フルカワユタカ presents 「play with B」 ~with C2~ 出演:フルカワユタカ / Base Ball Bear @下北沢GARDEN 6/18
- 2016/06/18
- 23:16
元DOPING PANDAのボーカルである、フルカワユタカ主催のライブイベントだが、それ以上に意味を持つのはゲストがBase Ball Bearだから。
湯浅将平の突然のバンド脱退後、ベボベを救ったのはサポートギターとしてツアーに参加した、フルカワユタカだった。4月の日比谷野音までサポートを続けたが、この日は当然フルカワがギターを務める。
そんなわけで当然客層はもう9割近くがベボベのファンであろうかというくらいにベボベのグッズを身にまとった人がほとんど。しかし、DOPING PANDA時代からは、ともにフェスで万単位の人を動員していたこの2組が下北沢のキャパで見れることになるのがやはり不思議。
・Base Ball Bear
そんな状況の中で先に登場した、Base Ball Bear。かつてのホームである下北沢でのライブである。
いつものようにXTCのSEで登場すると、フルカワユタカは白シャツ姿。小出が
「こんばんは、Base Ball Bearです」
と挨拶すると、「「それって、for 誰?」part.1」からスタートし、ライブタイトルにあるように、序盤はベボベの最新アルバム「C2」の曲が中心に演奏されていく。元からフルカワはギターの演奏力には定評があったが、こうして聴くとやはり上手い。ステージに並んでいる姿はやはり未だにちょっと違和感を感じるが(それはフルカワが1人だけかなり年上だからというのもあるが)、サウンド面ではそこまで強い違和感は感じない。
関根のゴリゴリのベースを中心にかつての4つ打ちとは全く違うリズムである、黒いグルーヴで観客を踊らせる「曖してる」では間奏で関根のベースソロ、さらには小出のギターソロで両者が向き合って演奏。フルカワは楽しそうに堀之内と向かい合ってギターを弾いている。
小出「主催者が一発目にサポートでも出るってなかなかないですよ」
フルカワ「俺も完全に初めて。でもそれこそがロックスターだから(笑)」
小出「わっかりましたー(棒読み)」
フルカワ「イラッとするわ~(笑)最初は本当にいい子たちだと思ったのに、4ヶ月でこうなるんだよ!?」
と、サポートの期間で縮まりすぎというくらいに縮まった両者の距離感で笑わせると、フルカワのギターソロが炸裂する「どうしよう」。
ここまでの黒いグルーヴを中心としたバンドサウンドは、かつてDOPING PANDAで「Yellow Funk」というアルバムを作り、日本人ならではの黒いグルーヴを追求したフルカワだからこそ非常に良く似合う。
そんな流れから青春性の強い、教室の窓際で佇むあの娘を思い起こさせる「short hair」で爽やかなサウンドに転じると、
小出「昔、DOPING PANDAがメジャーデビューした時に、オープニングアクト的な感じで一緒にツアー回らせてもらったんですけど、まぁフルカワさんの威圧感が凄くて(笑)」
堀之内「威圧感じゃなくてオーラがね!(笑)」
フルカワ「お!いい言い方するね~(笑)」
小出「そのフルカワさんの威圧的なオーラが…(笑)」
堀之内&フルカワ「おい!(笑)」
と完全に息の合った爆笑トークを展開しつつ、
小出「ギターが抜けた時、普通にギター専任の人を入れてもいいと思ったんだけど、作曲もやるメインボーカルのギタリストの人に入ってもらったら面白いんじゃないかと思って、フルカワさんに電話して」
フルカワ「そしたらこいつ、「そういう人がやったほうがウケると思うんですよ~」って言ってきて。すごいムカッとした(笑)」
と、フルカワにサポートを頼んだ経緯を話したりしながら、
フルカワ「でも小出くんは本当にギター上手い。思ってたよりもはるかに上手かった。あと曲も凄くいいしね」
小出「ありがとうございまーす」
堀之内「そこは褒め返す流れだろう!(笑)」
とボケる小出、先輩なのに翻弄されるフルカワ、鋭く突っ込む堀之内という構図が完璧に出来上がってしまっている。
そこから後半は現状では最後のフルカワのサポートでのライブを楽しみながらも噛みしめるように代表曲が演奏されていく。
「UNDER THE STAR LIGHT」など、野音ではフルカワが弾かなかった曲もフルカワのギターで演奏されるが、このライブ一回のためだけに曲を覚えたというのであれば、フルカワは本当にベボベ想いだし、すぐさま弾けるようになるのはさすが。
