LUNATIC FEST.2018 day1 @幕張メッセ 6/23
- 2018/06/24
- 13:53
我々の世代からするとGLAYやラルクのさらに上にいて、大ヒット曲を連発していた巨大な存在のバンドであり、メンバー各々のソロ活動からもそれぞれの確かな技術と音楽的趣向があるバンドであることを知ってはいるが、まさかフェスを開催し、しかもこんなにも全くジャンルも世代も違うアーティストが集結するとは、というLUNA SEA主催のLUNATIC FEST.。実に3年ぶりの開催である。
今年も2日間開催であり、初日のこの日は
LUNA SEA
GLAY
DIR EN GREY
SID
GLIM SPANKY
back number
ACE OF SPADES
The BONEZ
女王蜂
coldrain
LUNACY (オープニングアクト)
というまるっきりバラバラなアーティストが集結。
幕張メッセの1~6ホールを使用するというかなり大規模なエリア作りで、4~6ホールは飲食ブースと物販エリア、1~3ホールがライブエリア。ステージはMOTHER STAGEとMOON STAGEの2つで、ステージエリアの両サイドに向かい合わせで設営されている。CDJのEARTH STAGEの向かい側にもう一つステージがあると思えばわかりやすいだろうか。
11:00~ LUNACY [MOTHER STAGE]
MTVなどでもおなじみのBooによる前説の後に登場したのは、両日のオープニングアクトであるLUNACY。LUNA SEAの初期名義のバンドである。
1人ずつメンバーがステージに登場すると、河村隆一と真矢のバラエティ番組などでもおなじみの姿や、JとINORANの中堅ロックバンドのアニキ的な存在(2人はソロでもロックフェスによく出演している)とはまるっきり違う、ダークかつ退廃的な、ザ・V系と言える出で立ち。そんな中でSUGIZOは普段となんら変わらないように見える。
ツービートのストレート、しかも若い頃の曲ならではの勢いも感じさせる「SHADE」「SYMPTOM」というあたりは大ブレイク後のLUNA SEAのイメージとは全く違う、サウンドもダークなV系のパブリックイメージ通りのものと言える。
RYUICHIのボーカルもポップさよりも妖艶さを強く感じさせるものになっているが、それを最も感じられたのが長尺曲の「NIGHTMARE」。それぞれのパートが終わると1人ずつステージから去っていき、最後に残ったJのベース音だけが響くというスタイルも、全く客席とコミュニケーションを取らない様も徹底してLUNACYを演じているという感じがするが、わずか3曲だけのオープニングアクトにしては鮮烈過ぎる印象を残したし、LUNA SEAのファンの人には実に嬉しいライブだったであろう。
オープニングアクトを自ら務めることで、朝イチから参加者を集めるという手法もとてもベテランとは思えないアグレッシブな姿勢。
1.SHADE
2.SYMPTOM
3.NIGHTMARE
NIGHTMARE
https://youtu.be/Uj3Fz-v6cHw
11:25~ coldrain [MOON STAGE]
オープニングアクトを除いたトップバッターはcoldrain。果たしてラウド系のバンドはこのフェスに来る人たちにどう受け止められるのか、というのが若干心配でもあったが、いざライブが始まってみるとそんな心配は杞憂であったことがすぐにわかるくらいのアウェー感のなさ。
それは前回もこのフェスに出ているから(Masatoはそのことを胸を張って語っていた)でもあるだろうが、1番はやはり世界中のどんな場所のどんなライブでも100%以上の力を発揮するために魂を燃やし尽くそうというメンバーのパフォーマンスによるもの。今やV系に括られるバンドにもラウドなサウンドのバンドが多数いるだけに、王道のラウドバンドであるcoldrainのサウンドは馴染みやすいものであるというのもあると思われるが、やはりライブの地力がものすごく高いからこそ、このバンドは武道館でもワンマンができるような存在になったのである。
この日は背面のモニターにバンドの世界観を可視化したかのような映像も使っていたが、もはや持ち時間30分は短過ぎるし、いつかこの場所でこのバンドのワンマンを見てみたいと思うくらいのスケールの大きさを持っている。メンバーによるサウンドの重さと立ち位置を変えながらの見事なコンビネーションはもちろん、RYUICHIの直後に見ても圧倒されるくらいのデスボイスと伸びやかな歌声を使い分けるMasatoのボーカルも含めて。
1.TO BE ALIVE
2.ENVY
3.24-7
4.GONE
5.NO ESCAPE
6.The Revelation
ENVY
https://youtu.be/2teepAfDrXI
12:05~ 女王蜂 [MOTHER STAGE]
揃いの衣装でサポートキーボードを含めたメンバーが登場すると、場内の空気が一変した、女王蜂。アヴちゃんはこのフェスのオフィシャルTシャツを着て登場。
オープニングからこのフェスの空気感はダークなものだったが、このバンドの持つダークさはそれまでのものとは全く違い、都会の猥雑さを感じさせるようなダークさ。それはダンサブルな楽曲から発せられるものでもあるのだが、やはりアヴちゃんが描く歌詞とこのバンド独特の雰囲気や世界観から醸成されるものである。
早くもアヴちゃんがTシャツを脱ぎ捨てて戦闘モードに入ると、「売春」からは1人二役的な、ファルセットボイスと地声を使い分けていくのだが、
「前に氣志團万博でやった、一夜限りの奇跡のコラボ。もう一回見たい?」
と言うと、なんとLUNA SEAのJがスペシャルゲストとしてステージに登場。やしちゃんとのツインベースで「デスコ」を演奏するのだが、ダンサブルなこの曲がロックンロール感を増すのは、LUNA SEAのメンバーの中でもソロで己のロック道を追求してきたJだからこそであろう。
そして最新曲「HALF」は、いわゆる普通ではないアイデンティティを有するアヴちゃんだからこそ描ける歌詞の、ジャズやR&Bを通過したサウンドによるダンスミュージック。自身のアイデンティティをこれほど見事に自分たちの音楽にできるバンドもそうそういない。女王蜂にしか作れない曲だ。
ラストはデビュー時に衝撃を与えた、学校という社会の闇を告発するかのような「告げ口」。あまりにも強烈過ぎるし濃密すぎる世界観であるがゆえに、目を背けたり耳を逸らしたりしたくなる人もいるかもしれないが、これこそが女王蜂の描く世界である。万人に受け入れられることはなくても、このバンドに救われる人は必ずいる。かつてのメンバー自身のように。
1.金星
2.ヴィーナス
3.売春
4.デスコ w/ J
5.HALF
6.告げ口
HALF
https://youtu.be/tU6ToAYvz1g
12:45~ The BONEZ [MOON STAGE]
RIZEのJESSE率いるThe BONEZが、一見ほぼ接点がなさそうに見えるこのフェスに登場。SEが鳴り始めてすぐにステージにメンバー4人が登場すると、現在絶賛ツアー中だからということもあってか、先月リリースされたばかりの最新アルバム「WOKE」の収録曲の連発で、バンドの最新モードを見せつける。
coldrain同様にラウドではあるのだが、The BONEZはラウドでありながらもパンク性が強い。それは「WOKE」の中ではJESSEがハンドマイクでシャウトし、暴れまくる「Rude Boy」に最も顕著である。
「俺たちをこのフェスに誘ってくれた人。ライブハウスで対バンしたこともある、J!」
