サカナクション SAKANAQUARIUM 2019 (834.194) @仙台ゼビオアリーナ 4/20
- 2019/04/21
- 22:43
本来ならばこのツアーはアルバムのリリースツアーになるはずだったであろうことは、すでに発表されているアルバムタイトル「834.194」がツアータイトルに冠されていることからもわかる。
しかしながらアルバムリリースは6月に延期となり、またしてもリリースツアーにはならず、アリーナ規模で6.1chサラウンドの音響でのライブを見せるというものに。すでに幕張メッセでも2daysを行なっているのだが、日程がYON FESと被っていて行けなかったためにこの仙台のゼビオアリーナ2daysの初日に参加することに。
会場のゼビオアリーナは仙台駅の隣の長町駅からすぐにある、その名の通りにスポーツゼビオに隣接するアリーナ。とはいえキャパは幕張メッセのイベントホールよりもさらに小さく、スタンド席があるとはいえ、TOKYO DOME CITY HALLくらいのキャパかもしれない。六本木EX THEATERのライブが一切チケットが取れなかったことを考えるとこのキャパで見れるのは嬉しい。
SAKANAQUARIUMではおなじみの、開場中から場内が水槽の中であるかのような水の音や青を基調とした照明が薄暗く光る中、やはり目を引くのは場内のいたるところに配置されているBOSEのスピーカー。スタンディングエリアはもちろん、スタンド席にもほぼ1ブロックずつ配置されているという、執念と言ってもいいくらいの音響へのこだわりっぷり。PAエリアもスタンディングエリア1ブロック丸々使ってるくらいの広さになっている。
18時を少し過ぎた頃、ステージ前に張られた紗幕と、ステージ左右に配されたスクリーンにはまるで映画館の上映前かのような「DOLBY」という映像が流れるのはこのバンドならでは。それに続いて「000.000」というカウンターが海から車で道を走る映像に変わっていく。雪道から高速道路を走る長い道のり。それはやがて既視感の強い首都高速道路となり、カウンターが「834.194」になると紗幕には山口一郎を頭上から写すリアルタイムなものに。そのまま山口がアコギの歌い始めたのは
「いつか僕らも土に還るだろう それも粋だな」
という終末観の強い歌詞と、「セプテンバー」というタイトルらしきフレーズのインパクトが強い新曲。アルバムに入る新曲を披露するであろうとは思っていたけれど、まさか1曲目から、しかもこんな形で演奏されるとは、とこのツアー初見の身としては驚いてしまう。
するとフォーマルな白と黒を基調とした衣装を着た山口以外のメンバー4人もステージに登場し、紗幕が落ちるとあの特徴的な効果音のようなイントロとともに、
「僕は歩く」
と山口が歌い始めた「アルクアラウンド」でメンバーの機材が載ったステージが前にせり出し、山口は
「仙台ー!」
と叫んで飛び跳ねまくりながらギターを弾いて演奏する。曲中の手拍子もさすがにばっちり揃っているし、やはりワンマンだからかそうした手拍子が必要な部分以外は4つ打ちのリズムであっても合わせて手拍子をすることはなく、より手拍子をする部分が際立つ。その部分では山口も手拍子し、ドラムの江島もスティックで手拍子することを促しているのだが。
「みんな踊れる?」
と山口が問いかけると、ステージ背面のスクリーンに舞妓さんの映像が映し出される「夜の踊り子」へ。少し前まではライブのクライマックスに持ってきて、
「まだまだ踊れる?」
と終盤にさらにダンスさせるブースター的な役割を担ってきた曲であるが、そこを担う曲が増えてきたことによって曲順はかなり変化してきている。
サカナクションのライブでは山口は観客に自由に踊ることを促しているが、それを最もわかりやすく自身が実践していると思えるのはギターを置いてハンドマイクを持ち、ステージを動き回ったり、ステップを踏んだり、まるでお笑い芸人のような動きというかダンスすら見せた「陽炎」。ベストアルバム「魚図鑑」に収録される前からライブで披露されては山口の演歌歌手のようなコブシを効かせた歌い方が話題を呼んでいたが、人力でエコーというかリバーブをかけるような歌い方までして観客を湧かせ、山口のテンションの高さをうかがわせる。
しかしながらやはりここまでライブを見ていて、音がすごく良い。こんだけスピーカーがあるんだから当たり前と言えば当たり前なのだが、特に草刈と江島のリズム隊の音がものすごく鮮明かつ強く響いてくるので、サカナクションのダンスミュージックの芯の部分を担っているのはこのリズムなんだなと改めて実感することができる。
ここで演奏された新曲は「マイノリティー」という今回のグッズにも採用されている(それがこのツアーが本来アルバムツアーだったことを示している)フレーズのインパクトが強い、この流れで演奏されるのが当然と言わんばかりのアッパーなダンスチューン。個人的には岡崎と岩寺の奏でる遊び心の強いサウンドからは「新宝島」に通じるものを感じる。なんならシングルやリード曲になっていてもおかしくないと思える曲である。