そして最後は「LOVE MATHEMATICS」から「PERFECT BLUE」という、アッパーかつ青春感溢れる流れで、フルカワも拳を振り上げて観客を煽りまくり、共に駆け抜けてきた4ヶ月にいったん終止符を打った。
VIVA LA ROCKでは田渕ひさ子がサポートギターだったらしいが、未だにこの後がどうなるのかはまだわからないまま、バンドはこの先夏フェスにも積極的に出演していく。
そこでも田渕ひさ子が弾くのか、あるいは他のサポートメンバーが弾くのか(ハヤシや石毛は自身のバンドでもフェスに出まくるために難しいだろう)、はたまた野音で小出が言っていたように、ホーン隊などのこれまでこのバンドにおいては禁じ手だった、4人以外の音を入れていくのか。
どうなろうと、このあとにフルカワが自身のライブのMCで言っていたように、
「まだまだここからだと思うし、これからが本当に楽しみ」
1.「それって、for 誰?」 part.1
2.不思議な夜
3.曖してる
4.どうしよう
5.short hair
6.changes
7.UNDER THE STAR LIGHT
8.LOVE MATHEMATICS
9.PERFECT BLUE
PERFECT BLUE
https://youtu.be/jgofbf8Q_-Y
・フルカワユタカ
すでに1ステージ終えているフルカワユタカ、今度は自身のソロで登場。黒いシャツに着替え、サポートメンバーに
ギター:新井弘毅(ex.serial TV drama)
ベース:宇野剛史(ex.ART-SCHOOL)
ドラム:カディオ(QUATTRO)
という、これまでに各々の活動でステージに立っているのを見てきた面々を迎え、ソロ始動の意志をそのまま曲にしたかのような「too young to die」からスタートし、序盤は4人のバンド感を強く感じる曲が続き、中にはDOPING PANDA時代の「GAME」という選曲もあるが、解散から5年経ってもたくさんの人を踊らせることができる楽曲の力は、演奏するメンバーが違っても変わることはない。間奏ではコール&レスポンスに加え、
「I'm ロックスター!」
という恒例の自己紹介も挟まれる。
昨年リリースのミニアルバムからの「slow motion」からはグッとテンポを落とし、アッパーなサウンドで踊らせるだけではない、フルカワユタカのセンチメンタルな一面を覗かせる。
特に「眠りたくない夜は」「君は神様だったから」というあたりは、日本語歌詞なだけに一層その部分が強く伝わってくる。
「バンドも10年以上やっていると、無傷ではいられないというか…。それは真剣にロックバンドやってるからだしね。
このメンバーはみんな解散、活動休止、脱退を経験してますけども(笑)、だからこそ彼ら(ベボベ)の今後が楽しみだし、まだまだこれからだと思う」
と、あまりベボベの話ばかりにはしたくないと言いながらも、共にツアーを廻って同じステージに立ったベボベのことを本当に可愛がって、気にかけているのがよくわかるMC。
そんな中、宇野にはひたすら
「木下理樹にART-SCHOOLをクビにされた」
といじりまくる。それはフルカワと木下の関係性というか、仲の良さもあるのだろうけど。(実際、フルカワはART-SCHOOLと以前対バンもしている)
そんなMC中に間違えて「無限大ダンスタイム」というサンプリングボイスを流してしまうというネタバレをやらかしてしまい、あまつさえ次の曲は無限大ダンスタイムと真逆の意味の「I don't wanna dance」という、逆に狙ってやったんだろうか、とすら思う演出。「I don't wanna dance」は実際は非常に踊れる曲であるのだが。
そして予告(?)通りに、DOPING PANDA時代の代名詞にして、何万人もの観客を漏れなく熱狂の渦に飲み込んできた、無限大ダンスタイムに突入。
「The Fire」から、かつて何度となく聴いてきたキラーチューンが次々に演奏され、それまでは適度に踊る、揺れるという感じで楽しんでいた客席も、やはり激しく踊りまくる。
しかしながらドーパン時代と違うのはやはりフルカワ以外にギターがいるということで、しかもそれがかつてはロックシーンのギターヒーローの座を狙っていた新井であり、当然スリーピースより音が分厚いだけでなく、様々な角度から曲の持つ魅力を浮かび上がらせる。弾いている時は割とポーカーフェースなのだが、この辺りでは飛び跳ねたり、頭を振ったりしながらギターを弾いている。
