2番目の規模となりました。馬毛島基地整備とアメリカ軍の訓練移転計画に伴って国から支払われる米軍再編交付金17億1500万円を活用した農道の整備や巡回バスの運賃無償化など、45の事業が盛り込まれています。
基地計画への賛否を示さないまま、再編交付金の活用を盛り込んだことについて八板市長は…。
(八板俊輔市長)「再編交付金は法令にもとづいて基地整備の考えと関係なく交付される。有効に活用しないといけない」
いっぽう市議会では、基地計画を巡る賛成・反対派の議員が同数できっ抗し、議長を出した方が少数派になることから、次の議長をめぐる対立が続いています。
24日の開会本会議ではすでに辞意を示している反対派の川村孝則議員がいったん議長を続けることになりました。
議長と副議長の続投により、個別の委員会の人事にも混乱が生じ賛成派・反対派が言い争う場面も・・
【反対派市議】「議会運営上こんなことはない」
【賛成派市議】「何分待たせるのか。(市の職員らを)待たせている」
【反対派市議】「誰が好きでこんな風に時間をかかることになったのか」
【賛成派市議】「ねじらせたのはお互い様」
川村議長は新年度予算案の審議がはじまる来月3日までには次の議長をめぐる協議の結論を出したいと話しました。
(川村孝則議長)「来月3日の本会議でどういう議会運営になるか今のところ見通せていない。(Q.来月3日までには)できればそうしたい。なんとか調整できればという希望」
市議会3月定例会の会期は来月28日までの33日間です。
2月24日 MBC NEWS
馬毛島基地計画 国の22億円補償金・漁業権放棄、漁協が受け入れ
馬毛島基地整備を巡っては、防衛省が地元漁協に22億円の補償金を提示し、漁業権の一部放棄を求めていましたが、漁協は24日受け入れを決定しました。
漁協の臨時総会は、24日午後、開かれました。
馬毛島基地工事に伴い防衛省は、種子島漁協に漁業補償金22億円を提示し、馬毛島の東側での漁業権の一部放棄や、島の周辺でおよそ5年間の漁の制限などを求めています。
漁協は24日の臨時総会で組合員の投票を行いました。
その結果、委任状なども含めて正組合員105人のうち、承認の要件となる3分の2以上の99人が賛成し、提案を受け入れることが決まりました。
(種子島漁協 浦添孫三郎組合長)「きょう決まったことは漁業者の大部分の意見。これを大事にして前に進めていかざるを得ない」
一方、一部の漁業者からは反発の声も聞かれました。
(漁業権放棄に反対 濱田純男さん)「先祖から守り続けた大事な宝の島の漁場を失い、大変なマイナスな結果。漁民として恥ずかしい」
漁協は、24日の決定を近く防衛省に報告し、補償金の配分方法についても検討することにしています。
2月23日の南日本新聞紙面
2月22日の南日本新聞紙面
2月22日 MBC NEWS
西之表市 新年度予算案で馬毛島交付金17億円余り計上「賛否と切り離して対応」
西之表市は22日、新年度の当初予算案を発表。馬毛島への自衛隊基地整備に対する国からの再編交付金17億1500万円が盛り込まれました。
(西之表市 八板俊輔市長)「当初予算歳出で17億1500万円計上している。法に基づき交付されるもので、その趣旨を考慮し事務手続きを進めた」
新年度一般会計当初予算案の総額は126億6600万円で、今年度当初を17億1100万円上回り、過去2番目の規模となりました。
馬毛島への自衛隊基地整備に伴って国から支給される米軍再編交付金は20億7100万円程度と試算していて、このうち17億1500万円が計上されました。
農道の整備事業や市街地巡回バスなどの運賃無償化、市営グラウンドの整備など、再編交付金を活用した45の事業が計画されています。
基地計画への賛否を示さないまま、再編交付金の活用を盛り込んだ是非を問われた八板市長は・・・。
(西之表市 八板俊輔市長)「計画についての賛否と切り離して対応しているのは変わっていない。国が法令に基づいて交付を決めたもので、手続きに沿って対応した」
予算案は24日に開会する市議会の3月定例会に提案されることになりますが、その市議会では混乱が続いています。
21日の臨時議会で川村孝則議長が辞意を示しましたが、次の議長を巡って計画賛成派と反対派が紛糾。議会は夕方からストップし、午前0時を過ぎて自然閉会となりました。
22日も全員協議会などでの話し合いが行わましたが、議論はまとまりませんでした。
(川村孝則議長)「こういう形でやっていこというか、解決の糸口までは見いだせていない」
24日の開会本会議では川村議長が継続するものの、その後、次の議長の選出を話し合う見込みだということです。
2月11日 南日本新聞
馬毛島基地工事 作業員宿舎を島内に3000室超設置へ
看護師も常駐 防衛省方針 「種子島に迷惑かけない」
鹿児島県西之表市馬毛島で進む米軍機訓練移転を伴う自衛隊基地整備を巡り、防衛省は10日、同島に計3000室以上の工事作業員らの仮設宿舎を設置する考えを明らかにした。医療体制確保のため、看護師も常駐させる方針。基地工事は1月12日に着手しており、従事する関係者は「数千人規模」「ピークは1年〜1年半後」との見通しを示した。
基地整備計画の環境影響評価(アセスメント)に関する市議会への説明会で報告した。「事業者として種子島に宿泊施設を建設する計画はない」とし、種子島に滞在している工事関係者を順次、馬毛島の仮設宿舎に移すとした。現時点の基地工事の従事者数は「多岐に渡っており、答えられない」と明言を避けた。
市議からは工事中の馬毛島での医療体制について質問があり、同省は「常駐の看護師が医療機関からリモートで指示を受けて対応する」などと回答した。「既に西之表市の医療機関と連絡態勢を構築している」とする一方、緊急時の搬送方法は言及しなかった。
説明会は1時間半。同省の原田道明参事官は終了後、取材に「種子島にできるだけ迷惑をかけないよう、関係自治体と連携して住民の不安を解消していきたい」と話した。
市議会は2021年9月、基地整備計画に関して「速やかな説明」を求める意見書を国に提出。以降、防衛省による市議会への直接説明は今回を含めて3回目あり、いずれも報道陣に公開している。
2月15日の南日本新聞紙面
2月12日の南日本新聞紙面
2月10日 MBC NEWS
馬毛島基地着工1か月 賛否で割り切れない…住民の複雑な思い
鹿児島県西之表市の馬毛島で、自衛隊基地整備とアメリカ軍の訓練移転に向けた工事が始まって、あさって12日で1か月。
工事で変わる地元を、沖縄の基地問題などを研究する専門家が見ました。そこには計画を「賛否」だけで割り切れない、住民の複雑な思いがありました。
(明星大学 熊本博之教授)「土地が平たいので使いやすい。訓練施設にしたい狙いはよく分かる」
基地問題や地方自治が専門の明星大学・熊本博之教授です。沖縄県・辺野古の米軍基地問題について20年間、研究を続けています。
(熊本教授)「馬毛島の問題を抱えている島という感じがあまりしない。辺野古に行けば(賛成・反対の)いろんな看板や横断幕が見られるが、そういう様子があまり見られない。そこは違うところ」
同じ基地問題を抱える馬毛島で今、何が起きているのか?訪れたのは夜明け前の漁港。馬毛島へ向かう作業員を乗せた漁船が並ぶ様子は、基地工事の本格化を象徴する光景です。
(熊本教授)「(辺野古でも)警戒船という形で漁船を出しているから、一緒といえば一緒」
複数の漁業者によれば、作業員の送迎による1日の手取りは4~5万円ほどになり、漁をせずに送迎をする人も多いといいます。
(漁師)「8人(乗る)と聞いている。全く誰が乗るか分かりません」「(Q.漁に比べ、送迎はどう?)漁業は魚は釣れないし、なかなか難しい」
そして、地元漁協でも大きな動きが…。
(種子島漁協 浦添孫三郎組合長)「(漁業権の)一部消滅に協力するということになった」
漁協は防衛省に22億円の漁業補償を提示され、馬毛島周辺の漁業権の一部放棄を求められていましたが、この日、漁業者から多数の同意が得られたと明らかにしました。
(組合長)「今後漁ができるか不安もあるが、そのためにどうしてくれるのか、今後(国と)話し合っていかないといけない」
(熊本教授)「同意をした漁業者が同意書を提出して、提出しなかった人は同意か反対か?」
(組合長)「分からない」
かつては500人以上が暮らし、漁業と農業で栄えた馬毛島。基地整備で大きく変わろうとする現状に、元島民は。
西之表市で漁業を営む山下六男さん(84)です。戦後の食料難で、19歳で開拓団として馬毛島に渡り、20年ほど暮らしました。漁業権の一部放棄には同意しましたが、複雑な思いも…。
(熊本教授)「海にも関わってきて、馬毛島で生活して、今、基地建設が始まっているが?」
(元馬毛島島民 山下六男さん)「私が馬毛島にいたころはもっと漁が良かった。宝の島だった」「(漁業権放棄について)皆さんどう考えているか分からない。寂しいが、(同意したほうが)いいと思う」
(熊本教授)「賛成・反対で語り切れないものがある」
地元経済にも変化が出始めています。種子島の人口はおよそ2万7000人。概ね4年間の工期中に投入される作業員は、馬毛島で今後整備される宿舎への滞在者も含めて、ピーク時で4000人ともいわれています。
種子島では、すでに多くのホテルや民宿が作業員で満室。レンタカーの需要も増えて予約がとりづらくなっています。いっぽう…。
カラオケ店をおよそ30年営み、地域の商店街組合の代表も務める平川浩さんです。
(カラオケ店経営 平川浩さん)「人が増えているのはプラス効果だが、効果を感じる体験ができていない」「期待はしているが、何とも言えない」
「経済効果に期待はしている」と話すものの、基地計画の話になると…。
(熊本教授)「基地整備でいろんな負担も来ると思うが?」
(平川浩さん)「賛成・反対の話は分からない。答えにくい。ちょっと人間関係がギスギスしているところもある」
計画に揺れ動く思い。ただ、街の声を聞くと、別の課題も見えてきました。
(市民)
「何とも言えない。(Q.賛成・反対は言いにくい?)工事が進んでいるからどうしようもないと思う」
「実感がないですね。ちょっと他人事みたいな感じ」
それは、基地問題に対する関心の低さです。熊本教授はこの点が、辺野古とは大きく違うと話します。
(熊本教授)「辺野古の場合は陸上部分から沿岸を埋め立てて基地を作るので、基地と住民の距離が近い」「(馬毛島は)何の工事しているか分からない。そのことも、市民が実感を持ちにくい理由ではないか」
そして、住民の関心が低いままでは、計画がなし崩しで進んでいくおそれがあるといいます。
(熊本教授)「とにかく建設を始めてしまい、それにみんながなし崩し的、否応なしに対応せざるを得なくなっている。市民がきっちり話し合い、今後の馬毛島・種子島をどうするか考えた上で、進めていくべき」
住民の実感もまだ沸かない中で進む基地計画。地元はどのような未来を描いていくのか?課題は残されたままです。
2月9日 MBC NEWS
着工1か月 専門家が見た馬毛島基地計画の今
八板市長と対談「トップの意思示すべき」「国と対話必要」
鹿児島県西之表市の馬毛島で、自衛隊基地整備とアメリカ軍の訓練移転に向けた工事が始まって、今月12日で1か月です。馬毛島の基地計画を巡る現状をお伝えします。
今回は八板俊輔市長と、長年、沖縄の基地問題を研究してきた明星大学・熊本博之教授が対談。計画への賛否の明言を避ける八板市長の「真意」とは?
西之表市の八板俊輔市長と、基地問題や地方自治が専門の明星大学・熊本博之教授です。
(熊本教授)「市長になる前に書いた「馬毛島漂流」という本で、「馬毛島を取り戻したい」と書いていたが?」
(八板市長)「(開発業者による)急激な森林伐採、開発で滑走路に造成したところがある。元の馬毛島の姿を取り戻したいという意味で使った」
(熊本教授)「今も思いは変わらない?」
(八板市長)「できれば、という思いは変わっていない」
国は馬毛島に自衛隊基地を整備したうえで、アメリカ軍の空母艦載機の陸上離着陸訓練を移転させる計画です。工事はおおむね4年で、アメリカ軍の訓練を前倒しで始めます。
今年度、種子島の1市2町には国からの再編交付金があわせて10億6200万円が支給される見込みです。
おととしの市長選で「計画反対」を訴えて再選した八板市長。しかし、その後は「判断材料が揃っていない」ことなどを理由に、賛否を明言しなくなっています。
(熊本教授)「反対するという言葉が、市長の口から出てこなくなったが、なぜなのか?」
(八板市長)「(国と)対話が必要。できれば作ってほしくない思いはあるが、作ってもいいという市民の思いも受け止めて、(国と)対話している」
八板市長は、なぜ賛否を明言しなくなったのでしょうか?
熊本教授は、沖縄県辺野古の米軍基地問題について20年間、研究を続けてきました。そこで見たのは、自治体が国の基地計画に反対しても止めることは難しい上、反対すれば国と交渉もできず、再編交付金も支給されなくなるという現実です。
実際に辺野古がある名護市で、2010年に移設反対を掲げた市長が当選すると、国はその直後に再編交付金の支給を停止。その後、2018年に賛否を明らかにしていない現職が当選して以降は、国は一転して、支給を再開しました。
八板市長は「国のこうした対応は、馬毛島でも起こる可能性がある」とし、「仮に計画反対を明言すれば、交付金や環境影響などについて国との交渉が難しくなる」とみています。
(八板市長)「外交・防衛は国の裁量=専管事項。(賛否言わないのは)そういうことも意識してないわけではない」
(熊本教授)「西之表市で進んでいることと、沖縄は似ていると感じる?」
(八板市長)「形態は違うが、共通点はあると思う」
(熊本教授)「私の著書に『決定権なき決定者』という言葉がある。沖縄・辺野古が置かれている状況を指した言葉で、(地元に)何か決定する権利があるように思われるが、実際には決定する権利がない状況。西之表市も同じような状況ではないか?」
(八板市長)「本来はやはり、決定権が100%でなくても(地元に)あるべき。西之表市民の意思が国の決定につながるように、県民・国民に(理解を)広げて、政府の決定権に影響する形になるのが理想」
西之表市民の思いを国全体で共有し、それを踏まえた上で政府は基地計画に向き合うべき」という姿勢の八板市長。しかし、今、計画への賛否を巡って「市民の分断」が起きつつあるといいます。
(八板市長)「歓迎する市民はマイナスの影響を小さく捉えようとし、反対する市民はマイナスの影響を大きく、深刻に捉える。両方の気持ちを大事にしたい」
(熊本教授)「なかなか(賛成・反対派で)広い合意を得るにはいかないわけで、何らかの妥協を市長は考えないといけないと思うが?」
(八板市長)「市民の(一定の方向の)考えは少しずつ出来てきていると思う」
「賛成・反対派双方の気持ちを大事にしたい」と語る八板市長。一方で…。
(熊本教授)「市長が選挙公約として掲げていた(計画反対の)公約について、どのように考えている?」
(八板市長)「あと2年任期がある。次の選挙になれば(民意を問う)機会としても利用したい。(私の考えを)分かってくれる人もいる」
(熊本教授)「もう着工しているが、基地工事を止められると考えているか?」
(八板市長)「逆に私が聞きたい。そういう可能性があるのか。(計画中止の)可能性も視野に入れながら進めていく。現実の動きに対応していく」
この日も、賛否を示す時期やめどを示さなかった八板市長。熊本教授は、市民に考えを求めたいのであれば、「自治体トップの考えを先に示すべき」と話します。
(熊本教授)「八板市長の気持ちとして、反対の気持ちは確実にあることはよく分かった。ただ、自分が態度を示さずに、市民に意見を出せというのはなかなかできない。まずは自身の思い(賛否)を市民に伝えてほしい」
工事開始からまもなく1か月。馬毛島基地問題と街のこれからについて八板市長が今後、どうかじを取っていくのか?問われています。
2月6日琉球新報掲載の東京新聞「こちら特報部」
2月6日の琉球新報紙面
2月1日 MBC NEWS
馬毛島基地計画 漁業補償・漁業権放棄 漁業者の同意書が必要数に
鹿児島県西之表市・馬毛島での基地整備を巡る動きです。防衛省は、地元漁協に22億円の漁業補償金を提示し、漁業権の一部放棄を求めていましたが、漁業者から、放棄などの手続きに必要な3分の2以上の同意が得られたことが分かりました。
防衛省は先月12日から馬毛島で自衛隊基地の整備とアメリカ軍の訓練移転に向けた工事を進め、おおむね4年後の完成を目指しています。工事に伴い、防衛省は、種子島漁協に漁業補償金22億円を提示し、馬毛島周辺の漁業権の一部放棄を求めていました。
漁業権の放棄などについて、漁協は西之表市の組合員279人に同意書の提出を求め、集計した結果、複数の関係者によりますと、漁業権の放棄などの手続きに必要な3分の2以上の同意が得られたということです。
漁協は2日、会見を開いて集計結果などを正式に発表する予定で、今後、総会を開き、組合員の投票を行って最終判断するとみられます。
漁業補償をめぐっては一部の漁業者が漁協に対し、補償金額の根拠などを説明するよう求める質問状を提出しています。
自衛隊基地着工の馬毛島 石器文化財を県教委が現地調査へ 発掘調査必要なら基地工事に影響も
西之表市・馬毛島で見つかった石器などの文化財を巡り、鹿児島県教育委員会は、発掘調査が必要か検討するため、今月13日から島で調査を行うことになりました。
馬毛島では去年10月、西之表市の調査で、滑走路や駐機場の整備が予定される島の中央部で、3万年以上前のものとみられる石器などが見つかっています。
県教委は先月から、文化財の保全方法などについて防衛省と協議を進めていますが、発掘調査が必要かどうか検討するため、県教委が今月13日から3週間程度、島で文化財の分布状況などを調べることになったということです。
分布状況などから発掘調査が必要となれば、県教委は事業者の防衛省に対し、調査を勧告できるようになります。分布の規模によっては基地工事に影響が出る可能性もあり、県教委は「調査結果を踏まえ、埋蔵文化財の取り扱いについて粛々と検討したい」としています。
1月31日 南日本新聞
馬毛島自衛隊基地計画 国の漁業補償22億円、地元の種子島漁協が組合員の同意書取りまとめ
一部は「拙速すぎる」と質問状
組合員の同意書を取りまとめ、即日集計した。「結果はまず組合員に伝える」とし、2月2日に会見を開いて今後の対応を含めて公表する予定。
市内の組合員279人が対象で記名形式。計画に賛成し、港湾施設が整備される島東側の一部区域で漁業権が消滅することに同意するかを問う内容だった。関係者によると、3分の2以上の提出と、その3分の2以上の同意があれば漁協は計画を受け入れることになる。
計画を巡っては、防衛省が10~16日、中種子町を含む同漁協の5地区をそれぞれ回り、総額22億円の漁業補償を各組合員に提示した。
基地運用後、訓練内容によって漁を制限・禁止する場合は別途補償し、藻場の造成など20億円規模の漁場保全策も検討していることも説明した。
補償金の配分方法について、浦添孫三郎組合長は「(工事に対して)組合員の同意が得られてから検討する」としている。
質問は粉じん、騒音補償など6項目
西之表市馬毛島の自衛隊基地整備に伴う漁業補償を巡り、種子島漁協の組合員5人が30日、補償期間や積算根拠が明らかにされていないとして、浦添孫三郎組合長宛ての質問状を同漁協に提出した。2月15日までの回答を求め、「内容を見て計画との向き合い方を考える」としている。
質問はほかに、漁業権の消滅が予定される区域での水揚げ高、基地工事で発生する粉じんや騒音に対する補償の有無など計6項目。馬毛島周辺を主要漁場としている塰泊(あまどまり)、池田両地区の組合員が連名で提出した。
アサヒガニ漁の浜田純男さん(67)は取材に「馬毛島を仕事場にする漁師が何も知らないうちに話が進んでおり、拙速すぎる。代々受け継いできた漁場を守りたい」と訴えた。
琉球新報が掲載した南日本新聞記事、
2月2日の琉球新報紙面
2月1日の琉球新報紙面
1月30日の琉球新報紙面
1月29日の琉球新報紙面
1月27日の琉球新報紙面
1月26日の琉球新報紙面
1月25日の琉球新報紙面
1月15日の沖縄タイムス紙面
1月14日の琉球新報紙面
1月13日 南日本新聞
4年で1100万立方メートルもの土砂を掘削…馬毛島で始まった巨大基地工事、環境への影響は?