サカナクションのライブと言えば音響とともに演出の凄さも楽しみな部分なのだが、それはやはりアリーナクラスになるとやれることはさらに増える。「Aoi」では山口以外のメンバーが歌うメロ部分が立体的に耳に飛び込んでくる中(見ていた席がステージに近かったのもあるが、それぞれの声がしっかり聴き分けることができる)、ステージからは大量のスモークが噴出され、ベストアルバムが出ているとはいえこのタームでのシングル曲ゆえにアルバムに入るんだろうか?と思う「さよならはエモーション」では徐々に高まっていくエモーションに対応するかのように暗かった照明が明滅し、別れの場面の高鳴りを表現しているかのよう。
ステージ前に再び紗幕がかけられると、「834.194」のテーマでもある「東京」が歌われた「ユリイカ」ではその紗幕に東京の景色が、ステージ背面のスクリーンには北海道と思しき景色が対比されるかのように重なる。東京の満員電車と北海道の路面電車、東京のビル群と北海道の雪道…サビにおいて北海道側の映像で泣きながら景色を眺める女性は北海道から東京に出て行く道中に北海道で生きてきた記憶を思い返しているのだろうか。
「ユリイカ」の映像が終わった紗幕にはど真ん中に一本縦の白い線が映し出され、その線が「years」のバスドラの音などと連動して形を立体的に変えていき、その立体も音と連動して動くという音と映像の融合を見せると、新曲でも光やオイルアートが飛び散るような映像が。この新曲はこの流れで演奏されるのも納得のタイプの曲で、派手さはないがアルバムリリース後もこうして映像とのシンクロを見せてくれそうな予感。歌詞はよく聞き取ることができなかったけれど。
しかしながらMCがないとはいえ、やはりサカナクションのライブのこの流れるようなテンポの良さは素晴らしい。メンバーは使う楽器も変えているというのに(岩寺と草刈はギターとベースを変えるだけではなく、曲によってはシンセを弾いたりと編成も変わったりする)、全くグダッとするような場面が一切ないのは山口がかねてから口にしている「チーム・サカナクション」のチームワークと「自分たちがどんなライブを見せたいか?」というのがメンバーだけでなくスタッフにまで完璧に行き届いているからこそだろう。
タイトル通りに「蓮の花」がスクリーンにデカデカと映し出された「蓮の花」で紗幕が落ちて、そのサウンドに合わせてゆらゆらと踊らせると、さらなる新曲が披露される。
まずは山口本人が出演しているソフトバンクのCM曲「忘れられないの」は新曲とは思えない浸透度で、山口もCM同様に(?)踊りまくりながら歌う。続いてサカナクションならではのアーバンなダンスサウンドに合わせて「ピーナッツ」という単語が頻発する曲はクールな女性ダンサーが踊る映像の中でもピーナッツがよく映し出される。果たしてこのサウンドとピーナッツを結びつけた意図はどこにあるんだろうか。
さらに新曲は続く。ミニマルな演奏の反復が繰り返されると徐々にその演奏に音量と手数が増えていき、ステージ上の熱量に合わせるかのように炎が噴き上がる。曲の後半では岩寺のギターのノイジーさとともにバンドの演奏が激しさを増していく中、ステージを囲むように紗幕が出現し、演奏しながらそれに包まれていくメンバーたち。紗幕によって姿が見えなくなると演奏が終わり、裏側でいそいそとセットチェンジが行われ、場内に電子音が流れ出すと紗幕が開き、そこにはサングラスをかけてラップトップ横並び状態で、しかも高所恐怖症のメンバーがいたらこれはできないだろうというくらいに高い位置にラップトップブースがせり上がっている。
照明が客席までを照らす中、思い思いに体を揺らすダンスフロアと化すのだが、ワンマンではおなじみの光景とはいえ、やはりこれはサカナクションのライブでないと見ることはできないもの。始めた当初は「?」的なリアクションを客席側から感じることもあったが、今ではこの編成で現れると大歓声が上がるようになったのはバンドがこの演出を続けてきたがゆえの勝利だろう。
その編成でおなじみの「ミュージック」が始まると、最後のサビ前で紗幕が閉じ、その裏で再びセットチェンジをするメンバー。江島の生ドラムがドコドコと響くと紗幕が開き、曲の途中からバンドサウンドに切り替わる。さらにはステージから大量のシャボン玉が放たれるという演出までも加わり、今まで何度も見てきたこのシーンなのにやはり体が震えるくらいに感動していた。それはこの曲のタイトルが「ミュージック」と題されている通りに、サカナクションが音楽の力を誰よりも信じているというのがこの曲のこの演出から溢れ出ているから。これからも我々はこうして何回でもこの曲をライブで見るたびに心と身体を震わされるのだろう。
「仙台!まだまだ踊れますかー!」