フルカワはやはり相変わらず決して歌が上手いわけではないが、間奏やアウトロでは高速タッピングを何度もキメるなど、ギターに専念する立場ではなくても圧倒的な演奏力を見せつけている。
当初はベボベのファンの人のほうが多く、若い人はドーパンを知らない人もいるんじゃないかと思ったが、「MIRACLE」では大きな合唱も起こり、ドーパンがいかに大きなバンドであったかを改めて思い知らされた。
アンコールではまずフルカワが1人で登場して喋り始めるも、「1人でやるわけないじゃん!」と言ってメンバーを呼び込み、先ほどのベボベの「フルカワにサポートを頼む時の小出の電話」を再現しようとすると、小出がステージに登場して釈明を行い、
「だから俺の話しまくるからこうなるんだって!(笑)」
と、ベボベのライブ時はいじられまくっていた小出にリベンジを果たす。
そんな和やかなやり取りもあったが、
「でもBase Ball Bearには本当に感謝してる。くすぶってた俺に表舞台に出る機会を与えてくれたし、一緒にやれて本当に勉強になった。
一応今回で最後っていうことになるけど、また彼らが弾いてくれって言うんなら、いつでも弾くから」
と、かつては「ロックスター」と名乗っていたばかりに「ビッグマウス」と言われまくっていたフルカワの、本当に優しい兄貴分としての部分を見せてくれ、
「彼らのカバーを最後にやろうかと。まぁいろんな曲があるし、「ドラマチック」とか「祭りのあと」とか。「祭りのあと」ってなんだよって(笑)いつも祭りの真っ最中だろ!って(大歓声)
で、この曲をやろうと思ったのは、俺はこの曲を弾けなかったんだけど、本当に良い曲だなと思ったからで。
でも今日リハで練習しようとしたら、あいつら(ベボベ)来るの早いんだ!(笑)下北沢だから(笑)
だからぶっつけ本番みたいな感じなんだけど、何が言いたいかって言うと、歌詞とかを間違えるところが多々あるかもしれないと(笑)」
と語ると、まさかのBase Ball Bear「The End」のカバーを披露。フルカワと比べると、やはり小出は歌が上手いんだなぁとも思うが、実に原曲に忠実なアレンジで、
「終わりはそう、終わりじゃない
緞帳の奥は暗闇じゃない」
と歌われるこの曲は、かつてやっていたバンドを辞めたりしてもなお、音楽を続けることしかできずに今でもこうして音を鳴らしているこのメンバーで演奏されるからこそ説得力がある。
実際、この曲を演奏している時、周りでは涙を浮かべるベボベファンもいた。
そして最後に演奏されたのは、
「ミラクル起こせなくてさ」
のフレーズを
「ミラクル起こしちゃってさ」
と、DOPING PANDA時代と同じように変えて歌われた「Crazy」。
解散ライブ以降、DOPING PANDAの曲をこうしてライブで聴くことはなかったし、次々に出てくる若手バンドの曲を聴いたりライブを見に行ったりしていると、曲を聴くこともなくなっていた。しかしこうしてライブで聴くと、今でも本当に楽しいし、かつてのライブのいろいろな思い出がよみがえってきた。
演奏を終えてステージから去るフルカワに対して、
「ありがとうー!」
という声と拍手が鳴りやまなかったが、それはこのライブが素晴らしかったのはもちろん、ベボベを支えてくれて、救ってくれてありがとうという意味も込められていたように感じた。
この日、自分は完全にベボベ目当てでこのライブに行ったが、終わった今となっては1番残っているのはフルカワユタカの男気。それは会計を全部出すという安っぽいものではなく、否定的な見られ方をされるのを承知で、ベボベを持てる限りの力で支えてくれたという、ある意味無償の愛情と言ってもいいもの。
かつてと比べたら規模は縮小したかもしれないが、今でも変わらず、というかドーパン解散からいろんな経験をして、さらにカッコいい男になっている。またいつかベボベで弾いている姿も見てみたい。
1.too young to die
2.Beast
3.GAME
4.slow motion
5.眠りたくない夜は
6.君は神様だったから
7.ボクは、少しズルくなる
8.I don't wanna dance
9.the mugendai dance time
10.The Fire
11.Transient Happines
12.beat addiction
13.MIRACLE
encore
14.The End (Base Ball Bearのカバー)
15.Crazy
I don't wanna dance
https://youtu.be/qX37fWB9x9k
Next→ 6/19 9mm Parabellum Bullet @日比谷野外音楽堂
