9mm Parabellum Bullet LIVE 2016 ”Waltz on Life Line” at日比谷野外大音楽堂 6/19
- 2016/06/20
- 00:52
今年、メンバー4人全員が手がけた曲が収録されたニューアルバム「Waltz on Life Line」をリリースし、新たなフェーズに突入した、9mm Parabellum Bullet。
すでにイベントやフェスでアルバム収録曲を何曲か演奏しているが、真価はワンマンでこそ明らかになるという濃い内容なアルバムなだけに、この日比谷野外音楽堂からスタートするワンマンツアーは実に楽しみなところであった。
即日ソールドアウトで立ち見席まで満員の中、会場に入ると腕に巻くタイプのサイリウムが配られる。4色を重ねると黒になるというアルバム初回盤のジャケットの通り、配られたサイリウムは4色。
開演時刻の18時をちょっと過ぎると、おなじみATARI TEENAGE RIOTの「Digital Hardcore」が流れると、ステージの壁にアルバムのジャケットのバックドロップがせり上がってきて、高く腕を掲げる滝を先頭にメンバーが登場。かみじょうのドラムセットもいつにも増して高く設置されているように感じる。野音は後ろからでもステージが見やすい客席だが、これはドラムまでもはっきり見える。
「9mm Parabellum Bulletです」
という卓郎のおなじみの挨拶から、アルバムのタイトルにつながる曲になった「生命のワルツ」でスタート。シングルとしてリリースされた時は正直、ここまでアルバムの核を担う曲になるとは思っていなかったが、今やライブの締めか始まりには欠かせない曲になっただけに、この曲の存在がアルバムの中でも大きいものになったのがよくわかる。
すでにライブでもよく演奏されている「Lost!!」はこれぞ9mmな爆音ロック。続く「Discommunication」と繋がっても違和感は全くない。やはり滝と和彦は暴れ回りながら演奏しているのだが、卓郎のボーカルはより貫禄を増しているように広く深く聴こえる。
「今日は「Waltz on Life Line」の世界観にじっくり浸ってもらおうと思います」
と、やはりこの日のライブがアルバムの全貌が明らかになる内容となることを告げると、アルバムの先行クアトロシングルとして収録された、かみじょうちひろが作詞作曲を手がけた「Mad Pierrot」から、アルバムの曲を連発していく流れに。しかし作曲こそこれまでもメインソングライターの滝以外に和彦や卓郎が手がけた曲はあったが、作詞を卓郎以外のメンバーが手がけたこの曲は、シングルリリース時は違和感がすごくあったが、ライブで毎回演奏されるのを聴くと、もはや9mmのこれまでにはなかった新たな武器になっているのを実感する。
「湖」「ロンリーボーイ」はこれまでに「Cold Edge」などを世に送り出した和彦が作曲した曲だけに、やはりストレートなギターロック。和彦の曲は発売前にクレジットが発表されていない状態で聴いても一発で和彦が作曲したとわかるくらいのストレートさ。それだけ和彦が「歌」をバンドの中で大事にしているということか。
卓郎の「誰も知らない」は逆に3人とは違うものを作ろうと思って作っているんだろうかと思うくらいに、ある意味では掴みどころがない曲。同じく卓郎が手がけた「モーニングベル」は歌詞も含めて面白いが、つまるところ「もっと寝させてくれ」と言っているようにしか聴こえない。この曲では滝が強烈なタッピング奏法を見せる。
ここで卓郎が改めてアルバムの内容について語り、かみじょうが手がけた「Kaleidoscope」は今までの9mmにはなかったタイプのリズムの曲なだけに、さすがにドラマーだけあってドラムを軸にかみじょうが曲を作っているのがよくわかる。
こうして各々が手がけたアルバムの曲を実際にライブで聴いてみると、CDで聴くよりはるかに曲に対する理解度が深まり、やはり実に面白い。
降雨が心配された天候なだけに、なかなかこの曲のタイトル的に雨が降ったらシャレにならない、しっとりと卓郎が歌い上げる卓郎作曲の「Lady Rainy」(卓郎も後でそのことについて話していた)では滝が途中でほとんどギターを弾かずにいたので、「ライブだとこういうアレンジなんだろうか」と思っていたら、この曲終わりで滝がステージから去っていく。
最初は特に気にしていなかったのだが、和彦もかみじょうもステージにとどまっており、アコギにギターを替えた卓郎も8年前の野音ワンマンの時にアコギの音がほとんど聴こえていなかったということを話していたが、明らかにもう本来なら曲に行っているはずとばかりに周りを気にしている。するとスタッフが3人に耳打ちし、滝が身体に不調をきたし、まだステージに戻ってこれないことを告げる。