と山口が叫んでイントロのフレーズが鳴ると大歓声が上がった「新宝島」からは怒涛の終盤に突入。その「新宝島」ではMV同様に大量の女性ダンサーがステージに登場して一糸乱れぬ見事なダンスを披露し、
「みんな「アイデンティティ」は歌える!?本当に歌える!?」
と問いかけるとイントロの前に観客の合唱のみが響くというパートが追加された「アイデンティティ」はサカナクションの代表曲でもありながらサカナクションを愛する我々の代表曲であると感じられるアレンジになっていた。
山口が曲間に急いで黒のコートを着て演奏された「多分、風。」で山口以外の4人のコーラスが美しく重なると、
「次で最後の曲です」
とまさに駆け抜けるように本編最後の曲として演奏されたのは、最初に山口の弾き語りで演奏された新曲のバンドバージョン。
アコギでの弾き語りだとどうしても山口のルーツであるフォークっぽさが強く出てしまうのだが、5人で演奏されることによって紛れも無いサカナクションのバンドサウンドになる。
山口は演奏時に
「高校生の頃に作った曲」
であると言っていたが、それが時を超えてサカナクションの新曲として我々の耳に入る。もちろんそれは今のメンバーでブラッシュアップされてこそのものだが、当時の山口少年が作っていた音楽は間違いではなかったとこの景色は証明していた。
アルバムの間隔は約6年。シーンの最前線かつメジャーにいながらここまで空くバンドはなかなかいない。山口も「今は少し休むとすぐに忘れられてしまう」と以前に語っていたが、決してずっと休んでいたわけではないとはいえ、サカナクションはずっと全国のアリーナ規模でライブができるバンドであり続けている。それはサカナクションの音楽を待っている人がたくさんいるからこそだが、この日演奏された新曲たちからはその待ち続けてきた期待やハードルを間違いなく超えてくるアルバムになるであろう予感がしている。怠けてるからじゃなくて、あまりにストイック過ぎるからリリースが遅くなってしまうバンドなのは周知の通り。そのストイックさは曲を聴けばそのまま楽曲に落とし込まれていることがわかるくらいのクオリティとまだリリース前とは思えないくらいのライブにおける完成度の高さ。
アンコールではツアーTシャツなどラフな格好になったメンバーが登場して「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」を演奏。背面スクリーンには山口一郎人形によるダンスが映し出される中、山口本人も手振りでダンスをしながら歌うのだが、まさかこの曲のダンスがこんなに浸透するとは、というくらいに観客がマネして踊っていたのはビックリ。これはスタンド席からアリーナを見下ろせるこのゼビオアリーナのような会場だからこそ見えた景色かもしれない。
続けざまに演奏されたのは落ち着いた雰囲気に今のメンバーの技術と音響が整ったことによってよりサウンドが鮮やかになった「夜の東側」。実際にメンバーの手数も増えていると思われるが、この曲を望む形というかついに完成形に持ってくることができたという感じがする。
そして山口はこの「6.1chサラウンドシステム」が具体的にどういうことかというのを江島に解説させるのだが、江島が解説したことプラスアルファをすぐに山口が喋ってしまうので江島が解説する意味が全くない。それは本人が認めるくらいにこの日の山口のテンションが高かったからというのもあるが(高速ガッツポーズのような動きを連発して岩寺を爆笑させていた)、自身の声を用いて6.1chサラウンドシステムがどういうことかを実践した後に
山口「僕たちはこの6.1chサラウンドシステムを実際に聴くことができないんですよ。客席じゃなくてステージに立ってるから。だからいろんなアーティストにこのシステムでライブやって欲しいね。誰のライブが見たい?あいみょん?米津玄師くん?」
草刈「ケミカルブラザーズ」
山口「あ〜。クラフトワークはまた違うことをやったりしてるよね。もういろんな人に出てもらって6.1chサラウンドシステムのフェスをやりたい。トップバッター、北島三郎!(「祭」を歌い始める)」
というように仙台では初めてだというこの6.1chサラウンドシステムに大きな手応えを感じていたこともあると思う。
さらに、
「アルバム「834.194」。僕らは「ヤミヨイクヨ」って呼んでるんですけど(笑)
このタイトルは僕らが北海道にいる時に使っていたスタジオと今使っている青葉台スタジオの距離を表しています」
とアルバムタイトルの説明をし、
「発売が延期になったのは歌詞が書けないからです。全て僕1人の問題です。どうもすみませんでした!」
と発売が延期になったことを観客に謝罪するのだが、「僕1人」と言いながらもメンバー全員が頭を下げていた。その瞬間、やはりこのバンドは「チーム・サカナクション」なのだ、と思えたし、客席から思わず漏れた笑い声からは「ちゃんとわかってるから頭下げなくていいよ〜」と言っているようにも感じた。