湯浅将平の突然のバンド脱退後、ベボベを救ったのはサポートギターとしてツアーに参加した、フルカワユタカだった。4月の日比谷野音までサポートを続けたが、この日は当然フルカワがギターを務める。
そんなわけで当然客層はもう9割近くがベボベのファンであろうかというくらいにベボベのグッズを身にまとった人がほとんど。しかし、DOPING PANDA時代からは、ともにフェスで万単位の人を動員していたこの2組が下北沢のキャパで見れることになるのがやはり不思議。
・Base Ball Bear
そんな状況の中で先に登場した、Base Ball Bear。かつてのホームである下北沢でのライブである。
いつものようにXTCのSEで登場すると、フルカワユタカは白シャツ姿。小出が
「こんばんは、Base Ball Bearです」
と挨拶すると、「「それって、for 誰?」part.1」からスタートし、ライブタイトルにあるように、序盤はベボベの最新アルバム「C2」の曲が中心に演奏されていく。元からフルカワはギターの演奏力には定評があったが、こうして聴くとやはり上手い。ステージに並んでいる姿はやはり未だにちょっと違和感を感じるが(それはフルカワが1人だけかなり年上だからというのもあるが)、サウンド面ではそこまで強い違和感は感じない。
関根のゴリゴリのベースを中心にかつての4つ打ちとは全く違うリズムである、黒いグルーヴで観客を踊らせる「曖してる」では間奏で関根のベースソロ、さらには小出のギターソロで両者が向き合って演奏。フルカワは楽しそうに堀之内と向かい合ってギターを弾いている。
小出「主催者が一発目にサポートでも出るってなかなかないですよ」
フルカワ「俺も完全に初めて。でもそれこそがロックスターだから(笑)」
小出「わっかりましたー(棒読み)」
フルカワ「イラッとするわ~(笑)最初は本当にいい子たちだと思ったのに、4ヶ月でこうなるんだよ!?」
と、サポートの期間で縮まりすぎというくらいに縮まった両者の距離感で笑わせると、フルカワのギターソロが炸裂する「どうしよう」。
ここまでの黒いグルーヴを中心としたバンドサウンドは、かつてDOPING PANDAで「Yellow Funk」というアルバムを作り、日本人ならではの黒いグルーヴを追求したフルカワだからこそ非常に良く似合う。
そんな流れから青春性の強い、教室の窓際で佇むあの娘を思い起こさせる「short hair」で爽やかなサウンドに転じると、
小出「昔、DOPING PANDAがメジャーデビューした時に、オープニングアクト的な感じで一緒にツアー回らせてもらったんですけど、まぁフルカワさんの威圧感が凄くて(笑)」
堀之内「威圧感じゃなくてオーラがね!(笑)」
フルカワ「お!いい言い方するね~(笑)」
小出「そのフルカワさんの威圧的なオーラが…(笑)」
堀之内&フルカワ「おい!(笑)」
と完全に息の合った爆笑トークを展開しつつ、
小出「ギターが抜けた時、普通にギター専任の人を入れてもいいと思ったんだけど、作曲もやるメインボーカルのギタリストの人に入ってもらったら面白いんじゃないかと思って、フルカワさんに電話して」
フルカワ「そしたらこいつ、「そういう人がやったほうがウケると思うんですよ~」って言ってきて。すごいムカッとした(笑)」
と、フルカワにサポートを頼んだ経緯を話したりしながら、
フルカワ「でも小出くんは本当にギター上手い。思ってたよりもはるかに上手かった。あと曲も凄くいいしね」
小出「ありがとうございまーす」
堀之内「そこは褒め返す流れだろう!(笑)」
とボケる小出、先輩なのに翻弄されるフルカワ、鋭く突っ込む堀之内という構図が完璧に出来上がってしまっている。
そこから後半は現状では最後のフルカワのサポートでのライブを楽しみながらも噛みしめるように代表曲が演奏されていく。
「UNDER THE STAR LIGHT」など、野音ではフルカワが弾かなかった曲もフルカワのギターで演奏されるが、このライブ一回のためだけに曲を覚えたというのであれば、フルカワは本当にベボベ想いだし、すぐさま弾けるようになるのはさすが。
そして最後は「LOVE MATHEMATICS」から「PERFECT BLUE」という、アッパーかつ青春感溢れる流れで、フルカワも拳を振り上げて観客を煽りまくり、共に駆け抜けてきた4ヶ月にいったん終止符を打った。
VIVA LA ROCKでは田渕ひさ子がサポートギターだったらしいが、未だにこの後がどうなるのかはまだわからないまま、バンドはこの先夏フェスにも積極的に出演していく。
