「ジムとタケが呑みに行って決まったツーマン」 THE BAWDIES / KEYTALK @新代田FEVER 2/22
- 2019/02/23
- 14:11
もうライブのタイトルが全てというか、マジでそう決まったからこそチケット全て一般販売のみで、この2組がやるにはあまりにも狭すぎるこのキャパになったんだろうな、という2マンである。
KEYTALKは去年幕張メッセでワンマンを行うまでになったし、THE BAWDIESは年明けに3回目の日本武道館ワンマンを行った。その2組が新代田FEVERで2マンというのは今後見れるかわからないような機会である。
・KEYTALK
スタイルがまるっきり違うバンドゆえに入場してステージのセッティングを見るだけでKEYTALKが先攻であるということがわかる。
おなじみの賑々しいSEが流れると、ある意味ではこのライブの主役というか立役者である小野武正(ギター)がハンチング帽を被って先頭で登場して自身の立ち位置である上手のお立ち台の上に立つと、後から登場してきた巨匠(ボーカル&ギター)、首藤義勝(ベース&ボーカル)、八木優樹(ドラム)の3人が武正に抱きつくというこのライブができる喜びを全員で表明する。巨匠が黒いだけに義勝の髪は赤さが際立っている。
するとオープニングナンバーは「OVERTONE」収録の「はじまりの扉」という意外極まりない選曲。確かにタイトル的にはライブのオープニングにうってつけではあるが、大多数を占めていたであろうこのバンドのファンからも悲鳴のごとき歓声が上がる。自分もこの曲をライブで聴くのは初めてだったが、普段からライブに行っている人からしてもそういう感覚なのだろう。八木のドラムを含め、メンバーの演奏は実にアタック感が強く、「ああ、ロックバンドだな」と実感させる。
続く「マスターゴッド」ではボーカルを務める義勝が最後のサビ前のブレイクでピンスポットを浴びると、
「ベース&ボーカルのROYです!」
という偽った自己紹介をして武正と巨匠に突っ込まれる。
「お祭り野郎」を自認するTHE BAWDIESに合わせた選曲かのような「お祭りセンセーション」とフェスなどではまず聴けないロックサイドのレア曲を続けると、
「久しぶりにやる曲を」
と巨匠が言って演奏されたのは「KTEP2」収録の「color」。まだthe band apartフォロワー感が強い頃の曲であるが、ポップな曲も数多くなった今の状態のKEYTALKが演奏することによってバンドの幅の広さを感じさせてくれるものになっている。
「Summer Venus」こそフェスでおなじみの曲であるが、この曲の象徴的なEDMパートではこころなしかいつもよりも打ち込みのサウンドが控えめで、それが小さいライブハウスならではのロック感の強さに繋がっていた。巨匠はやはりパリピサングラスをかけていたけれど、他のメンバーはそのままの状態で演奏。
巨匠はいつものように歌の上手さをしっかりと感じさせてくれる一方で義勝は本調子ではないというか、少し高音部がキツそうに感じたのは義勝が全編に渡ってボーカルを務める「トラベリング」の時だが、その義勝のボーカルを聴いていて、自分が真夜中にスペシャを見ていた時にたまたまこの曲のMVを見たことによってこのバンドに出会ったのだが、その直後にリリースした「TIMES SQUARE」を買ってきて聴いた時に、ボーカルが義勝だけだと思っていたので
「ボーカル全然違うじゃん!」
と巨匠のボーカルを聴いて突っ込んだことを思い出した。あれから9年もの月日が経っているが、この曲の持つきらめきは全く色褪せていないし、ここから客席の盛り上がりはさらに増した印象さえ感じさせた。
気合いが入りすぎているのか、武正がなぜかデスヴォイスのようにコーラスを叫びまくった「YURAMEKI SUMMER」から、その武正が改めて
「ずっと一緒にやりたいねって言ってたんだけど、この前にJIMさんと飲みに行ってようやく一緒にやれるってなって。お互いに結構忙しかったりしたから、
「ライブのタイトルどうする?」
っていう話になった時に
「ジムとタケが呑みに行って決まったライブ」
をとりあえず仮タイトルみたいにして送ったらそれが本当に採用された」