以前にも「DocumentaLy」制作時に「歌詞が書けなくてアルバムが遅れている」ということがあった。その時から、というかそのずっと前、インディーズデビューした時から、サカナクションが歌詞にしっかりとこだわりを持っているバンドであるということはわかっていた。だから「とりあえず締め切り近いからもうこんな感じでいいだろう」という妥協が山口が全くできない。その妥協してしまったものが作品になって永遠に残ると、「あの時もっと納得できるだけのものを作っておけばよかった」という後悔が残ってしまう。そうするとメンバーが真っ先に愛すべき楽曲に愛を持てなくなってしまう。だから山口は絶対に作品に対して妥協しない。それゆえにアルバムが出ると言いながらもなかなか出ないという事態になってしまうのだ。で、笑い声を漏らした人たちは山口がそういう人であることをちゃんと知っているから責めたりしない。ちゃんと100%の自信を持って作品を送り出すことを待っている。サカナクションのアルバムがどれも名盤であるのはそうした一切の妥協なしに作られているということが大きいと思う。
「バンドを始めた頃はただ自分たちが作りたい音楽を作ってた。いろんな人に知られるようになってからはチャートとかと戦ったりしたこともあったけど、それはもうやったから。今はサカナクションっていう自分たちのハードルを越えることだけを考えて作ってる」
と山口は今の自分たちの音楽への姿勢を語り、
「全公演ソールドアウトしたのに赤字です(笑)だからみんな少しでも物販を買ってください(笑)」
と言っておなじみの告知をしていた。
サカナクションがブレイクしてロックシーンのみならずお茶の間まで進出して以降、サカナクションのアルバムが出るまでの6年間に
「かつてサカナクションが担っていた位置を今は○○が担っている」
という表現をされるバンドもいくつか出てきた。(「Tree」リリース以降のSEKAI NO OWARIだったり、今ならKing Gnuだったり)
でもサカナクションはやはり他のバンドたちとは全く違う、サカナクションだけのやり方でシーンを正面から突破し、マジョリティとマイノリティの架け橋となってきた。それを意図的にやろうとしていた時期もあったし、その感覚は決して消えてはいないだろうけれど、今はもっと自然体で音楽に向き合おうとしている。でもそれも自分たちだけのやり方を貫いた上で。
そんな決意を新たにした上で最後に演奏された「グッドバイ」では紗幕がメンバーの正面以外を取り囲む中、映画のエンドロールのようにスタッフロールが流れていく。
「グッバイ世界」
のメンバーによる美しいリフレインが響く中で閉じていく紗幕。まさに世界に別れを告げるような姿であったが、エンドロールが終わると紗幕が開いてメンバーの姿が。ステージ前に出て手を繋ぐと、山口が歓声と手拍子を制してマイクを通さずに
「ありがとうございました!」
と叫んだ。その表情は自分たちの音楽をこうして自分たちの望む形で鳴らせていることへの充実感に満ち溢れていた。
サカナクションは映像のみならず音響面でもこうして今までにないライブを見せてくれる。でもそうしたものがなければサカナクションのライブは物足りないんだろうか?
いや、そんなことはない。サカナクションは演出によって50を100にするバンドではなくて、インディーズ時代、まだフェスで小さいステージや昼間にライブをしていた頃から演出面でのプラスアルファがなくても100を叩き出すライブができるバンドだった。
その100を150や200にするために徹底的にこだわった演出を加えるようになり、それを本当に200にできたバンドだからこそ、フェスのヘッドライナーとして自分たちが最も合う夜の舞台を自分たちの力で掴み取った。
6年間の間に不在を感じてたわけじゃないけど、ライブハウスではチケットが取れないからかつてと比べるとライブを観れる機会も少なくなっているし、アルバムが出ないから聴く機会も減っている。自分の中でサカナクションの存在が少し薄くなってきていたが、こうしてこの日ライブを見て、なぜ我々がサカナクションというバンドに賭けたのか、このバンドが新しい音楽の地平を切り拓いてくれると期待したのかを思い出した。
今でもライブで200を出せるというか、今はさらにそれを超えて250や300を出せるバンドになった。やっぱりサカナクションはとんでもないバンドだったのだ。余韻が凄まじすぎて、1日経ってもサカナクションしか聴けない。
1.セプテンバー (弾き語り)
2.アルクアラウンド
3.夜の踊り子
4.陽炎
5.マイノリティー
6.Aoi
7.さよならはエモーション
8.ユリイカ
9.years
10.ナイロンの糸
11.蓮の花
12.忘れられないの
13.新曲
14.新曲
15.INORI
16.SORATO
17.ミュージック
18.新宝島
19.アイデンティティ
20.多分、風。
21.セプテンバー
encore
22.『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』