すると和彦とかみじょうも滝が心配になったのかステージから去り、気付くと卓郎が1人に。若干寂しそうな感じを漂わせながら、急遽「The Revolutionary」を弾き語りで披露。原曲よりはるかにしっとりとしたアレンジになっているのはさすがに近年弾き語りで9mmの曲をよくやっているだけはある。
しかしそれでもまだ滝は帰還せず、客席も少しざわざわし出すと、卓郎がいきなりストレイテナーの「シーグラス」の歌い出しとサビを弾き語り。しかしワンフレーズくらいしかできなかったので、
「今年最後の海に行くまでにはちゃんと弾けるようにしたいと思います」
と、歌詞に合わせたコメントで笑わせ、さらにもう1曲と言うと、客席前方からリクエストが上がった「黒い森の旅人」を弾き語り。卓郎も言っていたが、木々に囲まれた会場なだけに、これはリクエスト者のナイスな選曲である。
しかしそれでもまだ滝は戻ってこれず、結局卓郎もステージから下がってしまい、期せずして二部構成になってしまう。(卓郎は「SPECIAL OTHERSのワンマンみたい」と形容していた)
しばし待ってから3人がステージに戻り、少し遅れて滝もようやくステージに戻ると、待たせて申し訳ないとばかりに手を合わせながらギターを持つが、それだけでも厳しそうな感じで、卓郎がアニメ「ベルセルク」のタイアップになっている新曲についての話をしている間、結局ギターを置いてしまったりと、戻ってきたはいいが、状態はかなりキツそうである。
その新曲「インフェルノ」はアニメの放送の尺に合わせた90秒しかない爆裂ショートチューン。アニメの原作を見たことがないのだが、「地獄」という意味のタイトルはこのバンドのサウンドで表現するにはぴったりである。
しかしかみじょうが手がけた「火祭り」(かみじょうは基本的に自身作曲の曲では作詞も手がけるだけに、卓郎とは全く違う歌詞で面白い)でも滝はいつものようには全く弾けず、暴れることはおろか、動きながら弾くことすらできないという、痛々しさすら感じてしまう光景に。
そんな滝の状態を見てやったのではなく、元から組み込まれていたであろう、かみじょうの超人ドラムソロ(これだけ歓声が上がりっぱなしのドラムソロは他では滅多に見れない)から、手拍子に合わせて「Black Market Blues」へ。歌詞を「日比谷野音」に変えたりという卓郎によるご当地アレンジはいつもの通りだが、その横でギターを弾く男は全くいつも通りではなく、もはやこの日の回復は不可能なのが見て取れるレベル。
すると卓郎がこのアルバムを作っている最中は不安だったという心境を語り(雑誌のインタビューでも卓郎はこのアルバムは失敗になるかもしれないと思っていたと正直に語っている。それは全員が曲を手がけたことによる、これまでのアルバムとは違う統一感のなさによる不安だったのだろうが、その統一感のなさは今やこのアルバムの味になっている)、
「この曲はデモテープを聴いた時点で景色というか風景がすぐ浮かんで、それをちゃんと歌詞にしないといけないと思った」
と曲が出来上がった経緯を語った「スタンドバイミー」から、ツアーのタイトルにもなっている「太陽が欲しいだけ」という、アルバムを締め括る流れに。タイトルも実に強烈なインパクトを持っているが、この曲はそれこそ「The Revolutionary」にも通じるような、アルバムのイメージを決定づける曲である。前述の統一感のなさすらも、この曲が最後にあることによって、すべて清算されていくような。気づけば完全に空は暗くなり、太陽こそ出ていないが、懸念された雨も降らず、観客が腕に装着したサイリウムの光が実にキレイ。
期せずしてMCの回数が普段より多くなったが、卓郎がここで
「きっと宝クジで6億円が当たったり、どんな幸せなことが訪れても俺は絶対どこか満たされないと思う。だからどんなに幸せになってもずっと音楽を続けていくと思う」
と先日報道された、自身の結婚とすでに子供がいることにも絡めたような、自身が音楽に向かう理由と姿勢を語ると、クライマックスの「ハートに火をつけて」ではこれまでとは異なり、間奏でダブなどのアレンジの演奏が施され、最後のサビの爆発力をさらに煽っていたが、滝が負傷していただけに、このアレンジもこの日のものが完成系というわけではないだろう。
そして最後はなんやかんやでその滝が手がけたことにより、これぞ9mmの王道サウンドとなった「反逆のマーチ」から、ラストは「新しい光」。もはや滝は動かずに弾くことすら困難なようで、ギターを弾いていない部分も多かった。(それは普段のバンザイギターのように意図的に弾かないのではなく、弾きたくても弾くことができない状態)