と今回のライブをするに至った経緯を語ると、そのJIMがステージに登場したのだが、白いトレーナーにキャップを後ろに被っている、しかも髭がすごく濃いという出で立ちのため、パッと見では誰だかわからずに客席も微妙なリアクション。
実はこのJIMの服は武正のものであり、JIMに着てもらうように1セット余分に服を持ってきたのだという。そうしてJIMがステージに出てきて何もせずに帰るわけがなく、ギターを手にすると「MONSTER DANCE」をJIMも加えた5人編成で演奏。音が分厚いのは当然のことながら、ダンスロックというよりもはるかにロックンロールな曲に変貌している。ギター1本入るだけでここまで変わるのかとも思うし、逆に考えるとTHE BAWDIESをロックンロールたらしめているのはROYの声だけではなくてあの4人それぞれの演奏が重なるからこそであるということもよくわかる。実はこうしてTHE BAWDIESのメンバーが他のバンドに混じって演奏するというのは貴重な機会である。
JIMとのコラボによってクライマックス感も出てしまったが、まだまだこっからとばかりに「ロトカ・ヴォルテラ」「パラレル」というソリッドなギターロックでさらに加速。いつのまにか義勝のボーカルも先ほどよりも出ているような気がするくらいに生き生きとしてくると、もはやスカパンクと言ってもいいような「アワーワールド」では武正も観客も腕を上下に振るモンキーダンスで踊りまくり。こういう曲も持っているというのは本当に引き出しが多い、器用なバンドだと改めて思う。
巨匠「このFEVERはインディーズの時に30曲ライブっていうワンマンをやった場所で。まだ当時ROCK IN JAPAN FES.に出たことがなくて。同じ日にやったんですけど、
「FEVER STAGEにようこそ!」
って言ったりして(笑)
武正も痩せてたよね〜」
とこの会場での思い出を語ったのだが、その時から7年経って、ロッキンやCDJというフェスでメインステージに立つようになって、そのフェスを担う存在になるということを当時のメンバーたちは想像していたのだろうか。
ちなみにそのワンマンはKEYTALK史上最も過酷なライブだったらしいが、八木は
「俺、あのライブ中にションベン漏らしてました!」
と7年越しの衝撃的な告白。27〜28曲目だったらしく、武正に
「もうちょっと我慢していれば〜」
と言われていたが、トイレに行くことすらできないくらいに過酷なライブだったのだろうか。
そして武正の恒例の「ぺーい」(ROCKIN' ON JAPANの新年会の書き初めで「ぺーいって言わない」って書いてたのに普通に言ってる)のコール&レスポンスからの「太陽系リフレイン」でさらに上げ倒して終えるのかと思いきや、最後に演奏されたのは「Love me」。ライブハウスでの長い持ち時間のKEYTALKは最後までどんな曲で来るのか全く予想できなかった。
今まで自分はKEYTALKのライブをフェスでしか見たことがなかった。それでも回数としてはかなりのライブを見てきただけに、技術も実力もあるバンドであるというのはわかっていたつもりだったのだが、この規模のライブハウスでのライブを見ると、こういう会場でライブをやり続けてきてそこでしっかり勝てるバンドの体力があるからこそ幕張メッセであったりフェスのメインステージに立てるようになったんだな、ということがよくわかる。アイドル的な見られ方をしている部分もあるし、本人たちもそれをわかっていて使っている部分もあるだろうけれど、充分音楽の力だけで勝てるバンドである。
何よりもフェスと全く違うセトリを作れて、どんな時でもキャリアの中のありとあらゆる曲(しかも曲のタイプが本当にバラバラ)を常に演奏できる状態にあるというのは本当に凄い。ライブの本数もかなり多いバンドだけど、毎回行きたくなる気持ちは本当によくわかるし、それはフェスで見ているだけでは絶対にわからなかった部分である。
1.はじまりの扉
2.マスターゴッド
3.お祭りセンセーション
4.color
5.Summer Venus
6.トラベリング
7.YURAMEKI SUMMER
8.MONSTER DANCE feat.JIM
9.ロトカ・ヴォルテラ
10.パラレル
11.アワーワールド