23.夜の東側
24.グッドバイ
Next→ 4/25 マカロニえんぴつ @渋谷WWW X
しかしながらアルバムリリースは6月に延期となり、またしてもリリースツアーにはならず、アリーナ規模で6.1chサラウンドの音響でのライブを見せるというものに。すでに幕張メッセでも2daysを行なっているのだが、日程がYON FESと被っていて行けなかったためにこの仙台のゼビオアリーナ2daysの初日に参加することに。
会場のゼビオアリーナは仙台駅の隣の長町駅からすぐにある、その名の通りにスポーツゼビオに隣接するアリーナ。とはいえキャパは幕張メッセのイベントホールよりもさらに小さく、スタンド席があるとはいえ、TOKYO DOME CITY HALLくらいのキャパかもしれない。六本木EX THEATERのライブが一切チケットが取れなかったことを考えるとこのキャパで見れるのは嬉しい。
SAKANAQUARIUMではおなじみの、開場中から場内が水槽の中であるかのような水の音や青を基調とした照明が薄暗く光る中、やはり目を引くのは場内のいたるところに配置されているBOSEのスピーカー。スタンディングエリアはもちろん、スタンド席にもほぼ1ブロックずつ配置されているという、執念と言ってもいいくらいの音響へのこだわりっぷり。PAエリアもスタンディングエリア1ブロック丸々使ってるくらいの広さになっている。
18時を少し過ぎた頃、ステージ前に張られた紗幕と、ステージ左右に配されたスクリーンにはまるで映画館の上映前かのような「DOLBY」という映像が流れるのはこのバンドならでは。それに続いて「000.000」というカウンターが海から車で道を走る映像に変わっていく。雪道から高速道路を走る長い道のり。それはやがて既視感の強い首都高速道路となり、カウンターが「834.194」になると紗幕には山口一郎を頭上から写すリアルタイムなものに。そのまま山口がアコギの歌い始めたのは
「いつか僕らも土に還るだろう それも粋だな」
という終末観の強い歌詞と、「セプテンバー」というタイトルらしきフレーズのインパクトが強い新曲。アルバムに入る新曲を披露するであろうとは思っていたけれど、まさか1曲目から、しかもこんな形で演奏されるとは、とこのツアー初見の身としては驚いてしまう。
するとフォーマルな白と黒を基調とした衣装を着た山口以外のメンバー4人もステージに登場し、紗幕が落ちるとあの特徴的な効果音のようなイントロとともに、
「僕は歩く」
と山口が歌い始めた「アルクアラウンド」でメンバーの機材が載ったステージが前にせり出し、山口は
「仙台ー!」
と叫んで飛び跳ねまくりながらギターを弾いて演奏する。曲中の手拍子もさすがにばっちり揃っているし、やはりワンマンだからかそうした手拍子が必要な部分以外は4つ打ちのリズムであっても合わせて手拍子をすることはなく、より手拍子をする部分が際立つ。その部分では山口も手拍子し、ドラムの江島もスティックで手拍子することを促しているのだが。
「みんな踊れる?」
と山口が問いかけると、ステージ背面のスクリーンに舞妓さんの映像が映し出される「夜の踊り子」へ。少し前まではライブのクライマックスに持ってきて、
「まだまだ踊れる?」
と終盤にさらにダンスさせるブースター的な役割を担ってきた曲であるが、そこを担う曲が増えてきたことによって曲順はかなり変化してきている。
サカナクションのライブでは山口は観客に自由に踊ることを促しているが、それを最もわかりやすく自身が実践していると思えるのはギターを置いてハンドマイクを持ち、ステージを動き回ったり、ステップを踏んだり、まるでお笑い芸人のような動きというかダンスすら見せた「陽炎」。ベストアルバム「魚図鑑」に収録される前からライブで披露されては山口の演歌歌手のようなコブシを効かせた歌い方が話題を呼んでいたが、人力でエコーというかリバーブをかけるような歌い方までして観客を湧かせ、山口のテンションの高さをうかがわせる。
しかしながらやはりここまでライブを見ていて、音がすごく良い。こんだけスピーカーがあるんだから当たり前と言えば当たり前なのだが、特に草刈と江島のリズム隊の音がものすごく鮮明かつ強く響いてくるので、サカナクションのダンスミュージックの芯の部分を担っているのはこのリズムなんだなと改めて実感することができる。
ここで演奏された新曲は「マイノリティー」という今回のグッズにも採用されている(それがこのツアーが本来アルバムツアーだったことを示している)フレーズのインパクトが強い、この流れで演奏されるのが当然と言わんばかりのアッパーなダンスチューン。個人的には岡崎と岩寺の奏でる遊び心の強いサウンドからは「新宝島」に通じるものを感じる。なんならシングルやリード曲になっていてもおかしくないと思える曲である。