とJESSEが叫ぶと、女王蜂に続いてまたもJがステージに登場。今度はステージ両サイドの通路を走ったりしながら、ベースだけならずコーラスまでも務めるという活躍っぷり。しかしこうした姿からは、本当に好きだからこのバンドを呼んでいる、というのが実によくわかる。わざわざ曲を演奏できるようになるくらいの主催バンドもなかなかいない。
「俺には娘がいて。息子も生まれたんだけど、父親としてカッコいい存在でいたい。体にお絵描きたくさんしてるけど、これで娘の学校のPTA役員やってるし(笑)
そういうところで自分の職業を「ミュージシャン」っていうんじゃなくて、「バンドマン」であり続けたい。ハイエースっていう船をずっと漕いで旅していたいんだ」
とJESSEがバンドマンとしての誇りを語ると、「Suntown」でステージを飛び降りて客席に突入し、ダイバーたちの思いを全て受け止めるように歌い、ラストは「Thread & Needle」で大合唱を巻き起こした。
決してこのバンドを知ってる人ばかりではない、というかかなりのアウェーっぷりである。しかしそんな状況でもこのメンバーでステージに上がって演奏すれば、まるで主役であるかのようにその場を掻っ攫っていく。それはJESSEの人間力によるものが大きいが、そもそもがPay money To my PainのT$UYO$HIとZAXをまたステージに立たせたいという思いから始まった、人間ありき、このメンバーだからこそのバンドなのである。
1.Until you wake up
2.Bird ~people with wings~
3.Rude Boy
4.Hey,You w/ J
5.SUNTOWN
6.Thread & Needle
Until you wake up
https://youtu.be/mDmfyUmSvU8
13:25~ ACE OF SPADES [MOTHER STAGE]
EXILEのTAKAHIRO、GLAYのHISASHI、元RIZEのTOKIE、THE MAD CAPSULE MARKETSのMOTOKATSUという、「どんな組み合わせなんだ!」と突っ込まざるを得ないようなバンドである。そもそもは期間限定で活動するつもりだったらしいが、こうして不定期で今も活動している。
やはりというか何というか、このメンバーなだけにサウンドは実にハード&ラウドなロック。「いくらなんでもリズム隊強すぎじゃない?」というくらいに、TOKIEもMOTOKATSUも年齢を重ねても一切衰えがないどころか、さらに進化している感すらある恐ろしさ。TOKIEはどんなベースの弾き方をしているのか。
となるとTAKAHIROとHISASHIはこのリズム隊に勝てるのか、というのが気になるところだが、HISASHIはハードロックなギターサウンドを全開にし、リズム隊と見事に渡り合っている。TAKUROというコンポーザーにしてギタリストと同居しているGLAYよりもギタリストとしての役割は大きい。
TAKAHIROはやはりこうしたロックバンドのサウンドに声が乗るのはやや違和感がある(かなり緊張していたようにも見える)のだが、歌の上手さはさすがEXILEのボーカルであると思わざるを得ない。
するとスペシャルゲストとして、今回はINORANが登場し、HISASHIとのツインギターで「Louder」を披露。GLAYとLUNA SEAのギタリストが肩を並べて演奏しているというのは絵面だけでも非常に豪華。この共演の意味の深さまでは自分にはわからないが、両者のファンからしたら忘れられない光景だったんじゃないだろうか。
ロックシンフォニーと言えるような壮大な曲を連発してライブを締めたが、やはりリズム隊があまりにも強すぎて、歌詞がイマイチ頭に入ってこない。TAKAHIROが歌うのを前提にしている言葉選びなのかもしれないが、もう少し刺さるようなフレーズが欲しいと思うのは欲張りなんだろうか。
1.WILD TRIBE
2.TIME FLIES
3.Looking for
4.Louder w/ INORAN
5.SIN
6.JUST LIKE HEAVEN
WILD TRIBE
https://youtu.be/qhPOppyR7dk
14:05~ back number [MOON STAGE]
「バンドである」という以外にLUNA SEAとの共通点がないように思える、back number。ラインアップだけを眺めていると、最もアウェー感を感じざるを得ないバンドである。
サポートギター2人とサポートキーボードを加えた6人編成で登場すると、
「踊ろうぜー!」
と清水が叫び、「青い春」「MOTTO」というアグレッシブなロックサウンドで、ラブソングのバンドというこのバンドのイメージを塗り替えるような衝撃を初見の観客に与える。この辺りの先制パンチは考えたであろうことがわかる。
しかし一転してあまりに季節外れな「クリスマスソング」からは、清水のボーカルを軸にした大ヒット曲を連発。おそらく他のフェスやイベントだったらこの時期にやらないであろうこの曲を演奏したのは、自分たちがこのフェスの中でアウェーな存在であることをわかっていて、その中で「どうやって自分たちの存在をアピールするか?」と考えた末に出たのが「自分たちの1番の武器を使う」という選択だったのだと思う。もちろんその武器は曲である。
先にライブをやった女王蜂のアヴちゃんや、The BONEZのJESSEに比べると、清水はロックスターとしてのオーラは全くない。だがそんな男がアリーナクラスを即完させるようになった理由はなんなのか。やはりそれも曲なのである。スーパースターにはなれなくても、たくさんの人の心に寄り添うことができるというのを清水の姿は証明している。
「もっともっといいボンドになって…。
いいボンドってなんだ(笑)007か(笑)
こういう時に噛まないような、いいバンドになってまた帰ってきたいと思います」
という清水の言葉からは、大規模なロックフェスにおいてはメインステージのトリを務めるレベルのバンドになってもまだ自分たちの音楽を届けたいという意志を感じさせた。
ちなみにベースの小島はLUNA SEAに憧れてベースを始めたらしいので、そこをMCで強調すれば良かったのに、とも思うが、あくまで曲で勝負するというのがこのバンドらしい。
1.青い春
2.MOTTO
3.クリスマスソング
4.瞬き
5.SISTER
6.高嶺の花子さん
クリスマスソング
https://youtu.be/JfgOjtq440o
15:00~ GLIM SPANKY [MOTHER STAGE]
back number同様に、「LUNA SEAのフェス」という状況としてはかなりのアウェーであろうGLIM SPANKY。
SEが鳴ってメンバーが登場すると、亀本は両手を上に上げながら小走りしたりと、非常にテンションが高く、やはりギター小僧としては音楽性は全く異なれど、LUNA SEAから多大な影響を受けていることがわかる。
松尾レミのハスキーボイスが幕張メッセいっぱいに広がって行く「アイスタンドアローン」、民族音楽的な打ち込みも使った「END ROLL」と、この日唯一のロックンロールとブルースを響かせ、どんな場所や状況であっても自分たちのやりたい音楽を貫くという姿勢は全く変わらない。
アッパーな「怒りをくれよ」のあとに深く潜っていくような「闇に目を凝らせば」をやるというあたりも他のフェスの時となんら変わらない姿であるが、
「私たちがデビューした直後くらいに、なぜかSUGIZOさんがライブ見にきてくれて。そこからよく見にきてくれたり、テーム・インパラっていうオーストラリアのインディバンドのライブを見に行ったらSUGIZOさんも見に来ててご挨拶したり。今でも若いバンドの音楽に興味を持ってらっしゃるのが本当にすごいな、って」
