RADWIMPS Road to Catharsis Tour 2018 @さいたまスーパーアリーナ 6/16
- 2018/06/17
- 12:19
元々は予定されていなかったツアーである。が、アルバムリリースのタイミングじゃなくてもツアーがやりたいというメンバーの願望によって急遽開催されることが決まった。なので本数自体も去年の「人間開花」リリースツアーに比べるとかなり少なく、このさいたまスーパーアリーナでの2days以外は全て平日での開催。タイミング的には「カタルシスト」のシングルがリリースされたばかりというタイムリーなものになったが、それはそのシングルの収録曲が騒動になってしまったという、良くも悪くもな形となり…。
アリーナスタンディングもスタンド席も完全に超満員の中、17:30を少し過ぎると、場内が暗転し、ステージ左右からドラムセットがせりあがり、刃田綴色と森瑞季のサポートドラマーがドラムを叩き始め、その前には桑原と武田もオンステージ。だが武田はベースではなくシンセを操ると、中央からもお立ち台がせり上がり、ド派手な衣装を着た野田洋次郎が歌い始める不穏な電子音を中心とした「AADAAKOODAA」からスタート。メンバーの後ろには9面のLEDがあり、代わる代わる様々な映像を映し出す。洋次郎の声は本調子とまではいかないというのが序盤のイメージだったが、RADWIMPSのツアーではだいたいアルバムの1曲目から始まって、本編がアルバム最後の曲で終わるというのが昔から流れとして確立されてきていただけに、このオープニングはこのツアーが普段とは違うものであることを改めて感じさせてくれる。俺たちに対してああだこうだ言ってくれるな、というようにも今のバンドの状況的に聞こえなくもないが。
洋次郎がお立ち台から降りてギターを手にすると、逆に桑原と武田がステージ両サイドから伸びる花道に駆け出して、スタンドの端の席に座る人たちのすぐ近くで演奏する「One man live」、これまでは基本的にライブの後半で演奏されてきた「ます。」で早くも
「迷わずYOU!!!」
の大合唱がこの広いスーパーアリーナの場内に響き渡る。ここに来ていた人たちがみんな心からRADWIMPSのライブを楽しみにしていたのがよくわかる。
「この会場は今回のツアーでの最大キャパなんです。ということは今回のツアーで1番大きな声が聞こえなければならないということですよ!」
と挨拶がわりに煽ると、大名曲「ふたりごと」で洋次郎がマイクスタンドから少し距離を置き、サビ以外ですら大合唱に。もはやリリースからは10年以上が経過している曲であるが、新旧問わずにRADWIMPSのファンの中での永遠のアンセムとなっていく曲であることを証明している。アルバムバージョンのようにアウトロの演奏が追加された部分では洋次郎がギターではなくピアノを弾くという新たな形も。なのでこれまでに何度となく聴いてきた曲に新たな表情が生まれている。
「遠恋」では間奏でおなじみのセッションが展開されるのだが、桑原と武田がステージ中央で向かい合ってバトルするかのように互いに楽器を鳴らすと、洋次郎が2人と肩を組むというこの3人の絆と長い時間を共有してきた歴史を感じさせるパフォーマンスに。武田のベースはさらに重さを増し、桑原のギターも自由に暴れまわっている。
この日に演奏された中で最も古い曲である「俺色スカイ」では朝焼けのような映像が映し出される中、メンバーが大学生だった頃だからこその青さが滲み出ている歌詞が今となっては逆に新鮮。メンバーと同い年である我々ももはや朝日が出る時間まで仲間と飲んだり遊んだりするようなことはほとんどなくなってしまった。それでも、
「笑ってたいね」
というフレーズの説得力だけは今でも全く変わらない。