12.太陽系リフレイン
13.Love me
トラベリング
https://youtu.be/Eki5u-DhIjc
・THE BAWDIES
そして後攻のTHE BAWDIES。武道館を終えて新たなシーズンに突入していくことをどんな形で示してくれるか、と思っているとおなじみの「SOUL MAN」のSEで登場したメンバーのうち、先ほどKEYTALKのライブにもゲスト登場したJIMが長かった髪をばっさりと切り、短髪に髭という出で立ちになっている。先ほどはキャップを被っていたので気がつかなかったが、まさかここまで髪が短くなっていたとは。他のメンバーが基本的に見た目がほとんど変わらないためにこれは大きな変化に見える。
「THE BAWDIESでーす!」
とROYが叫ぶと「NO WAY」からスタートし、「SING YOUR SONG」でははやくもコール&レスポンス、さらに「YOU GOTTA DANCE」では飛び跳ねさせまくり、灼熱のロックンロール天国へ。やはりこの日はKEYTALK目当ての人が多かったであろうだけに、客席のノリはこのキャパにしてはそこまで激しくはならなかったのだが、そうしたあまり曲を知らない人たちも「楽しい!」と思ってくれていることが会場の空気や観客の表情からも伝わってくる。
しかしROYはなぜかKEYTALKのことを「キート」というほかに誰も呼んでいない略称で呼びながら、
「今日会場入りする時に、キートのファンであろう若い女の子たちが早くから会場の前にいて。俺のことに気づいてるっぽいんだけど声はかけないみたいな感じで。でも俺は声をかけて欲しいからわざわざ会場入りしてからなんも用がないのにコンビニ行くフリして外に出た(笑)
そしたら女の子2人組が
「服装が好きです!」
って声をかけてくれたんだけど、服装が好きっていうことは顔とか服装以外のことは好きじゃないっていうことなのか!?って思ってしまうんです!(笑)
だってこの前のライブの時にピックを客席に投げたら投げ返されましたからね!(笑)いらないのかよ!っていう(笑)そんなボーカリストいます!?(笑)」
という自虐ネタ(メジャーデビュー直後まではかなりオラついてたが、今はそういうキャラが定着してきたとも言える)で面白いお兄さん的なキャラ(もう36歳だけど)をアピールして笑わせまくった直後に「IT'S TOO LATE」の曲終わりの超ロングシャウトで面白いだけではない、凄まじくカッコいいロックンロールボーカリストの面を見せる。
KEYTALKとは対照的にTHE BAWDIESは基本的にはどんなライブであってもそこまで大きくセトリは変わらないというか、ある程度軸になる代表曲は必ずやるというスタンスである(それでも一切飽きることがないというのはやはり恐ろしいものがあるけれど)のだが、この日はダンサブルに飛び跳ねまくれる「LEAVE YOUR TROUBLES」を演奏したのはKEYTALKを意識したというか合わせたところもあったのだろうか。
「これからも転がり続けていく」
という意志を示して曲に入ろうとするもTAXMANがギターを取り替えていて曲に入れずにもう一度全く同じことを言って、という天然っぷりでまたも笑わせまくっていたのだが、そんな後に演奏された「FEELIN' FREE」はJIMのギターのサウンドがロックンロールの枠を超えたエフェクティブなものになりながらもTHE BAWDIESでしかないロックンロールになっている。そしてやはりこのキャパだからか演奏がさらに前のめりになっていて、それがロックンロールバンドとしての衝動を感じさせる。
武道館では生ストリングス隊を迎えて演奏された「HAPPY RAYS」はこの日はストリングスの音は打ち込みで流すという形だったのだが、もしかしたらストリングスを招いた編成じゃないとライブでやらないんじゃないだろうか?と武道館の時に思ったりしたのでこうして4人だけのライブでも演奏してくれることがわかって一安心。