と、このステージに立っているのはSUGIZOとの出会いがあったからであることを話すと、スペシャルゲストとしてそのSUGIZOがステージに登場し、亀本とのツインギターで「愚か者たち」を演奏するのだが、間奏とアウトロではLUNA SEAの姿からは想像できないほどに、チョーキングしまくりの、ロックンロールとブルースの魔物に取り憑かれた男としてのSUGIZOの姿を見ることができる。そのSUGIZOと並んでギターを弾く亀本の本当に嬉しそうな顔と、
「よく言う、昔の自分に教えてあげたいってこういう時のことを言うんだな」
という感慨はこれからのバンドの活動において大きな財産になるはず。
そしてラストはやはり大名曲ブルース「大人になったら」。この日の観客は大人ばかりだが、みんな「この世のすべて」も社会のことも人生もまだわからない、ただただ好きな音楽のことしかわからないような大人たちなのかもしれない。それは客席だけじゃなくてステージに立っている人たちも含めて。
1.アイスタンドアローン
2.END ROLL
3.怒りをくれよ
4.闇に目を凝らせば
5.愚か者たち w/ SUGIZO
6.大人になったら
愚か者たち
https://youtu.be/wCf7xEDuh30
16:25~ DIR EN GREY [MOTHER STAGE]
それまでのお祭り的な狂騒感はこのバンドのメンバーが登場すると一変してしまう。明らかに空気や雰囲気がそれまでとは全く違う。もちろんLUNA SEAを祝いに来ているのだが、それ以上に現実を直視するかのように。
京は白いシャツに黒いズボン、うっすらと白く顔を塗っているようにも見えるが、それ以上に真っ赤な口紅が目を惹く。その京がシャウトしまくり、スクリーンにはカニバリズムを想起させるような映像が映る「人間を被る」から、監禁された女性の映像や、虫が蠢くような映像など、目を背けたくなるようなグロい、完全に放送できないような映像の数々。
しかしそれらはただ過激なことをやって話題になりたいからとかでは全くない。映像を前に轟音を鳴らすメンバーと、喉が裂けるんじゃないかと思ってしまうくらいにシャウトを繰り返す京の姿からは、そうしたグロさや陰惨さもまた人や社会や世界の真実であるということを感じさせる。
そこに美しいメロディと詩の新曲「Rununculus」が挟まれ、戦時中の衝撃的な映像が次々とスクリーンに映る「VINUSHKA」で京は
「ここが真実だ!」
と叫ぶ。なぜ音楽を、このバンドをやっていて、なぜこのサウンドとボーカルスタイルなのか、なぜこうした映像を使っているのか。その全てに完璧に統一された意志がある。音楽で、バンドで表現したいことや変えたいことがある。それがライブを見ているとダイレクトに伝わってくるから、普段なら見たくないような映像を見た後でも、ライブが終わったあとに感動して体が震えている自分がいた。
フェスに向いているかというとやはりそうではないのかもしれないが、それはこのバンドがフェスの空気を自分たちのものに塗り替えてしまうからでもある。
1.人間を被る
2.SUSTAIN THE UNTRUTH
3.THE FINAL
4.audience KILLER LOOP
5.Ranunculus
6.孤独に死す、故に孤独。
7.VINUSHKA
8.詩踏み
人間を被る
https://youtu.be/nvxH4Mo4l5s
17:15~ GLAY [MOON STAGE]
3年前に続いての出演となるGLAY。全盛期をリアルタイムで見ている世代としては、LUNA SEAの後輩ではあれど、未だにLUNA SEA以上に巨大な存在のバンドであるイメージである。
メンバーが登場すると、「こんなに声高かったっけ!?」と思うくらいに超ハイテンションなTERUが観客を煽りまくってから、1999年にビデオシングルという超異例な形でリリースされた大ヒット曲「サバイバル」でスタート。TAKUROはハットを被りながらギターを弾いているが、HISASHIとともにステージ両サイドまで動きながらというアグレッシブさ。
しかしながら以前にチャットモンチーとの対バンで見た時にも感じたことだが、当時は「J-POPなバンド」という意識でしか見ていなかったGLAYは、ライブを見ると実にハードロック色が強いバンドであることがわかるし、そうしたハードロックをJ-POPのフィールドで鳴らそうとしていたバンドであるというように認識も変わる。やはり実際に見てみないとわからないこともある。
「出演者のみなさんが本当に熱いライブをしてくださってバトンを繋いでくれたんで、トリ前っていう大事な位置を任せてくれたLUNA SEA先輩にいい形でバトンを渡したいなと。そのために我々GLAYが盛り上げまくっていきますので。
デビュー24年経ちまして、昔から聴いてくださってる方もいるかもしれないし、お父さんやお母さんが聴いていたっていう若い人もいるかもしれません。そんな我々のバラードを2曲続けて聴いていただきたいと思います」
と、大物ぶっても誰も文句を言わないような位置にいるはずなのに、なんでここまで謙虚過ぎるくらいに謙虚なんだろうかというTERUのMCのあとに演奏されたのは、最大のヒット曲「HOWEVER」。スクリーンには歌詞が映し出されていたが、歌詞を見なくても歌えるくらいにこの曲が自分の頭や記憶の中に染み付いている。決して好きなバンドではなかったのに、GLAYの曲が確かに自分の過去を形成している。
そして「BELOVED」では先ほどACE OF SPADESでのライブを終えた、EXILEのTAKAHIROが登場し、TERUとボーカルを分け合う形で歌うというコラボを展開。
「一つ、大きな夢が叶いました」
というTAKAHIROもまた幼少の頃にGLAYを聴いて育ってきたのだろう。
GLAYはどうやら雨バンドらしいが、HISASHIが
「今日も安定の雨です(笑)でも今日は心強い味方がいる。coldrainだ!コラボとかはしないけど(笑)
でも今日はスレイヴのみなさんも、セレブのみなさんも、ディルアングレイのファンのみなさんも、ただのグレイのファンのみなさんも、一緒に最後まで楽しんでいきましょう!」
とウケてるのかスベってるのかよくわからないMCをしてから、近年のGLAYの曲では最大級の話題を呼んだ「シン・ゾンビ」を演奏するのだが、間奏部分ではいきなり「LUNA SEA LEGEND SERIES」と題して、LUNA SEA「FATE」のカバーを盛り込むというサービスっぷり。本当にLUNA SEAをリスペクトしている気持ちは今も全く変わっていないのだろう。
JIROメインボーカルの「SHUTTER SPEEDSのテーマ」ではSIDのベースの明希が、「彼女の”Modern…”」では遊びに来ていたところを引っ張り出されたEXILEのNESMITHがゲストとして登場するなど、GLAYに影響を受けた若手と次々にコラボするお祭り状態に。
そのお祭りのトドメとばかりに登場したのは、次にライブを控えているLUNA SEAのSUGIZO。トリプルギター編成で「誘惑」を演奏するのだが、TAKUROとSUGIZOの並んで演奏している姿は今でも現実だったのだろうかと思ってしまう。
そしてラストは「XYZ」でアッパーに締め、自分たちに望まれていること、期待されていることをしっかりやりながらサプライズをたくさん見せてくれるという、GLAYの底力を改めて実感した。
しかし、リリースすれば毎作100万枚CDが売れていた全盛期に中学生だった頃、GLAYが全然好きじゃなかった。でも当時の曲を聴くと歌詞が全部頭に浮かんでくるし、当時の同級生たちの顔も浮かんでくる。デビューから24年間、ずっと続けてきたバンドの、愛しさの意味を知る。
1.サバイバル
2.coyote,colored darkness
3.VERB
4.HOWEVER
5.BELOVED w/ TAKAHIRO
6.シン・ゾンビ ~ FATE
7.COME ON!!