しかしそんな状態でも最後まで見てくれた観客に感謝を伝えるべく、卓郎は隅から隅まで手を振り、頭を下げてからステージを去って行った。
そんな状態なだけに、正直アンコールはどうなんだろうか、と思いながらも待っていると、メンバーが再登場。
「また会いましょうっていうのはアンコールで、っていうことじゃなくて、またどこかのライブ会場で会いましょうっていうこと。約束したぜ?」
と、この日来てくれた観客にリベンジ宣言をすると、愛を叫ぶショートチューン「Lovecall From The World」1曲だけを演奏(時間的にもこの曲しかできなかったんじゃないかと思う)し、和彦が「滝さんの分まで俺が暴れます」とばかりにアンプの上に登って演奏してから最後に大ジャンプをかますという頼もしい姿を見せると、普段は割とすぐにステージを去る滝が何度も両手を合わせて、「ありがとう」というよりも「申し訳ない」と言わんばかりにステージから去ると、客席からは暖かい拍手が起き、やはり卓郎は客席の隅々にまで感謝を告げてからステージを去って行った。
きっと曲数もかなり削っただろうし、いつもの9mmのライブの爆裂さや終わった後の爽快感には達してない。でもそれでも「金返して欲しい」とも「行かなきゃ良かった」とも全く思わないのは、9mmは度々こういうアクシデントを乗り越えて(それは主に滝だけど)進化してきたし、きっと今回のアクシデントもさらなる進化への糧になるはずだから。アルバムの全貌は見えなかった(演奏してない曲もあるから)が、それはこれからのツアーで。とりあえずは滝はしっかり治して万全な状態になってください。
1.生命のワルツ
2.Lost!!
3.Discommunication
4.Mad Pierrot
5.湖
6.誰も知らない
7.ロンリーボーイ
8.モーニングベル
9.Kaleidoscope
10.Lady Rainy
11.The Revolutionary (卓郎弾き語り)
12.黒い森の旅人 (卓郎弾き語り)
13.インフェルノ
14.火祭り
15.Black Market Blues
16.スタンドバイミー
17.太陽が欲しいだけ
18.ハートに火をつけて
19.反逆のマーチ
20.新しい光
encore
21.Lovecall From The World
Lost!!
https://youtu.be/QvzzTBJ3IgY
Next→ 6/22 銀杏BOYZ @Zepp DiverCity
すでにイベントやフェスでアルバム収録曲を何曲か演奏しているが、真価はワンマンでこそ明らかになるという濃い内容なアルバムなだけに、この日比谷野外音楽堂からスタートするワンマンツアーは実に楽しみなところであった。
即日ソールドアウトで立ち見席まで満員の中、会場に入ると腕に巻くタイプのサイリウムが配られる。4色を重ねると黒になるというアルバム初回盤のジャケットの通り、配られたサイリウムは4色。
開演時刻の18時をちょっと過ぎると、おなじみATARI TEENAGE RIOTの「Digital Hardcore」が流れると、ステージの壁にアルバムのジャケットのバックドロップがせり上がってきて、高く腕を掲げる滝を先頭にメンバーが登場。かみじょうのドラムセットもいつにも増して高く設置されているように感じる。野音は後ろからでもステージが見やすい客席だが、これはドラムまでもはっきり見える。
「9mm Parabellum Bulletです」
という卓郎のおなじみの挨拶から、アルバムのタイトルにつながる曲になった「生命のワルツ」でスタート。シングルとしてリリースされた時は正直、ここまでアルバムの核を担う曲になるとは思っていなかったが、今やライブの締めか始まりには欠かせない曲になっただけに、この曲の存在がアルバムの中でも大きいものになったのがよくわかる。
すでにライブでもよく演奏されている「Lost!!」はこれぞ9mmな爆音ロック。続く「Discommunication」と繋がっても違和感は全くない。やはり滝と和彦は暴れ回りながら演奏しているのだが、卓郎のボーカルはより貫禄を増しているように広く深く聴こえる。
「今日は「Waltz on Life Line」の世界観にじっくり浸ってもらおうと思います」
と、やはりこの日のライブがアルバムの全貌が明らかになる内容となることを告げると、アルバムの先行クアトロシングルとして収録された、かみじょうちひろが作詞作曲を手がけた「Mad Pierrot」から、アルバムの曲を連発していく流れに。しかし作曲こそこれまでもメインソングライターの滝以外に和彦や卓郎が手がけた曲はあったが、作詞を卓郎以外のメンバーが手がけたこの曲は、シングルリリース時は違和感がすごくあったが、ライブで毎回演奏されるのを聴くと、もはや9mmのこれまでにはなかった新たな武器になっているのを実感する。