しかしながら高音コーラス部分ではやはり大きな合唱が起こり、昨年のツアーでは「君の名は。」以降にRADWIMPSのファンになった人がたくさん来ているという印象であったが、今回は全くそうした「君の名は。」以降の曲しか知らない、という人がたくさんいるという感じが全くしない。そうした人たちも過去のRADWIMPSの曲を掘り下げ、「君の名は。」以前からライブに来ていた人たちと全く変わらない温度でライブを見ている。近年の曲も過去の曲も歌っていることや楽曲の構成は全く違えど、いずれもが名曲であるということは揺るぎない事実であるし、久しぶりにライブで過去の曲を聴いてもやはり全く色褪せることはない。
おもちゃ箱のようなカラフルなサウンドと子供のような歌詞がガラリと空気を変える「やどかり」では洋次郎がステージ真ん中から伸びた花道を歩き、花道の先端に出現した巨大な太鼓を叩くという、アリーナクラスの会場の広さを最大限に活かした演出を見せると、洋次郎のピアノのサウンドが不穏な空気を生み出す、「RADWIMPS 3」収録の「揶揄」というレア曲が続く。曲終盤の
「198603345年×お前(アホ)= そう、eternally
日本語に訳すと要するに人間になるのは 無理」
というフレーズは洋次郎が歌わずにスクリーンに次々と文字が映し出されていく。
そのまま洋次郎がピアノを弾いて始まった「スパークル」ではそれまでと異なり、全く映像を使わず、薄暗いステージの上で演奏するメンバーの姿と、ステージから放たれるレーザーのみ。それが最もしっかりとこの曲の魅力を伝えるものになっている。
桑原がライブ前に自身プロデュースの「くわバーガー」を売るべく、外を出て歩いていたところ、誰にも気づかれなかったという切ないエピソードを語ると、武田は父親がライブを見に来た時に寝ていたというエピソードを暴露されるというライブ中からは一変した朗らかな姿を見せてくれるのは昔からずっと変わらない。
早くもライブは後半戦に突入するのだが、「おしゃかしゃま」では恒例の間奏での長尺セッションが展開。「遠恋」の時は桑原と武田をフィーチャーしたものだったが、ここでは桑原&刃田、武田&森とドラマー2人も交えたバージョンに。洋次郎が指揮者のように互いのチームの音量をコントロールするのだが、いつにも増して音量を抑えた部分が長めで、曲自体もおそらく10分を超えるくらいの長さに。しかしながらRADWIMPSのメンバーの演奏力の高さはこのセッションを見れば実によくわかる。かつての「アルトコロニーの定理」期の桑原の精彩を欠いた演奏が嘘のように。
洋次郎がハンドマイクでステージを歩き回りながら歌い、その様子をカメラマンが撮影した写真が次々にスクリーンに映し出されるというリアルタイムの演出が行われたのは最新シングル「カタルシスト」。サッカー日本代表の応援ソングではあれど、かつての「君と羊と青」のようにアッパーなギターロックではなく、ヒップホップと言ってもいいサウンドという、応援ソングとしてはかなり攻めたものになっているが、
「誰かを負かしたいわけじゃない ただ自らの高みへ昇りたい 出会いたい まだ見ぬ自分の姿に」
というフレーズは実に洋次郎ならでは、というかこれまでの応援ソングでは聴いたことのないもの。
すると一転してダークな電子音が場内を支配し、あまりにも強烈すぎる歌詞が次々にスクリーンに映し出される「洗脳」へ。昨年リリースの「サイハテアイニ」のカップリングとして、リリース時からファンに衝撃を与えた曲だが、まさかこの曲がライブで披露される時が来るとは。
アウトロでは桑原が音源よりもはるかに長い歪んだギターを弾きまくるというアレンジがなされる中、いつの間にか洋次郎がステージにいなくなり、4人だけのセッションになっている。さて洋次郎はどこへ?と思っていると、アリーナ客席の最後方ブロックの真ん中にあるPAブースからピアノとともに小型ステージに乗った洋次郎がせり上がって来る。前回のツアーではメンバー全員がこのサブステージでアコースティックでの演奏をしていたが、今回は洋次郎のみ。一斉にアリーナの観客が洋次郎の方に詰めかけるというのは変わらないが、「洗脳」のあのやたらと長くアレンジされたアウトロは洋次郎がこのステージに移動するための時間でもあったということだ。