8.SHUTTER SPEEDSのテーマ w/ 明希
9.彼女の”Modern…” w/ ネスミス
10.誘惑 w/ SUGIZO
11.XYZ
HOWEVER
https://youtu.be/gPcPseeICjs
18:30~ LUNA SEA [MOTHER STAGE]
そして初日のトリ、主催者のLUNA SEAがいよいよ登場。オープニングアクトも務め、様々な出演者ともコラボするなど、年齢を全く感じさせないフル稼動っぷりである。
やはり黒い衣装をまといながらもLUNACYとは違う、今のLUNA SEAとしての姿で登場すると、「Hold You Down」からスタート。LUNACYの時もそうだったが、やはりRYUICHIはすごく歌が上手い。おそらくその粘っこい歌唱法はかなり好き嫌いは分かれるとは思われるが、声量も年齢を全く感じさせない。3年前のこのフェスの映像を見ると「太った?」と思ったりもしていたが、体つきも実にシャープで、ソロ活動をし始めた頃(もう20年くらい前)となんら変わっていないように見える。
INORANが前に出てきてギターリフを弾き始めた「TONIGHT」と前半はやはりアッパーにかっ飛ばしていき、SUGIZOのギターソロも存分に堪能できるが、ある意味このバンドの真価は「Gravity」以降のダークな世界観のスローな曲の方に現れているのかもしれない。「闇火」ではINORANがアコースティックギターでSUGIZOがバイオリンという編成から通常のバンド形態に戻るという壮大な物語を展開する。
「みんなに感謝を込めて」
とRYUICHIが一言言っての「I for you」も含め、主催者とはいえ、フェスの舞台でこんなにもバラードやスローな曲を連発できるようなバンドが他にいるだろうか。RYUICHIも実に気持ちよさそうに歌っている。
炎や煙などの特効を使いまくる「DESIRE」からは後半戦へ。観客も一緒にコーラスを叫ぶ「TIME IS DEAD」ではスクリーンに演奏する5人の姿が映し出され、確かにこの5人によるバンドであることを感じさせると、SUGIZOは風を全身で受けながらギターを弾きまくり、さらにテンションとグルーヴは増していき、もはやバンドの代名詞的な曲としてよくカバーされている「ROSIER」から最後は銀テープが客席に放たれた「WISH」と、やはり怒涛のキラーチューン連発での大団円となったのだった。
しかしながらやたらと大掛かりなアンコール待ちの間のスタッフによる転換作業。5人だけでやるならそんなに時間かからないのでは?と思っていたら、やはりアンコールでは出演者総登場のコラボ。
coldrainのR×Y×O
The BONEZのJESSE、ZAX、T$UYO$HI
ACE OF SPADES
back numberの小島
GLIM SPANKYの亀本
SID
DIR EN GREYの薫、Die
GLAY
という錚々たるメンバーが参加しての「BELIEVE」の大セッション。しかもドラムはかつて真矢のローディーを務めていたSIAM SHADEの淳士にいつの間にか変わっている。
それぞれのパートが集結し、RYUICHI、TERU、TAKAHIRO、マオによるマイクリレーや、HISASHIとSUGIZOによるギターソロ、JIRO、小島、明希がJの横に一列に並んでのベース、最後にはやはり真矢に戻り、その周りをドラマーが囲んだりと、参加者のLUNA SEAへの愛とリスペクトと笑顔に溢れたセッションであった。
演奏終了後にはLUNA SEAのメンバー5人が残り、観客を背にしての写真撮影。ライブ中はMCでも決して笑いを取るようなことをしないRYUICHIも実にリラックスした、朗らかな表情で初日は終了した。
自分はLUNA SEAが解散したり再結成したりといういきさつを全て詳しく知っているわけではないし、リユニオン前のLUNA SEAのライブを見たことがない。でもきっと、今日みたいに、ただただカッコいいロックバンドのライブだったんだと思う。例えば9mm Parabellum Bulletやアルカラというロックバンドたちがこのバンドの影響を受けたのもよくわかるし、
「このフェスをやるって決めた時に、みんなで何度もミーティングをして、このバンドを呼んだらいいんじゃないか、とか、このバンドを俺は呼びたい!って話して誘って」
というように、LUNA SEAのメンバー自身が未だに音楽ファンであり続けているという、このフェスに来ないと見れなかった姿も見えた。そうした姿勢はLUNA SEAと下の世代や、さらにその世代をつなげるきっかけになる。そうやって音楽は継承されていくし、今よりもさらに年月を重ねても、LUNA SEAの音楽や魂はV系バンドだけではない、様々なバンドたちに継承されていく。
また何年後かに開催したら、その時は果たしてどんなバンドがこのステージに立つのか。それがいつになるのかは全くわからないけれど、またその時に。
1.Hold You Down
2.TONIGHT
3.Dejavu
4.JESUS
5.Rogue
6.Gravity
7.闇火
8.I for you
9.DESIRE
10.TIME IS DEAD
11.ROSIER
12.WISH
encore
13.BELIEVE
ROSIER
https://youtu.be/nNL3DuSr0DM
Next→ 6/25 ASIAN KUNG-FU GENERATION @Zepp Tokyo
今年も2日間開催であり、初日のこの日は
LUNA SEA
GLAY
DIR EN GREY
SID
GLIM SPANKY
back number
ACE OF SPADES
The BONEZ
女王蜂
coldrain
LUNACY (オープニングアクト)
というまるっきりバラバラなアーティストが集結。
幕張メッセの1~6ホールを使用するというかなり大規模なエリア作りで、4~6ホールは飲食ブースと物販エリア、1~3ホールがライブエリア。ステージはMOTHER STAGEとMOON STAGEの2つで、ステージエリアの両サイドに向かい合わせで設営されている。CDJのEARTH STAGEの向かい側にもう一つステージがあると思えばわかりやすいだろうか。
11:00~ LUNACY [MOTHER STAGE]
MTVなどでもおなじみのBooによる前説の後に登場したのは、両日のオープニングアクトであるLUNACY。LUNA SEAの初期名義のバンドである。
1人ずつメンバーがステージに登場すると、河村隆一と真矢のバラエティ番組などでもおなじみの姿や、JとINORANの中堅ロックバンドのアニキ的な存在(2人はソロでもロックフェスによく出演している)とはまるっきり違う、ダークかつ退廃的な、ザ・V系と言える出で立ち。そんな中でSUGIZOは普段となんら変わらないように見える。
ツービートのストレート、しかも若い頃の曲ならではの勢いも感じさせる「SHADE」「SYMPTOM」というあたりは大ブレイク後のLUNA SEAのイメージとは全く違う、サウンドもダークなV系のパブリックイメージ通りのものと言える。