そこでも田渕ひさ子が弾くのか、あるいは他のサポートメンバーが弾くのか(ハヤシや石毛は自身のバンドでもフェスに出まくるために難しいだろう)、はたまた野音で小出が言っていたように、ホーン隊などのこれまでこのバンドにおいては禁じ手だった、4人以外の音を入れていくのか。
どうなろうと、このあとにフルカワが自身のライブのMCで言っていたように、
「まだまだここからだと思うし、これからが本当に楽しみ」
1.「それって、for 誰?」 part.1
2.不思議な夜
3.曖してる
4.どうしよう
5.short hair
6.changes
7.UNDER THE STAR LIGHT
8.LOVE MATHEMATICS
9.PERFECT BLUE
PERFECT BLUE
https://youtu.be/jgofbf8Q_-Y
・フルカワユタカ
すでに1ステージ終えているフルカワユタカ、今度は自身のソロで登場。黒いシャツに着替え、サポートメンバーに
ギター:新井弘毅(ex.serial TV drama)
ベース:宇野剛史(ex.ART-SCHOOL)
ドラム:カディオ(QUATTRO)
という、これまでに各々の活動でステージに立っているのを見てきた面々を迎え、ソロ始動の意志をそのまま曲にしたかのような「too young to die」からスタートし、序盤は4人のバンド感を強く感じる曲が続き、中にはDOPING PANDA時代の「GAME」という選曲もあるが、解散から5年経ってもたくさんの人を踊らせることができる楽曲の力は、演奏するメンバーが違っても変わることはない。間奏ではコール&レスポンスに加え、
「I'm ロックスター!」
という恒例の自己紹介も挟まれる。
昨年リリースのミニアルバムからの「slow motion」からはグッとテンポを落とし、アッパーなサウンドで踊らせるだけではない、フルカワユタカのセンチメンタルな一面を覗かせる。
特に「眠りたくない夜は」「君は神様だったから」というあたりは、日本語歌詞なだけに一層その部分が強く伝わってくる。
「バンドも10年以上やっていると、無傷ではいられないというか…。それは真剣にロックバンドやってるからだしね。
このメンバーはみんな解散、活動休止、脱退を経験してますけども(笑)、だからこそ彼ら(ベボベ)の今後が楽しみだし、まだまだこれからだと思う」
と、あまりベボベの話ばかりにはしたくないと言いながらも、共にツアーを廻って同じステージに立ったベボベのことを本当に可愛がって、気にかけているのがよくわかるMC。
そんな中、宇野にはひたすら
「木下理樹にART-SCHOOLをクビにされた」
といじりまくる。それはフルカワと木下の関係性というか、仲の良さもあるのだろうけど。(実際、フルカワはART-SCHOOLと以前対バンもしている)
そんなMC中に間違えて「無限大ダンスタイム」というサンプリングボイスを流してしまうというネタバレをやらかしてしまい、あまつさえ次の曲は無限大ダンスタイムと真逆の意味の「I don't wanna dance」という、逆に狙ってやったんだろうか、とすら思う演出。「I don't wanna dance」は実際は非常に踊れる曲であるのだが。
そして予告(?)通りに、DOPING PANDA時代の代名詞にして、何万人もの観客を漏れなく熱狂の渦に飲み込んできた、無限大ダンスタイムに突入。
「The Fire」から、かつて何度となく聴いてきたキラーチューンが次々に演奏され、それまでは適度に踊る、揺れるという感じで楽しんでいた客席も、やはり激しく踊りまくる。
しかしながらドーパン時代と違うのはやはりフルカワ以外にギターがいるということで、しかもそれがかつてはロックシーンのギターヒーローの座を狙っていた新井であり、当然スリーピースより音が分厚いだけでなく、様々な角度から曲の持つ魅力を浮かび上がらせる。弾いている時は割とポーカーフェースなのだが、この辺りでは飛び跳ねたり、頭を振ったりしながらギターを弾いている。
フルカワはやはり相変わらず決して歌が上手いわけではないが、間奏やアウトロでは高速タッピングを何度もキメるなど、ギターに専念する立場ではなくても圧倒的な演奏力を見せつけている。
当初はベボベのファンの人のほうが多く、若い人はドーパンを知らない人もいるんじゃないかと思ったが、「MIRACLE」では大きな合唱も起こり、ドーパンがいかに大きなバンドであったかを改めて思い知らされた。