洋次郎のピアノの弾き語りから始まり、途中でメインのステージにとどまったままのメンバーの演奏も加わる「告白」でステージ上空から星形の紙が客席に降り注ぎ、洋次郎が
「なんの政治的な信条とかはなくて。あの声明もなんで出したのかって言うと、韓国や中国にいる僕らのファンの方から、「親にRADWIMPSのライブに行くな」と言われたっていうことを聞いて、そういう人たちがまたRADWIMPSのライブに来てもらえるようにと思って。
今回のことでRADWIMPSから離れてしまう人がいたとしたらそれは悲しいけれど、いつかそういう人も戻ってきてくれるように、僕らはバンドを続けていきます」
と自らの思いをしっかり自分の口で話してから演奏されたのはもちろん「HINOMARU」。この曲に関するあれこれはまた翌日のライブを見てから書こうと思うが、メンバーのいるステージを見ながら堂々と歌う洋次郎の姿は、ただ「自分の生まれた日本が好き」ということを真っ直ぐに歌っていた。そしてその思いを受け取った観客が大合唱でそれに応えていた。
洋次郎がメインステージに戻ると、「トレモロ」のブレイク部分で桑原と武田がハイジャンプを決め、手拍子と大合唱が鳴り響く中で洋次郎、桑原、武田の3人が揃って花道を歩きながら演奏し、洋次郎が「愛してるよ!」と叫んだ「いいんですか?」とキラーチューンを連発すると、観客の盛り上がりを煽りまくってから演奏に突入した「君と羊と青」で本編はあっという間に終了。曲数が多くなかっただけに「もう終わり!?」と思ったが、すでにこの段階で2時間を経過するくらいに中身の濃いものになっていた。
アンコールではメンバーがそれぞれツアーTシャツに着替えて登場し、
「今回のツアーはアンコールではその日のみんなの感じを見て曲を選んでいる」
ということを告げてから洋次郎がピアノとともに歌い始めたのは「棒人間」。事前のMCを含めると「なんで「棒人間」なの?(笑)」と思わずにはいられないが、これはこの日の観客が大人しめだったということなのだろうか。
そして再び洋次郎が
「激しいのとバラードどっちがいい?両方?そういうのはやってません!(笑)」
と観客を煽りまくると、観客の大多数が激しい曲を望んだために最後に演奏されたのは「DADA」で、さいたまスーパーアリーナを揺らしまくった。本当にスタンド席は揺れまくっていた。
演奏が終わるとサポートメンバーも含めて全員が肩を組んで観客に頭を下げてからステージを去った。
「ずっとRADWIMPSを見てくれてる人は、新曲が出るたびに「洋次郎大丈夫なのかな?」ってハラハラすることばかりだと思いますが(笑)、これからも自分の思ってることをそのまま曲にしていきたいし、みんなが胸を張って「RADWIMPSが好きです」って言えるようなバンドでい続けられるような努力をしていきます」
とアンコール時に洋次郎は語っていたが、10代の頃からずっと、いや、ライブが良くなかった頃は胸を張れなかったかもしれない、でも今はちゃんと胸を張って「RADWIMPSが好きだ」って言える。その核にあるのは過去から今に至るまでのRADWIMPSの曲がどれも素晴らしいものだから。その曲たちを演奏するバンドに対して観客が100、それ以上の思いを返し、バンドがさらにそれを上回る力で返してくれる。RADWIMPSはずっと昔からそういうバンドだった。
1.AADAAKOODAA
2.One man live
3.ます。
4.ふたりごと
5.遠恋
6.俺色スカイ
7.やどかり
8.揶揄
9.秋祭り
10.スパークル
11.おしゃかしゃま
12.カタルシスト
13.洗脳
14.告白
15.HINOMARU
16.トレモロ
17.いいんですか?