RYUICHIのボーカルもポップさよりも妖艶さを強く感じさせるものになっているが、それを最も感じられたのが長尺曲の「NIGHTMARE」。それぞれのパートが終わると1人ずつステージから去っていき、最後に残ったJのベース音だけが響くというスタイルも、全く客席とコミュニケーションを取らない様も徹底してLUNACYを演じているという感じがするが、わずか3曲だけのオープニングアクトにしては鮮烈過ぎる印象を残したし、LUNA SEAのファンの人には実に嬉しいライブだったであろう。
オープニングアクトを自ら務めることで、朝イチから参加者を集めるという手法もとてもベテランとは思えないアグレッシブな姿勢。
1.SHADE
2.SYMPTOM
3.NIGHTMARE
NIGHTMARE
https://youtu.be/Uj3Fz-v6cHw
11:25~ coldrain [MOON STAGE]
オープニングアクトを除いたトップバッターはcoldrain。果たしてラウド系のバンドはこのフェスに来る人たちにどう受け止められるのか、というのが若干心配でもあったが、いざライブが始まってみるとそんな心配は杞憂であったことがすぐにわかるくらいのアウェー感のなさ。
それは前回もこのフェスに出ているから(Masatoはそのことを胸を張って語っていた)でもあるだろうが、1番はやはり世界中のどんな場所のどんなライブでも100%以上の力を発揮するために魂を燃やし尽くそうというメンバーのパフォーマンスによるもの。今やV系に括られるバンドにもラウドなサウンドのバンドが多数いるだけに、王道のラウドバンドであるcoldrainのサウンドは馴染みやすいものであるというのもあると思われるが、やはりライブの地力がものすごく高いからこそ、このバンドは武道館でもワンマンができるような存在になったのである。
この日は背面のモニターにバンドの世界観を可視化したかのような映像も使っていたが、もはや持ち時間30分は短過ぎるし、いつかこの場所でこのバンドのワンマンを見てみたいと思うくらいのスケールの大きさを持っている。メンバーによるサウンドの重さと立ち位置を変えながらの見事なコンビネーションはもちろん、RYUICHIの直後に見ても圧倒されるくらいのデスボイスと伸びやかな歌声を使い分けるMasatoのボーカルも含めて。
1.TO BE ALIVE
2.ENVY
3.24-7
4.GONE
5.NO ESCAPE
6.The Revelation
ENVY
https://youtu.be/2teepAfDrXI
12:05~ 女王蜂 [MOTHER STAGE]
揃いの衣装でサポートキーボードを含めたメンバーが登場すると、場内の空気が一変した、女王蜂。アヴちゃんはこのフェスのオフィシャルTシャツを着て登場。
オープニングからこのフェスの空気感はダークなものだったが、このバンドの持つダークさはそれまでのものとは全く違い、都会の猥雑さを感じさせるようなダークさ。それはダンサブルな楽曲から発せられるものでもあるのだが、やはりアヴちゃんが描く歌詞とこのバンド独特の雰囲気や世界観から醸成されるものである。
早くもアヴちゃんがTシャツを脱ぎ捨てて戦闘モードに入ると、「売春」からは1人二役的な、ファルセットボイスと地声を使い分けていくのだが、
「前に氣志團万博でやった、一夜限りの奇跡のコラボ。もう一回見たい?」
と言うと、なんとLUNA SEAのJがスペシャルゲストとしてステージに登場。やしちゃんとのツインベースで「デスコ」を演奏するのだが、ダンサブルなこの曲がロックンロール感を増すのは、LUNA SEAのメンバーの中でもソロで己のロック道を追求してきたJだからこそであろう。
そして最新曲「HALF」は、いわゆる普通ではないアイデンティティを有するアヴちゃんだからこそ描ける歌詞の、ジャズやR&Bを通過したサウンドによるダンスミュージック。自身のアイデンティティをこれほど見事に自分たちの音楽にできるバンドもそうそういない。女王蜂にしか作れない曲だ。
ラストはデビュー時に衝撃を与えた、学校という社会の闇を告発するかのような「告げ口」。あまりにも強烈過ぎるし濃密すぎる世界観であるがゆえに、目を背けたり耳を逸らしたりしたくなる人もいるかもしれないが、これこそが女王蜂の描く世界である。万人に受け入れられることはなくても、このバンドに救われる人は必ずいる。かつてのメンバー自身のように。
1.金星
2.ヴィーナス
3.売春
4.デスコ w/ J
5.HALF
6.告げ口
HALF
https://youtu.be/tU6ToAYvz1g
12:45~ The BONEZ [MOON STAGE]
RIZEのJESSE率いるThe BONEZが、一見ほぼ接点がなさそうに見えるこのフェスに登場。SEが鳴り始めてすぐにステージにメンバー4人が登場すると、現在絶賛ツアー中だからということもあってか、先月リリースされたばかりの最新アルバム「WOKE」の収録曲の連発で、バンドの最新モードを見せつける。
coldrain同様にラウドではあるのだが、The BONEZはラウドでありながらもパンク性が強い。それは「WOKE」の中ではJESSEがハンドマイクでシャウトし、暴れまくる「Rude Boy」に最も顕著である。
「俺たちをこのフェスに誘ってくれた人。ライブハウスで対バンしたこともある、J!」
とJESSEが叫ぶと、女王蜂に続いてまたもJがステージに登場。今度はステージ両サイドの通路を走ったりしながら、ベースだけならずコーラスまでも務めるという活躍っぷり。しかしこうした姿からは、本当に好きだからこのバンドを呼んでいる、というのが実によくわかる。わざわざ曲を演奏できるようになるくらいの主催バンドもなかなかいない。
「俺には娘がいて。息子も生まれたんだけど、父親としてカッコいい存在でいたい。体にお絵描きたくさんしてるけど、これで娘の学校のPTA役員やってるし(笑)
そういうところで自分の職業を「ミュージシャン」っていうんじゃなくて、「バンドマン」であり続けたい。ハイエースっていう船をずっと漕いで旅していたいんだ」
とJESSEがバンドマンとしての誇りを語ると、「Suntown」でステージを飛び降りて客席に突入し、ダイバーたちの思いを全て受け止めるように歌い、ラストは「Thread & Needle」で大合唱を巻き起こした。
決してこのバンドを知ってる人ばかりではない、というかかなりのアウェーっぷりである。しかしそんな状況でもこのメンバーでステージに上がって演奏すれば、まるで主役であるかのようにその場を掻っ攫っていく。それはJESSEの人間力によるものが大きいが、そもそもがPay money To my PainのT$UYO$HIとZAXをまたステージに立たせたいという思いから始まった、人間ありき、このメンバーだからこそのバンドなのである。
1.Until you wake up
2.Bird ~people with wings~
3.Rude Boy