「湖」「ロンリーボーイ」はこれまでに「Cold Edge」などを世に送り出した和彦が作曲した曲だけに、やはりストレートなギターロック。和彦の曲は発売前にクレジットが発表されていない状態で聴いても一発で和彦が作曲したとわかるくらいのストレートさ。それだけ和彦が「歌」をバンドの中で大事にしているということか。
卓郎の「誰も知らない」は逆に3人とは違うものを作ろうと思って作っているんだろうかと思うくらいに、ある意味では掴みどころがない曲。同じく卓郎が手がけた「モーニングベル」は歌詞も含めて面白いが、つまるところ「もっと寝させてくれ」と言っているようにしか聴こえない。この曲では滝が強烈なタッピング奏法を見せる。
ここで卓郎が改めてアルバムの内容について語り、かみじょうが手がけた「Kaleidoscope」は今までの9mmにはなかったタイプのリズムの曲なだけに、さすがにドラマーだけあってドラムを軸にかみじょうが曲を作っているのがよくわかる。
こうして各々が手がけたアルバムの曲を実際にライブで聴いてみると、CDで聴くよりはるかに曲に対する理解度が深まり、やはり実に面白い。
降雨が心配された天候なだけに、なかなかこの曲のタイトル的に雨が降ったらシャレにならない、しっとりと卓郎が歌い上げる卓郎作曲の「Lady Rainy」(卓郎も後でそのことについて話していた)では滝が途中でほとんどギターを弾かずにいたので、「ライブだとこういうアレンジなんだろうか」と思っていたら、この曲終わりで滝がステージから去っていく。
最初は特に気にしていなかったのだが、和彦もかみじょうもステージにとどまっており、アコギにギターを替えた卓郎も8年前の野音ワンマンの時にアコギの音がほとんど聴こえていなかったということを話していたが、明らかにもう本来なら曲に行っているはずとばかりに周りを気にしている。するとスタッフが3人に耳打ちし、滝が身体に不調をきたし、まだステージに戻ってこれないことを告げる。
すると和彦とかみじょうも滝が心配になったのかステージから去り、気付くと卓郎が1人に。若干寂しそうな感じを漂わせながら、急遽「The Revolutionary」を弾き語りで披露。原曲よりはるかにしっとりとしたアレンジになっているのはさすがに近年弾き語りで9mmの曲をよくやっているだけはある。
しかしそれでもまだ滝は帰還せず、客席も少しざわざわし出すと、卓郎がいきなりストレイテナーの「シーグラス」の歌い出しとサビを弾き語り。しかしワンフレーズくらいしかできなかったので、
「今年最後の海に行くまでにはちゃんと弾けるようにしたいと思います」
と、歌詞に合わせたコメントで笑わせ、さらにもう1曲と言うと、客席前方からリクエストが上がった「黒い森の旅人」を弾き語り。卓郎も言っていたが、木々に囲まれた会場なだけに、これはリクエスト者のナイスな選曲である。
しかしそれでもまだ滝は戻ってこれず、結局卓郎もステージから下がってしまい、期せずして二部構成になってしまう。(卓郎は「SPECIAL OTHERSのワンマンみたい」と形容していた)
しばし待ってから3人がステージに戻り、少し遅れて滝もようやくステージに戻ると、待たせて申し訳ないとばかりに手を合わせながらギターを持つが、それだけでも厳しそうな感じで、卓郎がアニメ「ベルセルク」のタイアップになっている新曲についての話をしている間、結局ギターを置いてしまったりと、戻ってきたはいいが、状態はかなりキツそうである。
その新曲「インフェルノ」はアニメの放送の尺に合わせた90秒しかない爆裂ショートチューン。アニメの原作を見たことがないのだが、「地獄」という意味のタイトルはこのバンドのサウンドで表現するにはぴったりである。
しかしかみじょうが手がけた「火祭り」(かみじょうは基本的に自身作曲の曲では作詞も手がけるだけに、卓郎とは全く違う歌詞で面白い)でも滝はいつものようには全く弾けず、暴れることはおろか、動きながら弾くことすらできないという、痛々しさすら感じてしまう光景に。
そんな滝の状態を見てやったのではなく、元から組み込まれていたであろう、かみじょうの超人ドラムソロ(これだけ歓声が上がりっぱなしのドラムソロは他では滅多に見れない)から、手拍子に合わせて「Black Market Blues」へ。歌詞を「日比谷野音」に変えたりという卓郎によるご当地アレンジはいつもの通りだが、その横でギターを弾く男は全くいつも通りではなく、もはやこの日の回復は不可能なのが見て取れるレベル。