訓練基地建設が着工した馬毛島。画面奥は種子島本島=12日午後1時45分、西之表市の馬毛島(本社チャーター機から撮影)
防衛省が12日に始めた鹿児島県西之表市馬毛島の基地本体工事は4年にわたる巨大事業で、丘の掘削や海域の埋め立てによる周辺環境への影響が懸念される。専門家は「影響を外部もチェックできる体制づくりが重要だ」と指摘する。
同日公告した環境影響評価(アセスメント)の評価書によると、陸上工事は森林伐採や用地造成から着手する。重機を搬入し、標高71メートルの岳之腰を中心に約1100万立方メートルの土砂を掘削して平坦にする。海域では、島東岸の仮設桟橋や防波堤の基礎工事を始める。
1年程度で仮設の燃料タンクやプラントが完成。約2年後には2本の滑走路と航空保安施設ができ、米軍機訓練が始まる可能性がある。3年ほどで大半の施設の建設が終わり、仮設桟橋などの撤去を始める予定。
4年間の工事で発生する一般廃棄物は37トン、産業廃棄物は4180トン。土砂や化学物質による水質への影響も局所的に起こると予測される。県アセス専門委員の冨安卓滋・鹿児島大学大学院教授(環境分析化学)は「一定以上の雨量があった場合などに調査し、どのような状態になったら専門家に相談するかを明確にして」と求める。公告直後に着工したことは、「地元の懸念は大きいのに、誠実に向き合う姿勢が足りないと感じる」と批判した。
アセス制度に詳しい沖縄大の桜井国俊名誉教授(環境学)は2021年2月の方法書公告からの早さに注目する。「全ての項目で十分な調査はできない期間。着工を13日の日米首脳会談での手土産にしたかったのだろう」と疑う。今後について、「アセスでは出なかった問題が浮上する。市民と自治体が連携して防衛省に情報公開をさせる姿勢が重要だ」と話した。
評価書は2月13日まで、九州防衛局ホームページや県庁、種子島3市町役場などで縦覧できる。
1月13日の東京新聞紙面
1月13日の琉球新報紙面
1月13日の沖縄タイムス紙面
1月13日 南日本新聞
馬毛島基地着工「住民をばかにしている」「地元の民意を無視したやり方」
反対派が抗議集会 市民に諦めムードも
計画の白紙撤回を求める反対派の住民ら=12日、西之表市
防衛省は12日、鹿児島県西之表市馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う自衛隊基地整備計画で、環境影響評価(アセスメント)の最終まとめとなる「評価書」を公告し、基地本体工事に即日着手した。
市街地では作業員を乗せたレンタカーが行き交い、重機やトラックを次々に台船に運ぶ様子が見られた。市民からは「国の決定に地元が反対しても…」と諦めに似た言葉が漏れた。
無職中野良盛さん(74)は「国は一方通行で、納得できる説明もなく進めていく。どうしようもない」。40代女性は「国は進める以上、防犯カメラの設置など市民の安全確保を徹底してほしい」と訴えた。
ほかにも「国は形式的な手続きだけでなく、住民の声をもっと聞くべきだ」「利益を得るのは一部の人だけ」といった声が上がった。
■白紙撤回求める決議
市民団体「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」は12日午後、市内で抗議集会を開いた。約60人が参加、作業員が渡った馬毛島を向きながら「基地建設、断固反対」「平穏な生活を壊すな」とシュプレヒコールを上げた。
着工は環境影響評価(アセスメント)評価書の公告後、間もなく始まった。同会の山内光典会長(72)は「ほとんどの市民がまだ評価書を縦覧していない。地元の民意を全く無視したやり方だ」と語気を強めた。
無職川原孝子さん(72)も「住民に説明もなく着工するのはばかにしている」と憤る。「ウクライナの状況を考えれば、一番怖いのは戦争につながること。武力でなく外交で解決してほしい」と訴えた。
集会では、計画の白紙撤回を求める決議を取りまとめ、事業者の熊本防衛支局長宛ての文書を九州防衛局種子島連絡所に提出した。
■賛成派
環境影響評価(アセスメント)の評価書が12日午前9時に公告されると、西之表市の住吉漁港から作業員を乗せた船が早速、馬毛島に向かった。計画賛成派は「ようやく前に進んだ」と表情を和らげた。
政治団体「西之表市と馬毛島の未来創造推進協議会」で、事務局長を務める杉為昭市議(56)は「市長も現実を直視し、前向きな姿勢で国と協議すべきだ」と指摘。市民に航空機騒音などの懸念が根強いことから、「国は最大限の不安解消の努力を」と注文した。
2021年の市長選で、計画賛成を掲げて立候補した市商工会の福井清信会長(73)は歓迎する一方、工事関係者の急増を懸念。「飲食店を中心にしっかり対策を取りたい」と話した。
1月13日 南日本新聞
林立する作業員宿舎、行き交う重機…早期運用へ準備周到
上空から見えたのは防衛省の「意思」 「重い十字架」背負った不沈空母で自衛隊基地工事が始まった
長年多くの思惑に翻弄(ほんろう)されながら、米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転と自衛隊基地の整備地に正式決定してわずか1年。鹿児島県西之表市の馬毛島は、今後4年ほどで恒久的な自衛隊基地へと姿を変えていく。地域浮揚は。暮らしへの影響は-。巨大事業によって訪れる急速な変化に、市民には期待と不安が入り交じる。
米軍機訓練移転と自衛隊基地整備計画で、基地本体工事が始まった12日、馬毛島を上空から見た。「着工」とはいえ、港や道路の整備は昨夏から続き、周囲16.5キロの島は刻々と姿を変えていた。
午後2時半、島東部の葉山港にショベルカー2台を積んだ台船が入ると、スイッチが入ったように人や車が慌ただしく動き出した。
港のそばには作業員用の2階建て宿舎4棟が建っている。優に数百人は入れそうな規模で、さらに増築される。重機や車もあちこちにあり、砂利道を行き交っている。防衛省の準備の周到さ、早期運用への「意思」を感じる。
島の全景を見ると、東西南北を貫く十字の「滑走路」がひときわ目立つ。大半を所有した会社が2005~11年ごろにかけて造成し、米軍機訓練を誘致した。
かねて「不沈空母」と形容されてきたが、重い十字架を背負ったようにも映る。計画では別の十字に滑走路が敷かれ、管制塔や駐機場、港湾施設が立ち並ぶ。わずかに残る緑地や白い砂浜も、日米の「訓練地」となる。規模の大きさに想像が追い付かなかった。
対岸の西之表市に旋回すると小型機で数分ほど。ないと信じたいが、米軍機のトラブルは全国で相次ぐ。闇夜で繰り返す離着陸訓練の騒音も本当に耐えられる程度なのだろうか。空路で本土までは数十分だった。基地計画は、実はすぐそばで進んでいると実感した。
1月12日 MBC NEWS
馬毛島基地工事がスタート 島で伐採開始…八板市長は賛否明言せず
計画浮上から今年で16年。西之表市・馬毛島の基地計画が12日、大きな節目を迎えました。防衛省は、環境への影響を調べた環境アセスメントの最終的なまとめとなる評価書を公告=公表し、基地工事を始めました。
環境アセスメントの公告=公表を受けて、西之表市の港では12日朝、馬毛島に向け防衛省の職員や工事作業員をのせた船が出港しました。そして…
(記者)「現在午後2時です。着工から1時間が経ちました。作業員が樹木を伐採しています」
馬毛島で基地工事がスタート。工期はおおむね4年間で、自衛隊基地整備とアメリカ軍の訓練移転に向け、滑走路や桟橋などの整備を順次、進める計画です。
西之表市役所や県庁などでは12日から1か月間、環境アセスメントの評価書の縦覧=公開が始まりました。
(反対派市民グループ 三宅公人主宰)「防衛省はやすやすと進めているなと。(市長が)きちんと防衛省と対峙していれば、国家権力をもってしても進められなかったはず」
街では、反対派の市民グループが基地建設反対を訴えました。
基地工事が始まりましたが、地元・西之表市の八板俊輔市長は12日も賛否を明言しませんでした。
(西之表市 八板俊輔市長)「(着工が)かなり早いかなという気がする。市民の心構えができてからのほうがいいかなと。(賛否を)判断できる材料をそろえたい。まだそろいきっていないので、もう少し時間があったらという気はする」
そして去年11月に計画容認を表明した塩田知事は、防衛省に引き続き情報提供などを求めていく考えを示しました。
(塩田康一知事)「住民の安心安全の確保、環境保全措置にはしっかりと取り組んでほしい。丁寧な情報提供、共有もしながら、住民、地元の理解も得られるような取り組みを進めてほしい」
【住民は…】
(西之表市民 80代)「過疎化になっているのでにぎやかになるのはいいが、騒音などは静かにやってもらいたい」
(西之表市 60代・電気設備業)「少子高齢化対策としても、種子島の活性化はどうしてもしていかなければならない」
(中種子町 60代・パート)「利益がある人は良いが、関係がない人はやっぱり不安」
(西之表市 20代・サービス業)「人が増えるのはうれしいし島も高齢化しているので良いと思うが、騒音などは親目線では不安」
計画浮上から今年で16年。馬毛島基地計画は12日、本格的に動き始めました。
計画反対から「最善の選択」に…変化した地元市長の対応 馬毛島基地計画の16年
計画の浮上から今年で16年。基地計画を巡る経緯と、地元の動きをまとめました。
馬毛島は2007年、政府内でアメリカ軍の空母艦載機離着陸訓練=FCLPの移転先として浮上。2011年の外務・防衛の日米閣僚協議「2+2」の共同文書で「候補地」と明記されました。
その後、目立った動きはありませんでしたが、2019年、国は島のほとんどを所有していた民間企業からおよそ160億円で買収して以降、現地調査を実施。
(西之表市 八板俊輔市長)「(市民は)国の計画にNOと言っている。国と話し合いをして、この問題の解決をきちんと図っていきたい」
おととし、計画反対を掲げ八板市長が再選しますが。
(岸防衛大臣(当時))「馬毛島における自衛隊施設の整備を決定しており、候補地ではないものと考えています」
去年1月、国はそれまで「候補地」としてきた馬毛島について、「整備が決定した」と明言。
(八板市長)「納得がいかない。いつの間にか決まっていた、みたいな」
しかしその翌月、市長が防衛大臣に提出した要望書には、再編交付金について「特段の配慮を要望する」と、計画容認ともとれる表現が。この頃から、賛否を明言しなくなります。
(八板市長・去年2月)「この問題の賛否や同意の可否を述べることが、市民の分断を助長する」
去年8月、国は島内の港の工事を開始し、基地整備に向けた動きが加速。こうした中、市は9月議会で、国の求めに応じて島の小中学校跡地などの売却を議会に提案し、国は西之表市を再編交付金の支給対象としました。今年度、種子島の1市2町にあわせて10億6200万円が支給される見込みです。
(八板市長・去年10月)「最善の選択を考えている」
そして、去年11月…。
(塩田知事)「県としては(計画を)理解せざるを得ないとの考えに至った」
基地計画への賛否を先に示したのは、市ではなく県でした。
(八板市長)「知事には知事の立場がある。それはしっかり受け止める」
そして地元の市長が計画への賛否を示さないまま、12日…。
(記者)「計画浮上から16年。伐採が行われているのは飛行場支援施設などが作られるあたりです」
馬毛島基地計画とは どんな訓練?4年後には基地が完成?
馬毛島基地計画について取材を続けている道山記者とお伝えします。
【馬毛島の役割は?】
Q.馬毛島の役割を改めて整理してください。
(記者)
馬毛島で計画されるおもな施設や訓練をまとめました。
計画では島に2本の滑走路がつくられ、まわりに管制塔や燃料施設、火薬庫などが建てられます。
島の東側には護衛艦などの係留施設や桟橋がつくられます。
滑走路で行われるのが、アメリカ軍空母艦載機の陸上離着陸訓練=いわゆるFCLPです。陸上の滑走路を空母の甲板に見立て、着陸と離陸を繰り返す訓練で、計画では種子島上空を通らないルートで年間最大20日程度の訓練が想定されています。
Q.アメリカ軍の訓練のほかにも、自衛隊の訓練も計画されていますよね。
(記者)
そうですね。護衛艦のいわゆる空母化で自衛隊が導入を計画している垂直に着陸できる戦闘機「F-35B」の訓練、そして、迎撃ミサイル「PAC3」の展開訓練などが計画されています。
【整備費・スケジュールは】
Q.基地整備費用やスケジュールを教えてください。
(記者)
整備費は、今年度と来年度予算案の契約ベースであわせて7654億円が計上されています。基地はおおむね4年で完成予定です。
ただ、アメリカ軍の訓練関連の滑走路などは先行して整備し、4年後の工事終了を待たずに訓練が始まる見込みです。
馬毛島基地では150人から200人の自衛隊員が勤務し、種子島の宿舎などで暮らすことになります。
【アメリカ側の受け止めは?】
Q.きょうの馬毛島の動きをアメリカ側はどう捉えているんでしょうか?
(記者)
日本時間の12日朝、外務・防衛の日米閣僚協議「2+2」がワシントンで開かれました。共同発表では、「馬毛島での自衛隊施設整備の進展と将来の見通しを歓迎した」とし、「南西諸島などで日米の施設の共同使用や、共同演習・訓練を増やすことを約束した」という文言が盛り込まれました。
中国の海洋進出や台湾有事の懸念で、日米が南西諸島の防衛力強化を進める中、馬毛島でのアメリカ軍の活動が離着陸訓練だけにとどまるのか、注視していきたいと思います。
【地域のこれからは…】
Q.八板市長が賛否を明言しないまま工事が着工しましたが、これについてはいかがでしょう。
(記者)
八板市長は、基地工事が始まった12日も自身の判断を示さないままです。住民からは賛成派からも「地域の意思を示さないまま、街の将来を左右する計画を受け入れて良かったのか」という声も聞かれます。
市長選で掲げた公約との整合性や、市民の不安を解消するため、国とどう向き合っていくのか?今後、問われてくると思います。
1月12日の南日本新聞号外
1月12日 南日本新聞
馬毛島の自衛隊基地着工 作業員の乗せた船が出港、
滑走路など先行し造成 防衛省
作業員を乗せ、馬毛島に向けて出発する船=12日午前9時5分ごろ、西之表市の住吉漁港
防衛省は12日、鹿児島県西之表市馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う自衛隊基地整備計画で、環境影響評価(アセスメント)の最終まとめとなる「評価書」を公告した。同市の住吉漁港から作業員を乗せた船が馬毛島へ出港、基地本体工事に事実上着手した。工期は4年程度としている。滑走路などを先行して造成し、早ければ2025年度にFCLPが始まる可能性がある。
事業者の防衛省九州防衛局熊本防衛支局が同日午前9時、評価書の縦覧を開始した。同9時10分ごろ、同市住吉漁港から馬毛島に向かった船には10人以上の作業員が乗り込んだ。同日中にも伐採作業を始める。
21年1月の西之表市長選で計画反対を掲げ再選した八板俊輔市長は賛否を明言していない。地元首長の同意表明がない着工は異例。ただ、島内の市有地を売却するなど防衛省への協力姿勢は示している。塩田康一知事は昨年11月の県議会で「理解せざるを得ない」と容認する考えを明らかにした。
1月12日の南日本新聞紙面
1月12日の東京新聞紙面
1月12日の琉球新報紙面
1月12日の沖縄タイムス紙面
関連記事:防衛省馬毛島に米軍訓練FCLP移転を名目に自衛隊の拠点化を図る。(12)
http://ryukyuheiwa.blog.fc2.com/blog-entry-1208.html
関連記事:防衛省民意を無視し馬毛島、米軍訓練FCLP移転を名目に種子島と併せ自衛隊の拠点化を図る。(11)
http://ryukyuheiwa.blog.fc2.com/blog-entry-1188.html
馬毛島への米軍施設を許さない市民・団体連絡会 HP
http://www.mageshimabeigunshisetsuhantai.com/wp/
Okinawa Peace Talk
https://www.youtube.com/@OkinawaPeaceTalk
Wada Kaori on Tanegashima_Mageshima. Nov 30, 2023
2024年2月22日 種子島・馬毛島月例レポート
https://youtu.be/FC37EvjY5Ag?si=kKMSGFlaYDBg_kGP
1月13日の琉球新報紙面
1月13日の沖縄タイムス紙面
1月13日 南日本新聞
一つの島を自衛隊基地にする国家プロジェクト・馬毛島着工で変わった暮らしや産業
住民が肌で感じた2年の月日、古里にもたらされた功罪
鹿児島県西之表市馬毛島で、米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う自衛隊基地整備が始まって2年がたった。地元では賛否の論争から、古くから続く暮らしや産業をどう守るかに焦点が移りつつある。26日告示の市長選、市議選を前に、基地工事がもたらした功罪を追った。(連載・馬毛島の現在地 基地着工2年①から)
2025年を迎え、民間機から眼下に見る馬毛島はこの2年で一変した。大半を覆っていた緑の樹林帯は海岸沿いのごく一部に。仮設宿舎や燃料タンクといった構造物が1年前に比べて増え、網の目のように作業道路が広がっていた。
島全体がさながら「工業地帯」と化す一方、むき出しの茶色い土壌が広がったままだ。23年1月12日の着工に伴い公表された環境影響評価書(アセスメント)では、既に滑走路が完成しているはずだった。
一つの島を自衛隊基地にする国家プロジェクト。厳しい気象条件や人手不足、想定以上の粘土層を理由に、工事は現時点で3年延長の30年3月末までとされる。島から沖合に延びる仮設桟橋は、昨年12月上旬に最後の3本目が完成。これから内陸部での工事が加速する可能性がある。
防衛省などによると、年度内に予定された航空自衛隊馬毛島先遣隊(仮称)約90人の中種子町への配備も4月以降にずれ込む。
東に約10キロ離れた種子島では昨年、ある現象がたびたび目撃された。馬毛島を包み隠すほどの土煙。表土が強風にあおられたとみられる。「まるで竜巻。夏はすごかったど」。西之表市住吉に長く暮らす70代の漁師は初めて見る光景に驚いたという。
同時に不安も湧き起こった。巻き上がった土煙の下は、特産の貝トコブシ(ナガラメ)の漁場があるからだ。基地工事が始まる前には沿岸部に稚貝も放流されている。「工事が終わった後の海が怖い」と漏らす。
こうした懸念はトコブシ漁師を中心に出ている。種子島漁協の関係者によると、昨年11月には防衛省と合同で稚貝放流地点の潜水調査を実施した。ただ、結果は公表されていない。工事に伴い、島周辺は船の往来も制限され、文字通りベールに包まれたままだ。
南国の日差しに映えるマリンブルーの海-。そんな種子島の象徴にも“異変”が起きている。陸から見下ろす「透明度」は変わらないが、海中を水平方向に見る「透視度」はこの2年で下がったといわれる。海水温が落ち着き、例年ならば海中が澄むとされる10~11月も、白いほこりのような浮遊物が漂い続ける。
「実は馬毛島から種子島に流れる潮がある」と話すのは、工事関係者の送迎も担う60代の漁師。両島の間に広がる種子島海峡は黒潮の支流が入り乱れ、気象条件で潮流が変わる。大潮の干潮に向かう時間帯や、南西の風が吹き始める梅雨時期終盤は、特に馬毛島からの潮流が顕著だとされる。
基地工事との因果関係は証明されていないものの、とりわけ種子島東岸のある海域では海中の濁りが集中し、魚群探知機に反応するようになったという。「(工事の)影響は絶対あるよ。海はつながってるから」。古里の海を知り尽くす漁師の言葉は重い。
1月12日 南日本新聞
馬毛島事業費「精査に時間」 自衛隊基地整備は当初より3年遅れ
中谷防衛相「社会インフラが整わない離島の大規模工事」
中谷元・防衛相は10日の記者会見で、着工から2年を迎える鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地の総事業費について「社会インフラが整っていない離島での大規模工事で、所要額の精査に時間が必要。各年度の予算で経費の必要性を示し、適切な時期に説明する」と述べた。
中谷氏は馬毛島に基地を整備することで「南西地域の防衛体制が強化される」と強調。「早期に運用ができるよう、引き続き整備を進める」とした。
2019年に約160億円で一定の合意に達した土地買収額に関しては「さまざまな要素を総合的に勘案し、所有者との交渉を通じて決定した。適正と考えている」と言及。現在も取得の手続きが進んでおり、「売買額の根拠は適切な段階で説明したい」と語った。
防衛省は25年度予算案に馬毛島関連473億円を計上し、南日本新聞の集計で契約ベースの合計が1兆円を超えた。基地は23年1月12日着工、計画より3年遅れの30年3月完成見通し。総事業費は大きく膨らむ可能性がある。
1月11日 南日本新聞
空撮で見る激変の馬毛島…着工から2年。仮設道路に重機、住居らしき建物。契約額1兆円超の巨大事業が進む島
自衛隊基地の整備が進む馬毛島=10日、西之表市の馬毛島上空(本社チャーター機から)
青い海をそこだけ絵の具で着色したかのような茶色の大地が広がっていた。米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)の移転を伴う自衛隊基地整備の着工から12日で2年となる鹿児島県西之表市馬毛島。10日、チャーター機で上空から見た。国策による島の基地化は着々と進んでいた。
完成時期は当初から約3年延長され2030年3月となったが、この2年で島は激変した。島内に仮設道路が張り巡らされ、ダンプやクレーンの重機、住居とみられる建物も確認できた。今後5年間でさらに無機質な建物が立ち並び、変貌していくのだろう。
25年度にも始まる見込みだったFCLPは、28年以降になるとみられる。島中央に「く」の字のように整備される2本の滑走路は確認できなかった。
周囲16.5キロ。しばらく無人だった島には昨年10月時点で工事関係者2860人が住む。基地整備関連の契約額は、調査段階の12年度から25年度予算分までで1兆円を超えた。工期延長を含め、住民への説明もままならない中での巨大事業。眼下の光景は、後戻りはしないという国の姿勢を象徴しているようだった。
島周辺の上空からは開聞岳や佐多岬がはっきりと視界に入り、県本土は目と鼻の先の感覚だ。中国の海洋進出を背景に、国は南西諸島の防衛力強化を掲げる。人知れず進む孤島の変化に、鹿児島が沖縄とともに国防の最前線に位置付けられている現実を再認識させられた。
12月30日の南日本新聞紙面
12月28日 南日本新聞
契約額の累計1兆円超へ…防衛省、25年度馬毛島整備予算案に473億円
基地の完成時期は計画の3年遅れ、30年3月末
防衛省は27日閣議決定された2025年度予算案に、鹿児島県西之表市馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う自衛隊基地整備の関連費として、473億円(契約ベース)を計上した。南日本新聞の集計では、調査段階だった12年度からの契約額の合計が1兆円を超えた。
調査費を計上した12年度から、24年度当初までに積み上げた予算(契約ベース)は8821億円。防衛省は「各年度に支払われる歳出ベースが事業費を反映している」として、その後の累積額を明らかにしていないが、24年度補正に945億円を盛り込んでおり、今回の473億円を加えると、1兆239億円になる。
25年度予算案の契約ベースの473億円は、滑走路や航空保安施設、隊舎、格納庫、係留施設の整備が中心。種子島では、管理事務所や物流倉庫、ヘリポートなどの整備を進める。工期の延長に伴う追加的な経費も一部含まれている。
防衛省は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画で、総事業費を現時点で約9300億円と試算。馬毛島については、特殊な施工条件などを理由に見込み額を示していない。調査段階の15年度から23年度までの支出済み額は約3487億円。25年度予算では歳出ベースで531億円を積む。