続く「KEEP YOU HAPPY」との幸福なオーラが会場を包み込むような流れはひたすらにロックンロールを畳み掛けるだけではないTHE BAWDIESのポップな部分、いわばこの日本で生まれて日本で生きてきた4人がTHE SONICSの焼き増しではないバンドであるということを示す大事な部分としてこれからのライブを担っていくようになるはず。もしかしたらそれによって「LEMONADE」であったり「SUNSHINE」であったりはライブで演奏される頻度が減ってしまうかもしれないが。
そして恒例のメンバーによる小芝居へ。この日は丸メガネに赤い蝶ネクタイをつけたJIMが江戸川コナン役(やはりこのライブを決めた立役者なだけに主役)、ROYが毛利小五郎、TAXMANが目暮警部、MARCYは死体役という名探偵コナンの小芝居だったのだが、コナンの常套手段である小五郎を眠らせて自分が推理するために放った麻酔銃を間違えて自分の方に打ってしまってJIMが眠ってしまうと、袖から出てきたのは服部平次役の小野武正。
「せやかて工藤」
という服部の口癖までをもカンペをガン見しながらセリフを喋り切ると、武正もギターで参加した「HOT DOG」のコラボへ。武正はJIMの衣装を着ていたらしいが、その飲み友だちである2人はとなりに並んでギターを弾きまくるという本当に楽しそうな演奏を見せ、2人が本当に普段から仲が良いことを感じさせながら、最高のロックンロールパーティーを演出してみせた。
しかしKEYTALK同様にコラボをしてもまだライブは終わらず、TAXMANがメインボーカルを務める「B.P.B」では間奏でTAXMANが拡声器を持っていつもより長めに煽ってから
「踊りまくれー!」
と叫んでメンバーのテンションも最高潮に。そして最近はクライマックスで演奏されることも多い「JUST BE COOL」で飛び跳ねさせまくると、ラストに演奏されたのはガレージ感溢れるロックンロール「TWISTIN' ANNIE」。この曲中におなじみのウィルソン・ピケット「ダンス天国」のフレーズも使ったコール&レスポンスも展開されるのだが、てっきりアンコールで「KEEP ON ROCKIN'」をやってコール&レスポンスへ、という流れになるかと思っていたのに純粋な2マンゆえにアンコールなし。ゆえにこの曲が最後を担ったわけだが、武道館ではこの曲は演奏されなかった。ポップな曲が多いだけにTHE BAWDIES初心者に最もおすすめできる「Boys!」の中で最も荒々しいこの曲をライブの締めとしてこうしてコール&レスポンス曲にしようとしている。
その姿からは明確に「3回目の武道館を経て新たなシーズンに突入していくTHE BAWDIES」の姿が見えた。武道館に至るまではベストアルバム収録曲がライブのセトリを占めていただけに、その流れも変わるだろうし、何より次のツアーではベストを経ての新曲も演奏されることも宣言している。やはりTHE BAWDIESは転がり続けることをやめない。無傷で10年を迎えることができるバンドは本当に数少ないだけに、その姿は本当に頼もしく感じるし、武道館でROYが言っていたようにこれからもTHE BAWDIESに頼りたくなるのだ。
演奏が終わると恒例の大将ことTAXMANによる「わっしょい」でKEYTALKのメンバーも全員ステージに。この日はせっかくなんでとTAXMANの助手に八木が任命されて「わっしょい」のお手本を見せようとするも、八木が自身の「アス!」のポーズを取ろうとするというアドリブの強さにTAXMANも
「MARCYより八木ちゃんの方が全然良い!」
と気に入っていた様子で最後にはしっかりわっしょいをするとROYはおなじみの
「僕たち普通の男の子に戻ります!」
というKEYTALKファンの若い女子には元ネタが絶対わからないであろうキャンディーズの解散セリフを言ってステージを去った。もう普通の男の子には戻れないくらいにロックンロールな人生しか歩めなくなっているからこそ、またこの日みたいな2マンを見たいのである。
1.NO WAY
2.SING YOUR SONG
3.YOU GOTTA DANCE
4.IT'S TOO LATE
5.LEAVE YOUR TROUBLES
6.FEELIN' FREE
7.ROCK ME BABY
8.HAPPY RAYS
9.KEEP YOU HAPPY
10.HOT DOG feat.小野武正
11.B.P.B
12.JUST BE COOL
13.TWISTIN' ANNIE