アンコールではまずフルカワが1人で登場して喋り始めるも、「1人でやるわけないじゃん!」と言ってメンバーを呼び込み、先ほどのベボベの「フルカワにサポートを頼む時の小出の電話」を再現しようとすると、小出がステージに登場して釈明を行い、
「だから俺の話しまくるからこうなるんだって!(笑)」
と、ベボベのライブ時はいじられまくっていた小出にリベンジを果たす。
そんな和やかなやり取りもあったが、
「でもBase Ball Bearには本当に感謝してる。くすぶってた俺に表舞台に出る機会を与えてくれたし、一緒にやれて本当に勉強になった。
一応今回で最後っていうことになるけど、また彼らが弾いてくれって言うんなら、いつでも弾くから」
と、かつては「ロックスター」と名乗っていたばかりに「ビッグマウス」と言われまくっていたフルカワの、本当に優しい兄貴分としての部分を見せてくれ、
「彼らのカバーを最後にやろうかと。まぁいろんな曲があるし、「ドラマチック」とか「祭りのあと」とか。「祭りのあと」ってなんだよって(笑)いつも祭りの真っ最中だろ!って(大歓声)
で、この曲をやろうと思ったのは、俺はこの曲を弾けなかったんだけど、本当に良い曲だなと思ったからで。
でも今日リハで練習しようとしたら、あいつら(ベボベ)来るの早いんだ!(笑)下北沢だから(笑)
だからぶっつけ本番みたいな感じなんだけど、何が言いたいかって言うと、歌詞とかを間違えるところが多々あるかもしれないと(笑)」
と語ると、まさかのBase Ball Bear「The End」のカバーを披露。フルカワと比べると、やはり小出は歌が上手いんだなぁとも思うが、実に原曲に忠実なアレンジで、
「終わりはそう、終わりじゃない
緞帳の奥は暗闇じゃない」
と歌われるこの曲は、かつてやっていたバンドを辞めたりしてもなお、音楽を続けることしかできずに今でもこうして音を鳴らしているこのメンバーで演奏されるからこそ説得力がある。
実際、この曲を演奏している時、周りでは涙を浮かべるベボベファンもいた。
そして最後に演奏されたのは、
「ミラクル起こせなくてさ」
のフレーズを
「ミラクル起こしちゃってさ」
と、DOPING PANDA時代と同じように変えて歌われた「Crazy」。
解散ライブ以降、DOPING PANDAの曲をこうしてライブで聴くことはなかったし、次々に出てくる若手バンドの曲を聴いたりライブを見に行ったりしていると、曲を聴くこともなくなっていた。しかしこうしてライブで聴くと、今でも本当に楽しいし、かつてのライブのいろいろな思い出がよみがえってきた。
演奏を終えてステージから去るフルカワに対して、
「ありがとうー!」
という声と拍手が鳴りやまなかったが、それはこのライブが素晴らしかったのはもちろん、ベボベを支えてくれて、救ってくれてありがとうという意味も込められていたように感じた。
この日、自分は完全にベボベ目当てでこのライブに行ったが、終わった今となっては1番残っているのはフルカワユタカの男気。それは会計を全部出すという安っぽいものではなく、否定的な見られ方をされるのを承知で、ベボベを持てる限りの力で支えてくれたという、ある意味無償の愛情と言ってもいいもの。
かつてと比べたら規模は縮小したかもしれないが、今でも変わらず、というかドーパン解散からいろんな経験をして、さらにカッコいい男になっている。またいつかベボベで弾いている姿も見てみたい。
1.too young to die
2.Beast
3.GAME
4.slow motion
5.眠りたくない夜は
6.君は神様だったから
7.ボクは、少しズルくなる
8.I don't wanna dance
9.the mugendai dance time
10.The Fire
11.Transient Happines
12.beat addiction
13.MIRACLE
encore
14.The End (Base Ball Bearのカバー)
15.Crazy
I don't wanna dance
https://youtu.be/qX37fWB9x9k
Next→ 6/19 9mm Parabellum Bullet @日比谷野外音楽堂
9mm Parabellum Bullet LIVE 2016 ”Waltz on Life Line” at日比谷野外大音楽堂 6/19 ホーム
パスピエ presents 「印象E」 出演:パスピエ / UNISON SQUARE GARDEN @新木場STUDIO COAST 6/17