馬毛島の自衛隊基地本体は23年1月に着工し、当初は4年程度の工期を見込んでいた。防衛省は24年9月、基地の完成時期が計画より3年遅れの30年3月末になると発表。滑走路の建設は27年に終了する見通しで、FCLPは28年1月以降に始まる可能性がある。
滑走路の点検などに当たる約90人規模の航空自衛隊馬毛島先遣隊(仮称)は24年度に春日基地(福岡市)に配置、25年度に一部の約60人が馬毛島で勤務を始める。
12月24日 南日本新聞
原告は声を上げる「故郷がなくなる。元の姿に戻して」…馬毛島自衛隊基地整備への住民訴訟、鹿児島地裁で第3回口頭弁論
西之表市馬毛島の自衛隊基地整備を巡り、防衛省への市有地売却は裁量権を逸脱しており違法で価格も不適正として、市民30人が八板俊輔市長と国に2億3430万円の損害賠償を請求するよう市に求める住民訴訟の第3回口頭弁論が24日、鹿児島地裁(窪田俊秀裁判長)であった。馬毛島で生まれ育った原告は「故郷がなくなってしまう。元の姿に戻して」と訴えた。
原告の女性は意見陳述で、「自然いっぱいで思い出もいっぱいな馬毛島が基地になることは絶対に許せない」と主張。防衛省に対しては「(開発による)悪影響もしっかり説明してほしい」と述べた。
同日、地元漁師が国に対し、同基地の工事差し止めを求める訴訟の口頭弁論もあった。原告の漁師浜田純男さん(69)の本人尋問があり、結審した。判決は来年3月11日に言い渡される。
12月14日 南日本新聞
基地完成は3年遅れ…重機転落死など事故相次ぐ馬毛島
国が安全管理体制を強化、事故詳細は明かさず
鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転を伴う自衛隊基地整備を巡り、防衛省は13日、県や種子島1市2町に4月以降、報告した発生事故の件数は約10件だと明らかにした。作業員による種子島内での交通事故なども含むとしたものの内容や詳細は示さなかった。
野党国会議員でつくる「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」が国会内で開いた関係省庁ヒアリングで、担当者が報告した。
馬毛島では10月、スリランカ国籍の男性が重機運転中に穴に転落し死亡する事故が発生。11月にも輸送船から船員男性が海に投げ出されけがをするなど事故が相次いでいる。国土交通省担当者は「安全管理に関する人員を死亡事故発生前の15人から27人体制に増員した」と説明した。
防衛省は9月、基地の完成時期が当初計画より約3年遅れの2030年3月末を見込むと発表した。立憲民主党の川内博史議員(衆院鹿児島1区)は当時の防衛相に工期延長の可能性が説明された時期を確認。担当者は「7月中旬、工事完了時期が29年度末になる可能性があるとの報告をした」と答えた。
11月30日の南日本新聞紙面
11月30日 南日本新聞
馬毛島自衛隊基地整備に1377億円 労務費や資機材高騰で当初見込み上回る 防衛省補正予算案
防衛省は29日、自衛隊の活動基盤や災害対処能力の強化に向け、2024年度補正予算案に総額8268億円を計上したと発表した。米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う西之表市馬毛島の自衛隊基地整備に歳出ベースで1377億円を充てる。
同省によると、馬毛島の自衛隊基地関係は、滑走路や隊舎、係留施設の整備で年度内に契約相手へ追加で支払う必要がある経費。労務費や資機材の高騰で、当初予算で見込んだ559億円を上回った。調査段階の15年度から23年度までに、事業費として約3487億円を支出している。
基地本体は23年1月着工。防衛省は今年9月、施設全体の完成時期が当初計画より約3年延びて30年3月末になると発表した。契約ベースでは24年度当初までに計8821億円を積み上げており、工期の延長でさらに膨らむ可能性がある。
11月16日 南日本新聞
大事な漁場は奪われた。もう昔の顔をしていない…馬毛島基地反対の弁護団らが初の視察上陸、
港から先は「私有地」理由に認められず。
上陸する弁護団ら=西之表市馬毛島、15日午後2時半ごろ
鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備に反対する住民訴訟の弁護団らは15日、米軍機訓練移転を伴う基地整備が進む馬毛島に初めて上陸した。西之表港から遊漁船で渡り、葉山港を視察した。
同日午後2時半ごろ、原告や弁護士ら6人が同港に上陸した。港から見える仮設桟橋や内陸の建設現場では関係車両が作業していた。弁護団は現地の工事関係者と交渉したが港から先は「私有地」として視察はできなかった。
原告で漁師の浜田純男さん(69)=同市=は工事が進む仮設桟橋を見ながら「これだけ大きなものを造られたら元には戻らない。祖父母が残した大事な漁場が奪われた。もう馬毛島の顔をしていない」と嘆いた。
弁護団の塚本和也事務局長によると、葉山港は同市が管理している。防衛省には上陸自粛を求められたが、許可が必要ないことを確認したという。「市民の目が届かないところで工事が進んでいるので視察が必要だ」と話した。
\弁護団は昨年12月、同省への市有地売却は違法として、八板俊輔市長と国に2億3430万円の損害賠償を請求するよう市に求める住民訴訟を鹿児島地裁に提訴。今年3月には国に対し馬毛島の港湾施設工事差し止めを求める訴訟も同地裁に起こしている。
11月15日 MBC南日本放送
馬毛島基地整備反対の住民・弁護団が島に上陸
馬毛島の自衛隊基地整備に反対する西之表市の住民らが、15日、工事の状況を視察するため漁船で島に渡りました。
馬毛島に向かったのは、基地工事の差し止めを求め、国を相手に訴訟を起こしている、西之表市の住民と弁護団あわせて6人です。
馬毛島ではアメリカ軍・空母艦載機の陸上離着陸訓練のための滑走路や、護衛艦が停泊する桟橋の整備などが去年1月から進められています。島に近づくと、仮設の宿舎や桟橋の建設が進んでいるのが分かります。
上陸できたのは、葉山港のうち市が所有するエリアで、その先は私有地や国有地となっていて、住民らは入ろうとしたものの…。
(記者)「弁護団と警備員が交渉しています」
交渉は続いたものの、それ以上立ち入ることはできませんでした。
(馬毛島を漁場とする漁師 濱田純男さん・69)「漁民が利用しやすいようにつくっていた港を破壊している」
防衛省は、馬毛島基地の完成時期を2030年3月末としていて、工事関係者はピーク時で最大6000人まで増える見込みです。
11月14日 南日本新聞
馬毛島の自衛隊基地整備に「住民の安心安全の確保」「環境保全措置の徹底」など8項目を要望 防衛省に西之表市長
鹿児島県西之表市の八板俊輔市長は13日、東京・市ケ谷の防衛省を訪れ、同市馬毛島の自衛隊基地整備に関して8項目を要望した。工期の延長に伴って市民生活への影響が長期化するとして、住民の安心安全の確保や環境保全措置の徹底など実効性ある対応を改めて求めた。
要望は非公開。9月に防衛省から工期を2030年まで約3年延長すると説明があり、市は各種団体などに聞き取りをした。要望書には、丁寧な情報提供や周辺海域への土砂流出対策、馬毛島における夜間の救急搬送体制整備、観光振興への協力などを盛り込んだ。
地方協力局長への要望後、八板氏は「作業中の死亡事故や工事関係者のトラブルもあり、市民の不安が広がる可能性がある。しっかり対応してもらいたい」と話した。整備の賛否に関しては「しかるべき時に考えは示す」と述べるにとどめた。
10月28日の南日本新聞紙面
10月15日 南日本新聞
馬毛島基地整備、さつま町弾薬庫計画…軍備強化に反対、250人が訴え 鹿児島市
西之表市馬毛島の自衛隊基地建設など、県内で進む軍備強化に反対する「戦争しない 10.13かごしま大集会」が13日、鹿児島市のJR鹿児島中央駅前であった。県内外から250人が参加し、横断幕やプラカードを掲げて「戦争反対」を訴えた。
「若者を戦場に送るな」「憲法改悪阻止」などのメッセージを手にした参加者を前に、種子島や弾薬庫の整備計画があるさつま町などの団体が現状を報告し、「鹿児島を戦場にするな」などとシュプレヒコールを上げた。
南種子町上中から参加した熊毛ブロック護憲平和フォーラムの大石正博代表(67)は「地元では点にしかならない活動が線でつながった。実態を話すことで県民の理解を深めたい」と話した。
10月14日 南日本新聞
最多7人の争いか 西之表市長選は来年2月2日投開票、市議選と同日 市選管
鹿児島県西之表市選挙管理委員会(西門謙二委員長)は14日、任期満了に伴う市長選と市議選の日程を、いずれも来年1月26日告示、2月2日投開票と決めた。市長選は、再選挙となった2017年の6人を超え、最多の7人で争う可能性が高まっている。
市長の任期は来年3月18日まで。これまでに現職と新人5人の計6人が立候補する意向を表明した。ほかに新人1人が10月中に表明する準備を進めている。
2月18日が任期の市議は定数14。現職1人が勇退する考えを示した一方、元職や複数の新人が立候補の構えを見せている。
両選挙とも、立候補予定者説明会は12月中旬以降に開く見込み。10月14日現在の選挙人名簿登録者数は1万2118人(男5835人、女6283人)。
10月11日の南日本新聞紙面
9月28日の南日本新聞紙面
9月23日 南日本新聞
米軍再編交付金で民意はねじ曲げられた…元岩国市長「基地完成すれば後戻りできない」
整備進む馬毛島の機能強化に警鐘鳴らす 西之表で講演
講演する元岩国市長の井原勝介さん=22日、西之表市
米軍岩国基地がある山口県の岩国市長を2008年まで務めた井原勝介さん(74)が22日、鹿児島県西之表市で講演した。米軍機訓練移転を伴う自衛隊基地整備が進む同市馬毛島について「完成すると後戻りできず、基地機能の強化が加速する」と警鐘を鳴らした。
井原さんは市長時代、岩国への米空母艦載機移駐案の賛否を住民投票で問い、87%が反対した。しかし、米軍再編交付金を示す一方で補助金をカットする国の「アメとムチ」によって「住民の不安が増し、民意がねじ曲げられた。移駐反対を訴えた4回目の選挙で敗れた」と振り返った。
岩国基地は海兵隊だけでなく、海軍や空軍など軍の種別を超えた統合的な拠点になりつつあるという。「8000億円以上をつぎ込む馬毛島も約束通りには運用されない。基地問題を市長や議会任せにせず住民自身が考えて」と呼びかけた。
講演は「馬毛島基地反対裁判を支援する会」が主催した「地方自治から馬毛島基地問題を考える種子島集会」であった。
9月21日 南日本新聞
整備遅れる馬毛島自衛隊基地、25年4月に作業員ピーク6000人
人手不足響き予定から1年遅れ、防衛省が見通し示す
米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備で、防衛省は20日、2025年4月に工事関係者数がピークの6000人規模に達する見通しを示した。内訳は馬毛島約4000人、種子島約2000人となる見込み。
24年9月6日時点の工事関係者は馬毛島の仮設宿舎2290人、種子島の宿泊施設や仮設宿舎など計1910人となっている。仮設宿舎は25年3月末までに約4200室(24年9月比1910室増)を完成させる見込み。
工事は23年1月に本格着工した。最大6000人規模とする工事関係者のピークは当初、24年2月と見込まれていた。防衛省は9月、施設全体の完成時期を当初計画より約3年延期し、30年3月末になると発表。想定より波が高くて資材搬入が進まなかったことや能登半島地震の影響による人手と資機材不足などを理由に挙げた。
防衛省によると、FCLPの運用開始に最低限必要となる施設は、飛行場施設と航空保安施設、管制塔や通信局舎などの飛行場支援施設。工事工程などから逆算すると訓練は28年1月以降になるとみられる。
9月11日の南日本新聞紙面
9月11日 南日本新聞
馬毛島自衛隊基地 整備遅れ工期3年延長 工事阻む波や風、資機材足りず宿舎建設も遅延
西之表市長も影響の長期化危ぐ
米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備で、防衛省は10日、施設全体の完成時期を当初計画より約3年延期し2030年3月末になると発表した。波の高さや能登半島地震の影響による人手と資機材不足などが理由。FCLPは28年1月以降になる見込み。
防衛省は10日午前、種子島の1市2町と鹿児島県庁を訪れ工期延長を伝えた。八板俊輔市長は「市民生活への影響が長引くことが危惧される。不安の声に耳を傾けたい」。塩田康一知事は「十分かつ丁寧な情報提供を国に求めた」とコメントした。
基地本体は23年1月に着工、4年程度で完成する計画だった。同省は現場の状況を精査し、滑走路など飛行場施設の工程を約3年延長。飛行場関連施設や港湾施設も2〜4年遅れる。
FCLPに必要な滑走路の建設は27年に終了する見通し。関係者によると、米側が工事を急ぐよう求める状況ではないという。
同省によると、波や風で重機などを運ぶ船が出せない日が多く、1カ月当たりの輸送は予定の3分の1程度だった。能登半島地震の被災地に人員や資機材が送られたことも影響し、馬毛島の仮設宿舎建設が遅延。24年2月時点で島内の工事関係者は4000人と見通していたが、8月末になっても仮設宿舎は2290室にとどまる。
人手が不足する一方、島内は土地を平らにするための盛り土に使えない粘土質の土が想定より多く作業量が増えた。
基地整備に伴い、種子島では家賃高騰や地場産業の人手不足といった住民生活への影響が出ている。同省整備計画局は「地元への影響が最小限になるように自治体と連携して対応する」としている。
9月11日 南日本新聞
馬毛島基地建設が島にもたらした「恩恵」と「弊害」…「3年延長は重い」
不安募る観光、漁業 地場産業間の格差はさらに広がる
「3年延長は重い」-。工事の遅れがたびたび指摘された馬毛島(鹿児島県西之表市)の自衛隊基地整備。防衛省が10日公表した新たな工事工程はそれを認める形で、地元に波紋を広げた。着工から1年8カ月がたち、基地工事による“恩恵”が顕在化。市民は格差拡大や生活への影響を懸念し、すんなり受け入れられない現状がある。
市街地のある飲食店は、工事関係者で新型コロナウイルス前を超えるにぎわいを見せているという。近くの宿泊施設は、工事に関連する業者が年単位で部屋を押さえ、ほぼ満室が続く。
あおりを受けているのが観光業だ。市内でダイビングショップを営む林哲郎さん(77)は「泊まる場所がないから種子島に行けないという声は多い。国は工事だけを考えるのではなく、産業支援にも本腰を入れないと、もろ手を挙げて歓迎とはいかない」と話す。
市商工会役員の1人も、基地整備への理解を広める鍵として「格差解消」を挙げる。「休日の作業員をどう生かし、地元に利益を生み出すか。基地完成後の観光振興にもつながる仕組みを考えなければ」
馬毛島東海域は漁業制限区域が広がる。工事の長期化に伴い、期間延長が予想される。島周辺を漁場としていた同市住吉の浜上三郎さん(71)は「海の濁りが指摘されており、長期の工事が終わった後にどうなるのか。漁業の将来が見えない」と不安を口にした。
当初4年程度とされた基地整備は7年に延び、子育て世代にも影を落とす。「工事関係者が急増し、知らない顔が増えた。子どもたちだけで習い事に行かせたり、遊ばせたりできなくなったという声をよく聞く」と、市内の小学校でPTA役員を務める40代女性。「とにかく早く工事が終わってほしい。それだけです」
8月18日の南日本新聞紙面
7月18日 MBC南日本放送
防衛大臣が馬毛島・奄美駐屯地を視察 馬毛島は着工降で初めて
木原稔防衛大臣が18日、西之表市・馬毛島と奄美大島の自衛隊駐屯地を視察しました。防衛大臣が馬毛島を訪れるのは、去年1月に着工して以降、初めてです。
木原大臣は18日午前、奄美市の陸上自衛隊奄美駐屯地を訪れました。
奄美駐屯地は、瀬戸内分屯地とともに2019年に開設され、地対艦誘導ミサイル部隊、電子戦部隊などで構成され、あわせて400人が所属しています。中国を念頭にした南西諸島防衛の重要な拠点の1つです。
木原大臣は、おととし4月から運用が始まった射撃訓練場を視察し、以前は九州本土でしかできなかった訓練が奄美大島でも行えるようになったことで、隊員の移動コストが削減されたことなどの説明を受けたあと、隊員300人を前に訓示しました。
(木原稔防衛大臣)「わが国の防衛体制を目に見えるかたちで示し、力による一方的な現状変更を許容しないとのゆるぎない意志を示すことが重要」
そして18日午後、木原大臣は西之表市・馬毛島に上陸しました。防衛大臣が馬毛島を訪れるのは、去年1月に着工して以降、初めてです。
馬毛島で行われている自衛隊基地の整備の工期は、去年1月からおおむね4年の見込みで、工事の作業員は、先月28日現在で3680人ですが、ピーク時には6000人に上る見込みです。
上陸を前に開かれた会見で、木原大臣は、馬毛島視察の目的について。
(木原稔防衛大臣)「社会インフラが全く整っていない離島での大規模な工事、特殊な条件にありながら多くの関係者が懸命に作業に従事し、施設整備が進められている様子を自らの目で確認したい」
馬毛島では早ければ来年度にもアメリカ軍の空母艦載機の陸上離着陸訓練=FCLPが始まるとされていますが、木原大臣は具体的な運用する時期について明言しませんでした。
木原大臣は、工事の進ちょくなどについて説明を受けたとみられ、午後3時ごろ、自衛隊機に乗り込み、馬毛島を後にしました。
一方、塩田知事は18日、防衛省を訪れ、馬毛島での基地整備について、地元住民の安心・安全の確保などを改めて要望しました。
7月18日 MBC南日本放送
工事着工から1年半経過 上空から見た馬毛島基地は今
馬毛島では去年1月の着工以降、アメリカ軍の訓練移転と自衛隊基地の整備に向けた工事が進んでいます。1年半以上が経過し、島はどう変化したのか。JNNのヘリコプターで18日の様子を上空から撮影しました。
(記者)「木原防衛大臣の姿が見えました。着工以来初めて防衛大臣が訪問し工事の進捗状況など確認したものとみられます」
馬毛島ではアメリカ軍・空母艦載機の陸上離着陸訓練などに使う2本の滑走路や、護衛艦が停泊する桟橋などの整備が計画されています。島では現在、滑走路の造成や管制塔など、施設の整備が進められている様子が確認できました。
港の近くには工事関係者が滞在する仮設宿舎=プレハブの建設が進められ、先月までに1840室整備されました。これまでに馬毛島と種子島であわせて3680室が設置されましたが、国はピーク時にあわせて6000人の工事関係者が作業すると見込んでいます。
また、島の沿岸では資材などを搬入するための仮設桟橋や係留施設の整備が進められており、多くの作業船がみられました。
島の大部分で工事が進む一方で、数少なくなった緑にカメラを向けると、去年ヘリで撮影した際は確認できなかった島の固有種・マゲシカの姿が見られました。
馬毛島の基地工事の工期はおおむね4年ですが、滑走路は先行して整備され、早ければ来年度にアメリカ軍の空母艦載機の訓練が始まるともいわれています。
7月1日 南日本新聞
「馬毛島基地容認の立場で、市民に説明もない」
八板市長の前回選挙支援団体が抗議文 次期選挙は対立候補と政策協定
鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備の中止を訴える「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」の総会が30日、西之表市民会館であった。次期市長選に立候補する意向を表明している八板俊輔市長に対し、「前回選挙で基地反対を掲げたが、行動が基地容認の立場で、市民に明確な説明もない」などとする抗議文を送ることを確認した。前回選挙では支援した。
このほか、基地工事で市民生活に影響が出ているとし、国に暮らしの立て直しと工事中止を求めるよう市議会の次期定例会に請願を提出する。2025年3月の任期満了に伴う市長選では、基地反対を掲げて立候補の準備を進める医師三宅公人氏と政策協定を結び、支援するといった役員会方針が報告された。
山内光典会長はあいさつで「地元の生活や歴史を無視して工事を進めていることに怒りを感じる。国の言いなりにならないよう、諦めず声を上げ続けることが大事だ」と述べた。
6月27日、衆議院第1議員会館で、島々から呼びかける、
全国を戦場にさせない!東京行動
馬毛島基地反対住民訴訟原告団和田香穂里団長ダイジェスト映像です。
詳報は:琉球弧の島々を前線拠点化を図る、米国の「戦争」の尖兵自衛隊。宮古・八重山をその最前線に⑭
http://ryukyuheiwa.blog.fc2.com/blog-entry-1308.html
6月28日 南日本新聞
1400人に対し1700室超設置…馬毛島基地工事向けコンテナ宿舎過剰供給、
終了後の撤去に懸念も 西之表市
西之表市馬毛島の自衛隊基地整備に絡み、工事関係者の簡易宿舎として市内各地に設置されたコンテナが現時点で過剰供給に陥っていることが27日、分かった。市議会一般質問で、市はこれまでに1700室超を確認したと説明。市内に滞在する工事関係者は4月24日時点で約1400人とした。種子島全体では約1800人。
市が把握している部屋数は、建築申請が必要な都市計画区域内に約1300室、区域外に約400室。実際は中種子町にも建てられており、既存の住家が借り上げられたケースもある。
防衛省は当初、種子島に滞在する工事関係者は最大2000人の見込みと公表していた。しかし、「建設業界の人手不足やインフラ未整備の離島という特殊な施工条件」から、今年2月とされたピークはずれ込み、人数も流動的となっている。
コンテナ設置を巡り、杉為昭議員は「工事終了後に撤去されるかどうかについても懸念がある」と指摘。市は「一般住宅と同じで撤去が義務付けられてはいないが、使用済みの建物は建築主や地主が主体となって責任を有するという情報を伝える」と答弁した。
市はほかに、基地整備の着工前後で税収が増えたことを明らかにした。市内に事業所を置く場合に支払う法人市民税は2022年度が7265万円で、23年度は3億958万円。個人住民税の営業所得は、22年の9億5483万円から23年に15億5999万円になった。市は「工事に起因する雇用や需要があり、一定の経済効果が生まれている」と説明した。
6月15日の南日本新聞紙面
6月3日 南日本新聞
自衛隊基地整備でマゲシカに迫る危機とは 樹木伐採で生息域縮減
「奈良公園並みの密度に」 餌足りず冬場に大量死の恐れ、専門家が指摘
鹿児島県西之表市・馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う自衛隊基地整備を巡り、北海道大の立澤史郎特任助教(保全生態学)が2日、島固有のニホンジカ亜種マゲシカについて鹿児島市で講演した。着工後も推定個体数は減っていないとする防衛省の調査について、奈良公園並みに生息密度が高くなる可能性があるとして「多くのシカが冬を越えられないかもしれない」と話した。
防衛省は昨年4~12月に目視とセンサーカメラで調査し、マゲシカの生息数を千~1200頭程度とする推定結果を公表した。昨年1月に公告した環境影響評価書では、同じ手法で700~千頭と推定していた。
マゲシカを30年以上研究する立澤助教は「推定が正しければ大幅に繁殖している可能性がある。伐採した木々が栄養源になったとしか考えられない」と指摘。着工後1年半で工事区域の大部分は伐採されていることから、「新たな餌が供給されないと冬場に大量死してしまう」と懸念した。
防衛省の調査によると、馬毛島には1平方キロメートル当たり約150頭が生息する計算になる。講演後の取材に「工事が進み生息域が狭まるとシカが至る所にいる奈良公園のようになり、持続可能な生息環境ではない」として、調査手法や結果の詳細を明らかにし、専門家による現地調査を認めるよう訴えた。