サカナクションのライブと言えば音響とともに演出の凄さも楽しみな部分なのだが、それはやはりアリーナクラスになるとやれることはさらに増える。「Aoi」では山口以外のメンバーが歌うメロ部分が立体的に耳に飛び込んでくる中(見ていた席がステージに近かったのもあるが、それぞれの声がしっかり聴き分けることができる)、ステージからは大量のスモークが噴出され、ベストアルバムが出ているとはいえこのタームでのシングル曲ゆえにアルバムに入るんだろうか?と思う「さよならはエモーション」では徐々に高まっていくエモーションに対応するかのように暗かった照明が明滅し、別れの場面の高鳴りを表現しているかのよう。
ステージ前に再び紗幕がかけられると、「834.194」のテーマでもある「東京」が歌われた「ユリイカ」ではその紗幕に東京の景色が、ステージ背面のスクリーンには北海道と思しき景色が対比されるかのように重なる。東京の満員電車と北海道の路面電車、東京のビル群と北海道の雪道…サビにおいて北海道側の映像で泣きながら景色を眺める女性は北海道から東京に出て行く道中に北海道で生きてきた記憶を思い返しているのだろうか。
「ユリイカ」の映像が終わった紗幕にはど真ん中に一本縦の白い線が映し出され、その線が「years」のバスドラの音などと連動して形を立体的に変えていき、その立体も音と連動して動くという音と映像の融合を見せると、新曲でも光やオイルアートが飛び散るような映像が。この新曲はこの流れで演奏されるのも納得のタイプの曲で、派手さはないがアルバムリリース後もこうして映像とのシンクロを見せてくれそうな予感。歌詞はよく聞き取ることができなかったけれど。
しかしながらMCがないとはいえ、やはりサカナクションのライブのこの流れるようなテンポの良さは素晴らしい。メンバーは使う楽器も変えているというのに(岩寺と草刈はギターとベースを変えるだけではなく、曲によってはシンセを弾いたりと編成も変わったりする)、全くグダッとするような場面が一切ないのは山口がかねてから口にしている「チーム・サカナクション」のチームワークと「自分たちがどんなライブを見せたいか?」というのがメンバーだけでなくスタッフにまで完璧に行き届いているからこそだろう。
タイトル通りに「蓮の花」がスクリーンにデカデカと映し出された「蓮の花」で紗幕が落ちて、そのサウンドに合わせてゆらゆらと踊らせると、さらなる新曲が披露される。
まずは山口本人が出演しているソフトバンクのCM曲「忘れられないの」は新曲とは思えない浸透度で、山口もCM同様に(?)踊りまくりながら歌う。続いてサカナクションならではのアーバンなダンスサウンドに合わせて「ピーナッツ」という単語が頻発する曲はクールな女性ダンサーが踊る映像の中でもピーナッツがよく映し出される。果たしてこのサウンドとピーナッツを結びつけた意図はどこにあるんだろうか。
さらに新曲は続く。ミニマルな演奏の反復が繰り返されると徐々にその演奏に音量と手数が増えていき、ステージ上の熱量に合わせるかのように炎が噴き上がる。曲の後半では岩寺のギターのノイジーさとともにバンドの演奏が激しさを増していく中、ステージを囲むように紗幕が出現し、演奏しながらそれに包まれていくメンバーたち。紗幕によって姿が見えなくなると演奏が終わり、裏側でいそいそとセットチェンジが行われ、場内に電子音が流れ出すと紗幕が開き、そこにはサングラスをかけてラップトップ横並び状態で、しかも高所恐怖症のメンバーがいたらこれはできないだろうというくらいに高い位置にラップトップブースがせり上がっている。
照明が客席までを照らす中、思い思いに体を揺らすダンスフロアと化すのだが、ワンマンではおなじみの光景とはいえ、やはりこれはサカナクションのライブでないと見ることはできないもの。始めた当初は「?」的なリアクションを客席側から感じることもあったが、今ではこの編成で現れると大歓声が上がるようになったのはバンドがこの演出を続けてきたがゆえの勝利だろう。
その編成でおなじみの「ミュージック」が始まると、最後のサビ前で紗幕が閉じ、その裏で再びセットチェンジをするメンバー。江島の生ドラムがドコドコと響くと紗幕が開き、曲の途中からバンドサウンドに切り替わる。さらにはステージから大量のシャボン玉が放たれるという演出までも加わり、今まで何度も見てきたこのシーンなのにやはり体が震えるくらいに感動していた。それはこの曲のタイトルが「ミュージック」と題されている通りに、サカナクションが音楽の力を誰よりも信じているというのがこの曲のこの演出から溢れ出ているから。これからも我々はこうして何回でもこの曲をライブで見るたびに心と身体を震わされるのだろう。
「仙台!まだまだ踊れますかー!」
と山口が叫んでイントロのフレーズが鳴ると大歓声が上がった「新宝島」からは怒涛の終盤に突入。その「新宝島」ではMV同様に大量の女性ダンサーがステージに登場して一糸乱れぬ見事なダンスを披露し、
「みんな「アイデンティティ」は歌える!?本当に歌える!?」