HAPPY RAYS
https://youtu.be/GxT1zaOu0EM
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KEYTALKは去年幕張メッセでワンマンを行うまでになったし、THE BAWDIESは年明けに3回目の日本武道館ワンマンを行った。その2組が新代田FEVERで2マンというのは今後見れるかわからないような機会である。
・KEYTALK
スタイルがまるっきり違うバンドゆえに入場してステージのセッティングを見るだけでKEYTALKが先攻であるということがわかる。
おなじみの賑々しいSEが流れると、ある意味ではこのライブの主役というか立役者である小野武正(ギター)がハンチング帽を被って先頭で登場して自身の立ち位置である上手のお立ち台の上に立つと、後から登場してきた巨匠(ボーカル&ギター)、首藤義勝(ベース&ボーカル)、八木優樹(ドラム)の3人が武正に抱きつくというこのライブができる喜びを全員で表明する。巨匠が黒いだけに義勝の髪は赤さが際立っている。
するとオープニングナンバーは「OVERTONE」収録の「はじまりの扉」という意外極まりない選曲。確かにタイトル的にはライブのオープニングにうってつけではあるが、大多数を占めていたであろうこのバンドのファンからも悲鳴のごとき歓声が上がる。自分もこの曲をライブで聴くのは初めてだったが、普段からライブに行っている人からしてもそういう感覚なのだろう。八木のドラムを含め、メンバーの演奏は実にアタック感が強く、「ああ、ロックバンドだな」と実感させる。
続く「マスターゴッド」ではボーカルを務める義勝が最後のサビ前のブレイクでピンスポットを浴びると、
「ベース&ボーカルのROYです!」
という偽った自己紹介をして武正と巨匠に突っ込まれる。
「お祭り野郎」を自認するTHE BAWDIESに合わせた選曲かのような「お祭りセンセーション」とフェスなどではまず聴けないロックサイドのレア曲を続けると、
「久しぶりにやる曲を」
と巨匠が言って演奏されたのは「KTEP2」収録の「color」。まだthe band apartフォロワー感が強い頃の曲であるが、ポップな曲も数多くなった今の状態のKEYTALKが演奏することによってバンドの幅の広さを感じさせてくれるものになっている。
「Summer Venus」こそフェスでおなじみの曲であるが、この曲の象徴的なEDMパートではこころなしかいつもよりも打ち込みのサウンドが控えめで、それが小さいライブハウスならではのロック感の強さに繋がっていた。巨匠はやはりパリピサングラスをかけていたけれど、他のメンバーはそのままの状態で演奏。
巨匠はいつものように歌の上手さをしっかりと感じさせてくれる一方で義勝は本調子ではないというか、少し高音部がキツそうに感じたのは義勝が全編に渡ってボーカルを務める「トラベリング」の時だが、その義勝のボーカルを聴いていて、自分が真夜中にスペシャを見ていた時にたまたまこの曲のMVを見たことによってこのバンドに出会ったのだが、その直後にリリースした「TIMES SQUARE」を買ってきて聴いた時に、ボーカルが義勝だけだと思っていたので
「ボーカル全然違うじゃん!」
と巨匠のボーカルを聴いて突っ込んだことを思い出した。あれから9年もの月日が経っているが、この曲の持つきらめきは全く色褪せていないし、ここから客席の盛り上がりはさらに増した印象さえ感じさせた。
気合いが入りすぎているのか、武正がなぜかデスヴォイスのようにコーラスを叫びまくった「YURAMEKI SUMMER」から、その武正が改めて
「ずっと一緒にやりたいねって言ってたんだけど、この前にJIMさんと飲みに行ってようやく一緒にやれるってなって。お互いに結構忙しかったりしたから、
「ライブのタイトルどうする?」
っていう話になった時に
「ジムとタケが呑みに行って決まったライブ」
をとりあえず仮タイトルみたいにして送ったらそれが本当に採用された」
と今回のライブをするに至った経緯を語ると、そのJIMがステージに登場したのだが、白いトレーナーにキャップを後ろに被っている、しかも髭がすごく濃いという出で立ちのため、パッと見では誰だかわからずに客席も微妙なリアクション。