同日、鹿児島市で「馬毛島基地反対裁判を支援する会」の設立総会があり、立澤助教はリモートで講演した。
6月3日の和田香穂里さんFB投稿より:
馬毛島基地反対裁判を支援する会 設立総会&講演会 報告
6月2日、上記集会が開かれました。少々長くなりますがご報告いたします。
共同呼びかけ人であり、支援する会の共同代表を快く引き受けて下さった松下賢治さんの挨拶に始まって、弁護団の塚本和也弁護士から裁判の概要と支援の要請、原告団長和田香穂里から、地元の状況と支援の要請を行いました。
そして、馬毛島基地反対を訴えて次期西之表市長選への立候補を表明した三宅きみとさん(オンライン)、基地や原発に反対を訴えて県知事選出馬を表明した、てのくち里花さん、川内博史衆議院議員、野党共闘の予定候補者松崎真琴さん(代読)からそれぞれメッセージをいただきました。
鹿児島県護憲平和フォーラム事務長の磨島昭広さんの「岸田政権の『戦争する国』づくりと馬毛島基地建設の現状」と題した講演も、鹿研究の第一人者立澤史郎北海道大特任助教のマゲシカについての講演も、非常にわかりやすく、参加者の方々は熱心に聞き入っていました。
埼玉から島じまスタンディンググループのフジコさん、大阪から南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会の堀さんも駆けつけてくださって、メッセージをいただきました。
裁判はまだまだこれからです。参加してくださった皆様の熱意に励まされ、しっかり闘っていきます。さらなるご支援をよろしくお願いいたします。
5月15日の南日本新聞紙面
4月29日 南日本新聞
次期衆院選鹿児島4区 社民鹿児島県連合、山内光典氏の擁立発表
社民党鹿児島県連合は28日、次期衆院選鹿児島4区の党公認候補として新人で西之表市の市民団体「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」会長の山内光典氏(73)=同市=を擁立すると発表した。近く開かれる党本部の常任幹事会で正式に決まる。
同日鹿児島市で会見した山内氏は馬毛島で進む自衛隊基地建設に触れ、「家賃高騰や交通量の増加など住民の日常が壊されている。市の問題を国は注視するべきだ」と述べた。生活に苦しむ国民の税金が軍事費に使われていると批判し「暮らしを大切にする政治を行いたい」と主張した。
社民県連合は他の選挙区への擁立予定はない。川路孝代表は「政権交代のためには野党共闘しかない」と強調した。
山内氏は西之表市古田出身。種子島高校卒業後、市役所に約40年勤めた。2022年に馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会の会長に選ばれた。23年県議選で無所属から立候補し、落選した。
鹿児島4区は現職で自民党総務会長の森山裕氏(79)の立候補が見込まれるほか、参政党の横井さくら氏(57)が立候補を表明している。
4月27日の南日本新聞紙面
4月2日の南日本新聞紙面
3月27日 MBC NEWS
西之表市長選挙に新たに名乗り 医師・三宅氏が出馬会見
来年3月の任期満了に伴う種子島・西之表市長選挙に、医師の三宅公人さんが無所属で出馬することを表明しました。馬毛島への基地整備の中止を訴えるとしています。
来年3月に任期満了を迎える西之表市長選挙への出馬を表明したのは、市内の医師・三宅公人さん(71)です。
三宅さんは山形大学を卒業、山形県内の病院で外科医として勤務したあとUターンし、現在、島内の医療機関に勤めています。
市長選では、馬毛島への自衛隊基地建設の中止を求め、アメリカ軍の訓練移転にも反対することなどを公約に掲げるとしています。
西之表市長選への出馬表明は3期目を目指す現職の八板俊輔さん(70)と、西之表市議の杉為昭さん(57)に続き、3人目です。
3月12日 南日本新聞
馬毛島自衛隊基地整備 工事差し止め求め提訴
地元漁師、漁業権放棄「納得できない」 鹿児島地裁
鹿児島地裁に向かう原告ら=12日、鹿児島市の鹿児島地裁
鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地建設を巡り、馬毛島周辺で漁を営む権利が侵害されたとして、同市の漁師浜田純男さん(68)が12日、国に対し馬毛島の港湾施設工事差し止めを求める訴訟を鹿児島地裁に起こした。
訴状によると、種子島漁協組合員の浜田さんは25歳から漁業を始め、馬毛島東岸でトコブシ漁やアサヒガニ漁を営んできた。「工事で馬毛島周辺の漁場が不可逆的に破壊される。漁業制限で主要な漁場で長期間操業できない」と工事の差し止めを求めた。
種子島漁協が漁業権の一部放棄と22億円の漁業補償に同意した点は「漁協の放棄決議は水産業協同組合法の目的の『水産業の生産力の増進』に逆行し無効」などと主張している。
浜田さんは会見で「漁協が多数決で漁業権を放棄できるのだろうか。納得がいかず補償金は受け取れない。宝の島を後世に残したい」と訴えた。弁護団の菅野庄一弁護士は「漁業権を放棄させる国の手法は沖縄県の辺野古埋め立てや長崎県の諫早湾干拓と同じ構造だ。過ちが繰り返されている」と指摘した。
馬毛島の基地整備では同日、防衛省への市有地売却などを巡る住民訴訟の第1回口頭弁論が鹿児島地裁であった。裁量権を逸脱し違法で価格も不適正として、西之表市民30人が市に対し、八板俊輔市長と国に2億3430万円の損害賠償を請求するよう主張。市側は請求棄却などを求めた。
訴状などによると、八板市長は2022年8月の住民説明会で「(市有地を)売るということは考えていない」と明言したが、11月に国と売買契約を締結するなどした。
3月6日 南日本新聞
西之表市長選に市議の杉氏が立候補表明 馬毛島自衛隊基地賛成団体の事務局長
鹿児島県西之表市議会議員の杉為昭氏(57)は5日、来年3月の任期満了に伴う同市長選に立候補する意向を明らかにした。市議会一般質問で「市民から市政運営の不満、市長の政治姿勢に対する不信感、市の将来への不安の声が聞かれる。新しい西之表市の道を切り開くため、次期市長選に挑戦する」と述べた。
杉氏は馬毛島の自衛隊基地整備に賛成する政治団体の事務局長を務めている。
市長選への立候補表明は、3期目を目指す八板俊輔市長(70)に続いて2人目。
種子島空港、ジェット機就航へ滑走路延伸へ、一方空港バスは廃止。
3月4日 南日本新聞
首都圏と屋久島がジェット機でつながる…滑走路延伸計画、24年度事業化へ大詰め 観光、物流活性化へ地元期待高まる
滑走路延伸が計画されている屋久島空港。現在はプロペラ機のみ就航する=2月28日、屋久島町小瀬田
ジェット機就航を目的にした鹿児島県・屋久島空港の滑走路延伸計画で、空港管理者の県が進める環境影響評価(アセスメント)手続きが大詰めを迎えている。2023年11月にアセスの最終まとめとなる評価書を国に提出。現在、評価書に対する国の意見を基に補正評価書を作成中だ。年度内を目指す補正評価書の公告・縦覧で全てのアセス手続きは終わり、県は政府の24年度予算で事業化が決まれば、用地取得と測量に乗り出す。
国土交通省は滑走路延伸に向けた調査費を計上したとみられ、予算成立後の年度末前後に発表する見通し。県も24年度予算案に各離島の空港整備費12億1800万円を充当した。前年度より36%増えており、延伸化を念頭に増額した。
県が20年度に策定した基本計画では、滑走路1500メートルを2000メートルに延ばす。併せて旅客ターミナルや駐機場を増設する。
ジェット機就航で関東方面からの観光客などを呼び込もうと、屋久島町とともに早期事業化へ国に要望を重ねてきた。現在、鹿児島、福岡、伊丹の3空港間をプロペラ機が1日14便就航。22年度利用者は過去最多の18万7000人に上った。町政策推進課の三角謙二課長は「プロペラ機より多くの生鮮品を即日首都圏の消費地に運べるようになり、物流の利点もある。住民の合意はできており、国の予算化を待っている状態」と期待する。
工期は8年程度を見込む。基本計画策定時の概算事業費は約150億円だが、建設資材や人件費の高騰で膨らむ見通し。多くは国の補助で整備する。約9割の地権者から同意を得ているという。
アセス評価書では大気環境や騒音、動植物など20項目について、現地調査に基づいた予測や評価をまとめた。天然記念物など保護上重要と位置付けられた動植物123種を確認。このうち複数種で生育環境への影響があると予測したが、「環境保全措置を実施することで影響は回避、低減される」とし「環境保全への配慮は適正」と結論付けた。
評価書に対し国交相は、空港利用者の増加による環境への影響を減らす対策が必要と指摘。現地でハヤブサなど鳥類の繁殖が確認された場合、繁殖期を避けた工期を設けるよう求めた。
環境アセス手続きは調査手法などを記した20年の方法書が始まり。住民の意見を踏まえ、段階的に準備書、評価書をまとめた。県港湾空港課は「海を埋め立てない計画を立て、自然への配慮を大前提にしてきた」と強調する。
3月2日 南日本新聞
運転手不足の波は離島にも…種子島空港バスが今月末で廃止 コロナ以降は赤字続き
種子島空港と島内1市2町を結ぶ2台の空港バス=中種子町の同空港
種子島空港(鹿児島県中種子町)と島内1市2町を結ぶ空港バスが30日で廃止されることが1日までに分かった。運行する和人グループ(南種子町)によると、運転手の不足や高齢化、採算割れなどが理由。同社が2町から委託されたスクールバスや地域コミュニティーバスの運行は継続する。
空港バスは現在の種子島空港が開港した2006年に運行を開始。西之表市街地に向かう西之表線と、中種子、南種子両町を通る南種子線の2路線をそれぞれ4往復している。
行政や運送事業者、住民代表者らでつくる種子島地域公共交通活性化協議会が2月27日、廃止を了承した。代替交通手段として、予約制乗り合いタクシーの導入を検討していく。
協議会事務局によると、19年度まで2路線合計の利用者数は4000~5000人超で推移。新型コロナウイルスの影響で20、21年度は2000人を割り、22年度は3122人だった。1市2町が1000万円を上限に赤字補填(ほてん)しているが、それを上回る赤字が続いていた。
県内では近年、運転手不足などによるバス路線の廃止や減便が相次ぐ。特に車社会の離島では新型コロナの影響で入り込み客が激減したこともあり、路線バス事業の継続が難しくなっている。
和人グループは「空港線廃止で他路線の乗務員の休日をいくらか確保できる。種子島の公共交通機関としての使命を果たすべく努力していく」とコメントした。
2月28日の南日本新聞紙面
2月28日 南日本新聞
工事関係者の輸送、作業船の監視 西之表の漁船の3割は馬毛島自衛隊基地整備と関わり
出漁機会が減少?水揚げ量3割減る
漁船で馬毛島に向かう工事関係者=西之表市の西之表港
鹿児島県は27日の県議会代表質問で、種子島漁協西之表地区の漁業者の約3割(漁船218隻のうち66隻)が西之表市馬毛島に渡る交通船など自衛隊基地整備に関わる船舶業務を担っていると説明した。
昨年12月22日時点で馬毛島の基地整備には2800人が従事。うち1800人は種子島1市2町の仮設宿舎や宿泊施設で暮らし、交通船で行き来している。県水産振興課によると、漁業者は工事作業船などの監視にも携わっている。
昨年4月から1月までの水揚げ量は前年同期比で約3割減り、トビウオやトコブシ、キビナゴは約7割減った。平林孝之商工労働水産部長は要因について、海洋環境などの変化や燃油高騰、交通船業務などの従事に伴う出漁機会の減少、馬毛島周辺海域の漁業制限などを挙げた。
2月21日の南日本新聞紙面
2月20日 MBC NEWS
「馬毛島対応 最善の道を」西之表市・八板市長が3選目指し来年市長選に出馬へ
賛否表明は「状況整っていない」
鹿児島県西之表市の八板俊輔市長は20日、来年3月の任期満了に伴う市長選に、3期目を目指して出馬する考えを表明しました。一方で、馬毛島での自衛隊基地整備への賛否は明言しませんでした。
(八板市長 出馬表明)「馬毛島での現実の国の動きに対応しながら、最善の道を歩まねばならない。郷土の課題解決に向けて、引き続き市政3期目を担当すべく、来年早々に見込まれる市長選挙で、市民の信任を得たい」
八板市長は20日の市議会開会本会議の施政方針で、来年3月の任期満了に伴う市長選に、3期目を目指して出馬する考えを表明しました。来年の市長選への出馬を正式に表明したのは、八板市長が初めてです。
八板市長は2021年の市長選で、馬毛島での自衛隊基地とアメリカ軍の訓練移転への「計画反対」を訴えて再選しました。しかし、その後は「判断材料がそろっていない」ことなどを理由に、賛否を明言しておらず、20日の議会でも賛否については触れませんでした。
議会後の取材で、その理由を問われた市長は。
(八板俊輔市長)「判断材料の状況と基地の整備の進展の動き両方見ながら判断しなくてはいけない。状況が整っていない。
Q.賛否を示さないまま選挙を戦う可能性も?
(八板俊輔市長)「今から協議の場などで国と話をしながら努力しないといけない。その点は状況次第」
「状況が整っていない」とし、来年の市長選までに賛否を示すかどうかについても明らかにしませんでした。
なお、20日の開会本会議では、総額が143億5300万円で過去最大規模の新年度当初予算案も提案されました。国から支給される米軍再編交付金19億9000万円を盛り込み、市街地での戦闘機による騒音の測定装置の購入など42の事業が計画されています。
2月15日 南日本新聞
馬毛島基地問題で賛否真っ二つの西之表市議会 採決に加われない議長が再び辞職願提出へ
「慣例の2年超えた」 前回は否決
鹿児島県西之表市議会の川村孝則議長(64)=7期目=は14日の議会運営委員会で、20日に開会する3月定例会で議長辞職願を提出する考えを明らかにした。長野広美副議長(67)=6期目=も「議長を支えたいという考えだったが、辞職の意向に伴い自分も退く」と述べ、副議長の辞職願を出す。
2人が辞職願を提出するのは、2023年の3月定例会以来2度目。前回は同市馬毛島の自衛隊基地整備に対する考え方で採決が分かれ、いずれも1票差で否決された。今回の辞職願提出について、川村議長は取材に「慣例(2年)を超えて3年間務めている。新年度当初予算の審議を前に出したかった」と答えた。
川村議長、長野副議長ともに21年2月、改選後の臨時会で選出された。同市議会(14人)は基地整備の賛否が7人ずつで伯仲しており、議案採決に加われない議長職を両派が押しつけ合う形になっている。
賛成派議員の一部は「今回も粛々と否決する」としており、現時点で正副議長の辞職が認められる可能性は低い
1月28日の南日本新聞紙面
1月27日の南日本新聞紙面
1月26日の南日本新聞紙面
1月25日の南日本新聞紙面
1月24日の南日本新聞紙面
1月15日 南日本新聞
離島の離島・馬毛島基地着工1年 国家プロジェクト、対岸の種子島の風景も激変 工事関係者向けプレハブの「仮設団地」、交通渋滞、道路沿いの資材置き場…島民ら困惑
鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地建設は本体工事が始まって12日で1年がたった。インフラが未整備で、本土から直接渡ることが困難な「離島の離島」で進む国家プロジェクト。工事関係者や資材の拠点となった種子島にも大きな変化をもたらしている。
「仮設団地」と化した地域がある。西之表市街地からやや離れた種子島合同庁舎周辺の下西校区。工事関係者向けにプレハブ仕様の宿舎がいくつも建てられ、小さな空き地には縦5~6メートル、横2メートルほどのコンテナハウスが所狭しと並ぶ。
中種子町に向かう国道58号の沿線は、港湾施設整備に使うとみられるコンクリートブロックが整然と積み上げられ、重機やコンテナが目立つ。夕日が映える「サンセットロード」は、今や基地整備の面影を抜きにして語れない。
「まるで被災地。景観が変わり、西海岸に行く気が薄れたといった声も聞く」。市南東部に住む男性(54)は漏らす。毎日車で子どもを市街地まで送迎しているが、大型車両とすれ違うのが怖いという。「道幅確保のために道路脇の草木を伐採するなど、業者には着工前にそういう点にも気を配ってもらいたかった」
種子島に滞在する工事関係者は昨年12月22日時点で約1800人。交通量の増加は明らかだ。複数のドラッグストアがあり、もともと車の往来が多い下西校区では渋滞も発生する。別の校区では、学校近くの住宅街で馬毛島への通信ケーブルの埋設工事が進む。
中高生を育てる同市西之表の女性(46)は「通学路に交通誘導員が配置されたのはありがたいが、登下校の心配が増えたのは確かだ」と話す。
種子島の海の玄関口、西之表港の混雑ぶりは市議会でも取り上げられた。昨年は新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行されたこともあり、年末は850台収容の駐車場がほぼ満杯に。空きを探して場内をさまよったり、停車場所や路肩に縦列駐車する車両が相次いだ。
県熊毛支庁によると、昨年5月の大型連休ごろからレンタカーの利用が増えている。ある男性(69)は「港の利用客が困るようになった。工事関係者は別の場所に駐車させるような工夫が必要ではないか」と指摘した。
1月14日の琉球新報紙面
1月13日の琉球新報紙面
1月13日 南日本新聞
「1兆円超えは確実」の声も…馬毛島自衛隊基地着工から1年経っても見えない総事業費
西之表市馬毛島の自衛隊基地整備は12日、基地本体の着工から1年がたった。真っさらな島を丸ごと買収し基地化する異例の巨大事業は、残り3年程度という工期を区切りながら、買収額や総工費などはまだ示していない。不透明さを積み残したまま、前例のないスピードで進んでいる。
防衛省は2023年1月、環境影響評価(アセスメント)の最終まとめとなる「評価書」を公告し、基地本体に即日着工した。評価書によると、着工2年目(24年)は工事資材搬入の「ゲート」となる仮設桟橋が3月ごろ、2本の滑走路は9月ごろにも工事完了の工程を示している。
基地完成後は、米軍が求める空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の恒常的な訓練地となるほか、陸海空の自衛隊部隊も頻繁に活動する。中国軍が進出を強める地域でプレゼンス(存在感)を高める狙いもあり、政府が「かつてない防衛力強化」にかじを切る中で、機能強化を懸念する声は根強い。
西之表市馬毛島の基地にかかる総工費について、防衛省は「離島という極めて特殊な条件の大規模工事。現時点で答えるのは困難」とする。これまで積み上げた予算(契約ベース)は調査段階だった2012年度から24年度当初まで計8821億円に達する。
沖縄の米軍普天間飛行場の辺野古移設計画で見込む総工費約9300億円に既に迫っている。人手不足や物価高が進む中、工事関係者には「馬毛島も1兆超えは確実」との見方が強い。
予算の不透明さもたびたび取り沙汰されてきた。防衛省は19年11月、島の大半を持つ地権者と売買に合意。買収額は160億円とされるが、国は「適切な時期に説明する」として発表していない。そもそも買収額は当初予算に計上せず、辺野古移設の工事費から流用。基地の設計費なども地元に説明しないまま、同様に流用の形を取っていた。
本体工事でも入札を経ず大幅に増額する契約変更が相次ぐ。22年度に随意契約した港湾や滑走路、仮設桟橋の工事では当初の計1680億円から3500億円以上に倍増した。防衛省は「予算の範囲内」とするが、「増額があまりに巨額。透明性に欠ける」「不正の温床になりかねない」との指摘も出ている。
人口急増
工事関係者は種子島2000人、馬毛島4000人の最大6000人規模とされ、最新の昨年12月22日時点では約2800人。5月に防衛省が示した「推移の見通し」と比較すると6割強にとどまり、2月とみていたピークはずれ込む可能性がある。
馬毛島に滞在する関係者は、見通しの4割の約千人。「離島の離島」だけに海況が大きく影響している状況がうかがえる。「種子島の負担軽減」を目的とした3000室超の馬毛島の仮設宿舎整備も、約千室と3分の1しか進んでいない。
工事関係者の大量流入に伴う生活ごみの急増も懸念されている。西之表市、中種子町のごみ処理を担う種子島清掃センター(同市)で処分できる可燃ごみは1日22トン。種子島地区広域事務組合によると、現状の処理量は着工前後でほぼ変わらず、約95%で推移する。
人口の自然減に加え、同省が馬毛島に焼却炉を設置するなどして、影響が最小限にとどまった格好だ。ただ馬毛島で発生した焼却灰をどこで処理するかなど、検討課題は残されている。
重い環境負担
馬毛島周辺は種子島特産の貝「トコブシ(ナガラメ)」の主要漁場。現時点で、27年11月末まで東側の海域約1100ヘクタールには漁業制限がかかり、うち約100ヘクタールは港湾施設周辺で漁業権は消滅する。アセスでは桟橋や港湾工事周辺で水の濁りが発生すると予測。今月8日に上空から海面を見ると、基礎石(捨て石)などを投入する大型船が並び、白い帯のような濁りが確認できた。
防衛省は藻場やサンゴが一部消失するとみているが、濁りは「局地的で一時的な影響」とする。だが、漁業者や観光業者からは周辺への影響を懸念する声が根強い。環境省レッドリストで絶滅の恐れがあると分類されたマゲシカ、天然記念物のオカヤドカリ、ウミガメなどの生息域も劇的に狭まり、環境への負担は重い。
馬毛島基地(仮称)
「く」の字型の2本の滑走路(主滑走路2450メートル、横風用1830メートル)や管制塔、隊舎のほか、事実上「空母化」する自衛隊最大の護衛艦が入港可能な港湾施設を造る。米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の恒常的な訓練地となり、陸海空の自衛隊部隊も連続離着陸や機動展開など各種訓練を行う。空自が管理する。現計画では米軍のFCLPは年1、2回。1回あたり10日程度(準備を含め約1カ月)としている。4~6機の計約60機が入れ替わりながら、着陸と離陸を繰り返す「タッチ・アンド・ゴー」を行う。
1月12日 南日本新聞
無人島から国防の要塞へ…自衛隊基地着工から1年、馬毛島には「街」が現れた
米軍機訓練移転を伴う鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備は12日、基地本体の着工から1年となった。上空で8日に見た島の風景は工事前から一変していた。木々の伐採や造成が進み、作業用とみられる未舗装道が全域に張り巡らされ、至る所で重機が稼働。海沿いは大型船が着岸する仮設桟橋が岸壁から沖へ延び、内陸部にまで建物が立ち並んでいた。国策に翻弄(ほんろう)され続けてきた無人島は要塞(ようさい)へと変貌しつつあるようだ。
上空から見た馬毛島は伐採や造成で緑が減り、むき出しとなった黄土色の大地が広がっていた。自衛隊基地本体の着工から12日で1年。荒野の中に建物や燃料施設も増え、基地のための「街」が出現したように見える。
小型機で南大隅町に差し掛かると、南に島影が現れた。10分足らずで上空へ。黄や赤、緑の重機やトラックが土煙を上げていた。周囲16.5キロの無人島。半年前、伐採で虎刈りのようだった樹林帯は丸裸に。戦時中に使われたとされるトーチカ(防御陣地)があった岳之腰(標高71メートル)周辺の緑も消えていた。
島中央部は10棟以上が密集し、宿舎の発電機や重機に使う燃料のタンク、コンクリートプラントも見えた。東西南北を貫いていた十字の「滑走路」は周囲の開発に埋もれた。島の大半を所有した会社が造成した痕跡はなくなりつつある。
防衛省の計画では北北西-南南東の主滑走路(2450メートル)と横風用滑走路(1830メートル)が「く」の字に交わる。滑走路地区の工事は9月にも完了する見込みというが、上空からその姿はまだ確認できなかった。
玄関口の葉山港がある島東部の沖合では数隻の大型船が作業していた。空母級が停泊できる係留施設の予定地付近で、甲板に積んだ石を次々と海中に投入。青い海面が白く濁り帯のように広がった。