と問いかけるとイントロの前に観客の合唱のみが響くというパートが追加された「アイデンティティ」はサカナクションの代表曲でもありながらサカナクションを愛する我々の代表曲であると感じられるアレンジになっていた。
山口が曲間に急いで黒のコートを着て演奏された「多分、風。」で山口以外の4人のコーラスが美しく重なると、
「次で最後の曲です」
とまさに駆け抜けるように本編最後の曲として演奏されたのは、最初に山口の弾き語りで演奏された新曲のバンドバージョン。
アコギでの弾き語りだとどうしても山口のルーツであるフォークっぽさが強く出てしまうのだが、5人で演奏されることによって紛れも無いサカナクションのバンドサウンドになる。
山口は演奏時に
「高校生の頃に作った曲」
であると言っていたが、それが時を超えてサカナクションの新曲として我々の耳に入る。もちろんそれは今のメンバーでブラッシュアップされてこそのものだが、当時の山口少年が作っていた音楽は間違いではなかったとこの景色は証明していた。
アルバムの間隔は約6年。シーンの最前線かつメジャーにいながらここまで空くバンドはなかなかいない。山口も「今は少し休むとすぐに忘れられてしまう」と以前に語っていたが、決してずっと休んでいたわけではないとはいえ、サカナクションはずっと全国のアリーナ規模でライブができるバンドであり続けている。それはサカナクションの音楽を待っている人がたくさんいるからこそだが、この日演奏された新曲たちからはその待ち続けてきた期待やハードルを間違いなく超えてくるアルバムになるであろう予感がしている。怠けてるからじゃなくて、あまりにストイック過ぎるからリリースが遅くなってしまうバンドなのは周知の通り。そのストイックさは曲を聴けばそのまま楽曲に落とし込まれていることがわかるくらいのクオリティとまだリリース前とは思えないくらいのライブにおける完成度の高さ。
アンコールではツアーTシャツなどラフな格好になったメンバーが登場して「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」を演奏。背面スクリーンには山口一郎人形によるダンスが映し出される中、山口本人も手振りでダンスをしながら歌うのだが、まさかこの曲のダンスがこんなに浸透するとは、というくらいに観客がマネして踊っていたのはビックリ。これはスタンド席からアリーナを見下ろせるこのゼビオアリーナのような会場だからこそ見えた景色かもしれない。
続けざまに演奏されたのは落ち着いた雰囲気に今のメンバーの技術と音響が整ったことによってよりサウンドが鮮やかになった「夜の東側」。実際にメンバーの手数も増えていると思われるが、この曲を望む形というかついに完成形に持ってくることができたという感じがする。
そして山口はこの「6.1chサラウンドシステム」が具体的にどういうことかというのを江島に解説させるのだが、江島が解説したことプラスアルファをすぐに山口が喋ってしまうので江島が解説する意味が全くない。それは本人が認めるくらいにこの日の山口のテンションが高かったからというのもあるが(高速ガッツポーズのような動きを連発して岩寺を爆笑させていた)、自身の声を用いて6.1chサラウンドシステムがどういうことかを実践した後に
山口「僕たちはこの6.1chサラウンドシステムを実際に聴くことができないんですよ。客席じゃなくてステージに立ってるから。だからいろんなアーティストにこのシステムでライブやって欲しいね。誰のライブが見たい?あいみょん?米津玄師くん?」
草刈「ケミカルブラザーズ」
山口「あ〜。クラフトワークはまた違うことをやったりしてるよね。もういろんな人に出てもらって6.1chサラウンドシステムのフェスをやりたい。トップバッター、北島三郎!(「祭」を歌い始める)」
というように仙台では初めてだというこの6.1chサラウンドシステムに大きな手応えを感じていたこともあると思う。
さらに、
「アルバム「834.194」。僕らは「ヤミヨイクヨ」って呼んでるんですけど(笑)
このタイトルは僕らが北海道にいる時に使っていたスタジオと今使っている青葉台スタジオの距離を表しています」
とアルバムタイトルの説明をし、
「発売が延期になったのは歌詞が書けないからです。全て僕1人の問題です。どうもすみませんでした!」
と発売が延期になったことを観客に謝罪するのだが、「僕1人」と言いながらもメンバー全員が頭を下げていた。その瞬間、やはりこのバンドは「チーム・サカナクション」なのだ、と思えたし、客席から思わず漏れた笑い声からは「ちゃんとわかってるから頭下げなくていいよ〜」と言っているようにも感じた。