実はこのJIMの服は武正のものであり、JIMに着てもらうように1セット余分に服を持ってきたのだという。そうしてJIMがステージに出てきて何もせずに帰るわけがなく、ギターを手にすると「MONSTER DANCE」をJIMも加えた5人編成で演奏。音が分厚いのは当然のことながら、ダンスロックというよりもはるかにロックンロールな曲に変貌している。ギター1本入るだけでここまで変わるのかとも思うし、逆に考えるとTHE BAWDIESをロックンロールたらしめているのはROYの声だけではなくてあの4人それぞれの演奏が重なるからこそであるということもよくわかる。実はこうしてTHE BAWDIESのメンバーが他のバンドに混じって演奏するというのは貴重な機会である。
JIMとのコラボによってクライマックス感も出てしまったが、まだまだこっからとばかりに「ロトカ・ヴォルテラ」「パラレル」というソリッドなギターロックでさらに加速。いつのまにか義勝のボーカルも先ほどよりも出ているような気がするくらいに生き生きとしてくると、もはやスカパンクと言ってもいいような「アワーワールド」では武正も観客も腕を上下に振るモンキーダンスで踊りまくり。こういう曲も持っているというのは本当に引き出しが多い、器用なバンドだと改めて思う。
巨匠「このFEVERはインディーズの時に30曲ライブっていうワンマンをやった場所で。まだ当時ROCK IN JAPAN FES.に出たことがなくて。同じ日にやったんですけど、
「FEVER STAGEにようこそ!」
って言ったりして(笑)
武正も痩せてたよね〜」
とこの会場での思い出を語ったのだが、その時から7年経って、ロッキンやCDJというフェスでメインステージに立つようになって、そのフェスを担う存在になるということを当時のメンバーたちは想像していたのだろうか。
ちなみにそのワンマンはKEYTALK史上最も過酷なライブだったらしいが、八木は
「俺、あのライブ中にションベン漏らしてました!」
と7年越しの衝撃的な告白。27〜28曲目だったらしく、武正に
「もうちょっと我慢していれば〜」
と言われていたが、トイレに行くことすらできないくらいに過酷なライブだったのだろうか。
そして武正の恒例の「ぺーい」(ROCKIN' ON JAPANの新年会の書き初めで「ぺーいって言わない」って書いてたのに普通に言ってる)のコール&レスポンスからの「太陽系リフレイン」でさらに上げ倒して終えるのかと思いきや、最後に演奏されたのは「Love me」。ライブハウスでの長い持ち時間のKEYTALKは最後までどんな曲で来るのか全く予想できなかった。
今まで自分はKEYTALKのライブをフェスでしか見たことがなかった。それでも回数としてはかなりのライブを見てきただけに、技術も実力もあるバンドであるというのはわかっていたつもりだったのだが、この規模のライブハウスでのライブを見ると、こういう会場でライブをやり続けてきてそこでしっかり勝てるバンドの体力があるからこそ幕張メッセであったりフェスのメインステージに立てるようになったんだな、ということがよくわかる。アイドル的な見られ方をしている部分もあるし、本人たちもそれをわかっていて使っている部分もあるだろうけれど、充分音楽の力だけで勝てるバンドである。
何よりもフェスと全く違うセトリを作れて、どんな時でもキャリアの中のありとあらゆる曲(しかも曲のタイプが本当にバラバラ)を常に演奏できる状態にあるというのは本当に凄い。ライブの本数もかなり多いバンドだけど、毎回行きたくなる気持ちは本当によくわかるし、それはフェスで見ているだけでは絶対にわからなかった部分である。
1.はじまりの扉
2.マスターゴッド
3.お祭りセンセーション
4.color
5.Summer Venus
6.トラベリング
7.YURAMEKI SUMMER
8.MONSTER DANCE feat.JIM
9.ロトカ・ヴォルテラ
10.パラレル
11.アワーワールド
12.太陽系リフレイン
13.Love me
トラベリング
https://youtu.be/Eki5u-DhIjc
・THE BAWDIES