近くには建設中の仮設桟橋が延びている。大型船で島外から多くの作業員、水、燃料、資材を輸送するための施設だ。島には稼働していない重機も多い。燃料や資材の供給体制が整えば、工事が加速することは容易に想像できる。
帰り際、木々に囲まれた旧馬毛島小中学校が目に入った。1980年に休校し、島は無人となった。歴史や文化を伝える数少ない「生き証人」に見えるこの敷地も2022年11月、西之表市が防衛省に売却。緑に囲まれていた一帯にも工事用の施設が立ち並んでいた。
12月30日の南日本新聞紙面
12月21日 MBC NEWS
「日常が壊れていく…」馬毛島基地建設の中止を知事に要請 オスプレイ墜落で危機感
馬毛島基地整備に反対する市民グループなどは21日、塩田知事に基地整備中止を国に求めるよう要請しました。
塩田知事あてに要請書を提出したのは、馬毛島基地整備に反対する市民グループや県議ら9人です。
国は、西之表市馬毛島に自衛隊基地の整備と、アメリカ軍の空母艦載機の陸上離着陸訓練=FCLPの移転を計画しています。
要請書では、屋久島でのオスプレイ墜落事故にふれ、「米軍の事件事故に対する安全は担保されていない」として、塩田知事に「日米地位協定が見直されるまでは、基地整備を中止するよう国に要望すること」を求めています。
(馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会 山内光典会長)「馬毛島の基地建設の問題について現状を理解して深めてもらう。日常生活が壊れていっていることが一番心配」
12月19日 MBC NEWS
馬毛島基地整備、防衛省への市有地売却・市道廃止は「違法」
反対派市民が提訴
国が整備を進める西之表市・馬毛島基地をめぐる問題です。計画に反対する市民は19日、「市が島の市有地を国に売ったことは違法」などとして、市に対し、八板市長と国に損害賠償を請求するよう求める訴えを起こしました。
鹿児島地方裁判所に訴えを起こしたのは、馬毛島基地計画に反対する西之表市民29人です。
国は、馬毛島に自衛隊基地を整備し、アメリカ軍の訓練を移転させる方針で、八板市長は去年、島の小中学校跡地などを国に売却し、残っていた市道を廃止しました。
これを受け、市民グループは「市有地の売却は不当」などとして、市に対し住民監査請求をし、先月、棄却されていました。
今回訴えを起こしたのは、この市民グループの一部で、「売却に至るまでの市長の説明や議論は足りず、裁量権を逸脱している」などとして、西之表市に対し、八板市長と国にあわせておよそ2億3400万円の損害賠償を請求することなどを求める訴えを起こしました。
(和田香穂里・原告団長)「国がやることだから反対しても無駄だよねと、あきらめの声も聞こえてくる。そうではないことを種子島の人々に見せていきたい」
西之表市、八板市長ともに「訴状が届いていないのでコメントできない」としています。
12月18日 南日本新聞
馬毛島基地整備「市の手続きは違法」 西之表の反対市民、19日に損賠提訴
市有地の売却額「低い」と疑問視
住民訴訟を起こす方針を確認する基地反対派の市民=17日、西之表市民会館
鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備を巡り、防衛省への市有地売却や島内3市道を廃止した市の手続きは違法、不当として、基地に反対する市民は19日、鹿児島地裁に提訴する。17日、原告団の結成総会が同市民会館であり、委任状を含め、少なくとも29人が訴訟に参加する意向があることを確認した。
原告は10月2日付で市有地売却などの手続きについて住民監査請求し、11月24日付で棄却された。これを不服として、住民訴訟に踏み切った。
訴状案では、旧馬毛島小中学校跡地(8853平方メートル)3370万円、下西校区の自衛隊員宿舎用地(7029平方メートル)2530万円とした市有地の売却価格を疑問視。「国が開発業者から馬毛島の土地を買い上げた金額に比べて低い」などと指摘し、八板俊輔市長と国に対して市に損害賠償として1億円の支払いを求める。併せて市道の廃止を取り消すよう主張する。
原告団団長で前市議の和田香穂里さん(59)は「戦争につながる基地は駄目というのが共通の思いだ。平和な未来をつくるために今できることをやる。今後、支援者も広く募っていきたい」と話した。
12月5日の東京新聞紙面
12月4日の琉球新報紙面
11月22日の琉球新報紙面
11月14日 南日本新聞
自衛隊基地整備進む馬毛島 「戦争の島にするな」全国の平和団体が初の交流会
工事中止実現へ連携確認 種子島
各都道府県からの参加者から連帯の旗を受け取る「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」の山内光典会長(右)=13日、西之表市
全国の平和団体などが13日、鹿児島県西之表市のホテルで、同市馬毛島の自衛隊基地整備に反対する「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」と初の交流集会を開いた。馬毛島基地について「軍事力の拡大につながる」とし、工事中止の実現に向けて連絡会と連携することで一致した。
25都道府県から約140人、連絡会メンバー約40人が参加した。連絡会の渡辺道大事務局長(42)が基地整備までの経緯や着工後に浮き彫りになった住民への影響を説明。米軍や自衛隊の基地による騒音問題を抱える沖縄県や山口県岩国市、東京都の代表者はそれぞれの取り組みを紹介した。
集会後は馬毛島基地整備の中止を訴え、市街地をデモ行進。連絡会の山内光典会長(72)は「種子島の生の声を聞いてもらい、ありがたかった。全国的な問題と捉えてもらえれば」と話した。
11月11日 南日本新聞
馬毛島自衛隊基地整備がますます加速
防衛省、補正予算に2684億円計上 総額もうすぐ1兆円に
自衛隊基地建設が始まった馬毛島。画面奥は種子島本島=西之表市の馬毛島(本社チャーター機から撮影)
防衛省は10日、2023年度補正予算案に防衛力や災害対処能力の強化に向け総額8130億円を計上したと発表した。鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転を伴う自衛隊基地整備には歳出ベースで2684億円を充て、係留施設や滑走路などの整備を加速させる。
馬毛島整備は米軍再編関連(3169億円)の大半を占めた。契約ベースでは839億円で、環境調査や詳細検討なども含む12年度からの予算を積み上げると計8519億円に達した。24年度予算では一層の上積みも予想され、1兆円が間近に迫っている。
同省によると、工事の進ちょくに応じ年度内の支出分が増えたほか、人件費や資材単価の高騰で当初予算の見込みより上振れた。基地の早期整備に向け、資機材の輸送力を強化するため船を追加投入する経費にも充てる。
防衛省が8月に発表した24年度予算概算要求では、馬毛島内で最新鋭ステルス戦闘機F35Bの訓練施設整備を進めるため約64億円を計上した。
11月10日 MBC NEWS
馬毛島基地工事 種子島にコンテナ宿舎500棟新設へ…宿舎の中は?コンテナ再利用の背景は
自衛隊基地整備とアメリカ軍の訓練移転に向け、工事が進む西之表市・馬毛島。隣の種子島を含めた工事関係者は来年は6000人に上る見込みの中、課題となっているのが宿舎の確保です。
工事関係者の”宿舎事情”を取材すると、基地工事の現状も見えてきました。
基地工事が進む馬毛島。工期は今年1月からおおむね4年間ですが、防衛省は滑走路を先行して整備し、早ければ2025年度にアメリカ軍の空母艦載機の訓練が始まるともいわれています。
馬毛島では来年2月のピーク時に4000人、となりの種子島に2000人の、あわせて6000人の工事関係者が滞在する見込みで、宿舎の整備が急ピッチで進んでいます。
種子島でよく見かけるようになったコンテナの宿舎。なぜ増えているのでしょうか?
大崎町に、コンテナの宿舎を作っている工場があります。
高さ3メートル、横2.5メートル、奥行き6メートルほどの鋼鉄製の箱。この会社では、近くの志布志港などから中国製のコンテナを仕入れ、種子島におよそ130棟を設置しました。
来秋にかけてさらに500棟を作ることにしています。
8畳ほどの限られたスペースに、生活に必要な機能を備えながらも…。
(記者)「大人1人が横になっても十分な広さがあります。天井も高いので、コンテナとは思えない空間となっています」
こうした機能性、快適性のほかに、コンテナは鋼鉄製のため、プレハブなどに比べて台風などの自然災害に強く、防音にも優れているといいます。
また、外観はほぼそのままに、ドアや窓の部分をくりぬくなどのシンプルな工事のため、1棟あたりのコストは350万円ほど。中古のコンテナをリサイクルすればさらに費用を抑えられます。
(ジャカコン西日本・前田英一営業所長)
「時間がないので速く作ってほしいというのが、客(基地工事業者)の要望」
「いくつ作っても足りない」
種子島に増えつつあるコンテナ宿舎。実際に生活する工事作業員に、匿名を条件に話を聞くことができました。
(40代工事作業員)「広くていいなと思った。この生活スタイルでずっといきたいと思う」
宿舎が不足する一方で、以前は多かった共同生活は好まれなくなり、コンテナ宿舎のようなプライベートを重視した個室のニーズが高まっているといいます。
(40代工事作業員)「最初のうちは狭い4人1部屋と聞いていたが、コンテナハウスのようなプライベートの確保(が大事)。疲れた体をいやすのに24時間、同じ顔を見るのは、というのもある」
一方で労働環境は、海がしける冬場にかけて次第に厳しくなるとみています。
(40代工事作業員)
「離島の離島なので、渡るのも大変」
「工事はそれなりに進んでいると思うが、(着工後)冬をまだ経験していない。半月くらい島に渡れない時期もあると聞いているので、工事は少しずつ遅れるだろう」
鹿児島でかつてない規模の基地工事。今後、6000人ともいわれる工事関係者の住まいは?労働環境は?
様々な課題をはらみながら、基地工事は続いています。
11月8日 MBC NEWS
馬毛島 自衛隊基地整備・米軍訓練移転へ工事進む 空から見てみると
鹿児島県西之表市の馬毛島では、アメリカ軍の訓練移転と自衛隊基地の整備に向けた工事が進んでいます。
工事が始まって10か月。基地整備はどのくらい進み、島の自然やシンボルはどうなったのか?8日、JNNのヘリコプターで上空から撮影しました。
(記者)「馬毛島の上空に来ました。基地工事が始まって10か月。緑が広がっていた島は、いたるところで土がむき出しになり、姿を変えつつあります」
今年1月に工事が始まった時と比べると、造成工事が進み、重機が通るための道が作られていることが分かります。
馬毛島では、アメリカ軍・空母艦載機の陸上離着陸訓練などに使う2本の滑走路や、護衛艦が停泊する桟橋などの整備が計画されています。工期は概ね4年間で、今はまだ基地の姿は見えませんが、大きく変わったところもありました。
(記者)「馬毛島の東側の港、葉山港に来ました。桟橋の工事が進んでいる様子が分かります。作業員が工事を進めている様子も見られます」
整備が進む一方で、失われていくものもあります。島のほぼ中央に位置する山、岳之腰です。頂上には旧日本軍の陣地、トーチカがありました。残してほしいという声がありましたが、滑走路の予定地にあり、崩して造成されます。
(記者)「起伏の少ない島のシンボルになっている標高およそ70メートルの岳之腰です。重機で少しずつ整地が進んでいる様子が分かります。岳之腰の上には、旧日本軍の陣地・トーチカがありましたが、姿を消しています」
最盛期の1960年ごろには500人以上が暮らしていた馬毛島。かつての面影を感じさせる建物がわずかに残っていました。
(記者)「島の小中学校の跡です。校舎や校庭が今も残っています。小中学校跡は今のところ、工事のエリアにかかっていませんが、周りには、土がむき出しになった基地工事の現場が広がっています」
馬毛島の広範囲で造成が進む中、島の固有種・マゲシカを探してみましたが…。
(記者)「あ、違いますね」「木々が残っている部分を見ていますが、姿は見られません。以前は木のかげから出てくることもありましたが、その姿を見ることはできません」
防衛省は滑走路などを先行して整備する方針で、早ければ2025年度にもアメリカ軍空母艦載機の訓練が始まる可能性があります。
基地整備が進む馬毛島。かつての人の営みと自然は、刻々と姿を変えています。
10月13日の南日本新聞紙面
10月4日 南日本新聞
馬毛島基地整備に「賛意」 中種子町が自衛隊対策室を新設 関連施設の誘致など取り組む
鹿児島県中種子町は自衛隊対策室を新設し、10月から始動させた。課長級、係長級の2人態勢。西之表市馬毛島で自衛隊基地整備が進む中、各課にわたる課題や米軍再編交付金事業の計画を取りまとめ、防衛省との協議で主体的な役割を担う。
町と町議会は災害対応や隊員居住による地域活性化を期待し、基地整備に賛意を示している。町は馬毛島とは別に自衛隊関連施設の誘致を掲げており、同室が中心となって推進活動に取り組む。遠藤淳一郎室長は「住民生活に影響がないよう、防衛省に地元説明などを求めていく」と話した。
9月27日の南日本新聞紙面
9月18日 南日本新聞
馬毛島・自衛隊基地整備 反対派有志が3度目の監査請求へ
市有地売却「市長の裁量権逸脱」
鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備に反対する市民の有志は16日、市が馬毛島小中学校跡地と隊員宿舎用地の防衛省への売却、島内3市道を廃止したことに対し、3度目の住民監査請求をする方針を決めた。昨年11月までに延べ約470件分を提出したが、いずれも却下されていた。
違法性や不当性が疑われる点として(1)市民代表である市長は裁量権を逸脱し、市民が納得していない中で契約締結した(2)市有地の売却価格が周辺の土地取引に比べて低い(3)随意契約による売却先決定は地方自治法に反する-ことを挙げた。
有志約20人は16日、監査請求への参加を呼びかける市民の会を設立した。19日から市監査委員事務局に随時請求する。元教員で会長の目迫ヱミ子さん(85)は「われわれが何を言っても工事が進んでしまっているが、黙っているわけにはいかない」と話した。
9月8日の南日本新聞紙面
9月7日 南日本新聞
馬毛島基地整備 西之表市長が防衛省にくぎ「市民生活への影響著しい」
工事中断要請の可能性示唆「軽減策は万全でない」
鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備を巡り、八板俊輔市長は6日の市議会一般質問で「人流や物流の急激な増加に伴う市民生活への影響が著しく、改善が図られないのであれば(基地工事の)中断を求める考えも否定できない」と述べた。
作業員数が来年2月にも最大6000人に上るとの見通しを示している防衛省に対し、工事の進捗(しんちょく)状況だけでなく、受け入れる地元の不安解消にも気を配るようくぎを刺した格好だ。八板市長が「中断要請」の可能性に踏み込んだのは初めて。
同省がこれまでに示した市民生活への影響を軽減する対策について、八板市長は「スピード感、具現性は万全でないと捉えており、迅速かつ有効な対応を求めている」と述べた。市民の不安解消などを目的に始まった市と同省の協議は5月12日以降、開かれていない。
9月1日の南日本新聞紙面
8月31日 MBC NEWS
馬毛島 来年後半にも航空自衛隊先遣隊派遣へ
八板市長「地元の理解が重要」
アメリカ軍の訓練移転と自衛隊基地の整備が計画される鹿児島県西之表市・馬毛島に、来年後半にも航空自衛隊の先遣隊が入る予定です。
八板市長は「地元の理解が重要であることに変わりはない」とコメントを発表しました。
馬毛島では自衛隊基地の整備と、アメリカ軍空母艦載機の陸上離着陸訓練=FCLPの移転が計画されています。工事は概ね4年の計画ですが、防衛省は先行して2年後には滑走路を完成させ、アメリカ軍のFCLPを始める方針です。
防衛省は31日、来年度予算の概算要求で過去最大の7兆7385億円を計上すると発表しました。
防衛省の資料には馬毛島における施設整備に関する要求も記載されていますが、関係者によりますと、防衛省は建設が計画通り進んでいるか確認するため、来年後半にも航空自衛隊の90人規模の先遣隊を馬毛島に入れる方向で調整しているということです。
国の方針を受けて、種子島の住民は?
(西之表市 配達業・20代)「あまり実感がわかないが、そうなのかという感じ。争いごとがこの辺にも来ると怖い。前々から基地ができるとは言っていたので仕方ない」
(西之表市 パート・70代)「生活の乱れが一番心配。孫もいるので、今から大きくなって問題が起きたら大変。(八板市長は)この際はっきりと(賛否を)言ってもらったほうが良い」
(中種子町 農業・70代)「やっていることだから仕方がない。防衛省の考えだからなんともいえない」
西之表市の八板俊輔市長は、防衛省から先遣隊の派遣について連絡を受けたとして、「国に、住民の不安や懸念をひとつずつ丁寧に解決していくことを強く望み、市としても適切な対応に努める」とコメントしています。
8月30日 MBC NEWS
馬毛島に航空自衛隊先遣隊を派遣へ 来年後半にも
アメリカ軍の訓練移転と自衛隊基地の整備が計画される鹿児島県西之表市・馬毛島に、来年後半にも航空自衛隊の先遣隊が入ることが分かりました。
馬毛島では自衛隊基地の整備と、アメリカ軍の空母艦載機の陸上離着陸訓練=FCLPの移転が計画されています。
基地工事は概ね4年の計画ですが、防衛省は、滑走路については先行して2年後には完成させ、アメリカ軍のFCLPを前倒しで始めたいとしています。
複数の関係者によりますと、馬毛島で滑走路や管制塔の建設が計画通り進んでいるか確認するため、防衛省が来年後半にも航空自衛隊の先遣隊を馬毛島に入れる方針で調整していることが分かりました。
先遣隊は90人規模とみられ、馬毛島島内に隊員が滞在できる宿舎がないため、中種子町に作られる宿舎から馬毛島へ通うとみられています。
防衛省は、来年度の概算要求で先遣隊にかかる費用を盛り込む方向で調整しています。
8月28日 南日本新聞
「馬毛島を米軍基地にしないで」 市民団体、街頭で反対訴え
学校跡地の売却差し止め再請求も準備
集会後、街頭で基地反対のプラカードを掲げる参加者=27日、西之表市東町
鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備に反対する市民団体「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」は27日、市内で集会を開き、月2回の街頭活動や新しいポスター作成など今後の活動方針を確認した。集会後、市民約30人がプラカードを掲げ、基地反対を訴えた。
同会は8月22日、馬毛島を漁船から視察した。山内光典会長(72)は「マゲシカを一頭も見つけられなかった」とし、基地本体工事で生息環境が変化することが不安だと訴えた。
馬毛島小中学校跡地の売却差し止めなどを市に求めた住民監査請求が7月に市監査委員事務局に却下されたことを受け、再請求に向け実行委員会を設置することが報告された。
参加者からは、建設中止を防衛省に求める署名活動の実施や、市に対し現状確認を求める意見があり、8月末の役員会で取り扱いを検討する。
8月25日 MBC NEWS
「作業船の数に驚いた」西之表市・八板市長が基地工事着工後初めて馬毛島を現地視察
鹿児島県西之表市の八板俊輔市長は25日、自衛隊基地整備とアメリカ軍の訓練移転に向けた工事が着工してから初めて馬毛島に上陸し、工事の進捗状況などを視察しました。
25日は、八板市長と副市長、市の職員ら合わせて8人が馬毛島の視察に向かいました。
市によりますと、島では市が管理する葉山港で、岸壁が崩れている場所の補修状況を確認したほか、島の周囲を船で回り港湾施設などの工事の進捗状況を視察したということです。
八板市長が馬毛島に上陸したのは、2020年に市が開いた子どもたちの体験活動以来で、着工後は初めてです。
一方で、八板市長は滑走路などの工事現場の視察を求めていましたが防衛省は「安全が確保できない」として、葉山港以外での視察はできなかったということです。
(西之表市 八板俊輔市長)「相当数の作業船があったので、作業の状況を目の当たりにして驚いた。(馬毛島を)どう使えばいいかという理想は変わっていないので、後戻りできるのであればそうありたいという気持ちは持っている」
八板市長は、今後も港以外の工事の進捗状況を定期的に確認できるよう、国に求めていく考えを示しました。
7月22日の南日本新聞紙面
7月21日の南日本新聞紙面
7月20日 MBC NEWS
基地着工から半年 「あの頃は天国だった」漁師(85)が語るかつての馬毛島
自衛隊基地整備の着工から半年が経過した鹿児島県西之表市・馬毛島。かつては種子島側の人にとっても暮らしに根ざした身近な島でした。
長年、島で漁をしてきた男性を通して、かつての島の様子を振り返ります。
馬毛島基地の着工から半年。種子島の西之表港からは、建設作業員を乗せた海上タクシーが続々と出航します。
向かう先は馬毛島の玄関口、葉山港。去年、防衛省がボーリング調査や港湾の水深を深くする工事を行い、資材などを搬入する港になりました。
葉山港を拠点に漁をしてきた集落があります。西之表市塰泊(あまどまり)地区、人口およそ500人の漁村です。
浦頭長五郎さん、85歳。中学校を卒業してすぐ漁師になりました。
(浦頭さん)「ここら辺りにはナガラメがたくさんいた。道を挟んでトビウオ小屋があった。毎年5月になるとトビウオ漁で馬毛島に渡った」
浦頭さんたちは、トビウオ漁の時期になると馬毛島に季節移住しました。当時の船では日帰りができず、移住小屋を築いて寝泊りしながらの漁でした。海岸で獲れるアワビの仲間ナガラメも貴重な収入源でした。
(浦頭さん)「海と馬毛島を行き来して漁をした」
種子島の漁師にとって馬毛島はどんな存在なのか。島の歴史や文化を伝える「鉄砲館」に入ると、一際目を引くジオラマが展示されています。
(種子島開発総合センター鉄砲館 鮫島斉さん)「馬毛島でのトビウオ漁を再現したもの。馬毛島にトビウオ小屋を建てて季節移住をして漁をする。代表的な種子島の漁」
トビウオの産卵地でもある馬毛島は、昔から一級の漁場でした。漁区の既得権を記した石碑が今も葉山港にあります。
(鮫島さん)「こういった歴史があって、ここで漁をしてきたということを後世に伝えるために書き記した。主に池田、洲之崎、塰泊の人々が馬毛島で漁をしていて、後に住吉の浦人も入ったと記されている」
漁村ごとに行われた季節移住は昭和40年代前半まで続きましたが、漁船のスピード化に伴い徐々になくなりました。仲間と団結してトビウオ漁を行った頃を浦頭さんは、鮮明に覚えています。
(浦頭さん)「組合の中にベンザジという(集落の漁民を代表する)役がいて、その人が夜中1時に『起きれ!』と叫んで回った。行くぞと言うと皆船に乗り込む。早いもの勝ちだから。いかにして魚が住んでるところを見つけるか」
馬毛島の最高地、岳之腰の頂上に旧日本軍のトーチカがあります。そこからトビウオが獲れている位置を把握し仲間に伝達していました。
(浦頭さん)「電球の灯りで合図していた。喧嘩ばかりだった」「道の上に倉庫があった。その倉庫でトビウオをタルに漬け込んで、翌日洗って干した。大口の業者が2万匹買っていった」
港にある漁具倉庫で、井戸端会議をするのが浦頭さんの日課です。漁師仲間の一人、寺田末雄さん(80)。30年以上前に8ミリビデオで撮影した映像を見せてくれました。
(寺田さん)「まだ馬毛島の出入りが自由なとき」
馬毛島の開発がはじまる前、家族や友人と潮干狩りに行った記録でした。
(寺田さん)「天国やった、この時は。馬毛島は…」
(浦頭さん)「残念でたまらん。かつてのように自由に馬毛島に渡って、(孫たちと)シカを見たり泳いだり、ナガラメを獲ったりさせてあげたかったなと。それが今も抜けない」
塩田鹿児島県知事お得意ののパーフォーマンス!