4.Hey,You w/ J
5.SUNTOWN
6.Thread & Needle
Until you wake up
https://youtu.be/mDmfyUmSvU8
13:25~ ACE OF SPADES [MOTHER STAGE]
EXILEのTAKAHIRO、GLAYのHISASHI、元RIZEのTOKIE、THE MAD CAPSULE MARKETSのMOTOKATSUという、「どんな組み合わせなんだ!」と突っ込まざるを得ないようなバンドである。そもそもは期間限定で活動するつもりだったらしいが、こうして不定期で今も活動している。
やはりというか何というか、このメンバーなだけにサウンドは実にハード&ラウドなロック。「いくらなんでもリズム隊強すぎじゃない?」というくらいに、TOKIEもMOTOKATSUも年齢を重ねても一切衰えがないどころか、さらに進化している感すらある恐ろしさ。TOKIEはどんなベースの弾き方をしているのか。
となるとTAKAHIROとHISASHIはこのリズム隊に勝てるのか、というのが気になるところだが、HISASHIはハードロックなギターサウンドを全開にし、リズム隊と見事に渡り合っている。TAKUROというコンポーザーにしてギタリストと同居しているGLAYよりもギタリストとしての役割は大きい。
TAKAHIROはやはりこうしたロックバンドのサウンドに声が乗るのはやや違和感がある(かなり緊張していたようにも見える)のだが、歌の上手さはさすがEXILEのボーカルであると思わざるを得ない。
するとスペシャルゲストとして、今回はINORANが登場し、HISASHIとのツインギターで「Louder」を披露。GLAYとLUNA SEAのギタリストが肩を並べて演奏しているというのは絵面だけでも非常に豪華。この共演の意味の深さまでは自分にはわからないが、両者のファンからしたら忘れられない光景だったんじゃないだろうか。
ロックシンフォニーと言えるような壮大な曲を連発してライブを締めたが、やはりリズム隊があまりにも強すぎて、歌詞がイマイチ頭に入ってこない。TAKAHIROが歌うのを前提にしている言葉選びなのかもしれないが、もう少し刺さるようなフレーズが欲しいと思うのは欲張りなんだろうか。
1.WILD TRIBE
2.TIME FLIES
3.Looking for
4.Louder w/ INORAN
5.SIN
6.JUST LIKE HEAVEN
WILD TRIBE
https://youtu.be/qhPOppyR7dk
14:05~ back number [MOON STAGE]
「バンドである」という以外にLUNA SEAとの共通点がないように思える、back number。ラインアップだけを眺めていると、最もアウェー感を感じざるを得ないバンドである。
サポートギター2人とサポートキーボードを加えた6人編成で登場すると、
「踊ろうぜー!」
と清水が叫び、「青い春」「MOTTO」というアグレッシブなロックサウンドで、ラブソングのバンドというこのバンドのイメージを塗り替えるような衝撃を初見の観客に与える。この辺りの先制パンチは考えたであろうことがわかる。
しかし一転してあまりに季節外れな「クリスマスソング」からは、清水のボーカルを軸にした大ヒット曲を連発。おそらく他のフェスやイベントだったらこの時期にやらないであろうこの曲を演奏したのは、自分たちがこのフェスの中でアウェーな存在であることをわかっていて、その中で「どうやって自分たちの存在をアピールするか?」と考えた末に出たのが「自分たちの1番の武器を使う」という選択だったのだと思う。もちろんその武器は曲である。
先にライブをやった女王蜂のアヴちゃんや、The BONEZのJESSEに比べると、清水はロックスターとしてのオーラは全くない。だがそんな男がアリーナクラスを即完させるようになった理由はなんなのか。やはりそれも曲なのである。スーパースターにはなれなくても、たくさんの人の心に寄り添うことができるというのを清水の姿は証明している。
「もっともっといいボンドになって…。
いいボンドってなんだ(笑)007か(笑)
こういう時に噛まないような、いいバンドになってまた帰ってきたいと思います」
という清水の言葉からは、大規模なロックフェスにおいてはメインステージのトリを務めるレベルのバンドになってもまだ自分たちの音楽を届けたいという意志を感じさせた。
ちなみにベースの小島はLUNA SEAに憧れてベースを始めたらしいので、そこをMCで強調すれば良かったのに、とも思うが、あくまで曲で勝負するというのがこのバンドらしい。
1.青い春
2.MOTTO
3.クリスマスソング
4.瞬き
5.SISTER
6.高嶺の花子さん
クリスマスソング
https://youtu.be/JfgOjtq440o
15:00~ GLIM SPANKY [MOTHER STAGE]
back number同様に、「LUNA SEAのフェス」という状況としてはかなりのアウェーであろうGLIM SPANKY。
SEが鳴ってメンバーが登場すると、亀本は両手を上に上げながら小走りしたりと、非常にテンションが高く、やはりギター小僧としては音楽性は全く異なれど、LUNA SEAから多大な影響を受けていることがわかる。
松尾レミのハスキーボイスが幕張メッセいっぱいに広がって行く「アイスタンドアローン」、民族音楽的な打ち込みも使った「END ROLL」と、この日唯一のロックンロールとブルースを響かせ、どんな場所や状況であっても自分たちのやりたい音楽を貫くという姿勢は全く変わらない。
アッパーな「怒りをくれよ」のあとに深く潜っていくような「闇に目を凝らせば」をやるというあたりも他のフェスの時となんら変わらない姿であるが、
「私たちがデビューした直後くらいに、なぜかSUGIZOさんがライブ見にきてくれて。そこからよく見にきてくれたり、テーム・インパラっていうオーストラリアのインディバンドのライブを見に行ったらSUGIZOさんも見に来ててご挨拶したり。今でも若いバンドの音楽に興味を持ってらっしゃるのが本当にすごいな、って」
と、このステージに立っているのはSUGIZOとの出会いがあったからであることを話すと、スペシャルゲストとしてそのSUGIZOがステージに登場し、亀本とのツインギターで「愚か者たち」を演奏するのだが、間奏とアウトロではLUNA SEAの姿からは想像できないほどに、チョーキングしまくりの、ロックンロールとブルースの魔物に取り憑かれた男としてのSUGIZOの姿を見ることができる。そのSUGIZOと並んでギターを弾く亀本の本当に嬉しそうな顔と、
「よく言う、昔の自分に教えてあげたいってこういう時のことを言うんだな」
という感慨はこれからのバンドの活動において大きな財産になるはず。
そしてラストはやはり大名曲ブルース「大人になったら」。この日の観客は大人ばかりだが、みんな「この世のすべて」も社会のことも人生もまだわからない、ただただ好きな音楽のことしかわからないような大人たちなのかもしれない。それは客席だけじゃなくてステージに立っている人たちも含めて。