以前にも「DocumentaLy」制作時に「歌詞が書けなくてアルバムが遅れている」ということがあった。その時から、というかそのずっと前、インディーズデビューした時から、サカナクションが歌詞にしっかりとこだわりを持っているバンドであるということはわかっていた。だから「とりあえず締め切り近いからもうこんな感じでいいだろう」という妥協が山口が全くできない。その妥協してしまったものが作品になって永遠に残ると、「あの時もっと納得できるだけのものを作っておけばよかった」という後悔が残ってしまう。そうするとメンバーが真っ先に愛すべき楽曲に愛を持てなくなってしまう。だから山口は絶対に作品に対して妥協しない。それゆえにアルバムが出ると言いながらもなかなか出ないという事態になってしまうのだ。で、笑い声を漏らした人たちは山口がそういう人であることをちゃんと知っているから責めたりしない。ちゃんと100%の自信を持って作品を送り出すことを待っている。サカナクションのアルバムがどれも名盤であるのはそうした一切の妥協なしに作られているということが大きいと思う。
「バンドを始めた頃はただ自分たちが作りたい音楽を作ってた。いろんな人に知られるようになってからはチャートとかと戦ったりしたこともあったけど、それはもうやったから。今はサカナクションっていう自分たちのハードルを越えることだけを考えて作ってる」
と山口は今の自分たちの音楽への姿勢を語り、
「全公演ソールドアウトしたのに赤字です(笑)だからみんな少しでも物販を買ってください(笑)」
と言っておなじみの告知をしていた。
サカナクションがブレイクしてロックシーンのみならずお茶の間まで進出して以降、サカナクションのアルバムが出るまでの6年間に
「かつてサカナクションが担っていた位置を今は○○が担っている」
という表現をされるバンドもいくつか出てきた。(「Tree」リリース以降のSEKAI NO OWARIだったり、今ならKing Gnuだったり)
でもサカナクションはやはり他のバンドたちとは全く違う、サカナクションだけのやり方でシーンを正面から突破し、マジョリティとマイノリティの架け橋となってきた。それを意図的にやろうとしていた時期もあったし、その感覚は決して消えてはいないだろうけれど、今はもっと自然体で音楽に向き合おうとしている。でもそれも自分たちだけのやり方を貫いた上で。
そんな決意を新たにした上で最後に演奏された「グッドバイ」では紗幕がメンバーの正面以外を取り囲む中、映画のエンドロールのようにスタッフロールが流れていく。
「グッバイ世界」
のメンバーによる美しいリフレインが響く中で閉じていく紗幕。まさに世界に別れを告げるような姿であったが、エンドロールが終わると紗幕が開いてメンバーの姿が。ステージ前に出て手を繋ぐと、山口が歓声と手拍子を制してマイクを通さずに
「ありがとうございました!」
と叫んだ。その表情は自分たちの音楽をこうして自分たちの望む形で鳴らせていることへの充実感に満ち溢れていた。
サカナクションは映像のみならず音響面でもこうして今までにないライブを見せてくれる。でもそうしたものがなければサカナクションのライブは物足りないんだろうか?
いや、そんなことはない。サカナクションは演出によって50を100にするバンドではなくて、インディーズ時代、まだフェスで小さいステージや昼間にライブをしていた頃から演出面でのプラスアルファがなくても100を叩き出すライブができるバンドだった。
その100を150や200にするために徹底的にこだわった演出を加えるようになり、それを本当に200にできたバンドだからこそ、フェスのヘッドライナーとして自分たちが最も合う夜の舞台を自分たちの力で掴み取った。
6年間の間に不在を感じてたわけじゃないけど、ライブハウスではチケットが取れないからかつてと比べるとライブを観れる機会も少なくなっているし、アルバムが出ないから聴く機会も減っている。自分の中でサカナクションの存在が少し薄くなってきていたが、こうしてこの日ライブを見て、なぜ我々がサカナクションというバンドに賭けたのか、このバンドが新しい音楽の地平を切り拓いてくれると期待したのかを思い出した。
今でもライブで200を出せるというか、今はさらにそれを超えて250や300を出せるバンドになった。やっぱりサカナクションはとんでもないバンドだったのだ。余韻が凄まじすぎて、1日経ってもサカナクションしか聴けない。
1.セプテンバー (弾き語り)
2.アルクアラウンド
3.夜の踊り子
4.陽炎
5.マイノリティー
6.Aoi
7.さよならはエモーション
8.ユリイカ
9.years
10.ナイロンの糸
11.蓮の花
12.忘れられないの
13.新曲
14.新曲
15.INORI
16.SORATO
17.ミュージック
18.新宝島
19.アイデンティティ
20.多分、風。
21.セプテンバー
encore
22.『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』
23.夜の東側
24.グッドバイ
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