7月19日 MBC NEWS
馬毛島工事めぐり 塩田知事が浜田防衛相に要望
鹿児島県西之表市の馬毛島で自衛隊基地の大規模な工事が進む中、塩田知事が19日、防衛省を訪れ、地元住民の不安への対策を要望しました。
塩田知事は県議会の松里保廣議長とともに防衛省を訪れ、浜田防衛大臣に要望書を手渡しました。
要望書では、馬毛島の基地建設工事によって住民生活や観光への影響が懸念される中、種子島や馬毛島に滞在する工事関係者は今後、ピーク時にはおよそ6000人に達する見通しになっているとして、7つの項目を挙げて対策を求めています。
具体的には、工事関係者の宿泊先確保の見通しを速やかに示すことや、ごみ処理施設を早急に設置すること、工事関係者の法令遵守、交通誘導員の配置、救急・医療態勢の確立などを挙げています。
防衛省の井上主勇大臣官房審議官は、仮設宿舎や工事関係者の見通しについて地元に情報を提供していく考えや、馬毛島に生ごみ処理施設をできる限り早く設置する方針であること、交通誘導員を2学期が始まる時期までに配置できるようにする考えなどを伝えました。
(浜田靖一防衛相)「我々にとっても大変重要なプロジェクトでありますし、そしてまた、そのことによって住民の皆さん方にマイナス面があってはならないと強く感じておりますので」
浜田大臣は、住民に不安を与えないように努力していくと答えました。
7月18日の沖縄タイムス紙面
7月14日の南日本新聞紙面
7月12日 MBC NEWS
馬毛島基地着工から半年“工事作業員6000人”に不安の声も 元島民「なるようにしか…」
鹿児島県西之表市の馬毛島で、自衛隊基地整備とアメリカ軍の訓練移転に向けた工事が始まってきょう12日で半年です。基地工事で変わっていく地元の姿を、種子島の住民や馬毛島の元島民はどう受け止めているのか?取材しました。
種子島から見た、12日の馬毛島です。関係者によりますと、島では今、仮設桟橋や作業員宿舎の整備などが進められていて、ところどころ、土がむき出しになった場所も見られます。
馬毛島では、自衛隊基地の整備と、アメリカ軍空母艦載機の陸上離着陸訓練の移転に向けて、今年1月から概ね4年の計画で工事が始まりました。
Q.滑走路をいつまでに完成させ、いつから米軍訓練(FCLP)を開始するのか?
(浜田防衛大臣)「(FCLPに)最低限必要な施設は先行して完成させる考え。確定的なお答えができる段階にはないことをご理解いただければ」
着工から半年、種子島では今…。
(記者)「午前7時の西之表港です。続々と漁船が集まり、けさも工事作業員を乗せた船が馬毛島に向かう様子が見られます」
漁船が続々と港を出ていく風景は、今や日常となっています。
人口およそ2万7000人の種子島。種子島には1000人、馬毛島に200人の工事作業員が滞在し、ピークの来年2月には、種子島では2000人、馬毛島では4000人のあわせて6000人に増える見込みです。
作業員の急増に伴って種子島のホテルやレンタカーはひっ迫し、賃貸住宅の家賃も上昇。さらに、暮らしへの影響も懸念されています。
西之表市の中心部近くの下西地区。朝のごみ回収を取材すると…。
(ごみ回収作業員)
「全体的にごみの量が増えた」
「ちょっと想像つかない。何千人と作業員が増えたらどうなるか」
生活ごみが増加する背景にあるのが、下西地区で進む工事作業員用の宿舎の建設です。
種子島清掃センターでは、ごみの焼却施設の稼働率は常に95%前後となっていて、「さらにごみが増えれば処理が追いつかなくなるおそれがある」といいます。
下西地区の校区長・西村俊夫さん。ごみの増加とともに懸念しているのが、作業員らの車の増加です。地域の幹線道路は朝と夕方を中心に混雑が目立つようになり、事故のリスクを心配しています。
(下西地区・校区長 西村俊夫さん)「児童クラブの生徒が、公民館へここを渡って行く。横断歩道をつけてほしいと言っている」「(解決は)難しい、現状の道路状況だと」
下西地区には今後、防衛省が買い取った市の土地に、自衛隊員の宿舎が整備されることになっています。西村さんは、人口増加や街の活性化に期待を寄せる一方で、地域の不安や懸念への対応が課題だと話します。
(下西地区・校区長 西村俊夫さん)「人が増えればいろんなトラブルも増える。そこで住民、行政と一緒になり問題点を解決する、そういう気持ちで受け入れる環境づくりが大事」
基地計画が進む中、西之表市は、基地を受け入れるかわりに国から支給される再編交付金の活用を進めています。今年度、西之表市には20億7200万円が交付され、社会基盤の整備や農林水産業などで47の事業を計画。小中学校ではすでに4月から学校給食の完全無償化が始まり、今後は老朽化した公園の改修や、バス・タクシーなど公共交通の無償化などを計画しています。
(西之表市民)
「(Q.給食費無償化をどう思う?)いいと思う。助かります」
「子育てにお金を出してくれてありがたい」
一方で、八板市長が「判断材料が揃っていない」などとして、基地計画への賛否を示していないことについては…。
(西之表市民)
「(賛否を)言うと大変なところもあるんだろう」
「はっきりしてほしい。反対の人もいるので、声を聞いてほしい」
かつて馬毛島で暮らしていた人は、この半年をどう捉えているのでしょうか?
西之表市でたばこ店を営む池浪美代さん(82)です。1970年代まで15年間、馬毛島でもたばこ店を経営し、漁師の夫とともに3人の子どもを育てました。
(池浪美代さん)「運動会の時は親も一緒に島民みんなで出て、弁当作って」
変わっていく馬毛島の姿に池浪さんは…。
(池浪美代さん)「自分たちが住んでいた島が変わっていくのは…もうなるようにしかならない」
着工から半年。住民は複雑な思いを抱えながら、基地へと変わるふるさとの姿を見つめています。
7月13日の南日本新聞紙面
7月12日 南日本新聞
馬毛島自衛隊基地着工から半年 緑少なく、海には濁り…姿変える島をドローンで撮影
7月12日の南日本新聞紙面
7月6日 南日本新聞
馬毛島自衛隊基地工事で作業員が増えたからか…種子島でコロナ、インフルが流行
医療資源乏しく不安高まる
鹿児島県の種子島で6月以降、新型コロナウイルスとインフルエンザが流行している。病院は発熱を訴える外来患者で混雑、学級閉鎖も発生した。西之表市馬毛島では、自衛隊基地整備が進み工事関係者の流入が続く。離島の医療資源は乏しいだけに、さらなる感染拡大への不安が高まる。医療関係者は「手洗いや会食は少人数にするなど、感染防止対策を改めて徹底してほしい」と呼びかけている。
南種子町の公立種子島病院には連日、ドライブスルー式の検査に訪れる車が相次いでいる。特に土日は多く、看護師が休日出勤することも。6月26日からの1週間にコロナ陽性者81人を確認。40、50代が多いという。
県が6月30日に発表した感染症情報(19~25日分)によると、県内の1定点医療機関当たりの平均がコロナ11.71人、インフル18.09人のところ、西之表保健所管内はコロナ61.0人、インフル40.0人。同保健所は26日、インフルの流行発生警報を発令した。
学級閉鎖は西之表市の小中学校で累計4クラス。市や南種子町は防災無線で感染症予防を呼びかけた。
島内の医療機関の関係者は「最近は島民以外の工事関係者の受診が目立っている」と指摘。一方、以前の流行期に比べ高齢者の受診が少ないという。「人が増えても島の医療態勢は、ほぼ変わらない。島民に医療が届きにくくなるのではないか」と心配する。
同市の種子島医療センターは5月以降、一日の外来患者が50~100人ほど増え、診察の待ち時間は長くなっている。高尾尊身院長(74)は「現時点で病床の逼迫(ひっぱく)はないが、これが続くと今後影響が出る恐れがある」と混雑緩和への対策を検討中だ。
島内1市2町の人口は約2万7000人。市によると、種子島に来島する工事関係者は2月以降増え続け、6月5日時点で1050人。秋にかけて急増し、ピークの24年2月は種子島に約2000人、馬毛島に約4000人が見込まれている。
市内の40代パート従業員女性は「作業員の増加が感染拡大時と重なったら、離島の医療態勢で受け入れきれるのか」と不安を口にする。
島内のある特別養護老人ホームでは職員が定期的に抗原検査をし、家族が感染したら出勤停止にするなど策を講じる。職員は「基礎疾患がある高齢者は感染が命に関わる。行政が強く緊急性を発信してくれれば、住民も配慮してくれるはず」と求めた。
6月23日の南日本新聞紙面
財源の乏しい市町村は、再編交付金や防衛省補助金に頼らざるを得ないのか?
6月19日の南日本新聞紙面
6月17日の南日本新聞紙面
6月14日の南日本新聞紙面
6月1日 南日本新聞
「賛否超えて理解深まる」…自衛隊基地建設が進む馬毛島
市議会特別委が現地視察と説明を防衛省に要望
鹿児島県西之表市馬毛島で進む自衛隊基地整備を巡り、市議会馬毛島対策特別委員会は31日、同島の視察と、工事に関する説明を求める要望書を九州防衛局種子島連絡所に提出した。進捗(しんちょく)状況を直接確認することで、基地整備の賛否を超えて理解が深まるなどとしている。
特別委は議長を除く13人で構成している。杉為昭委員長は「要望書は委員の総意だ」と説明。関兼文所長は「地域との調和を図るべく汗をかいていきたい。関係部署と相談して対応する」と話した。
5月29日の南日本新聞紙面
5月25日 南日本新聞
膨らむ防衛費 欲しがる過疎自治体「施設誘致は活性化の追い風になる」
元海自司令官は言った。「血税を無駄にすれば自衛隊の信頼が崩れる」
130棟-。鹿児島県の奄美大島在住の40代建設業男性は数字を見て驚いた。政府が今後10年で整備を見込む自衛隊弾薬庫の棟数だ。うち70棟は4年ほどで造るとしている。
男性は陸上自衛隊瀬戸内分屯地(瀬戸内町)の大型弾薬庫の工事に携わった。引火や外部攻撃も想定し、使うコンクリートは「扱ったことのないぶ厚さ」。丘のように土で覆ったり、地中に造ったりする。3年前に着手した計画5棟の工事は今も続く。「1棟でも巨額を使う特殊な施設。どこにそんなに造るのか」
大手ゼネコン関係者も首をかしげる。「保安距離が必要で、場所選びは簡単でない。あちこちの離島や山に造っていかないと達成できない」。政府は港湾や空港などの大幅強化も目指す上、西之表市馬毛島の基地工事で6000人もの作業員を要しており、「中国の人手でも借りないと回らない」と苦笑する。
防衛省によると、2022年度に施設の誘致で来省した全国の自治体や議会は18。うち県内はさつま町と南種子町だった。過去5年間、両町や中種子町、徳之島3町、十島村はほぼ毎年陳情している。
「官民一体で誘致したい」。さつま町の上野俊市町長は2月末の施政方針でも明言した。最大の理由は過疎だ。人口は10年間で約5000人減り、1万9000人を割り込んだ。
同町では5年前、商工会を中心に誘致団体が発足。具体的な場所や施設は限定せず、陳情や駐屯地視察を続けている。幹事長の山崎隆さん(55)は「防衛力強化は追い風になり得る。何とか地域活性化につなげたい」と話す。
十島村も「インフラ整備のためなら、ぜひとも」と熱望する。村の23年度当初予算約47億円のうち、村管理の港の改修などが10億7500万円を占める。例年8億円前後かかり、国の補助が8割あるとはいえ村の財源を苦しめる。担当者は「港は生活基盤そのもので、防災上も不可欠。予算が付くなら非常に助かる」
防衛費は今後5年間で従来の1.5倍超の43兆円に膨らむ。財源は増税だ。元海上自衛隊自衛艦隊司令官の香田洋二氏(73)は防衛力強化の必要性を認めた上で、「計画ははやりの言葉を並べただけ。血の通わない作文だ」と指摘する。
現役時代、予算には厳しく「根拠」を問われ、数年かけて計画を練った。今は現場からの緻密な積み上げも、政治家の覚悟も見えないという。「ごまかしたまま進めても、結局困るのは現場。誠実な説明が圧倒的に足りない。血税を無駄にしていけば、これまで自衛隊が積み上げた信頼が崩れる」と警鐘を鳴らす。
県内で誘致意向を示す首長の一人はこぼす。「地方最大の課題は少子高齢化。本来はその解決が先だ。ただ、切実だからこそ防衛でも協力する」
(連載「転換期の空気 安保激変@かごしま6回目より」)
5月23日 南日本新聞
馬毛島自衛隊基地計画は「終わった問題」
地元との協議、防衛省ペースで着々進む
鹿児島県西之表市馬毛島の米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う自衛隊基地整備は着工から4カ月がたち、工事の規模が浮かび上がってきた。12日にあった市と防衛省との4カ月ぶりの協議で、工事関係者が来年2月、最大6000人に上ることが判明。対応を本格化させたい地元に対し、国は腰の重さが透け、温度差を感じさせている。
両者の協議は市民の安心安全確保を主な目的に、市の求めに防衛省が応じる形で昨年2月末に始まった。これまでも、航空機騒音など生活に関わる情報が一定程度明らかになった。
計12回を数える協議の開催時期と内容には偏りが見られる。開催は、基地運用による影響などを予測した環境影響評価(アセスメント)の公表前が中心。協議では防衛省がアセスの概要を事前に知らせるケースが目立った。
市が強く懸念する種子島上空の飛行回避については、2度の協議で議題に上がったものの、ルートの順守と米軍への申し入れにとどまったままだ。市側は「引き続き協議する」としたが、進展はない。むしろ市が馬毛島の学校跡地売却や市道の廃止を求められて応じるなど、協議は防衛省ペースで進む。
着工以降、市には工事に関する市民からの問い合わせが増えているという。不安の高まりと受け取れる。一方、今月12日の協議は着工後初めてで、前回からの間隔は4カ月とこれまでで最も開いた。地元では基地整備に伴う米軍再編交付金の活用が始まり、漁協から漁業補償の同意を得た防衛省内では、「終わった問題」との雰囲気が漂っているという指摘もある。
協議後の会見で、同省参事官は事前に生活への影響を予測したかを問われ、「われわれの工事だけによって起きているかというと、受注者との話で確証は得られていない」とした。同省の関心は、いかに滑走路を早く整備し、米軍に示したスケジュール通りにFCLPを始められるかに移っているように見える。
同日の協議では、工事関係者の最大数に至るまでの推移予測も示された。工事による住民生活への影響をいかに抑えるかを検討する基礎材料になるため、市が再三求めていた。市役所内では「ようやく出たか」といった声も聞かれた。
同省の見通しでは、種子島に滞在する工事関係者が4月の約810人から、年内に2.5倍の約2000人に増える。市郊外に暮らす40代の自営業女性は「基地ができるなら仕方ない」との立場。とはいえ「衝撃の数字。果たして受け入れきれるのか」と吐露する。
スーパーでは、作業服の男性たちがカップ麺や酒などを箱買いする姿をよく見かけるという。「しけでたびたびフェリーが運休する。台風シーズンには食料があるのか。一人暮らしだから治安も心配だ」
賛否超え対応求める声
物流は、ごみ処理は-。防衛省が示した工事関係者数の見通しを巡り、西之表市議会からも基地整備に対する賛否を超え、市民生活の影響を最小限にとどめるよう、市や国に早急な対応を求める声が上がる。
19日の馬毛島対策特別委員会で、市は防衛省との協議内容を報告。委員から「当初より2000人増えるとなれば、またいろいろな問題が出てくる」「市議会の意見が(防衛省との)協議に反映される仕組みになっていない」といった指摘が出た。
前回協議から4カ月開いたことに、市は「事務レベルで何度も協議していた。途中経過を出したかったが、相手方もいて出せなかった」と釈明した。
12日の協議後、同省の参事官は市議会への説明について「正式に文書が届いたら検討する」とした。特別委は、直接説明や工事の進捗(しんちょく)状況を視察する機会を求め、近く同省に要望書を提出する。
反対運動の連携は当然だが、西之表市と沖縄県の連係とは?