18.君と羊と青
encore
19.棒人間
20.DADA
カタルシスト
https://youtu.be/czWpz8gH7eY
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アリーナスタンディングもスタンド席も完全に超満員の中、17:30を少し過ぎると、場内が暗転し、ステージ左右からドラムセットがせりあがり、刃田綴色と森瑞季のサポートドラマーがドラムを叩き始め、その前には桑原と武田もオンステージ。だが武田はベースではなくシンセを操ると、中央からもお立ち台がせり上がり、ド派手な衣装を着た野田洋次郎が歌い始める不穏な電子音を中心とした「AADAAKOODAA」からスタート。メンバーの後ろには9面のLEDがあり、代わる代わる様々な映像を映し出す。洋次郎の声は本調子とまではいかないというのが序盤のイメージだったが、RADWIMPSのツアーではだいたいアルバムの1曲目から始まって、本編がアルバム最後の曲で終わるというのが昔から流れとして確立されてきていただけに、このオープニングはこのツアーが普段とは違うものであることを改めて感じさせてくれる。俺たちに対してああだこうだ言ってくれるな、というようにも今のバンドの状況的に聞こえなくもないが。
洋次郎がお立ち台から降りてギターを手にすると、逆に桑原と武田がステージ両サイドから伸びる花道に駆け出して、スタンドの端の席に座る人たちのすぐ近くで演奏する「One man live」、これまでは基本的にライブの後半で演奏されてきた「ます。」で早くも
「迷わずYOU!!!」
の大合唱がこの広いスーパーアリーナの場内に響き渡る。ここに来ていた人たちがみんな心からRADWIMPSのライブを楽しみにしていたのがよくわかる。
「この会場は今回のツアーでの最大キャパなんです。ということは今回のツアーで1番大きな声が聞こえなければならないということですよ!」
と挨拶がわりに煽ると、大名曲「ふたりごと」で洋次郎がマイクスタンドから少し距離を置き、サビ以外ですら大合唱に。もはやリリースからは10年以上が経過している曲であるが、新旧問わずにRADWIMPSのファンの中での永遠のアンセムとなっていく曲であることを証明している。アルバムバージョンのようにアウトロの演奏が追加された部分では洋次郎がギターではなくピアノを弾くという新たな形も。なのでこれまでに何度となく聴いてきた曲に新たな表情が生まれている。
「遠恋」では間奏でおなじみのセッションが展開されるのだが、桑原と武田がステージ中央で向かい合ってバトルするかのように互いに楽器を鳴らすと、洋次郎が2人と肩を組むというこの3人の絆と長い時間を共有してきた歴史を感じさせるパフォーマンスに。武田のベースはさらに重さを増し、桑原のギターも自由に暴れまわっている。
この日に演奏された中で最も古い曲である「俺色スカイ」では朝焼けのような映像が映し出される中、メンバーが大学生だった頃だからこその青さが滲み出ている歌詞が今となっては逆に新鮮。メンバーと同い年である我々ももはや朝日が出る時間まで仲間と飲んだり遊んだりするようなことはほとんどなくなってしまった。それでも、
「笑ってたいね」
というフレーズの説得力だけは今でも全く変わらない。
しかしながら高音コーラス部分ではやはり大きな合唱が起こり、昨年のツアーでは「君の名は。」以降にRADWIMPSのファンになった人がたくさん来ているという印象であったが、今回は全くそうした「君の名は。」以降の曲しか知らない、という人がたくさんいるという感じが全くしない。そうした人たちも過去のRADWIMPSの曲を掘り下げ、「君の名は。」以前からライブに来ていた人たちと全く変わらない温度でライブを見ている。近年の曲も過去の曲も歌っていることや楽曲の構成は全く違えど、いずれもが名曲であるということは揺るぎない事実であるし、久しぶりにライブで過去の曲を聴いてもやはり全く色褪せることはない。
