川久保流“カワイイ”を表現ー素材、色には手を加えず、デザインに徹した「LOUIS VUITTON at COMME de GARSON」のバッグー
皆さーん、遅くなってすみませんでしたが、18日(木)に見てきた「ルイヴィトン・アット・コムデギャルソン(LOUIS VUITTON at COMME de GARSON)」の感想です。
このお店、南青山の骨董通りの、ここ数年ギャルソンさんが期間限定店として使っている店舗をリニューアルして出来たもので、1Fと2Fから成っている。
現地に行かれた方はお感じになられたことと思うが、商品が完全予約販売で即売は一切行っていないため、売り場ではなく、完全な「見せ場」としてのディスプレイになっている。
なので、陳列数も少ないし、拍子抜けするくらいにすっきりとしたスペースになっております。それと、平日だったからかもしれないが、客数もぱらぱら、という感じで、ゆったりと拝見することが出来ました。
1Fが限定コラボ品6型の陳列所。白い壁面に所々溝が作ってあって、その中に限定コラボ品が埋め込むように横向きに置かれており、商品の薄さが強調されている。
中央のガラスケースの中には、ヴィトンの人気商品が沢山置かれているのだが、これらは限定コラボ品ではなく、定番商品たちだ。
では、限定品はどこに?と、室内の前方、窓ガラス寄りの方に目をやると・・・ありました。6型の限定コラボ商品が、可愛らしく置かれておりました。
実は行く前にチラリとニュースなどで情報を目にしていたので、限定コラボ品の形については少し知識があったのだが、現物を見てびっくりしたのは、その大きさ。
特に、「CREATION BAG」のシリーズ2型は、本当に小さくて可愛いんですよね!もっと、大きなサイズなのかと思っていたので、その可愛らしさにひとめ惚れしてしまった。
ボディの部分なんて、手のひらくらいの大きさだし、幅も薄い。パーティーの時、コンパクトと口紅だけ入れて持ち歩くようなタイプの、ポーチ代わりのバッグだ。
来る前は、いわゆる「八つ手」のバッグ、「ミニスピーディー」のことばかりに関心があったのだが、実際に商品を見るとこの2型にもギャルソンさんの凄さをまざまざと感じましたね。「小さきもの」がこんなに可愛らしいとは!過剰なデザインを施さず、大きさを小さく変えることによって日本人女性が大好きな「カワイイ」感覚をシンプルに表現しているのは、川久保玲デザイナー流の、ひとひねり効いた変化球だなぁと、ひたすら感心した。
続いて、「CUSTOMISE BAG」の2型。2つ共ボストンバッグだが、いずれも旅行用なんかにはとてもならないような、おしゃれバッグ、小さめのサイズである。
「パピヨン」の方には、何だかよくわからない生命体(?)の複数のチャームがついている。もう1つが、8本のハンドルを持つ「ミニスピーディー」。
この8本のハンドルは、全てが持ち手として使用できる=本来の機能も有しているのだが、持ち手として使わない場合は広げたり萎めたりしながら、その姿を楽しむことが出来る。つまりは、本来の機能以外の目的を持たせたところに、面白みがある。
あと2型、「REEDITION BAG」については、ショップスタッフの方の説明によると、「1970年代のバッグを復刻したもの」であって、「使用している革が現在のものとは違う」(この辺の説明が十分によく理解できなかったのだが)ものであるらしい。この2型も、マチが薄い小型のポシェットで、男女を問わず利用出来そう、年配の方向けにも喜ばれそうなデザインだと思った。
「ルイ・ヴィトン」とのコラボと言えば、日本人のクリエーターではアーティストの村上隆氏の大成功が記憶に新しい。このコラボは、マスにまで波及し、村上氏の名を一躍世界に知らしめる効果もあった。
こういう先例があるということは、当然、「コムデギャルソン」としては村上氏とは全く違うアプローチをせざるを得ない、二番煎じのイメージを与えるようなことは絶対に避けなければならなかった訳だが・・・。
さすがに川久保氏の方からコラボを希望しただけのことはあって、村上氏とはデザインへのアプローチの手法は全く異なっていましたね。
日本画の素養もある村上氏が意匠に変化を加えたのとは対照的に、
バッグ本体のモノグラムの色、柄には全く手を加えず、また、素材=マテリアルに関しても、皮革に関してはプロではないとの認識もお持ちだったのか変化は加えず、
狭義のデザイン=シルエット、ディテールの変化、及び、アーカイブの掘り起こしという2点に絞って、ホームランではないにせよ、スマッシュヒットを飛ばされたのではないかという風に思うのだ。
商品が全て小さくて「カワイイ」感じにまとまっていることの副産物として、価格も78,750円から194,250円と、ブランド物にしては買いやすい価格に収まっている。この価格帯ならば、ヴィトン本来の顧客ではない、ギャルソン側のファッションフリークの皆さんでも頑張れば手が出るという感じだという気がする。この辺の価格設定も、本当に絶妙というか、上手いなぁと思います。
それと、2Fのヴィトンのアーカイブ3点の展示も、すごく良かった。帽子専用、靴専用、そして中にベッドが収納できるようになっている3種類の特殊仕様のトランク。「ルイ・ヴィトン」は昔から非常にツクリがしっかりしているバッグで、顧客のライフスタイルにとってなくてはならない存在だったということがよくわかる・・・まさに、「ブランドの歴史だけはどうやってもお金では買えない」ということをまざまざと見せ付けられる展示になっております。
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