5月18日の琉球新報紙面
5月13日の南日本新聞紙面
5月12日 MBC NEWS
馬毛島作業員は最大6000人に3000室超の仮設宿舎 防衛省が説明
鹿児島県西之表市の馬毛島基地整備について防衛省は12日、西之表市や県と協議しました。作業員の数が最大で6000人となる見通しを示し、馬毛島に3000室を超える仮設宿舎を建設する計画など、地元への影響に対する対策を説明しました。
西之表市と防衛省は12日、非公開でおよそ1時間協議しました。今年1月に馬毛島基地の着工後、初めてです。
八板市長は防衛大臣あてに今年2月、工事関係者の急増に伴う種子島での宿泊施設不足や治安悪化、生活ごみの増加など14項目についての対策を求める要請書を出していました。
12日の協議では、その回答として馬毛島に生ごみの処理機を設置するほか、工事車両が通るルートでは登下校時間に交通誘導員を配置するなどの対策が示されました。来月からは飛行場の滑走路の工事が始まるということです。
また、先月時点で種子島に滞在している作業員はおよそ810人ですが、来年2月のピーク時には、馬毛島に4000人、種子島に2000人となる見通しを示しました。馬毛島に3000室を超える仮設の宿舎を建設する計画です。
(防衛省地方協力局 原田道明参事官)「(作業員の増加に)懸念の声が出ているのは事実なので、できるだけ影響及ぼさないよう対策を講じていかなければならない」
八板市長は「具体的な数字が出てイメージしやすくなった」と評価した一方、今後、防衛省に金銭的な補償を含めて対策を求めると話しました。
(西之表市 八板俊輔市長)「(作業員は)倍以上になるわけで、今後新たに問題はいろいろ起きると思う。これで終わりではなく今後もしっかり、問題が生じたら対応できるようにしたい」
一方、県も同様の要請書を防衛省に送っていましたが、防衛省は先ほど県の幹部に西之表市に示した対応について説明しました。
5月11日 南日本新聞
自衛隊基地建設中の馬毛島で遺跡調査始まる
旧石器時代の遺物確認や地形測量 鹿児島県教委
鹿児島県教育委員会は10日、米軍機訓練移転を伴う自衛隊基地整備工事が進む西之表市馬毛島で、旧石器時代の「八重石(やえいし)遺跡」の記録保存に向けた発掘調査を始めた。初日は、専門職員2人と民間の作業員15人が島に入り、道具の運搬や現地確認を行った。
調査は防衛省の依頼を受けた県教委が実施。範囲は遺跡一帯の「周知の埋蔵文化財包蔵地」約1万3000平方メートルのうち、工事の影響が及ぶ約8700平方メートル。悪天候で延期していた雑木の伐採なども並行しながら、埋もれた遺物や遺構の確認、地形測量をする。島内に仮設宿舎を確保できたため、作業員らは島に滞在しながら調査する。今後、50人程度をめどに増員する見通し。
価値が高い遺構が見つかった場合は別途、保存方法を防衛省と協議する。7月1日までの予定だが、天候不良などで延長する可能性もある。
5月9日 MBC NEWS
馬毛島基地整備 種子島など結ぶ海底通信ケーブル設置 今年夏ごろにも着手意向
アメリカ軍の訓練移転に向けて自衛隊基地の整備が進む鹿児島県西之表市・馬毛島周辺で、海底通信ケーブルが設置される計画で、防衛省などは9日、地元漁協に対し、今年の夏ごろに着手したい意向を伝えました。
馬毛島と種子島・西之表市の間のおよそ12キロと、馬毛島と指宿市の間では、海底通信ケーブルの設置が計画されています。
設置工事には地元漁協の同意が必要なことから、9日は防衛省の職員や設置事業者が種子島漁協を訪れ、漁協の理事らに設置工事について説明しました。
漁協などによりますと、工事は半年程度の予定で、漁協の同意が得られれば、早ければ夏ごろにも工事に着手したい意向が示されたということです。
設置工事に伴って今後、新たな漁業補償などが示される見込みで、漁協は、組合員の意見を集約するなどして、同意するかどうか判断する方針です。
4月27日 南日本新聞
馬毛島・自衛隊基地整備 工事契約額が予算超過 防衛省、不足分を在日米軍駐留関連費で支出
「やり方が不透明、国会軽視」衆院委で指摘
鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転を伴う自衛隊基地整備で防衛省は26日、2022年10月の係留施設と仮設桟橋の工事契約額(1240億円)が、22年度当初予算(契約ベース1129億円)を上回っているとの指摘を受け、超過分を在日米軍等駐留関連諸費で支出したと説明した。同省は「施設整備を着実に進めるため状況に最も適した形で執行した」とした。
衆院財務金融委員会で田村貴昭議員(共産・比例九州)の質問に答えた。国土交通省の資料によると契約は22年10月で、仮設桟橋3カ所と係留施設整備の契約額が当初予算額を超えた。
防衛省担当者は、国会の議決を経た22年度の在日米軍等駐留関連諸費(提供施設移設整備費)の範囲内だと強調。田村氏の「やり方が不透明で国会軽視ではないか」との懸念に木村次郎政務官は「恒久的なFCLP(米軍空母艦載機陸上離着陸訓練)施設の確保は安全保障上の重要課題。米軍再編関係経費から措置することは適切だ」とした。
環境調査や詳細検討なども含む12~23年度の馬毛島基地整備の予算額は計7680億円に上る。基地の総経費を問われた木村政務官は「離島という極めて特殊な条件での大規模な工事。現時点で答えるのは困難」とした。
4月26日の南日本新聞紙面
4月22日の南日本新聞紙面
4月16日の南日本新聞紙面
4月11日の南日本新聞紙面
4月7日 MBC NEWS
西之表市で7日から学校給食費無償化 馬毛島計画の交付金を活用
鹿児島県西之表市では7日から、小・中学校では給食費が完全無償化されました。
馬毛島への自衛隊基地整備とアメリカ軍の訓練移転に伴って国から交付される米軍再編交付金を活用したもので、無償化の対象は昨年度は2人目以降の子どものみでしたが、今年度からは全ての子どもになります。
今年度は市内11の小中学校に1099人が通っていて、給食費や給食センターの運営費などでおよそ1億4000万円が活用されます。
市には今年度、20億7200万円が交付され、バス・タクシーなど公共交通の無償化なども計画されています。
4月4日 南日本新聞
賛意明言していないけど…馬毛島基地整備で西之表市へ20億円
23年度・米軍再編交付金 昨年度の7億円からほぼ3倍増
防衛省は3日、鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備に伴い、種子島1市2町に通知した2023年度分の米軍再編交付金が計28億3200万円になると発表した。馬毛島では1月以降、滑走路や港湾施設など本格的な整備が始まっており、昨年度分の計10億6200万円を大きく上回った。
内訳は西之表市に20億7200万円、中種子町5億1800万円、南種子町2億4200万円。西之表の八板俊輔市長は計画への賛意を明言していない。ただ市は既に23年度当初予算で、交付金を見込んだ市営グラウンド整備など45事業を盛り込んでいる。同市は昨年度7億7700万円交付された。
再編交付金は防衛施設の面積や整備状況などに基づき算定する。自治体側は幅広い事業に充てられる半面、首長の反対などで受け入れが進まなければ国の判断で減額・停止できる。
23年度は沖縄県名護市など全国12市町村8施設に計54億9400万円の交付を見込む。海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿屋飛行場)で米軍KC130空中給油機訓練を受け入れる鹿屋市は2億2800万円となった。
このほか再編関連訓練移転等交付金として、昨年11月の日米共同統合演習「キーン・ソード」で米軍輸送機オスプレイが訓練した奄美市と伊仙町に、それぞれ2400万円を通知した。鹿屋市で昨年11月に始まった米軍無人機MQ9の一時展開では、同市への特定防衛施設周辺整備調整交付金が増額されるとみられる。
4月3日 MBC NEWS
馬毛島再編交付金 鹿児島・西之表市に20億7200万円支給へ
防衛省は3日、アメリカ軍基地などがある自治体への再編交付金の今年度の支給額を公表しました。
自衛隊基地整備が進み、アメリカ軍の訓練移転が計画されている馬毛島がある鹿児島県の西之表市への支給額は20億7200万円で、昨年度を13億円近く上回りました。市は今後、バス・タクシーなど公共交通の無償化や、農道の整備などに活用したいとしています。
このほか馬毛島関連の支給額は、中種子町に5億1800万円、南種子町に2億4200万円となっています。
3月30日 MBC NEWS
馬毛島基地「遺跡の発掘調査が必要」防衛省に勧告 鹿児島県教委
自衛隊の基地工事が始まっている馬毛島で見つかった旧石器時代の遺跡について、鹿児島県教育委員会は30日、発掘調査を行うよう防衛省に勧告しました。
西之表市の馬毛島では去年10月、滑走路や駐機場の整備が予定されている島の中央部で、3万年以上前のものとみられる石器などが見つかっています。
現地を調査した県教委は、遺跡を記録として保存するため発掘調査を行うよう、30日付けで防衛省に勧告しました。範囲は6500平方メートルで、発掘調査が行われている間は工事が中断する見込みです。
調査の期間は今後、県教委と防衛省が協議します。
3月28日 MBC NEWS
馬毛島巡る西之表市長の辞職勧告決議が否決 反対派議長は辞職できず
自衛隊基地の整備が進む馬毛島を巡る動きです。西之表市議会で28日、計画反対派が八板俊輔市長に辞職勧告決議案を提案しましたが、反対多数で否決されました。
28日に開かれた3月議会の最終本会議では、馬毛島への基地計画に反対する市議が、計画の賛否を示さない八板市長に対し、「行政運営能力が欠如している」などとして、辞職勧告決議案を提案しました。
八板市長に辞職勧告決議案が出されたのは初めてで、採決の結果、賛成6人・反対7人で反対多数となり、決議案は否決されました。
(八板市長)「大変重く受け止めている。議会のみなさんの真摯な意見をしっかり受け止め、市長としての職責を全うするよう努力する」
馬毛島を巡る混乱と対立はこれ以外にも…。
市議会の議員構成は、基地計画の賛成・反対派が同数できっ抗し、採決に加わることができない議長を出したほうが少数派になることから、次の議長の選出を巡り対立が続いていました。
慣例で2年としていた任期が経ったことから、川村孝則議長は28日、辞職願を提出しましたが、賛成5人、反対7人で否決され、続投となりました。
(川村孝則議長)「きわめて遺憾だなと。全国的にも県内でもあまり見たことない。それが今の西之表市の現状」
馬毛島基地計画と議長の続投に、賛成・反対派の市議は…。
(賛成派/杉為昭市議)「譲歩しながら市民の安心安全のために議員も一生懸命頑張らなければならない」
(反対派/長野広美市議)「誠に残念。議会運営に支障をきたす禍根を残す大変大きな問題」
混乱と対立が続いた一方、28日の議会では、国からの再編交付金17億1500万円を盛り込んだ新年度の当初予算案が賛成多数で可決されました。
3月25日 南日本新聞
馬毛島基地反対の議員団、最終本会議で八板市長の辞職勧告提案へ
議長の辞職願提出も確認 西之表市議会
鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転を伴う自衛隊基地整備に反対する市議会議員団は24日、八板俊輔市長に対する辞職勧告決議案を28日の定例会最終本会議で提出する考えを明らかにした。「基地工事で市民生活への影響が懸念される中、市の対応は遅れている」と指摘し、行政運営能力の欠如などを理由に挙げた。
24日の議会運営委員会で報告された。全14議員は基地整備への賛否が7人ずつに割れ、議決権のない議長に反対派の川村孝則議員(63)が就いている。決議案は過半数の賛成で可決され、賛成派から1人以上の賛同を得る必要がある。可決しても法的拘束力はない。
反対派議員は昨年9月と12月の定例会で市長の問責決議案を提出し、いずれも1票差で否決された。
議運委では任期2年の慣例にのっとり、川村議員が議長辞職願を最終本会議で提出することも確認した。非公開の全員協議会で基地整備に反対する鮫島市憲議員(73)が後任に立候補した。鮫島議員は取材に「(立候補は)議会運営の円滑化のためだ」と答えた。
川村議員は2月の臨時会で議長辞職の意向を表明。賛成、反対両派とも自派から議長を出せば本会議採決で劣勢になるため、基地整備を巡る主導争いから議長職を押しつけ合う形になっていた。
馬毛島対策特別委員会もあり、浜島明人議員(51)が「一身上の都合」を理由に委員長辞任を申し出たため、杉為昭議員(56)を委員長に選んだ。
3月24日 MBC NEWS
馬毛島基地整備へ港湾工事はじまる 漁は5年間制限
鹿児島県西之表市・馬毛島への自衛隊基地の整備に向けて、防衛省は24日から、島の係留施設などの港湾工事を始めました。
(記者)「時刻は午前6時すぎ、港湾工事のための作業船が馬毛島へ向け出港します」
防衛省は、自衛隊基地の整備が進められている馬毛島の東側で、自衛隊の艦艇が停泊するための係留施設などの工事を計画しています。
西之表港では24日朝、クレーンを載せた作業船が馬毛島へ向かい、工事を行う国交省によりますと、24日は、作業船が波で動かないよう固定するため、コンクリートブロックを海中に設置するということです。
工事に伴い、防衛省は島の東側での漁をおよそ5年間、制限することにしていて、地元の種子島漁協は、国からの漁業補償金22億円の受け入れを決めています。
琉球新報に掲載された南日本新聞記事、
3月25日の琉球新報紙面
3月22日の琉球新報紙面
3月21日の琉球新報紙面
3月20日の琉球新報紙面
3月19日の琉球新報紙面
3月17日の琉球新報紙面
3月16日の琉球新報紙面
3月15日の琉球新報紙面
3月14日 南日本新聞
馬毛島基地着工2カ月 「市長の立場もはっきりしない、勝手に進めるな」反対する市民団体訴え
「基地建設反対」を訴え、集会に参加する市民ら=西之表市
鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備に反対する市民団体「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」は12日、市内で緊急集会を開いた。島内で進む基地本体工事の中止を求め、市民ら約80人が「平穏な生活を守ろう」と声を上げた。
工事関係者の急増で、生活への影響が懸念されている。改めて国に抗議姿勢を示そうと、着工から2カ月の節目で開いた。山内光典会長は「市長の立場もはっきりせず、市民が不安に思う中で防衛省は勝手に進めてはいけない」と訴えた。
4月の県議選を見据え、「基地反対」で一致する社民や共産の県組織幹部も駆けつけた。集会後に市街地でデモ行進もあり、参加した市内の60代主婦は「種子島の基地化につながる不安がある。馬毛島への基地整備には絶対反対だ」と話した。
2月27日の琉球新報紙面
2月25日の南日本新聞紙面
2月24日 MBC NEWS
西之表市議会 再編交付金17億余り盛り込む予算案提案 新議長決まらず
西之表市議会が24日開会し、馬毛島への基地整備に伴う米軍再編交付金17億1500万円を盛り込んだ当初予算案が提案されました。一方で、基地賛成派と反対派の新議長をめぐる協議は平行線で、今後の議会運営への影響が懸念されます。
(西之表市 八板俊輔市長)「基地整備への動きを慎重に見定めながら市民の皆様と市政発展への道を前進する決意」
西之表市の新年度一般会計当初予算案の総額は126億6600万円で、過去2番目の規模となりました。馬毛島基地整備とアメリカ軍の訓練移転計画に伴って国から支払われる米軍再編交付金17億1500万円を活用した農道の整備や巡回バスの運賃無償化など、45の事業が盛り込まれています。
基地計画への賛否を示さないまま、再編交付金の活用を盛り込んだことについて八板市長は…。
(八板俊輔市長)「再編交付金は法令にもとづいて基地整備の考えと関係なく交付される。有効に活用しないといけない」
いっぽう市議会では、基地計画を巡る賛成・反対派の議員が同数できっ抗し、議長を出した方が少数派になることから、次の議長をめぐる対立が続いています。
24日の開会本会議ではすでに辞意を示している反対派の川村孝則議員がいったん議長を続けることになりました。
議長と副議長の続投により、個別の委員会の人事にも混乱が生じ賛成派・反対派が言い争う場面も・・
【反対派市議】「議会運営上こんなことはない」
【賛成派市議】「何分待たせるのか。(市の職員らを)待たせている」
【反対派市議】「誰が好きでこんな風に時間をかかることになったのか」
【賛成派市議】「ねじらせたのはお互い様」
川村議長は新年度予算案の審議がはじまる来月3日までには次の議長をめぐる協議の結論を出したいと話しました。
(川村孝則議長)「来月3日の本会議でどういう議会運営になるか今のところ見通せていない。(Q.来月3日までには)できればそうしたい。なんとか調整できればという希望」
市議会3月定例会の会期は来月28日までの33日間です。
2月24日 MBC NEWS
馬毛島基地計画 国の22億円補償金・漁業権放棄、漁協が受け入れ
馬毛島基地整備を巡っては、防衛省が地元漁協に22億円の補償金を提示し、漁業権の一部放棄を求めていましたが、漁協は24日受け入れを決定しました。
漁協の臨時総会は、24日午後、開かれました。
馬毛島基地工事に伴い防衛省は、種子島漁協に漁業補償金22億円を提示し、馬毛島の東側での漁業権の一部放棄や、島の周辺でおよそ5年間の漁の制限などを求めています。
漁協は24日の臨時総会で組合員の投票を行いました。
その結果、委任状なども含めて正組合員105人のうち、承認の要件となる3分の2以上の99人が賛成し、提案を受け入れることが決まりました。
(種子島漁協 浦添孫三郎組合長)「きょう決まったことは漁業者の大部分の意見。これを大事にして前に進めていかざるを得ない」
一方、一部の漁業者からは反発の声も聞かれました。
(漁業権放棄に反対 濱田純男さん)「先祖から守り続けた大事な宝の島の漁場を失い、大変なマイナスな結果。漁民として恥ずかしい」
漁協は、24日の決定を近く防衛省に報告し、補償金の配分方法についても検討することにしています。
2月23日の南日本新聞紙面
2月22日の南日本新聞紙面
2月22日 MBC NEWS
西之表市 新年度予算案で馬毛島交付金17億円余り計上「賛否と切り離して対応」
西之表市は22日、新年度の当初予算案を発表。馬毛島への自衛隊基地整備に対する国からの再編交付金17億1500万円が盛り込まれました。
(西之表市 八板俊輔市長)「当初予算歳出で17億1500万円計上している。法に基づき交付されるもので、その趣旨を考慮し事務手続きを進めた」
新年度一般会計当初予算案の総額は126億6600万円で、今年度当初を17億1100万円上回り、過去2番目の規模となりました。
馬毛島への自衛隊基地整備に伴って国から支給される米軍再編交付金は20億7100万円程度と試算していて、このうち17億1500万円が計上されました。
農道の整備事業や市街地巡回バスなどの運賃無償化、市営グラウンドの整備など、再編交付金を活用した45の事業が計画されています。
基地計画への賛否を示さないまま、再編交付金の活用を盛り込んだ是非を問われた八板市長は・・・。
(西之表市 八板俊輔市長)「計画についての賛否と切り離して対応しているのは変わっていない。国が法令に基づいて交付を決めたもので、手続きに沿って対応した」
予算案は24日に開会する市議会の3月定例会に提案されることになりますが、その市議会では混乱が続いています。
21日の臨時議会で川村孝則議長が辞意を示しましたが、次の議長を巡って計画賛成派と反対派が紛糾。議会は夕方からストップし、午前0時を過ぎて自然閉会となりました。
22日も全員協議会などでの話し合いが行わましたが、議論はまとまりませんでした。
(川村孝則議長)「こういう形でやっていこというか、解決の糸口までは見いだせていない」
24日の開会本会議では川村議長が継続するものの、その後、次の議長の選出を話し合う見込みだということです。
2月11日 南日本新聞
馬毛島基地工事 作業員宿舎を島内に3000室超設置へ
看護師も常駐 防衛省方針 「種子島に迷惑かけない」
鹿児島県西之表市馬毛島で進む米軍機訓練移転を伴う自衛隊基地整備を巡り、防衛省は10日、同島に計3000室以上の工事作業員らの仮設宿舎を設置する考えを明らかにした。医療体制確保のため、看護師も常駐させる方針。基地工事は1月12日に着手しており、従事する関係者は「数千人規模」「ピークは1年〜1年半後」との見通しを示した。
基地整備計画の環境影響評価(アセスメント)に関する市議会への説明会で報告した。「事業者として種子島に宿泊施設を建設する計画はない」とし、種子島に滞在している工事関係者を順次、馬毛島の仮設宿舎に移すとした。現時点の基地工事の従事者数は「多岐に渡っており、答えられない」と明言を避けた。
市議からは工事中の馬毛島での医療体制について質問があり、同省は「常駐の看護師が医療機関からリモートで指示を受けて対応する」などと回答した。「既に西之表市の医療機関と連絡態勢を構築している」とする一方、緊急時の搬送方法は言及しなかった。
説明会は1時間半。同省の原田道明参事官は終了後、取材に「種子島にできるだけ迷惑をかけないよう、関係自治体と連携して住民の不安を解消していきたい」と話した。
市議会は2021年9月、基地整備計画に関して「速やかな説明」を求める意見書を国に提出。以降、防衛省による市議会への直接説明は今回を含めて3回目あり、いずれも報道陣に公開している。
2月15日の南日本新聞紙面
2月12日の南日本新聞紙面
2月10日 MBC NEWS
馬毛島基地着工1か月 賛否で割り切れない…住民の複雑な思い
鹿児島県西之表市の馬毛島で、自衛隊基地整備とアメリカ軍の訓練移転に向けた工事が始まって、あさって12日で1か月。
工事で変わる地元を、沖縄の基地問題などを研究する専門家が見ました。そこには計画を「賛否」だけで割り切れない、住民の複雑な思いがありました。
(明星大学 熊本博之教授)「土地が平たいので使いやすい。訓練施設にしたい狙いはよく分かる」
基地問題や地方自治が専門の明星大学・熊本博之教授です。沖縄県・辺野古の米軍基地問題について20年間、研究を続けています。
(熊本教授)「馬毛島の問題を抱えている島という感じがあまりしない。辺野古に行けば(賛成・反対の)いろんな看板や横断幕が見られるが、そういう様子があまり見られない。そこは違うところ」
同じ基地問題を抱える馬毛島で今、何が起きているのか?訪れたのは夜明け前の漁港。馬毛島へ向かう作業員を乗せた漁船が並ぶ様子は、基地工事の本格化を象徴する光景です。
(熊本教授)「(辺野古でも)警戒船という形で漁船を出しているから、一緒といえば一緒」
複数の漁業者によれば、作業員の送迎による1日の手取りは4~5万円ほどになり、漁をせずに送迎をする人も多いといいます。
(漁師)「8人(乗る)と聞いている。全く誰が乗るか分かりません」「(Q.漁に比べ、送迎はどう?)漁業は魚は釣れないし、なかなか難しい」
そして、地元漁協でも大きな動きが…。
(種子島漁協 浦添孫三郎組合長)「(漁業権の)一部消滅に協力するということになった」
漁協は防衛省に22億円の漁業補償を提示され、馬毛島周辺の漁業権の一部放棄を求められていましたが、この日、漁業者から多数の同意が得られたと明らかにしました。
(組合長)「今後漁ができるか不安もあるが、そのためにどうしてくれるのか、今後(国と)話し合っていかないといけない」
(熊本教授)「同意をした漁業者が同意書を提出して、提出しなかった人は同意か反対か?」
(組合長)「分からない」
かつては500人以上が暮らし、漁業と農業で栄えた馬毛島。基地整備で大きく変わろうとする現状に、元島民は。
西之表市で漁業を営む山下六男さん(84)です。戦後の食料難で、19歳で開拓団として馬毛島に渡り、20年ほど暮らしました。漁業権の一部放棄には同意しましたが、複雑な思いも…。
(熊本教授)「海にも関わってきて、馬毛島で生活して、今、基地建設が始まっているが?」
(元馬毛島島民 山下六男さん)「私が馬毛島にいたころはもっと漁が良かった。宝の島だった」「(漁業権放棄について)皆さんどう考えているか分からない。寂しいが、(同意したほうが)いいと思う」
(熊本教授)「賛成・反対で語り切れないものがある」
地元経済にも変化が出始めています。種子島の人口はおよそ2万7000人。概ね4年間の工期中に投入される作業員は、馬毛島で今後整備される宿舎への滞在者も含めて、ピーク時で4000人ともいわれています。
種子島では、すでに多くのホテルや民宿が作業員で満室。レンタカーの需要も増えて予約がとりづらくなっています。いっぽう…。
カラオケ店をおよそ30年営み、地域の商店街組合の代表も務める平川浩さんです。
(カラオケ店経営 平川浩さん)「人が増えているのはプラス効果だが、効果を感じる体験ができていない」「期待はしているが、何とも言えない」
「経済効果に期待はしている」と話すものの、基地計画の話になると…。
(熊本教授)「基地整備でいろんな負担も来ると思うが?」
(平川浩さん)「賛成・反対の話は分からない。答えにくい。ちょっと人間関係がギスギスしているところもある」
計画に揺れ動く思い。ただ、街の声を聞くと、別の課題も見えてきました。
(市民)
「何とも言えない。(Q.賛成・反対は言いにくい?)工事が進んでいるからどうしようもないと思う」
「実感がないですね。ちょっと他人事みたいな感じ」
それは、基地問題に対する関心の低さです。熊本教授はこの点が、辺野古とは大きく違うと話します。
(熊本教授)「辺野古の場合は陸上部分から沿岸を埋め立てて基地を作るので、基地と住民の距離が近い」「(馬毛島は)何の工事しているか分からない。そのことも、市民が実感を持ちにくい理由ではないか」
そして、住民の関心が低いままでは、計画がなし崩しで進んでいくおそれがあるといいます。
(熊本教授)「とにかく建設を始めてしまい、それにみんながなし崩し的、否応なしに対応せざるを得なくなっている。市民がきっちり話し合い、今後の馬毛島・種子島をどうするか考えた上で、進めていくべき」
住民の実感もまだ沸かない中で進む基地計画。地元はどのような未来を描いていくのか?課題は残されたままです。
2月9日 MBC NEWS
着工1か月 専門家が見た馬毛島基地計画の今
八板市長と対談「トップの意思示すべき」「国と対話必要」
鹿児島県西之表市の馬毛島で、自衛隊基地整備とアメリカ軍の訓練移転に向けた工事が始まって、今月12日で1か月です。馬毛島の基地計画を巡る現状をお伝えします。
今回は八板俊輔市長と、長年、沖縄の基地問題を研究してきた明星大学・熊本博之教授が対談。計画への賛否の明言を避ける八板市長の「真意」とは?
西之表市の八板俊輔市長と、基地問題や地方自治が専門の明星大学・熊本博之教授です。
(熊本教授)「市長になる前に書いた「馬毛島漂流」という本で、「馬毛島を取り戻したい」と書いていたが?」
(八板市長)「(開発業者による)急激な森林伐採、開発で滑走路に造成したところがある。元の馬毛島の姿を取り戻したいという意味で使った」
(熊本教授)「今も思いは変わらない?」
(八板市長)「できれば、という思いは変わっていない」
国は馬毛島に自衛隊基地を整備したうえで、アメリカ軍の空母艦載機の陸上離着陸訓練を移転させる計画です。工事はおおむね4年で、アメリカ軍の訓練を前倒しで始めます。
今年度、種子島の1市2町には国からの再編交付金があわせて10億6200万円が支給される見込みです。
おととしの市長選で「計画反対」を訴えて再選した八板市長。しかし、その後は「判断材料が揃っていない」ことなどを理由に、賛否を明言しなくなっています。
(熊本教授)「反対するという言葉が、市長の口から出てこなくなったが、なぜなのか?」
(八板市長)「(国と)対話が必要。できれば作ってほしくない思いはあるが、作ってもいいという市民の思いも受け止めて、(国と)対話している」
八板市長は、なぜ賛否を明言しなくなったのでしょうか?