おもちゃ箱のようなカラフルなサウンドと子供のような歌詞がガラリと空気を変える「やどかり」では洋次郎がステージ真ん中から伸びた花道を歩き、花道の先端に出現した巨大な太鼓を叩くという、アリーナクラスの会場の広さを最大限に活かした演出を見せると、洋次郎のピアノのサウンドが不穏な空気を生み出す、「RADWIMPS 3」収録の「揶揄」というレア曲が続く。曲終盤の
「198603345年×お前(アホ)= そう、eternally
日本語に訳すと要するに人間になるのは 無理」
というフレーズは洋次郎が歌わずにスクリーンに次々と文字が映し出されていく。
そのまま洋次郎がピアノを弾いて始まった「スパークル」ではそれまでと異なり、全く映像を使わず、薄暗いステージの上で演奏するメンバーの姿と、ステージから放たれるレーザーのみ。それが最もしっかりとこの曲の魅力を伝えるものになっている。
桑原がライブ前に自身プロデュースの「くわバーガー」を売るべく、外を出て歩いていたところ、誰にも気づかれなかったという切ないエピソードを語ると、武田は父親がライブを見に来た時に寝ていたというエピソードを暴露されるというライブ中からは一変した朗らかな姿を見せてくれるのは昔からずっと変わらない。
早くもライブは後半戦に突入するのだが、「おしゃかしゃま」では恒例の間奏での長尺セッションが展開。「遠恋」の時は桑原と武田をフィーチャーしたものだったが、ここでは桑原&刃田、武田&森とドラマー2人も交えたバージョンに。洋次郎が指揮者のように互いのチームの音量をコントロールするのだが、いつにも増して音量を抑えた部分が長めで、曲自体もおそらく10分を超えるくらいの長さに。しかしながらRADWIMPSのメンバーの演奏力の高さはこのセッションを見れば実によくわかる。かつての「アルトコロニーの定理」期の桑原の精彩を欠いた演奏が嘘のように。
洋次郎がハンドマイクでステージを歩き回りながら歌い、その様子をカメラマンが撮影した写真が次々にスクリーンに映し出されるというリアルタイムの演出が行われたのは最新シングル「カタルシスト」。サッカー日本代表の応援ソングではあれど、かつての「君と羊と青」のようにアッパーなギターロックではなく、ヒップホップと言ってもいいサウンドという、応援ソングとしてはかなり攻めたものになっているが、
「誰かを負かしたいわけじゃない ただ自らの高みへ昇りたい 出会いたい まだ見ぬ自分の姿に」
というフレーズは実に洋次郎ならでは、というかこれまでの応援ソングでは聴いたことのないもの。
すると一転してダークな電子音が場内を支配し、あまりにも強烈すぎる歌詞が次々にスクリーンに映し出される「洗脳」へ。昨年リリースの「サイハテアイニ」のカップリングとして、リリース時からファンに衝撃を与えた曲だが、まさかこの曲がライブで披露される時が来るとは。
アウトロでは桑原が音源よりもはるかに長い歪んだギターを弾きまくるというアレンジがなされる中、いつの間にか洋次郎がステージにいなくなり、4人だけのセッションになっている。さて洋次郎はどこへ?と思っていると、アリーナ客席の最後方ブロックの真ん中にあるPAブースからピアノとともに小型ステージに乗った洋次郎がせり上がって来る。前回のツアーではメンバー全員がこのサブステージでアコースティックでの演奏をしていたが、今回は洋次郎のみ。一斉にアリーナの観客が洋次郎の方に詰めかけるというのは変わらないが、「洗脳」のあのやたらと長くアレンジされたアウトロは洋次郎がこのステージに移動するための時間でもあったということだ。
洋次郎のピアノの弾き語りから始まり、途中でメインのステージにとどまったままのメンバーの演奏も加わる「告白」でステージ上空から星形の紙が客席に降り注ぎ、洋次郎が