すると卓郎がこのアルバムを作っている最中は不安だったという心境を語り(雑誌のインタビューでも卓郎はこのアルバムは失敗になるかもしれないと思っていたと正直に語っている。それは全員が曲を手がけたことによる、これまでのアルバムとは違う統一感のなさによる不安だったのだろうが、その統一感のなさは今やこのアルバムの味になっている)、
「この曲はデモテープを聴いた時点で景色というか風景がすぐ浮かんで、それをちゃんと歌詞にしないといけないと思った」
と曲が出来上がった経緯を語った「スタンドバイミー」から、ツアーのタイトルにもなっている「太陽が欲しいだけ」という、アルバムを締め括る流れに。タイトルも実に強烈なインパクトを持っているが、この曲はそれこそ「The Revolutionary」にも通じるような、アルバムのイメージを決定づける曲である。前述の統一感のなさすらも、この曲が最後にあることによって、すべて清算されていくような。気づけば完全に空は暗くなり、太陽こそ出ていないが、懸念された雨も降らず、観客が腕に装着したサイリウムの光が実にキレイ。
期せずしてMCの回数が普段より多くなったが、卓郎がここで
「きっと宝クジで6億円が当たったり、どんな幸せなことが訪れても俺は絶対どこか満たされないと思う。だからどんなに幸せになってもずっと音楽を続けていくと思う」
と先日報道された、自身の結婚とすでに子供がいることにも絡めたような、自身が音楽に向かう理由と姿勢を語ると、クライマックスの「ハートに火をつけて」ではこれまでとは異なり、間奏でダブなどのアレンジの演奏が施され、最後のサビの爆発力をさらに煽っていたが、滝が負傷していただけに、このアレンジもこの日のものが完成系というわけではないだろう。
そして最後はなんやかんやでその滝が手がけたことにより、これぞ9mmの王道サウンドとなった「反逆のマーチ」から、ラストは「新しい光」。もはや滝は動かずに弾くことすら困難なようで、ギターを弾いていない部分も多かった。(それは普段のバンザイギターのように意図的に弾かないのではなく、弾きたくても弾くことができない状態)
しかしそんな状態でも最後まで見てくれた観客に感謝を伝えるべく、卓郎は隅から隅まで手を振り、頭を下げてからステージを去って行った。
そんな状態なだけに、正直アンコールはどうなんだろうか、と思いながらも待っていると、メンバーが再登場。
「また会いましょうっていうのはアンコールで、っていうことじゃなくて、またどこかのライブ会場で会いましょうっていうこと。約束したぜ?」
と、この日来てくれた観客にリベンジ宣言をすると、愛を叫ぶショートチューン「Lovecall From The World」1曲だけを演奏(時間的にもこの曲しかできなかったんじゃないかと思う)し、和彦が「滝さんの分まで俺が暴れます」とばかりにアンプの上に登って演奏してから最後に大ジャンプをかますという頼もしい姿を見せると、普段は割とすぐにステージを去る滝が何度も両手を合わせて、「ありがとう」というよりも「申し訳ない」と言わんばかりにステージから去ると、客席からは暖かい拍手が起き、やはり卓郎は客席の隅々にまで感謝を告げてからステージを去って行った。
きっと曲数もかなり削っただろうし、いつもの9mmのライブの爆裂さや終わった後の爽快感には達してない。でもそれでも「金返して欲しい」とも「行かなきゃ良かった」とも全く思わないのは、9mmは度々こういうアクシデントを乗り越えて(それは主に滝だけど)進化してきたし、きっと今回のアクシデントもさらなる進化への糧になるはずだから。アルバムの全貌は見えなかった(演奏してない曲もあるから)が、それはこれからのツアーで。とりあえずは滝はしっかり治して万全な状態になってください。
1.生命のワルツ
2.Lost!!
3.Discommunication
4.Mad Pierrot
5.湖
6.誰も知らない
7.ロンリーボーイ
8.モーニングベル
9.Kaleidoscope
10.Lady Rainy
11.The Revolutionary (卓郎弾き語り)
12.黒い森の旅人 (卓郎弾き語り)
13.インフェルノ
14.火祭り
15.Black Market Blues
16.スタンドバイミー
17.太陽が欲しいだけ
18.ハートに火をつけて
19.反逆のマーチ
20.新しい光
encore
21.Lovecall From The World
Lost!!
https://youtu.be/QvzzTBJ3IgY
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