1.アイスタンドアローン
2.END ROLL
3.怒りをくれよ
4.闇に目を凝らせば
5.愚か者たち w/ SUGIZO
6.大人になったら
愚か者たち
https://youtu.be/wCf7xEDuh30
16:25~ DIR EN GREY [MOTHER STAGE]
それまでのお祭り的な狂騒感はこのバンドのメンバーが登場すると一変してしまう。明らかに空気や雰囲気がそれまでとは全く違う。もちろんLUNA SEAを祝いに来ているのだが、それ以上に現実を直視するかのように。
京は白いシャツに黒いズボン、うっすらと白く顔を塗っているようにも見えるが、それ以上に真っ赤な口紅が目を惹く。その京がシャウトしまくり、スクリーンにはカニバリズムを想起させるような映像が映る「人間を被る」から、監禁された女性の映像や、虫が蠢くような映像など、目を背けたくなるようなグロい、完全に放送できないような映像の数々。
しかしそれらはただ過激なことをやって話題になりたいからとかでは全くない。映像を前に轟音を鳴らすメンバーと、喉が裂けるんじゃないかと思ってしまうくらいにシャウトを繰り返す京の姿からは、そうしたグロさや陰惨さもまた人や社会や世界の真実であるということを感じさせる。
そこに美しいメロディと詩の新曲「Rununculus」が挟まれ、戦時中の衝撃的な映像が次々とスクリーンに映る「VINUSHKA」で京は
「ここが真実だ!」
と叫ぶ。なぜ音楽を、このバンドをやっていて、なぜこのサウンドとボーカルスタイルなのか、なぜこうした映像を使っているのか。その全てに完璧に統一された意志がある。音楽で、バンドで表現したいことや変えたいことがある。それがライブを見ているとダイレクトに伝わってくるから、普段なら見たくないような映像を見た後でも、ライブが終わったあとに感動して体が震えている自分がいた。
フェスに向いているかというとやはりそうではないのかもしれないが、それはこのバンドがフェスの空気を自分たちのものに塗り替えてしまうからでもある。
1.人間を被る
2.SUSTAIN THE UNTRUTH
3.THE FINAL
4.audience KILLER LOOP
5.Ranunculus
6.孤独に死す、故に孤独。
7.VINUSHKA
8.詩踏み
人間を被る
https://youtu.be/nvxH4Mo4l5s
17:15~ GLAY [MOON STAGE]
3年前に続いての出演となるGLAY。全盛期をリアルタイムで見ている世代としては、LUNA SEAの後輩ではあれど、未だにLUNA SEA以上に巨大な存在のバンドであるイメージである。
メンバーが登場すると、「こんなに声高かったっけ!?」と思うくらいに超ハイテンションなTERUが観客を煽りまくってから、1999年にビデオシングルという超異例な形でリリースされた大ヒット曲「サバイバル」でスタート。TAKUROはハットを被りながらギターを弾いているが、HISASHIとともにステージ両サイドまで動きながらというアグレッシブさ。
しかしながら以前にチャットモンチーとの対バンで見た時にも感じたことだが、当時は「J-POPなバンド」という意識でしか見ていなかったGLAYは、ライブを見ると実にハードロック色が強いバンドであることがわかるし、そうしたハードロックをJ-POPのフィールドで鳴らそうとしていたバンドであるというように認識も変わる。やはり実際に見てみないとわからないこともある。
「出演者のみなさんが本当に熱いライブをしてくださってバトンを繋いでくれたんで、トリ前っていう大事な位置を任せてくれたLUNA SEA先輩にいい形でバトンを渡したいなと。そのために我々GLAYが盛り上げまくっていきますので。
デビュー24年経ちまして、昔から聴いてくださってる方もいるかもしれないし、お父さんやお母さんが聴いていたっていう若い人もいるかもしれません。そんな我々のバラードを2曲続けて聴いていただきたいと思います」
と、大物ぶっても誰も文句を言わないような位置にいるはずなのに、なんでここまで謙虚過ぎるくらいに謙虚なんだろうかというTERUのMCのあとに演奏されたのは、最大のヒット曲「HOWEVER」。スクリーンには歌詞が映し出されていたが、歌詞を見なくても歌えるくらいにこの曲が自分の頭や記憶の中に染み付いている。決して好きなバンドではなかったのに、GLAYの曲が確かに自分の過去を形成している。
そして「BELOVED」では先ほどACE OF SPADESでのライブを終えた、EXILEのTAKAHIROが登場し、TERUとボーカルを分け合う形で歌うというコラボを展開。
「一つ、大きな夢が叶いました」
というTAKAHIROもまた幼少の頃にGLAYを聴いて育ってきたのだろう。
GLAYはどうやら雨バンドらしいが、HISASHIが
「今日も安定の雨です(笑)でも今日は心強い味方がいる。coldrainだ!コラボとかはしないけど(笑)
でも今日はスレイヴのみなさんも、セレブのみなさんも、ディルアングレイのファンのみなさんも、ただのグレイのファンのみなさんも、一緒に最後まで楽しんでいきましょう!」
とウケてるのかスベってるのかよくわからないMCをしてから、近年のGLAYの曲では最大級の話題を呼んだ「シン・ゾンビ」を演奏するのだが、間奏部分ではいきなり「LUNA SEA LEGEND SERIES」と題して、LUNA SEA「FATE」のカバーを盛り込むというサービスっぷり。本当にLUNA SEAをリスペクトしている気持ちは今も全く変わっていないのだろう。
JIROメインボーカルの「SHUTTER SPEEDSのテーマ」ではSIDのベースの明希が、「彼女の”Modern…”」では遊びに来ていたところを引っ張り出されたEXILEのNESMITHがゲストとして登場するなど、GLAYに影響を受けた若手と次々にコラボするお祭り状態に。
そのお祭りのトドメとばかりに登場したのは、次にライブを控えているLUNA SEAのSUGIZO。トリプルギター編成で「誘惑」を演奏するのだが、TAKUROとSUGIZOの並んで演奏している姿は今でも現実だったのだろうかと思ってしまう。
そしてラストは「XYZ」でアッパーに締め、自分たちに望まれていること、期待されていることをしっかりやりながらサプライズをたくさん見せてくれるという、GLAYの底力を改めて実感した。
しかし、リリースすれば毎作100万枚CDが売れていた全盛期に中学生だった頃、GLAYが全然好きじゃなかった。でも当時の曲を聴くと歌詞が全部頭に浮かんでくるし、当時の同級生たちの顔も浮かんでくる。デビューから24年間、ずっと続けてきたバンドの、愛しさの意味を知る。
1.サバイバル
2.coyote,colored darkness
3.VERB
4.HOWEVER
5.BELOVED w/ TAKAHIRO
6.シン・ゾンビ ~ FATE
7.COME ON!!