「なんの政治的な信条とかはなくて。あの声明もなんで出したのかって言うと、韓国や中国にいる僕らのファンの方から、「親にRADWIMPSのライブに行くな」と言われたっていうことを聞いて、そういう人たちがまたRADWIMPSのライブに来てもらえるようにと思って。
今回のことでRADWIMPSから離れてしまう人がいたとしたらそれは悲しいけれど、いつかそういう人も戻ってきてくれるように、僕らはバンドを続けていきます」
と自らの思いをしっかり自分の口で話してから演奏されたのはもちろん「HINOMARU」。この曲に関するあれこれはまた翌日のライブを見てから書こうと思うが、メンバーのいるステージを見ながら堂々と歌う洋次郎の姿は、ただ「自分の生まれた日本が好き」ということを真っ直ぐに歌っていた。そしてその思いを受け取った観客が大合唱でそれに応えていた。
洋次郎がメインステージに戻ると、「トレモロ」のブレイク部分で桑原と武田がハイジャンプを決め、手拍子と大合唱が鳴り響く中で洋次郎、桑原、武田の3人が揃って花道を歩きながら演奏し、洋次郎が「愛してるよ!」と叫んだ「いいんですか?」とキラーチューンを連発すると、観客の盛り上がりを煽りまくってから演奏に突入した「君と羊と青」で本編はあっという間に終了。曲数が多くなかっただけに「もう終わり!?」と思ったが、すでにこの段階で2時間を経過するくらいに中身の濃いものになっていた。
アンコールではメンバーがそれぞれツアーTシャツに着替えて登場し、
「今回のツアーはアンコールではその日のみんなの感じを見て曲を選んでいる」
ということを告げてから洋次郎がピアノとともに歌い始めたのは「棒人間」。事前のMCを含めると「なんで「棒人間」なの?(笑)」と思わずにはいられないが、これはこの日の観客が大人しめだったということなのだろうか。
そして再び洋次郎が
「激しいのとバラードどっちがいい?両方?そういうのはやってません!(笑)」
と観客を煽りまくると、観客の大多数が激しい曲を望んだために最後に演奏されたのは「DADA」で、さいたまスーパーアリーナを揺らしまくった。本当にスタンド席は揺れまくっていた。
演奏が終わるとサポートメンバーも含めて全員が肩を組んで観客に頭を下げてからステージを去った。
「ずっとRADWIMPSを見てくれてる人は、新曲が出るたびに「洋次郎大丈夫なのかな?」ってハラハラすることばかりだと思いますが(笑)、これからも自分の思ってることをそのまま曲にしていきたいし、みんなが胸を張って「RADWIMPSが好きです」って言えるようなバンドでい続けられるような努力をしていきます」
とアンコール時に洋次郎は語っていたが、10代の頃からずっと、いや、ライブが良くなかった頃は胸を張れなかったかもしれない、でも今はちゃんと胸を張って「RADWIMPSが好きだ」って言える。その核にあるのは過去から今に至るまでのRADWIMPSの曲がどれも素晴らしいものだから。その曲たちを演奏するバンドに対して観客が100、それ以上の思いを返し、バンドがさらにそれを上回る力で返してくれる。RADWIMPSはずっと昔からそういうバンドだった。
1.AADAAKOODAA
2.One man live
3.ます。
4.ふたりごと
5.遠恋
6.俺色スカイ
7.やどかり
8.揶揄
9.秋祭り
10.スパークル
11.おしゃかしゃま
12.カタルシスト
13.洗脳
14.告白
15.HINOMARU
16.トレモロ
17.いいんですか?
18.君と羊と青
encore
19.棒人間
20.DADA
カタルシスト
https://youtu.be/czWpz8gH7eY
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