そして後攻のTHE BAWDIES。武道館を終えて新たなシーズンに突入していくことをどんな形で示してくれるか、と思っているとおなじみの「SOUL MAN」のSEで登場したメンバーのうち、先ほどKEYTALKのライブにもゲスト登場したJIMが長かった髪をばっさりと切り、短髪に髭という出で立ちになっている。先ほどはキャップを被っていたので気がつかなかったが、まさかここまで髪が短くなっていたとは。他のメンバーが基本的に見た目がほとんど変わらないためにこれは大きな変化に見える。
「THE BAWDIESでーす!」
とROYが叫ぶと「NO WAY」からスタートし、「SING YOUR SONG」でははやくもコール&レスポンス、さらに「YOU GOTTA DANCE」では飛び跳ねさせまくり、灼熱のロックンロール天国へ。やはりこの日はKEYTALK目当ての人が多かったであろうだけに、客席のノリはこのキャパにしてはそこまで激しくはならなかったのだが、そうしたあまり曲を知らない人たちも「楽しい!」と思ってくれていることが会場の空気や観客の表情からも伝わってくる。
しかしROYはなぜかKEYTALKのことを「キート」というほかに誰も呼んでいない略称で呼びながら、
「今日会場入りする時に、キートのファンであろう若い女の子たちが早くから会場の前にいて。俺のことに気づいてるっぽいんだけど声はかけないみたいな感じで。でも俺は声をかけて欲しいからわざわざ会場入りしてからなんも用がないのにコンビニ行くフリして外に出た(笑)
そしたら女の子2人組が
「服装が好きです!」
って声をかけてくれたんだけど、服装が好きっていうことは顔とか服装以外のことは好きじゃないっていうことなのか!?って思ってしまうんです!(笑)
だってこの前のライブの時にピックを客席に投げたら投げ返されましたからね!(笑)いらないのかよ!っていう(笑)そんなボーカリストいます!?(笑)」
という自虐ネタ(メジャーデビュー直後まではかなりオラついてたが、今はそういうキャラが定着してきたとも言える)で面白いお兄さん的なキャラ(もう36歳だけど)をアピールして笑わせまくった直後に「IT'S TOO LATE」の曲終わりの超ロングシャウトで面白いだけではない、凄まじくカッコいいロックンロールボーカリストの面を見せる。
KEYTALKとは対照的にTHE BAWDIESは基本的にはどんなライブであってもそこまで大きくセトリは変わらないというか、ある程度軸になる代表曲は必ずやるというスタンスである(それでも一切飽きることがないというのはやはり恐ろしいものがあるけれど)のだが、この日はダンサブルに飛び跳ねまくれる「LEAVE YOUR TROUBLES」を演奏したのはKEYTALKを意識したというか合わせたところもあったのだろうか。
「これからも転がり続けていく」
という意志を示して曲に入ろうとするもTAXMANがギターを取り替えていて曲に入れずにもう一度全く同じことを言って、という天然っぷりでまたも笑わせまくっていたのだが、そんな後に演奏された「FEELIN' FREE」はJIMのギターのサウンドがロックンロールの枠を超えたエフェクティブなものになりながらもTHE BAWDIESでしかないロックンロールになっている。そしてやはりこのキャパだからか演奏がさらに前のめりになっていて、それがロックンロールバンドとしての衝動を感じさせる。
武道館では生ストリングス隊を迎えて演奏された「HAPPY RAYS」はこの日はストリングスの音は打ち込みで流すという形だったのだが、もしかしたらストリングスを招いた編成じゃないとライブでやらないんじゃないだろうか?と武道館の時に思ったりしたのでこうして4人だけのライブでも演奏してくれることがわかって一安心。
続く「KEEP YOU HAPPY」との幸福なオーラが会場を包み込むような流れはひたすらにロックンロールを畳み掛けるだけではないTHE BAWDIESのポップな部分、いわばこの日本で生まれて日本で生きてきた4人がTHE SONICSの焼き増しではないバンドであるということを示す大事な部分としてこれからのライブを担っていくようになるはず。もしかしたらそれによって「LEMONADE」であったり「SUNSHINE」であったりはライブで演奏される頻度が減ってしまうかもしれないが。