8.SHUTTER SPEEDSのテーマ w/ 明希
9.彼女の”Modern…” w/ ネスミス
10.誘惑 w/ SUGIZO
11.XYZ
HOWEVER
https://youtu.be/gPcPseeICjs
18:30~ LUNA SEA [MOTHER STAGE]
そして初日のトリ、主催者のLUNA SEAがいよいよ登場。オープニングアクトも務め、様々な出演者ともコラボするなど、年齢を全く感じさせないフル稼動っぷりである。
やはり黒い衣装をまといながらもLUNACYとは違う、今のLUNA SEAとしての姿で登場すると、「Hold You Down」からスタート。LUNACYの時もそうだったが、やはりRYUICHIはすごく歌が上手い。おそらくその粘っこい歌唱法はかなり好き嫌いは分かれるとは思われるが、声量も年齢を全く感じさせない。3年前のこのフェスの映像を見ると「太った?」と思ったりもしていたが、体つきも実にシャープで、ソロ活動をし始めた頃(もう20年くらい前)となんら変わっていないように見える。
INORANが前に出てきてギターリフを弾き始めた「TONIGHT」と前半はやはりアッパーにかっ飛ばしていき、SUGIZOのギターソロも存分に堪能できるが、ある意味このバンドの真価は「Gravity」以降のダークな世界観のスローな曲の方に現れているのかもしれない。「闇火」ではINORANがアコースティックギターでSUGIZOがバイオリンという編成から通常のバンド形態に戻るという壮大な物語を展開する。
「みんなに感謝を込めて」
とRYUICHIが一言言っての「I for you」も含め、主催者とはいえ、フェスの舞台でこんなにもバラードやスローな曲を連発できるようなバンドが他にいるだろうか。RYUICHIも実に気持ちよさそうに歌っている。
炎や煙などの特効を使いまくる「DESIRE」からは後半戦へ。観客も一緒にコーラスを叫ぶ「TIME IS DEAD」ではスクリーンに演奏する5人の姿が映し出され、確かにこの5人によるバンドであることを感じさせると、SUGIZOは風を全身で受けながらギターを弾きまくり、さらにテンションとグルーヴは増していき、もはやバンドの代名詞的な曲としてよくカバーされている「ROSIER」から最後は銀テープが客席に放たれた「WISH」と、やはり怒涛のキラーチューン連発での大団円となったのだった。
しかしながらやたらと大掛かりなアンコール待ちの間のスタッフによる転換作業。5人だけでやるならそんなに時間かからないのでは?と思っていたら、やはりアンコールでは出演者総登場のコラボ。
coldrainのR×Y×O
The BONEZのJESSE、ZAX、T$UYO$HI
ACE OF SPADES
back numberの小島
GLIM SPANKYの亀本
SID
DIR EN GREYの薫、Die
GLAY
という錚々たるメンバーが参加しての「BELIEVE」の大セッション。しかもドラムはかつて真矢のローディーを務めていたSIAM SHADEの淳士にいつの間にか変わっている。
それぞれのパートが集結し、RYUICHI、TERU、TAKAHIRO、マオによるマイクリレーや、HISASHIとSUGIZOによるギターソロ、JIRO、小島、明希がJの横に一列に並んでのベース、最後にはやはり真矢に戻り、その周りをドラマーが囲んだりと、参加者のLUNA SEAへの愛とリスペクトと笑顔に溢れたセッションであった。
演奏終了後にはLUNA SEAのメンバー5人が残り、観客を背にしての写真撮影。ライブ中はMCでも決して笑いを取るようなことをしないRYUICHIも実にリラックスした、朗らかな表情で初日は終了した。
自分はLUNA SEAが解散したり再結成したりといういきさつを全て詳しく知っているわけではないし、リユニオン前のLUNA SEAのライブを見たことがない。でもきっと、今日みたいに、ただただカッコいいロックバンドのライブだったんだと思う。例えば9mm Parabellum Bulletやアルカラというロックバンドたちがこのバンドの影響を受けたのもよくわかるし、
「このフェスをやるって決めた時に、みんなで何度もミーティングをして、このバンドを呼んだらいいんじゃないか、とか、このバンドを俺は呼びたい!って話して誘って」
というように、LUNA SEAのメンバー自身が未だに音楽ファンであり続けているという、このフェスに来ないと見れなかった姿も見えた。そうした姿勢はLUNA SEAと下の世代や、さらにその世代をつなげるきっかけになる。そうやって音楽は継承されていくし、今よりもさらに年月を重ねても、LUNA SEAの音楽や魂はV系バンドだけではない、様々なバンドたちに継承されていく。
また何年後かに開催したら、その時は果たしてどんなバンドがこのステージに立つのか。それがいつになるのかは全くわからないけれど、またその時に。
1.Hold You Down
2.TONIGHT
3.Dejavu
4.JESUS
5.Rogue
6.Gravity
7.闇火
8.I for you
9.DESIRE
10.TIME IS DEAD
11.ROSIER
12.WISH
encore
13.BELIEVE
ROSIER
https://youtu.be/nNL3DuSr0DM
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