熊本教授は、沖縄県辺野古の米軍基地問題について20年間、研究を続けてきました。そこで見たのは、自治体が国の基地計画に反対しても止めることは難しい上、反対すれば国と交渉もできず、再編交付金も支給されなくなるという現実です。
実際に辺野古がある名護市で、2010年に移設反対を掲げた市長が当選すると、国はその直後に再編交付金の支給を停止。その後、2018年に賛否を明らかにしていない現職が当選して以降は、国は一転して、支給を再開しました。
八板市長は「国のこうした対応は、馬毛島でも起こる可能性がある」とし、「仮に計画反対を明言すれば、交付金や環境影響などについて国との交渉が難しくなる」とみています。
(八板市長)「外交・防衛は国の裁量=専管事項。(賛否言わないのは)そういうことも意識してないわけではない」
(熊本教授)「西之表市で進んでいることと、沖縄は似ていると感じる?」
(八板市長)「形態は違うが、共通点はあると思う」
(熊本教授)「私の著書に『決定権なき決定者』という言葉がある。沖縄・辺野古が置かれている状況を指した言葉で、(地元に)何か決定する権利があるように思われるが、実際には決定する権利がない状況。西之表市も同じような状況ではないか?」
(八板市長)「本来はやはり、決定権が100%でなくても(地元に)あるべき。西之表市民の意思が国の決定につながるように、県民・国民に(理解を)広げて、政府の決定権に影響する形になるのが理想」
西之表市民の思いを国全体で共有し、それを踏まえた上で政府は基地計画に向き合うべき」という姿勢の八板市長。しかし、今、計画への賛否を巡って「市民の分断」が起きつつあるといいます。
(八板市長)「歓迎する市民はマイナスの影響を小さく捉えようとし、反対する市民はマイナスの影響を大きく、深刻に捉える。両方の気持ちを大事にしたい」
(熊本教授)「なかなか(賛成・反対派で)広い合意を得るにはいかないわけで、何らかの妥協を市長は考えないといけないと思うが?」
(八板市長)「市民の(一定の方向の)考えは少しずつ出来てきていると思う」
「賛成・反対派双方の気持ちを大事にしたい」と語る八板市長。一方で…。
(熊本教授)「市長が選挙公約として掲げていた(計画反対の)公約について、どのように考えている?」
(八板市長)「あと2年任期がある。次の選挙になれば(民意を問う)機会としても利用したい。(私の考えを)分かってくれる人もいる」
(熊本教授)「もう着工しているが、基地工事を止められると考えているか?」
(八板市長)「逆に私が聞きたい。そういう可能性があるのか。(計画中止の)可能性も視野に入れながら進めていく。現実の動きに対応していく」
この日も、賛否を示す時期やめどを示さなかった八板市長。熊本教授は、市民に考えを求めたいのであれば、「自治体トップの考えを先に示すべき」と話します。
(熊本教授)「八板市長の気持ちとして、反対の気持ちは確実にあることはよく分かった。ただ、自分が態度を示さずに、市民に意見を出せというのはなかなかできない。まずは自身の思い(賛否)を市民に伝えてほしい」
工事開始からまもなく1か月。馬毛島基地問題と街のこれからについて八板市長が今後、どうかじを取っていくのか?問われています。
2月6日琉球新報掲載の東京新聞「こちら特報部」
2月6日の琉球新報紙面
2月1日 MBC NEWS
馬毛島基地計画 漁業補償・漁業権放棄 漁業者の同意書が必要数に
鹿児島県西之表市・馬毛島での基地整備を巡る動きです。防衛省は、地元漁協に22億円の漁業補償金を提示し、漁業権の一部放棄を求めていましたが、漁業者から、放棄などの手続きに必要な3分の2以上の同意が得られたことが分かりました。
防衛省は先月12日から馬毛島で自衛隊基地の整備とアメリカ軍の訓練移転に向けた工事を進め、おおむね4年後の完成を目指しています。工事に伴い、防衛省は、種子島漁協に漁業補償金22億円を提示し、馬毛島周辺の漁業権の一部放棄を求めていました。
漁業権の放棄などについて、漁協は西之表市の組合員279人に同意書の提出を求め、集計した結果、複数の関係者によりますと、漁業権の放棄などの手続きに必要な3分の2以上の同意が得られたということです。
漁協は2日、会見を開いて集計結果などを正式に発表する予定で、今後、総会を開き、組合員の投票を行って最終判断するとみられます。
漁業補償をめぐっては一部の漁業者が漁協に対し、補償金額の根拠などを説明するよう求める質問状を提出しています。
自衛隊基地着工の馬毛島 石器文化財を県教委が現地調査へ 発掘調査必要なら基地工事に影響も
西之表市・馬毛島で見つかった石器などの文化財を巡り、鹿児島県教育委員会は、発掘調査が必要か検討するため、今月13日から島で調査を行うことになりました。
馬毛島では去年10月、西之表市の調査で、滑走路や駐機場の整備が予定される島の中央部で、3万年以上前のものとみられる石器などが見つかっています。
県教委は先月から、文化財の保全方法などについて防衛省と協議を進めていますが、発掘調査が必要かどうか検討するため、県教委が今月13日から3週間程度、島で文化財の分布状況などを調べることになったということです。
分布状況などから発掘調査が必要となれば、県教委は事業者の防衛省に対し、調査を勧告できるようになります。分布の規模によっては基地工事に影響が出る可能性もあり、県教委は「調査結果を踏まえ、埋蔵文化財の取り扱いについて粛々と検討したい」としています。
1月31日 南日本新聞
馬毛島自衛隊基地計画 国の漁業補償22億円、地元の種子島漁協が組合員の同意書取りまとめ
一部は「拙速すぎる」と質問状
組合員の同意書を取りまとめ、即日集計した。「結果はまず組合員に伝える」とし、2月2日に会見を開いて今後の対応を含めて公表する予定。
市内の組合員279人が対象で記名形式。計画に賛成し、港湾施設が整備される島東側の一部区域で漁業権が消滅することに同意するかを問う内容だった。関係者によると、3分の2以上の提出と、その3分の2以上の同意があれば漁協は計画を受け入れることになる。
計画を巡っては、防衛省が10~16日、中種子町を含む同漁協の5地区をそれぞれ回り、総額22億円の漁業補償を各組合員に提示した。
基地運用後、訓練内容によって漁を制限・禁止する場合は別途補償し、藻場の造成など20億円規模の漁場保全策も検討していることも説明した。
補償金の配分方法について、浦添孫三郎組合長は「(工事に対して)組合員の同意が得られてから検討する」としている。
質問は粉じん、騒音補償など6項目
西之表市馬毛島の自衛隊基地整備に伴う漁業補償を巡り、種子島漁協の組合員5人が30日、補償期間や積算根拠が明らかにされていないとして、浦添孫三郎組合長宛ての質問状を同漁協に提出した。2月15日までの回答を求め、「内容を見て計画との向き合い方を考える」としている。
質問はほかに、漁業権の消滅が予定される区域での水揚げ高、基地工事で発生する粉じんや騒音に対する補償の有無など計6項目。馬毛島周辺を主要漁場としている塰泊(あまどまり)、池田両地区の組合員が連名で提出した。
アサヒガニ漁の浜田純男さん(67)は取材に「馬毛島を仕事場にする漁師が何も知らないうちに話が進んでおり、拙速すぎる。代々受け継いできた漁場を守りたい」と訴えた。
琉球新報が掲載した南日本新聞記事、
2月2日の琉球新報紙面
2月1日の琉球新報紙面
1月30日の琉球新報紙面
1月29日の琉球新報紙面
1月27日の琉球新報紙面
1月26日の琉球新報紙面
1月25日の琉球新報紙面
1月15日の沖縄タイムス紙面
1月14日の琉球新報紙面
1月13日 南日本新聞
4年で1100万立方メートルもの土砂を掘削…馬毛島で始まった巨大基地工事、環境への影響は?
訓練基地建設が着工した馬毛島。画面奥は種子島本島=12日午後1時45分、西之表市の馬毛島(本社チャーター機から撮影)
防衛省が12日に始めた鹿児島県西之表市馬毛島の基地本体工事は4年にわたる巨大事業で、丘の掘削や海域の埋め立てによる周辺環境への影響が懸念される。専門家は「影響を外部もチェックできる体制づくりが重要だ」と指摘する。
同日公告した環境影響評価(アセスメント)の評価書によると、陸上工事は森林伐採や用地造成から着手する。重機を搬入し、標高71メートルの岳之腰を中心に約1100万立方メートルの土砂を掘削して平坦にする。海域では、島東岸の仮設桟橋や防波堤の基礎工事を始める。
1年程度で仮設の燃料タンクやプラントが完成。約2年後には2本の滑走路と航空保安施設ができ、米軍機訓練が始まる可能性がある。3年ほどで大半の施設の建設が終わり、仮設桟橋などの撤去を始める予定。
4年間の工事で発生する一般廃棄物は37トン、産業廃棄物は4180トン。土砂や化学物質による水質への影響も局所的に起こると予測される。県アセス専門委員の冨安卓滋・鹿児島大学大学院教授(環境分析化学)は「一定以上の雨量があった場合などに調査し、どのような状態になったら専門家に相談するかを明確にして」と求める。公告直後に着工したことは、「地元の懸念は大きいのに、誠実に向き合う姿勢が足りないと感じる」と批判した。
アセス制度に詳しい沖縄大の桜井国俊名誉教授(環境学)は2021年2月の方法書公告からの早さに注目する。「全ての項目で十分な調査はできない期間。着工を13日の日米首脳会談での手土産にしたかったのだろう」と疑う。今後について、「アセスでは出なかった問題が浮上する。市民と自治体が連携して防衛省に情報公開をさせる姿勢が重要だ」と話した。
評価書は2月13日まで、九州防衛局ホームページや県庁、種子島3市町役場などで縦覧できる。
1月13日の東京新聞紙面
1月13日の琉球新報紙面
1月13日の沖縄タイムス紙面
1月13日 南日本新聞
馬毛島基地着工「住民をばかにしている」「地元の民意を無視したやり方」
反対派が抗議集会 市民に諦めムードも
計画の白紙撤回を求める反対派の住民ら=12日、西之表市
防衛省は12日、鹿児島県西之表市馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う自衛隊基地整備計画で、環境影響評価(アセスメント)の最終まとめとなる「評価書」を公告し、基地本体工事に即日着手した。
市街地では作業員を乗せたレンタカーが行き交い、重機やトラックを次々に台船に運ぶ様子が見られた。市民からは「国の決定に地元が反対しても…」と諦めに似た言葉が漏れた。
無職中野良盛さん(74)は「国は一方通行で、納得できる説明もなく進めていく。どうしようもない」。40代女性は「国は進める以上、防犯カメラの設置など市民の安全確保を徹底してほしい」と訴えた。
ほかにも「国は形式的な手続きだけでなく、住民の声をもっと聞くべきだ」「利益を得るのは一部の人だけ」といった声が上がった。
■白紙撤回求める決議
市民団体「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」は12日午後、市内で抗議集会を開いた。約60人が参加、作業員が渡った馬毛島を向きながら「基地建設、断固反対」「平穏な生活を壊すな」とシュプレヒコールを上げた。
着工は環境影響評価(アセスメント)評価書の公告後、間もなく始まった。同会の山内光典会長(72)は「ほとんどの市民がまだ評価書を縦覧していない。地元の民意を全く無視したやり方だ」と語気を強めた。
無職川原孝子さん(72)も「住民に説明もなく着工するのはばかにしている」と憤る。「ウクライナの状況を考えれば、一番怖いのは戦争につながること。武力でなく外交で解決してほしい」と訴えた。
集会では、計画の白紙撤回を求める決議を取りまとめ、事業者の熊本防衛支局長宛ての文書を九州防衛局種子島連絡所に提出した。
■賛成派
環境影響評価(アセスメント)の評価書が12日午前9時に公告されると、西之表市の住吉漁港から作業員を乗せた船が早速、馬毛島に向かった。計画賛成派は「ようやく前に進んだ」と表情を和らげた。
政治団体「西之表市と馬毛島の未来創造推進協議会」で、事務局長を務める杉為昭市議(56)は「市長も現実を直視し、前向きな姿勢で国と協議すべきだ」と指摘。市民に航空機騒音などの懸念が根強いことから、「国は最大限の不安解消の努力を」と注文した。
2021年の市長選で、計画賛成を掲げて立候補した市商工会の福井清信会長(73)は歓迎する一方、工事関係者の急増を懸念。「飲食店を中心にしっかり対策を取りたい」と話した。
1月13日 南日本新聞
林立する作業員宿舎、行き交う重機…早期運用へ準備周到
上空から見えたのは防衛省の「意思」 「重い十字架」背負った不沈空母で自衛隊基地工事が始まった
長年多くの思惑に翻弄(ほんろう)されながら、米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転と自衛隊基地の整備地に正式決定してわずか1年。鹿児島県西之表市の馬毛島は、今後4年ほどで恒久的な自衛隊基地へと姿を変えていく。地域浮揚は。暮らしへの影響は-。巨大事業によって訪れる急速な変化に、市民には期待と不安が入り交じる。
米軍機訓練移転と自衛隊基地整備計画で、基地本体工事が始まった12日、馬毛島を上空から見た。「着工」とはいえ、港や道路の整備は昨夏から続き、周囲16.5キロの島は刻々と姿を変えていた。
午後2時半、島東部の葉山港にショベルカー2台を積んだ台船が入ると、スイッチが入ったように人や車が慌ただしく動き出した。
港のそばには作業員用の2階建て宿舎4棟が建っている。優に数百人は入れそうな規模で、さらに増築される。重機や車もあちこちにあり、砂利道を行き交っている。防衛省の準備の周到さ、早期運用への「意思」を感じる。
島の全景を見ると、東西南北を貫く十字の「滑走路」がひときわ目立つ。大半を所有した会社が2005~11年ごろにかけて造成し、米軍機訓練を誘致した。
かねて「不沈空母」と形容されてきたが、重い十字架を背負ったようにも映る。計画では別の十字に滑走路が敷かれ、管制塔や駐機場、港湾施設が立ち並ぶ。わずかに残る緑地や白い砂浜も、日米の「訓練地」となる。規模の大きさに想像が追い付かなかった。
対岸の西之表市に旋回すると小型機で数分ほど。ないと信じたいが、米軍機のトラブルは全国で相次ぐ。闇夜で繰り返す離着陸訓練の騒音も本当に耐えられる程度なのだろうか。空路で本土までは数十分だった。基地計画は、実はすぐそばで進んでいると実感した。
1月12日 MBC NEWS
馬毛島基地工事がスタート 島で伐採開始…八板市長は賛否明言せず
計画浮上から今年で16年。西之表市・馬毛島の基地計画が12日、大きな節目を迎えました。防衛省は、環境への影響を調べた環境アセスメントの最終的なまとめとなる評価書を公告=公表し、基地工事を始めました。
環境アセスメントの公告=公表を受けて、西之表市の港では12日朝、馬毛島に向け防衛省の職員や工事作業員をのせた船が出港しました。そして…
(記者)「現在午後2時です。着工から1時間が経ちました。作業員が樹木を伐採しています」
馬毛島で基地工事がスタート。工期はおおむね4年間で、自衛隊基地整備とアメリカ軍の訓練移転に向け、滑走路や桟橋などの整備を順次、進める計画です。
西之表市役所や県庁などでは12日から1か月間、環境アセスメントの評価書の縦覧=公開が始まりました。
(反対派市民グループ 三宅公人主宰)「防衛省はやすやすと進めているなと。(市長が)きちんと防衛省と対峙していれば、国家権力をもってしても進められなかったはず」
街では、反対派の市民グループが基地建設反対を訴えました。
基地工事が始まりましたが、地元・西之表市の八板俊輔市長は12日も賛否を明言しませんでした。
(西之表市 八板俊輔市長)「(着工が)かなり早いかなという気がする。市民の心構えができてからのほうがいいかなと。(賛否を)判断できる材料をそろえたい。まだそろいきっていないので、もう少し時間があったらという気はする」
そして去年11月に計画容認を表明した塩田知事は、防衛省に引き続き情報提供などを求めていく考えを示しました。
(塩田康一知事)「住民の安心安全の確保、環境保全措置にはしっかりと取り組んでほしい。丁寧な情報提供、共有もしながら、住民、地元の理解も得られるような取り組みを進めてほしい」
【住民は…】
(西之表市民 80代)「過疎化になっているのでにぎやかになるのはいいが、騒音などは静かにやってもらいたい」
(西之表市 60代・電気設備業)「少子高齢化対策としても、種子島の活性化はどうしてもしていかなければならない」
(中種子町 60代・パート)「利益がある人は良いが、関係がない人はやっぱり不安」
(西之表市 20代・サービス業)「人が増えるのはうれしいし島も高齢化しているので良いと思うが、騒音などは親目線では不安」
計画浮上から今年で16年。馬毛島基地計画は12日、本格的に動き始めました。
計画反対から「最善の選択」に…変化した地元市長の対応 馬毛島基地計画の16年
計画の浮上から今年で16年。基地計画を巡る経緯と、地元の動きをまとめました。
馬毛島は2007年、政府内でアメリカ軍の空母艦載機離着陸訓練=FCLPの移転先として浮上。2011年の外務・防衛の日米閣僚協議「2+2」の共同文書で「候補地」と明記されました。
その後、目立った動きはありませんでしたが、2019年、国は島のほとんどを所有していた民間企業からおよそ160億円で買収して以降、現地調査を実施。
(西之表市 八板俊輔市長)「(市民は)国の計画にNOと言っている。国と話し合いをして、この問題の解決をきちんと図っていきたい」
おととし、計画反対を掲げ八板市長が再選しますが。
(岸防衛大臣(当時))「馬毛島における自衛隊施設の整備を決定しており、候補地ではないものと考えています」
去年1月、国はそれまで「候補地」としてきた馬毛島について、「整備が決定した」と明言。
(八板市長)「納得がいかない。いつの間にか決まっていた、みたいな」
しかしその翌月、市長が防衛大臣に提出した要望書には、再編交付金について「特段の配慮を要望する」と、計画容認ともとれる表現が。この頃から、賛否を明言しなくなります。
(八板市長・去年2月)「この問題の賛否や同意の可否を述べることが、市民の分断を助長する」
去年8月、国は島内の港の工事を開始し、基地整備に向けた動きが加速。こうした中、市は9月議会で、国の求めに応じて島の小中学校跡地などの売却を議会に提案し、国は西之表市を再編交付金の支給対象としました。今年度、種子島の1市2町にあわせて10億6200万円が支給される見込みです。
(八板市長・去年10月)「最善の選択を考えている」
そして、去年11月…。
(塩田知事)「県としては(計画を)理解せざるを得ないとの考えに至った」
基地計画への賛否を先に示したのは、市ではなく県でした。
(八板市長)「知事には知事の立場がある。それはしっかり受け止める」
そして地元の市長が計画への賛否を示さないまま、12日…。
(記者)「計画浮上から16年。伐採が行われているのは飛行場支援施設などが作られるあたりです」
馬毛島基地計画とは どんな訓練?4年後には基地が完成?
馬毛島基地計画について取材を続けている道山記者とお伝えします。
【馬毛島の役割は?】
Q.馬毛島の役割を改めて整理してください。
(記者)
馬毛島で計画されるおもな施設や訓練をまとめました。
計画では島に2本の滑走路がつくられ、まわりに管制塔や燃料施設、火薬庫などが建てられます。
島の東側には護衛艦などの係留施設や桟橋がつくられます。
滑走路で行われるのが、アメリカ軍空母艦載機の陸上離着陸訓練=いわゆるFCLPです。陸上の滑走路を空母の甲板に見立て、着陸と離陸を繰り返す訓練で、計画では種子島上空を通らないルートで年間最大20日程度の訓練が想定されています。
Q.アメリカ軍の訓練のほかにも、自衛隊の訓練も計画されていますよね。
(記者)
そうですね。護衛艦のいわゆる空母化で自衛隊が導入を計画している垂直に着陸できる戦闘機「F-35B」の訓練、そして、迎撃ミサイル「PAC3」の展開訓練などが計画されています。
【整備費・スケジュールは】
Q.基地整備費用やスケジュールを教えてください。
(記者)
整備費は、今年度と来年度予算案の契約ベースであわせて7654億円が計上されています。基地はおおむね4年で完成予定です。
ただ、アメリカ軍の訓練関連の滑走路などは先行して整備し、4年後の工事終了を待たずに訓練が始まる見込みです。
馬毛島基地では150人から200人の自衛隊員が勤務し、種子島の宿舎などで暮らすことになります。
【アメリカ側の受け止めは?】
Q.きょうの馬毛島の動きをアメリカ側はどう捉えているんでしょうか?
(記者)
日本時間の12日朝、外務・防衛の日米閣僚協議「2+2」がワシントンで開かれました。共同発表では、「馬毛島での自衛隊施設整備の進展と将来の見通しを歓迎した」とし、「南西諸島などで日米の施設の共同使用や、共同演習・訓練を増やすことを約束した」という文言が盛り込まれました。
中国の海洋進出や台湾有事の懸念で、日米が南西諸島の防衛力強化を進める中、馬毛島でのアメリカ軍の活動が離着陸訓練だけにとどまるのか、注視していきたいと思います。
【地域のこれからは…】
Q.八板市長が賛否を明言しないまま工事が着工しましたが、これについてはいかがでしょう。
(記者)
八板市長は、基地工事が始まった12日も自身の判断を示さないままです。住民からは賛成派からも「地域の意思を示さないまま、街の将来を左右する計画を受け入れて良かったのか」という声も聞かれます。
市長選で掲げた公約との整合性や、市民の不安を解消するため、国とどう向き合っていくのか?今後、問われてくると思います。
1月12日の南日本新聞号外
1月12日 南日本新聞
馬毛島の自衛隊基地着工 作業員の乗せた船が出港、
滑走路など先行し造成 防衛省
作業員を乗せ、馬毛島に向けて出発する船=12日午前9時5分ごろ、西之表市の住吉漁港
防衛省は12日、鹿児島県西之表市馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う自衛隊基地整備計画で、環境影響評価(アセスメント)の最終まとめとなる「評価書」を公告した。同市の住吉漁港から作業員を乗せた船が馬毛島へ出港、基地本体工事に事実上着手した。工期は4年程度としている。滑走路などを先行して造成し、早ければ2025年度にFCLPが始まる可能性がある。
事業者の防衛省九州防衛局熊本防衛支局が同日午前9時、評価書の縦覧を開始した。同9時10分ごろ、同市住吉漁港から馬毛島に向かった船には10人以上の作業員が乗り込んだ。同日中にも伐採作業を始める。
21年1月の西之表市長選で計画反対を掲げ再選した八板俊輔市長は賛否を明言していない。地元首長の同意表明がない着工は異例。ただ、島内の市有地を売却するなど防衛省への協力姿勢は示している。塩田康一知事は昨年11月の県議会で「理解せざるを得ない」と容認する考えを明らかにした。
1月12日の南日本新聞紙面
1月12日の東京新聞紙面
1月12日の琉球新報紙面
1月12日の沖縄タイムス紙面