そして恒例のメンバーによる小芝居へ。この日は丸メガネに赤い蝶ネクタイをつけたJIMが江戸川コナン役(やはりこのライブを決めた立役者なだけに主役)、ROYが毛利小五郎、TAXMANが目暮警部、MARCYは死体役という名探偵コナンの小芝居だったのだが、コナンの常套手段である小五郎を眠らせて自分が推理するために放った麻酔銃を間違えて自分の方に打ってしまってJIMが眠ってしまうと、袖から出てきたのは服部平次役の小野武正。
「せやかて工藤」
という服部の口癖までをもカンペをガン見しながらセリフを喋り切ると、武正もギターで参加した「HOT DOG」のコラボへ。武正はJIMの衣装を着ていたらしいが、その飲み友だちである2人はとなりに並んでギターを弾きまくるという本当に楽しそうな演奏を見せ、2人が本当に普段から仲が良いことを感じさせながら、最高のロックンロールパーティーを演出してみせた。
しかしKEYTALK同様にコラボをしてもまだライブは終わらず、TAXMANがメインボーカルを務める「B.P.B」では間奏でTAXMANが拡声器を持っていつもより長めに煽ってから
「踊りまくれー!」
と叫んでメンバーのテンションも最高潮に。そして最近はクライマックスで演奏されることも多い「JUST BE COOL」で飛び跳ねさせまくると、ラストに演奏されたのはガレージ感溢れるロックンロール「TWISTIN' ANNIE」。この曲中におなじみのウィルソン・ピケット「ダンス天国」のフレーズも使ったコール&レスポンスも展開されるのだが、てっきりアンコールで「KEEP ON ROCKIN'」をやってコール&レスポンスへ、という流れになるかと思っていたのに純粋な2マンゆえにアンコールなし。ゆえにこの曲が最後を担ったわけだが、武道館ではこの曲は演奏されなかった。ポップな曲が多いだけにTHE BAWDIES初心者に最もおすすめできる「Boys!」の中で最も荒々しいこの曲をライブの締めとしてこうしてコール&レスポンス曲にしようとしている。
その姿からは明確に「3回目の武道館を経て新たなシーズンに突入していくTHE BAWDIES」の姿が見えた。武道館に至るまではベストアルバム収録曲がライブのセトリを占めていただけに、その流れも変わるだろうし、何より次のツアーではベストを経ての新曲も演奏されることも宣言している。やはりTHE BAWDIESは転がり続けることをやめない。無傷で10年を迎えることができるバンドは本当に数少ないだけに、その姿は本当に頼もしく感じるし、武道館でROYが言っていたようにこれからもTHE BAWDIESに頼りたくなるのだ。
演奏が終わると恒例の大将ことTAXMANによる「わっしょい」でKEYTALKのメンバーも全員ステージに。この日はせっかくなんでとTAXMANの助手に八木が任命されて「わっしょい」のお手本を見せようとするも、八木が自身の「アス!」のポーズを取ろうとするというアドリブの強さにTAXMANも
「MARCYより八木ちゃんの方が全然良い!」
と気に入っていた様子で最後にはしっかりわっしょいをするとROYはおなじみの
「僕たち普通の男の子に戻ります!」
というKEYTALKファンの若い女子には元ネタが絶対わからないであろうキャンディーズの解散セリフを言ってステージを去った。もう普通の男の子には戻れないくらいにロックンロールな人生しか歩めなくなっているからこそ、またこの日みたいな2マンを見たいのである。
1.NO WAY
2.SING YOUR SONG
3.YOU GOTTA DANCE
4.IT'S TOO LATE
5.LEAVE YOUR TROUBLES
6.FEELIN' FREE
7.ROCK ME BABY
8.HAPPY RAYS
9.KEEP YOU HAPPY
10.HOT DOG feat.小野武正
11.B.P.B
12.JUST BE COOL
13.TWISTIN' ANNIE
HAPPY RAYS
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